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2018年8月3日

半側空間無視の過小診断率


Underdiagnosis of Unilateral Spatial Neglect in stroke unit
2018  7月  スペイン

半側空間無視は損傷脳半球の反対側からの刺激に反応しない症状で、脳卒中で優位脳でない方にダメージをうけたときにおきやすい。

その発生率は8-90%と報告によりおおきなひらきがある。神経症状を評価するNIHSSではじゅうぶんに捉えられずに過小診断になっている可能性がある。

過小診断されている半側空間無視の割合を確認するべく くわしくしらべてみたそうな。


非優位脳半球を損傷して21ヶ月未満の脳卒中患者について、
線分二等分課題(Line Bisection)のほか “TrianglesCancellation” や “Circle Gap Detection Task” で半側空間無視を確認した。

その結果とルーチン検査のNIHSSの結果とを比べたところ、


次のようになった。

・平均年齢74、62人の患者を対象とした。

・25人(40.3%)が半側空間無視と診断されたが、

・このうちの56%はNIHSSでは半側空間無視を検出できなかった。

脳卒中後の半側空間無視は通常の検査ではかなりの過小診断になっていた、


というおはなし。
図:半側空間無視 線分二等分検査

感想:

本人すら気づかないものを証明するのは難しんだな。

2018年8月2日

日本人脳卒中の2年間生存率


Two-Year Survival After First-Ever Stroke in a General Population of 1.4 Million Japanese - Shiga Stroke Registry
2018  7月  日本

最近の50年間で日本の脳卒中死亡率は低下している。しかし高齢化にともない患者数は増加することが予想される。

そこで脳卒中から2年間の累積生存率を一般住民について大規模にしらべてみたそうな。


滋賀県の住民140万人を対象とした2011-2013の脳卒中患者登録データを解析したところ、


次のことがわかった。

・2176人の脳卒中患者があった。

・この間に663人(30.5%)が死亡して、脳卒中後2年間の累積生存率は69.5%だった。

・脳卒中の種類別の生存率は、ラクナ梗塞 87.2%、主幹動脈閉塞 76.1%、心原性塞栓 55.4%、脳内出血 65.9%、くも膜下出血 56.7% だった。

・ほかに 高齢、男性、入院時意識障害が死亡しやすさに関連していた。

日本の一般住民を対象とした調査では脳卒中のあと2年間の累積死亡率は30%を超えており、とくに心原性塞栓、くも膜下出血、脳内出血で高かった、


というおはなし。
図:脳卒中後の生存率

感想:

滋賀県の脳卒中予防事業といったらこれ↓を思い出す。
YouTube の脳卒中ビデオってどうなのよ?

2018年8月1日

片麻痺の水中療法の効果は


Effects of water-based and land-based exercises on walking and balance functions of patients with hemiplegia
2018  7月  トルコ

脳卒中患者をプールで運動させる水中療法にはバランスや歩行能力の改善効果が期待されている。

しかし水中療法と地上訓練についてのランダム化比較試験の例が少ないのでやってみたそうな。

2018年7月31日

主観的認知機能障害と社会参加とうつ


The role of subjective cognitive complaints and depressive symptoms in social re-integration following stroke: a mediation explanation in a cross-sectional sample
2018  7月  オーストラリア
軽症脳卒中経験者の70%は仕事や社会生活になんらかの不満を抱えているという。

そこで認知障害の前段階でもある主観的認知機能障害と社会参加との関連およびそれを媒介する要因についてしらべてみたそうな。

2018年7月30日

手の周りには意識が集中している 脳卒中患者では?


