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2019年1月13日

Stroke誌:脳内出血は脳梗塞よりもキケンなの?


Do Clinicians Overestimate the Severity of Intracerebral Hemorrhage
2019  1月  イギリス

脳内出血の1ヶ月死亡率はおよそ40%で、急性脳梗塞の4倍に相当する。長期的にも同様で1年後の生存率は46%、75%が死亡か重度の障害をもつという。

このような背景から医師が脳内出血へのネガティブな思い込みをいだいているばあい、よくなる可能性があるのに治療を打ち切ってしまうかもしれない。

いっぽうこれまでの研究から、脳卒中の種類によらず損傷域の体積がわかれば予後を推定できるとする考え方もある。

そこで 医師にCT画像のみから脳内出血と急性脳梗塞の重症度と予後を推定させてどのくらい評価に偏りがあるかしらべてみたそうな。


損傷域体積がたがいに等しい組み合わせの脳内出血33例および急性脳梗塞33例のCT画像について、他の医療情報を隠した状態で33人の医師にその損傷域の体積、重症度、1ヶ月予後について推定させた。


次のことがわかった。

・脳内出血の体積は8mLじっさいよりもおおく、急性脳梗塞の体積は8mLすくなく評価された。

・重症と判断された率は、脳内出血で41%、急性脳梗塞で14%だった。

・予後良好(mRS0-2)と推定された率は、脳内出血で47%、急性脳梗塞は74%だった。

・脳室内出血の有無は推定結果に影響しなかった。

・体積の推定ミスを考慮にいれても、脳内出血は急性脳梗塞にくらべあきらかに悪く予後評価されていた。

医師は脳内出血体積を過大評価した。その数値にかかわらず重症度と予後を急性脳梗塞よりも悪く考えがちだった、


というおはなし。

図:

感想:

出血と梗塞ではCT画像上で見ているものがまったく異なるのだから、体積が一緒だからって同じ結果になるはずがない。

経験的に脳内出血はヤバイと知っているからなのか、もしくは脳室内出血を重視していないことから 単に条件反射的な思い込みで悪く評価しているだけなのかも。

2019年1月12日

やはり自動車衝突事故をおこしやすいのか?


A systematic review of the risk of motor vehicle collision after stroke or transient ischemic attack
2019  1月  カナダ

脳卒中患者にとって自動車運転の再開は重要なリハビリ目標の1つである。

これまで脳卒中と運転能力との関連をしらべた研究はいくつもあるが、自動車衝突事故(motor vehicle collision)についてのものはおおくない。

そこで、いままでの研究をレビューしてみたそうな。


脳卒中またはTIAの経験者がおこした自動車衝突事故(シミュレータも含む)についての研究を複数のレヴューアーが厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・論文検索結果5605件から12の研究がみつかった。

・症例対照研究3つのうち1つで脳卒中と自動車衝突事故との関連が指摘されていた。(OR 1.9)

・コホート研究5つのうち1つで脳卒中とTIAで自動車衝突事故リスクが上がるとしていた。(RR 2.71)

・シミュレータを用いた横断研究4つのうち2つで脳卒中経験者の自動車衝突事故リスクは2倍としていた。

これまでのエビデンスから脳卒中経験者はあきらかに自動車衝突事故をおこしやすい、とまでは言えなかった、


というおはなし。

図:自動車衝突事故

感想:

クラクションの音ってどうにかならんのかね。運転再開したころはよく鳴らされた。
感情失禁ぎみなのか「ビー」ってやられるとブチ切れそうになる。

「ピローン」みたいな音にしてほしい。

2019年1月11日

Hypertension誌:脳動脈瘤は腸内細菌のせい


Potential Influences of Gut Microbiota on the Formation of Intracranial Aneurysm
2019  1月  アメリカ

