元
Do Clinicians Overestimate the Severity of Intracerebral Hemorrhage
2019 1月 イギリス
脳内出血の1ヶ月死亡率はおよそ40%で、急性脳梗塞の4倍に相当する。長期的にも同様で1年後の生存率は46%、75%が死亡か重度の障害をもつという。
このような背景から医師が脳内出血へのネガティブな思い込みをいだいているばあい、よくなる可能性があるのに治療を打ち切ってしまうかもしれない。
いっぽうこれまでの研究から、脳卒中の種類によらず損傷域の体積がわかれば予後を推定できるとする考え方もある。
そこで 医師にCT画像のみから脳内出血と急性脳梗塞の重症度と予後を推定させてどのくらい評価に偏りがあるかしらべてみたそうな。
損傷域体積がたがいに等しい組み合わせの脳内出血33例および急性脳梗塞33例のCT画像について、他の医療情報を隠した状態で33人の医師にその損傷域の体積、重症度、1ヶ月予後について推定させた。
次のことがわかった。
・脳内出血の体積は8mLじっさいよりもおおく、急性脳梗塞の体積は8mLすくなく評価された。
・重症と判断された率は、脳内出血で41%、急性脳梗塞で14%だった。
・予後良好(mRS0-2)と推定された率は、脳内出血で47%、急性脳梗塞は74%だった。
・脳室内出血の有無は推定結果に影響しなかった。
・体積の推定ミスを考慮にいれても、脳内出血は急性脳梗塞にくらべあきらかに悪く予後評価されていた。
医師は脳内出血体積を過大評価した。その数値にかかわらず重症度と予後を急性脳梗塞よりも悪く考えがちだった、
というおはなし。
感想:
出血と梗塞ではCT画像上で見ているものがまったく異なるのだから、体積が一緒だからって同じ結果になるはずがない。
経験的に脳内出血はヤバイと知っているからなのか、もしくは脳室内出血を重視していないことから 単に条件反射的な思い込みで悪く評価しているだけなのかも。