Time-dependent decline of body-specific attention to the paretic limb in chronic stroke patients
2018  7月  日本

手のひらに近い位置ではつづく握り動作にそなえて注意力が高まっていて、この付近からの視覚刺激への反応が遠い位置からよりも速くなる現象が報告されている。

これをつかって脳卒中患者の麻痺側への注意力の低下を定量化できれば学習性不使用や空間無視の理解につながるかもしれないので実験してみたそうな。

2018年7月29日

コクランレビュー:歩数計を着ける効果


Activity monitors for increasing physical activity in adult stroke survivors
2018  7月  オーストラリア
脳卒中経験者は再発予防と機能回復を促すために運動をこころがけることが望ましい。しかし現実はじっと座っている時間が長い。

じぶんの活動量をフィードバックすることで日々の行動をあらため運動量が増えるとする考え方がある。

そこで、歩数計(Fitbit、ガーミンウォッチ)やスマートフォンアプリ(Runkeeperなど)のような活動量を計るウェアラブルデバイスが脳卒中経験者の運動量に与える効果についてこれまでの研究をまとめてみたそうな。

2018年7月28日

起立性低血圧の認知症と脳梗塞


Association of orthostatic hypotension with incident dementia, stroke, and cognitive decline
2018  7月  アメリカ

アメリカでは高齢者の14%が認知症で 22%が認知障害という。
認知機能の低下は高血圧などの心血管疾患要因が関連することがわかっている。

いっぽう起立性の低血圧はめまいや疲労感のもとであり 心血管疾患との関連も報告されている。しかし起立性低血圧と認知機能の低下についての研究はほとんどないので大規模にしらべてみたそうな。


1987年の健常者11709人を24年間フォローしたARIC研究のデータを使用した。

起立性低血圧は、仰向け時と立位での血圧の差が、収縮期で20mmHgまたは拡張期で10mmHgを超える場合と定義した。

認知症検査、脳梗塞の有無、認知機能の経時変化との関連を解析したところ、


次のようになった。

・4.7%が起立性低血圧だった。

・起立性低血圧には 65% vs 37%で高血圧がおおかった。

・1068人が認知症になり842人が脳梗塞になった。

・起立性低血圧の認知症のなりやすさは1.54倍で、脳梗塞は2.08倍だった。

・また認知機能低下スピードもおおきかった。

起立性低血圧はのちの認知症や脳梗塞とあきらかな関連があった、


というおはなし。
図:起立性低血圧と脳卒中


感想:

高血圧なのに立ち上がるだけで血圧が下がるひとはボケる。ということは高血圧で降圧薬を飲む人もまた あたまに血が巡らずにボケる。

そんな予感がして降圧薬は3年前にきっぱりとやめた。

2018年7月27日

脳卒中の前庭リハビリテーション


Vestibular rehabilitation training in patients with subacute stroke: A preliminary randomized controlled tria
2018  7月  イタリア

内耳からくる平衡感覚をきたえる前庭リハビリテーションは視線の安定性やバランス能力を改善するとされ、パーキンソン病や多発性硬化症、脳性まひへの効果が報告されている。

前庭リハビリテーションの脳卒中患者への応用は、前庭動眼反射の改善についての報告があるものの歩行バランスについての研究はないので実験してみたそうな。

2018年7月26日

くも膜下手術70人未満の病院には行ってはいけない


Hospital case-volume is associated with case-fatality after aneurysmal subarachnoid hemorrhage
2018  7月  オランダ

年間に扱う脳卒中患者数がおおい病院ほど死亡率が低いという報告はすくなくない。

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血についても同様の報告があるいっぽう 否定する報告もある。

これを確認するべく多施設間で大規模に検証してみたそうな。


ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアにある計22の三次医療センターについて、
くも膜下出血でクリッピングまたはコイリングを行った年間の患者数ごとに次の3つに分類した。

Low:年間41件未満、 Intermediate:41-70件、 High:70件より大、

これと14日後の死亡率との関連を解析したところ、


次のようになった。

・2263人がLowで、3563人がIntermediate、2599人がHighの病院で治療をうけた。

・14日後の死亡率は、Low病院で10.4%、Intermediate病院で7.0%、High病院で5.4%だった。

・クリッピングの場合Low病院とくらべたときの死亡リスクはIntemediate病院で0.46倍、High病院で0.42倍、

・コイリングではIntermediate病院で0.77倍、High病院で0.56倍だった。
いずれも規模のおおきな三次医療センターであったが、年間のくも膜下出血の手術件数がおおいほど死亡率は著しく下がった、