腸内細菌叢のはたらきが炎症の病気 たとえばアテローム性動脈硬化や糖尿病、脳梗塞と関連があることがわかってきた。

また、脳動脈瘤の形成にも炎症がかかわっていることが動物実験で示されている。

そこで腸内細菌叢が炎症反応を介して脳動脈瘤の形成に影響を与えうるものかどうか実験してみたそうな。


高血圧ネズミに抗生物質を複数種類まいにちたべさせて腸内細菌を死滅させた。

3週間つづけた後、ネズミの脳脊髄液にタンパク質分解酵素を注入して脳動脈瘤ができやすい状況をつくった。

脳動脈瘤の発生数との関連を解析したところ、


次のようになった。

・抗生物質によって脳動脈瘤の発生率が 83→6%に減少した。

・抗生物質の投与を脳動脈瘤を誘導する1日まえにやめても、脳動脈瘤の発生率は 86→28%に減少した。

・炎症指標になるマクロファージ浸潤度と関連サイトカインのmRNAレベルも抗生物質により低下していた。

腸内細菌叢が脳動脈瘤の形成に関与しうることを示すことができた、


というおはなし。

図:ネズミの脳動脈瘤

感想:

おもしろい。想像もしなかった。

「腸内環境を整え血管のコブ形成を抑えるはたらきが期待できるトクホ飲むヨーグルト」みたいなものがスーパーに並ぶのか。

かかわった研究者の名が日本人ばかりななぞ。

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2019年1月10日

Stroke誌:内臓脂肪からみた肥満パラドックス


Impact of Visceral Adipose Tissue on Clinical Outcomes After Acute Ischemic Stroke
2019  1月  韓国

肥満や過体重の脳卒中患者は死亡率が低く回復が良いとするいわゆる「肥満パラドックス」が数多く報告されている。いっぽう「そんなものは存在しない太り過ぎは減量するべき」とする研究結果もある。

このようなちがいが起きる原因として、これまでの調査では肥満指標としてBMI(ボディマス指数)をもっぱら採用してきたことが考えられる。

BMIは筋肉や脂肪といった体組成の差を反映していない。そこで BMIにくわえて内臓脂肪を考慮にいれて肥満と脳卒中回復との関連をしらべてみたそうな。


急性脳梗塞で血栓溶解治療に間に合った患者127人について、

入院時にへその位置で撮影したCT画像から内臓脂肪比率をもとめ、
3ヶ月後の生活自立度mRSスコアとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・内臓脂肪比率がたかくなるほどmRS2または1以下の回復良好者数が減少した。

・これは他の関連要因で調整してもおなじだった。

・BMI25以上の肥満患者は肥満でない患者よりも回復が良かった。

・肥満患者のうち、mRS1以下のとくに回復のよかった患者では内臓脂肪比率があきらかに低かった。

内臓脂肪比率のひくい脳梗塞患者はその後の回復が良かった。肥満でかつとくに回復の良かった患者には内臓脂肪があきらかにすくなかった、


というおはなし。

図:内臓脂肪と脳卒中のmRS

感想:

わかりやすく言うと、
筋肉のすくない脂肪でぶよぶよの肥満は好ましくはないけれど、痩せているよりはマシってことのようだ。

だから被験者に内臓脂肪型の肥満がおおいと肥満パラドックスは観測されにくくなる。

2019年1月9日

Stroke誌:家族性脳動脈瘤は破れるサイズもおなじ?


Concordance in Aneurysm Size at Time of Rupture in Familial Intracranial Aneurysms
2019  1月  フランス

家族性脳動脈瘤は、第一近親者(両親または子)の2人以上に脳動脈瘤がみつかる場合を指し、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血のおよそ10%を占める。

一般人のばあいよりも破裂するリスクが2.5-7倍あるとされる。また おなじ位置に動脈瘤ができやすいこともわかっている。

しかし破裂するサイズについてはわかっていない。もし破裂するサイズも近親者間でおなじであれば、予防処置をすぐにおこなうべきかどうかの判断の助けになる。

そこで、家族性脳動脈瘤の破裂サイズについてくわしくしらべてみたそうな。


オランダ、ドイツ、フランスのくも膜下出血患者で家族性脳動脈瘤のペア68組について破裂時の動脈瘤サイズを解析したところ、


次のことがわかった。

・近親者間の動脈瘤の破裂時のサイズの最大比は、1.2以下が26%、1.3-2.9が57%、3以上が17%で、

・サイズの大きいペア, 小さいペア, 大と小のペアに占める近親者の率にあきらかな差はなかった。

・ぜんたいとして、近親者間での破裂脳動脈瘤のサイズの再現性率は0.10と低かった。

家族性脳動脈瘤の破裂サイズに共通性はみられなかった。近親者にくも膜下出血がいても瘤のサイズは治療方針の参考にならない、


というおはなし。

図:家族性脳動脈瘤の破裂サイズ比

感想:

