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2018年10月14日

考え事をしながら散歩する効果


A randomised controlled trial of a walking training with simultaneous cognitive demand (dual task) in chronic stroke
2018  10月  イギリス

脳卒中経験者が地域で安全かつ目的をもって生活するためには単に歩けるだけではなく、歩行中の視覚や聴覚からの複雑な状況変化を判断しながら移動できることが必要である。

しかし脳卒中経験者は運動と認知課題を並行して処理する「二重課題能力」が低下していることがわかっている。

二重課題処理能力を鍛えることで脳卒中経験者の身体活動量が増えたとする報告がわずかながらある。

これをたしかめるべく、10週間の二重課題訓練プログラムを実験してみたそうな。

2018年10月13日

脳卒中経験者の肺炎死を防ぐウォーキング時間は


Associations of Daily Walking Time With Pneumonia Mortality Among Elderly Individuals With or Without a Medical History of Myocardial Infarction or Stroke: Findings From the Japan Collaborative Cohort Study
2018  9月  日本

肺炎は先進国での死亡原因6-8位にあり、高齢者ほど肺炎になりやすい。

いっぽうウォーキングや高強度の運動が肺炎リスクを下げることがわかっている。

そこで、心筋梗塞や脳卒中経験のある高齢者の日々の歩行習慣と肺炎で死亡するリスクとの関連をくわしくしらべてみたそうな。

2018年10月12日

迷走神経刺激の慢性期上肢リハビリ効果


Vagus Nerve Stimulation Paired With Upper Limb Rehabilitation After Chronic Stroke
2018  9月  アメリカ

脳卒中患者にとって上肢機能の麻痺はもっとも深刻な問題の1つである。

しかも上肢訓練の繰り返し回数をふやしてもまったく効果がないことが臨床試験であきらにされたいま、回復を促すべつの方法が求められている。

迷走神経刺激を上肢訓練に組み合わせると機能改善がうながされるとする結果が動物実験で得られている。人でも若干の報告がある。

そこで、慢性期の脳卒中患者について迷走神経刺激の上肢リハビリ効果を検証してみたそうな。


慢性期の脳卒中患者17人について、
全員の身体に迷走神経刺激装置を埋め込んだ。

実験グループ8人と比較グループ9人にわけた。
まず病院で6週間の上肢リハビリを行い、家に帰って90日間上肢リハビリを継続した。家での最初の30日間は迷走神経は刺激しなかった。

電流強度は実験グループが0.8mAで、比較グループには電流を流さなかった。

実験終了後、比較グループには実験グループと同様の電流0.8mAで上肢訓練プログラム(6週間+90日間)を再実行した。

上肢機能スコアFMA-UEを比べたところ、


次のようになった。

・埋め込み手術の際の有害事象が3件あった。

・上肢機能は最終的に、実験グループで9.5ポイント、比較グループで3.8ポイント改善した。

・FMA-UEスコアが6ポイント以上改善した患者の割合は、実験グループで88%、比較グループでは33%だった。

・実験終了後に比較グループにも電気を流し再訓練した結果、実験グループと同様の改善が見られた。

慢性期の脳卒中で上肢麻痺患者に迷走神経刺激と上肢訓練を組み合わせた結果、安全性と機能改善傾向が確認できた、


というおはなし。

図:迷走神経刺激の上肢機能回復効果

感想:

上図のIn-clinicの期間にどのグループもやたら回復しているところが奇妙だ。

インプラント手術を承諾するほど熱烈に実験に期待している患者だから医療現場の雰囲気にのまれ治った気になり易い。

しかも完全にブラインド実験とはいうものの、おそらくは頸部への電流の有無が本人にはわかるため、家に帰って頭が冷えたあとは 電流刺激のないグループは治ったフリをするのをやめてしまう、、、

そういうことだと思う。

[迷走神経刺激]の関連記事

2018年10月11日

脳梗塞が再発して死亡する白人と黒人のちがい


Racial differences in recurrent ischemic stroke risk and recurrent stroke case fatality
2018  10月  アメリカ

脳梗塞の発生率は人種でことなり、白人にくらべ黒人は1.5-3倍以上高いという。

しかし再発率については報告によって状況はまったく異なる。

さらに30日致命率は、初回脳梗塞にくらべ再発では4倍になると言われているものの、人種差の報告はほとんどない。

そこで脳梗塞の1年間の再発率とその30日致命率を白人と黒人で大規模にくらべてみたそうな。


1999-2013のメディケイド加入者の医療記録からランダムに5%を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・平均年齢80、128789人の脳梗塞記録がみつかり、11.1%が黒人だった。

・脳梗塞の再発は1年間に1000人あたり、白人が108人、黒人154人で、

・黒人の再発リスクは白人の1.36倍だった。

・再発後、30日以内の死亡は黒人の21%、白人16%で、

・関連要因である年齢、性別、収入、併存疾患等で調整すると、黒人の30日致命率は白人の0.82倍になった。

高齢脳梗塞患者の再発リスクは白人にくらべ黒人が高く、再発による30日致命率は黒人が低かった、


というおはなし。

図:脳梗塞再発率の人種差


感想:

黒人はラクナ梗塞がおおいため再発しやすく、白人には心房細動がおおいため心原性の脳梗塞で死に至りやすい、という背景があるようだ。

2018年10月10日

脳卒中にならない体重 400万人調査から


A J-shaped relation of BMI and stroke- Systematic review and dose-response meta-analysis of 4.43 million participants
2018  7月  中国

肥満が脳卒中のリスク要因の1つであることはわかっている。

しかし肥満度(BMI)の違いによって脳卒中リスクがどのように変化するのか(用量関係)については、線型、U型、J型と報告によって異なる。

そこでこれまでの研究をまとめて くわしくしらべてみたそうな。


2018年5月までの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者4432475人と脳卒中事例102466件を含む44の研究がみつかった。

・BMIと脳卒中リスクの用量関係は J型で、(下図)

・BMIが24未満ではさほど変化はなく、BMIが25を超えると脳卒中リスクはおおきく上昇した。

BMIと脳卒中リスクは J型の関係にあり、過体重や肥満だと脳卒中になりやすかった。BMIが23-24のときにもっとも脳卒中リスクは低かった、


というおはなし。
図:400万人のBMIと脳卒中リスク

感想:

BMIが25までは気にしなくてよいってこと。

あと20kg太れるわ。

2018年10月9日

薬にたよらない脳卒中リハビリのおすすめは


Non-pharmacological interventions for the improvement of post-stroke activities of daily living and disability amongst older stroke survivors: A systematic review
2018  10月  イギリス

脳卒中のリハビリテーションでは薬を用いない方法が大勢をしめている。

しかし、これら非薬物的リハビリテーションの高齢患者での研究はおおくない。

そこで65歳以上の高齢脳卒中患者を対象とした非薬物的リハビリテーションについての、これまでの研究をまとめてシステマティックレビューを試みたそうな。


複数のレビュアーが関連する研究を厳選して、データの偏り、エビデンスの質(GRADE)を評価したところ、


次のことがわかった。

・14の非薬物的リハビリテーションについての計72の論文がみつかった。

・各方法と論文数の内訳は、鍼灸1、介護者トレーニング1、CI療法2、ロボット支援8、音楽療法1、神経刺激3、作業療法12、プリズムメガネ3、理学療法17、イメージ訓練6、自己管理教育6、ビデオゲーム1、自走車椅子1、だった。

・日常生活動作の改善が見られたのは、理学療法と作業療法のみだった。

・14あるいずれの方法も、身体障害の改善に効果的とするエビデンスはまったくなかった。

・すべてにおいてエビデンスレベルは低く、研究の数も少なかった。

高齢脳卒中患者への薬物を使わないリハビリテーション方法のうち、理学療法と作業療法のみで日常生活動作への改善効果が確認できた。全体的に報告数がすくないのでさらなる研究を期待する、


というおはなし。
図:DRADE英ビデンスレヴェル

感想:

理学療法と作業療法以外は、やっている内容をそれぞれ容易にイメージすることができる。

ところが理学療法や作業療法については漠然としすぎていて具体的にどんな介入内容を指すのかわからない。

だからこの2つを他と同列に比べるのはフェアでないとおもうんだ。

日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

コクランレビュー:作業療法のエビデンス信用できない

2018年10月8日

なかなか回復できない脳梗塞の位置がわかった


Impact of Ischemic Lesion Location on the mRS Score in Patients with Ischemic Stroke- A Voxel-Based Approach
2018  10月  ドイツ

これまで脳梗塞の予後の良し悪しはCT画像上での梗塞のおおきさから推定されてきた。

とうぜん梗塞の位置も関係しているはずなので、最新の画像解析法である "ボクセル単位の病変と症状のマッピング" (Voxel-based lesion-symptom mapping:VLSM)をつかってくわしくしらべてみたそうな。

2018年10月7日

肩の痛みとの付き合い方


Pain management strategies among persons with long-term shoulder pain after stroke - a qualitative study
2018  9月  スウェーデン

脳卒中で上肢麻痺のある患者の50-80%は肩の痛みに悩まされる。

薬やアームスリング、ミラー療法、電気刺激などの治療法が提案されているがいずれもほとんど効果はなく、肩の痛みは長く続く。

肩の痛みに悩まされてきた脳卒中経験者がどのように適応してきたのかしらべてみたそうな。


発症から2年前後の脳卒中経験者で肩の痛みを訴える13人について個別に面談したところ、


次のことがわかった。

・彼らがとる対策には実践的なものと精神的なものがあって、

・実践的な方法として、家の中で高い棚のものを下に置く、1回の買い物の量をへらして軽くする、着替えしやすいようゆったりとした服を選ぶ、

・肩が痛くなりやすい動作方向や特定のタスクを避けるようにする。たとえば着替えの際に麻痺腕を先に袖に通すなど。

・痛みがひどいときには休憩を入れる、薬を使う、シャワーで温冷刺激を与える、散歩で痛みを紛らわす など。

・精神的な方法として、痛みを受け入れ、痛みに耐え、痛みを無視できるような認識をもつこと。たとえば もっとひどい状況の人がいる、チクチクする痛みよりはましだ、自分は強く楽観的である、などと考える。