というおはなし。
図:年間手術数と14日くも膜下出血死亡率

感想:

ようするに設備や病院としての専門性のもんだいではなくて、ただただ場数を踏んだ医師個人の「慣れ」におおきく依存しているってこと。

だからこれらは「安全な手術」では決してない。

さらにはその必要性すらうたがわしい。
理由↓

1) 再出血予防のクリッピング手術のRCTは存在しない。(by ガイドライン

2) 入院が遅れるほど死亡率は劇的に下がる。

3) もっとも再出血しやすい24時間以内の手術にまったく効果がない。

2018年7月25日

ラクナ梗塞の機能回復は1年後もつづく


Late functional improvement after lacunar stroke: a population-based study
2018  7月  イギリス

ラクナ梗塞は他の脳卒中にくらべ脳の損傷範囲がちいさいため 低下した機能を可塑性により代替できる皮質組織はおおきいと考えられる。

じっさい、ラクナ梗塞では回復が長く続くとする報告がないわけではないのでくわしくしらべてみたそうな。


3ヶ月時点で生存していた脳卒中患者1425人について、
12ヶ月後まで複数の機能評価基準
modified Rankinscale (mRs), Rivermead MobilityIndex (RMI), Barthel Index (BI)
でフォローしたところ、


次のことがわかった。

・234人がラクナ梗塞で、3ヶ月時点での機能評価で非ラクナ梗塞グループと差はなかった。

・しかし3-12ヶ月後までの機能回復度(mRSの減分)はラクナ梗塞グループであきらかに高かった(オッズ比1.64)。

・この関連は再発患者を除いても、他の評価基準 RMIやBIでも変わらなかった。

ラクナ梗塞の患者には3-12ヶ月にかけてあきらかな機能回復を示す大きな可能性がある。かんたんに回復をあきらめてはいけない、


というおはなし。

図:ラクナ梗塞の3-12ヶ月の機能回復

感想:

ラクナ梗塞って軽い脳卒中の代表の印象。だから彼らが後遺症を語ることについては少々はばかれる空気がある。
それでいままであきらかにならなかったんだろうね。

2018年7月24日

ウェッブサイトの脳卒中情報の質


Trustworthiness, Readability, and Suitability of Web-Based Information for Stroke Prevention and Self-Management for Korean Americans: Critical Evaluation
2018  7月  アメリカ

脳卒中経験者にとってウェッブサイトは健康情報の重要な入手先である。

とくに韓国系アメリカ人は脳卒中関連のリスク要因がおおく しかも健康保険に属していない場合がおおいことから、彼らにとってウェッブサイトへの依存度はなお一層高い。

そこでこれらウェッブサイトの内容をくわしく評価してみたそうな。


必ずしも英語が堪能でない韓国系アメリカ人が検索しそうな英語と韓国語のシンプルなキーワードについてGoogleとYahooの検索結果の1-2ページに表示されたウェッブサイトを抽出して、

その信頼性、可読性、適合性について複数人がリッカード尺度(良=2、可=1、不可=0)で評価した。


次のようになった。

・15の英語サイトと27の韓国語サイトに絞られた。

・そのうち信頼性では62%が可以上となった。

・しかし48%は1年以上更新されておらず、33%は発信者が不明か連絡がつかず、

・さらに50%のサイトでは健康情報の引用元を明示していなかった。

・読みやすさについては2つのサイトのみが推奨レベルに達していた。

・用語、内容、図表の使用、健康行動への動機づけなどの適合性については1サイトのみが良だった。

脳卒中に関する情報を扱うウェッブサイトはおおむね信頼できるものだったが情報の引用元をあきらかにするなどの改善が必要だった。また読者に高度な読解力を要求するものも少なくなかった、


というおはなし。

図:脳卒中情報サイトの評価


感想:

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