脳ドックなどでみつかる未破裂脳動脈瘤を「手術するべきか問題」が知る限り30年ほど続いている。さいきんその理由がなんとなくわかってきた。

破裂したあとの再出血予防手術(クリップやコイル)ですら そのリスクとベネフィットについて土台となる信頼できるデータがないので 議論を構築しようがないから、ってことのようだ。↓
Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?

2019年1月8日

嚥下障害への低周波数rTMSの効果


Effects of Low-Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation on Swallowing Function and Quality of Life of Post-stroke Patients
2019  1月  トルコ

脳卒中後の嚥下障害にたいして非侵襲的に脳皮質を刺激できるrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)を応用した研究がいくつもあるが一致した結果が得られていない。

両脳半球が脳梁を介して互いを抑制しあっているという考え方があって、脳卒中でいっぽうの損傷により健常側への抑制がはずれると損傷脳側への抑制がさらにすすんでしまう。

このとき健常側の亢進した働きを低周波数のrTMS抑えるか、損傷側を高周波数のrTMSで活性化することで崩れた抑制バランスを立て直すことができるという。

これら刺激プロトコールが研究ごとにバラバラであることも結果が一致しない原因と考えられる。

そこで、低周波数のrTMSに限って嚥下障害への効果を検証してみたそうな。


脳卒中の発症から2-6ヶ月の嚥下障害患者28人を2グループに分けた。

両グループには通常の嚥下リハビリを週3回x4週間おこなった。

rTMSグループには最終週に、1HzのrTMSを健常側脳の顎や舌の動きに関連する部位へ1回20分間x5日間 与えた。

比較グループには通常リハビリをおこなった。


次のようになった。

・両グループともに嚥下機能が実験後3ヶ月にわたり改善した。

・改善した嚥下機能にグループ間でのあきらかな差はみられなかった。

・rTMSグループにのみメンタルQoLの改善がみられた。

脳卒中で嚥下障害の患者への低周波数rTMSは期待しないほうがいいかも、


というおはなし。

図:rTMSで嚥下障害治療


感想:

メンタルQoLの改善はかんぜんに「スパシーバ効果」。コントロールにsham刺激をもうけるわけでもなく、しかもたったの1日20分x5日間でどうにかなると考える能天気さは ちょっと雑な感がある。

2019年1月7日

Stroke誌:魚の油を多く摂ると心原性脳梗塞


Marine n-3 Polyunsaturated Fatty Acids and the Risk of Ischemic Stroke
2019  1月  デンマーク

魚を摂ると心血管死亡率が下がるのは おおく含まれるn-3(オメガ3)多価不飽和脂肪酸の効果と考えられている。この効果は冠動脈疾患についてはよくわかっているが脳卒中については研究がおおくない。

さらにn-3多価不飽和脂肪酸の種類であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)別に調べたものはもっとすくなく、しかも主観的な食事アンケートによる調査しかない。

そこで、身体の脂肪組織を分析してn-3多価不飽和脂肪酸およびその種類と脳卒中との関連を大規模にしらべてみたそうな。


50-65歳のデンマークの57053人について食事アンケートをとり、そのうち3203人の臀部から脂肪組織を採取して成分分析した。

脳梗塞の発生を13.5年間フォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に1879人が脳梗塞になった。

・脂肪組織に含まれるEPAがおおいほど脳梗塞リスクは低下した。

・アテローム血栓性脳梗塞のリスクは、トータルのn-3多価不飽和脂肪酸およびEPA,DHAの摂取量もしくは脂肪組織のEPA率が高いときに 低かった。

・心原性の脳梗塞リスクは、トータルのn-3多価不飽和脂肪酸およびDHAの摂取量もしくは脂肪組織でのそれらの含有率が高いときに 高率だった。

・脂肪組織のEPAはラクナ梗塞のリスクと逆相関にあった。

EPAは脳梗塞のほとんどの種類のリスク低下と関連があった。ただし、トータルのn-3多価不飽和脂肪酸とDHAは多いほど心原性の脳梗塞になりやすくなった、


というおはなし。

図:n-3多価不飽和脂肪酸の摂取量

感想:

さいきん話題のえごま油とかアマニ油もn-3多価不飽和脂肪酸おおし。
NEJM誌:魚油サプリメントの脳卒中予防効果

魚でふせげる脳梗塞と増える脳梗塞

2019年1月6日

リハビリの不安と音楽療法


Music as a Therapy to Alleviate Anxiety During Inpatient Rehabilitation for Stroke
2019  1月  アメリカ

脳卒中患者は不安がつよく、不安症の率はアメリカ一般人の20%にたいし脳卒中リハビリ中の患者で26%とやや高い。

音楽で気分や覚醒度、ストレスが改善され脳血流もふえるという。

そこで、リハビリ患者にすきな音楽を聴かせたときの不安程度を評価してみたそうな。


脳卒中でリハビリ入院中の患者50人を2グループにわけて、

いっぽうには、ゴスペル、クラシック、ロック、カントリー、ポップのなかから好みの音楽を1時間聴かせた。

もういっぽうのグループは音楽はなしですきにさせておいた。

この1回の介入前後での2種類の不安尺度検査(State–TraitAnxiety Inventory と Hospital Anxiety De-pression Score)の結果をくらべたところ、


次のようになった。

・音楽グループでは不安度スコアが介入まえよりもあきらかに低くなった。

・音楽なしのグループでは不安度スコアに変化はなかった。

・年齢、性別、脳卒中の種類で調整しても結果はかわらなかった。

リハビリ入院中の脳卒中患者に好きな音楽を聴かせることは不安緩和に効果的かも、


というおはなし。

図:脳卒中患者の音楽療法と不安

感想:

脳卒中の音楽療法でリスニングのメンタル効果を調べた研究はすくない。

リズムにのって身体を動かす系のはなしばかり。

片麻痺におすすめの曲は 米津玄師のフラミンゴ(←リンク)踊りやすい。このMVを観ていっきに米津ファンになった。

2019年1月5日

Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?


Survival and Outcome After Poor-Grade Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in Elderly Patients
2018  12月  スイス

高齢のくも膜下出血患者の治療に対する考え方はこの50年間で保存的治療から積極的治療(手術)にかわってきた。

しかしグレードの高い重症患者にたいしてはかならずしも一致していない。しかも判断材料になるデータがほとんどない状態でもある。

そこで、高齢のくも膜下出血患者に積極的治療をほどこしたときの回復可能性を大規模かつ長期にフォローしてみたそうな。


WFNSグレードⅣ Ⅴに相当する重度のくも膜下出血で60歳以上の患者146人について、退院時と6-12ヶ月後のmRSスコアを評価したところ、


次のようになった。

・高齢になるほどくも膜下出血の死亡リスクが高くなった。

・1歳あがると死亡リスクは6%上昇し、10歳あがると76%高くなった。

・平均生存期間は、60-69歳で56.3ヶ月、70-79歳では31.6ヶ月、80-90歳では7.6ヶ月間だった。

・6-12ヶ月後にmRS4-6の回復不良患者は年齢が高くなるほどおおはばにふえた。

高齢の重症くも膜下出血患者は年齢がたかくなるほど死亡または重度障害のリスクが高くなった。しかし79歳までなら治療による効果がある程度期待できた。80歳をこえると生存と回復可能性が著しく低下した、



というおはなし。

図:高齢くも膜下出血の回復可能性
ほとんどが生きて退院できないのに(グレー↑)手術する意義とは?