脳卒中のあと長期に肩の痛みに悩まされてきた人は実践的かつ精神的な方法をくみあわせて痛みに対処していた、


というおはなし。

図:脳卒中のあとの肩の痛み


感想:

肩の痛いは周囲の人にまったく理解されない点がいちばんきつかった。

原因や理由を説明できないから病人のわがままな泣き言だと思われる。

2018年10月6日

脳卒中のあとの新たな痛みと部位


New-onset pain in the early phase and three months following stroke - data from a multicenter study
2018  9月  ノルウェー

脳卒中のあと何らかの痛みを訴える患者の割合は、測定方法や時期などによって11-54%の幅があるという。

脳卒中になってから「あらたに」発生した痛みの割合とその部位についてくわしくしらべてみたそうな。


ノルウェーの11の病院で発症から14日以内の脳卒中患者390について、
入院時と3ヶ月後に痛み調査をしたところ、


次のことがわかった。

・入院時、9.9%にあらたな痛みの報告があった。

・3ヶ月時点では、この割合は21.8%になった。

・痛みの部位は麻痺側の上肢または両下肢で、

・いずれも入院時よりも3ヶ月後におおかった。

・あらたな痛みは不安スコアと関連があり、半数が日常生活動作への影響を訴えていた。

脳卒中のあとすぐに10人に1人があらたな痛みを訴え、3ヶ月後にはこの割合は5人に1人になった。痛み症状は特に麻痺上肢と両下肢にみられた、


というおはなし。
図:脳卒中後の痛みと部位と時期

感想:

両下肢ってところが新鮮だった。
わからないでもないけど麻痺側の痛みが圧倒的で健常側のそれを同レベルにカウントできないとおもう。

2018年10月5日

睡眠時間と脳卒中リスク 人種と性別での違い


Sleep duration and risk of incident stroke by age, sex, and race
2018  10月  アメリカ

睡眠は脳卒中と関連すると考えられ、睡眠時間は短くても長くても脳卒中リスクが高くなるとするメタアナリシスもある。

これらの関連は性別や人種によっても異なるという報告がいくつかあるので、大規模調査REGARDSスタディのデータをつかってたしかめてみたそうな。


脳卒中歴や睡眠障害のない45歳以上の白人と黒人16733人について調査したところ、


次のことがわかった。

・全体の10.4%は睡眠時間が6時間未満で、6.8%は9時間以上だった。

・6.1年間のフォロー期間中に480件の脳卒中があった。

・睡眠時間と人種および性別と脳卒中リスクにあきらかな関連がみられた。

・特に黒人男性で、睡眠6時間未満は7-8.9時間にくらべ脳卒中リスクが80%低かった。

・いっぽう白人男性は9時間以上の睡眠で脳卒中リスクがほぼ倍になった。

・女性に関してはこれほどの差は生じなかった。

睡眠時間と脳卒中リスクは人種や性別によりおおきく異なり、短時間睡眠の黒人男性は脳卒中リスクが低く、長時間睡眠の白人男性は脳卒中リスクが高かった、


というおはなし。
図:睡眠時間と脳卒中リスクと人種

感想:

睡眠時間は自己申告なので、貧乏暇なしで身体をよくうごかす黒人が細切れになった睡眠時間の一部だけを上げているためではないか、、って言ってる。

2018年10月4日

早期リハビリを勧める理由


Behavioral Effect of Short- and Long-Term Exercise on Motor Functional Recovery after Intracerebral Hemorrhage in Rats
2018  9月  日本

脳卒中後のリハビリ効果には その開始する時期と期間が関係すると考えられる。

動物実験でこれをたしかめてみたそうな。


人為的に脳内出血にしたネズミをつぎの5グループに分けた。

1.脳内出血のみ(運動なし)
2.脳内出血の翌日から14日間運動
3.脳内出血の翌日から7日間運動
4.脳内出血の8日目から7日間運動
5.手術のみで脳内出血なし

運動は30分間のトレッドミル。

複数の行動検査をおこない比較したところ、


次のことがわかった。

・翌日から運動させたグループは、他のグループよりも回復があきらかにすぐれていた。

・8日目から運動させたグループは脳内出血のみのグループと同レベルの回復だった。

脳内出血のあと早くに運動を始めたグループは回復がよかった。この効果は運動させる期間によらなかった、


というおはなし。

図:脳内出血の早期リハビリ効果

感想:

アブストと本文中のこのあたり↓の記述、素人目にもおかしいと思う。
図:謎の記述

ネズミの歳も気になる。

いずれにしても早期リハビリを勧める根拠は いまだ動物実験しかない。

なぜなら人間では真逆の結論↓だから。
【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない

Stroke誌:早期リハビリがんばる意味ない

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない
ほかにも↓
失語症の早期リハビリ まったく効果ない

超早期リハビリをやってはいけない理由

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!
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