感想:

くも膜下出血のしゅうへんは、なにかがおかしい。

じつはくも膜下出血で早くに亡くなってしまう人たちに対してできることはほとんどない。

治療と称して行われている手術は再出血予防のためであって現状をすぐにどうにかしようとするものではない。

じっさい、24時間以内に手術をして手術が遅れても死亡率には影響がない。

しかも再出血予防手術を肯定するランダム化比較試験はいまだなく、手術を行うべきあきらかなエビデンスは存在していない。

拠り所としているのは60年代のCTもMRIもない頃に作成されたガイドラインを護りぬいてきた業界の「伝統と権威」だけ。

なるほど数十年まえは激しい頭痛があってもすぐに病院にゆく習慣がなかったので手術をしないこともおおく死亡率は極端に低かった。↓
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率

定型的手術でかつたしかな収入源になるのでやめられないんだとおもう。

ほかにも臓器提供問題も絡んで↓いろいろと興味深い。
脳卒中患者から臓器を抜くための法改正の成果

2019年1月4日

脳梗塞の「くしゃみ療法」とは


The Effect of Sneezing on the Reduction of Infarct Volume and the Improvement of Neurological Deficits in Male Rats
2018  11月  イラン

くしゃみ反射は「ヴァルサルヴァ効果」に似て、一時的な息こらえによる胸腹部の圧上昇で静脈が圧迫され心臓への血液の戻りが減少する、次いで交感神経の反発により心臓のアウトプットが上がり血圧が上昇する。

この血圧上昇効果で虚血に陥った脳にふたたび血が巡るようになることが期待できる。

そこで、動物をつかって脳梗塞の「くしゃみ療法」を実験してみたそうな。


67匹のネズミを用意して、4グループに分けた。

それぞれ、1)脳梗塞まえにくしゃみ、2)脳梗塞のあとにくしゃみ、3)脳梗塞のまえとあとにくしゃみ、4)比較グループ、とした。

くしゃみ反射は麻酔中に刈り取ったひげを両鼻腔に詰めこむことで誘導した。

脳虚血の24時間後の梗塞サイズと神経症状を比較したところ、


次のようになった。

・くしゃみグループで梗塞サイズと脳浮腫がちいさくなった。

・梗塞サイズと神経症状の改善が最大だったのは、脳梗塞のまえとあとにくしゃみをさせたグループだった。

・脳梗塞のあとにくしゃみをしたグループでは浮腫の改善効果が著しかった。

・とくに中大脳動脈域での保護効果が観察された。
誘導したくしゃみによって脳梗塞のダメージを抑えることができた。脳血管内の一時的な血圧上昇が虚血域への血流をうながしたと考えられる、


というおはなし。

図:いびきのタイミングと脳梗塞体積


感想:

ひとに応用するときには意識的な息み動作をさせるのかな。

それよりも くしゃみを誘導する刺激のために「刈り取ったひげ」を鼻に詰める必要が理解できない。実験者の猟奇性を感じる。

2019年1月3日

血圧とくも膜下出血 in チャイナ


Blood Pressure and Risk of Subarachnoid Hemorrhage in China
2018  12月  中国

くも膜下出血の発生率は国によってことなり、とくにフィンランドと日本で高いことが知られている。これまでの調査では中国のくも膜下出血発生率は欧米や他のアジア諸国にくらべ低かった。

くも膜下出血のリスク要因である高血圧や喫煙、飲酒の点ではハイリスクなはずの中国でなぜ発生率が低いのか確かめるために、大規模な調査をおこなったそうな。


50万人あまりの一般成人データをふくむ「中国カドーリバイオバンク」研究について くも膜下出血の発生をフォローして血圧などとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者の平均年齢は51、平均血圧は130/78、

・約7年のフォロー期間中に553件のくも膜下出血があり、発生率は年間10万人あたり12.9人だった。

・血圧は 平均を超える域ではくも膜下出血リスクと正の相関があり、

・収縮期血圧で10mmHg, 拡張期血圧が5mmHgあがるごとにくも膜下出血リスクはそれぞれ1.21倍、1.20倍になった。

・年齢や性別との関連は確認できなかった。

・血圧上昇によると考えられるくも膜下出血が23%を占めていた。

中国のくも膜下出血発生率は欧米のそれと同レベルだった。血圧の上昇はくも膜下出血リスクと相関し、原因の4分の1を占めると考えられた、


というおはなし。

図:血圧上昇とくも膜下出血

感想:

なるほどフィンランドのくも膜下出血ネタがおおい。↓
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