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2018年6月20日

脳内出血やった子供の2年後


Neurologic Outcome Predictors in Pediatric Intracerebral Hemorrhage
2018  6月  アメリカ

子供の脳卒中のおよそ半数は出血タイプである。しかし脳内出血の予後の特徴についてはよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


2007-2015、3施設で発症年齢が29日-18歳までの脳内出血患者について
2年後の神経学的予後 Pediatric Stroke Outcome Measure(PSOM)スコアを調べ関連要因を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者69人が対象となり、年齢中央値は9.7歳で 6人は死亡した。

・2年後、3分の1以上が重い障害をかかえていた。

・PSOMのトータルスコアは時とともに改善したが主に感覚運動スコアの改善によるもので、言語や認知機能の改善は小さかった。

・血腫体積が全脳の4%以上のとき2年後の回復が不良だった。

脳内出血を経験した2年後、3分の1の子供が重い障害をもっていた。この間の回復はおもに感覚運動機能で、血腫体積が全脳の4%以上のとき回復不良になりがちだった、


というおはなし。
図:小児脳内出血の2年後

感想:

これ↓わたしの脳動画、ぜんぶで1655ccある。4%だとこの場合 16.55x4=66cc、 出血量はその半分だったよ。

2018年6月19日

nature.com:手が動くために必要な脳の低周波活動とは


Low-frequency cortical activity is a neuromodulatory target that tracks recovery after stroke
2018  6月  アメリカ

さいきんの研究でリーチング動作の直前に運動野に数ヘルツの低周波活動が生じることがわかっていて運動の精度と関連があると考えられている。

この低周波活動が脳卒中で手が麻痺した患者でどのようになっているか、動物と人間で測定してみたそうな。


まず、前足でエサをとる訓練をしたネズミを脳卒中にして 皮質に貼った電極から損傷部位周辺の低周波活動を測定した。

次に、てんかん治療中で脳卒中も併発し手が麻痺した人間患者について、同様の低周波活動の有無を観測した。


次のことがわかった。

・健常なネズミでは リーチング動作の直前に低周波活動が確認できた。

・脳卒中ネズミではリーチング動作に際しての低周波活動が消失していた。

・低周波活動の回復と 前足の運動機能回復がつよく相関していた。

・人間患者についても 脳卒中で上肢麻痺のある場合、この低周波活動があきらかに低下していて、これはEEGでもデルタ波の変化として確認できた。

・さらに脳卒中ネズミのリーチングのタイミングに、運動野へ弱い低周波電気刺激を与えたところ 運動精度が60%向上した。

ひとの運動野を適切なタイミングで電気刺激できる装置ができれば脳卒中患者の運動機能の回復に役立つにちがいない、、


というおはなし。
図:脳卒中患者の皮質 低周波活動

感想:

低周波のオンラインrTMSならこれに近いことができるとおもう。
健常側の運動野のはたらきと時期

2018年6月18日

nature.com:上肢麻痺を改善する電気刺激のやりかた


Effects of 8-week sensory electrical stimulation combined with motor training on EEG-EMG coherence and motor function in individuals with stroke
2018  6月  台湾

脳卒中患者の上肢麻痺を改善できる有効な方法はほとんどない。

しかしさいきんの研究で末梢神経への電気刺激により麻痺上肢に対応する運動皮質の活動性が高まることが確認されている。

そこで抹消神経の電気刺激による上肢運動機能への長期的影響をしらべてみたそうな。


慢性期脳卒中で上肢麻痺の患者12人について電気刺激グループと偽刺激グループにわけた。

電気刺激は麻痺手の肘の内側に正中神経に沿って電極を貼り、100ヘルツの電気刺激パルスを20秒間隔でオン・オフを40分間繰り返した。

この直後に20分間の上肢運動訓練を行った。

これを週2回x8週間継続した。

さらに4週間後まで運動機能をフォローした。


次のようになった。

・電気刺激グループの脳波筋電コヒーレンスは偽刺激にくらべあきらかに高く、

・上肢運動機能(FMA)も電気刺激グループでのみその改善効果が得られ 4週間後まで継続した。

訓練まえの末梢神経電気刺激は慢性期脳卒中患者の上肢麻痺の改善に期待できる、


というおはなし。
図:末梢神経電気刺激による上肢機能改善効果


感想:

低周波治療器がそのままつかえそう。

おなじ研究チームによる2016の報告↓が参考になる。
脳の可塑性を促す腕の電気刺激方法

2018年6月17日

【日本男児限定】 脳内出血にならない朝食の条件とは


Dietary Intake of Energy and Nutrients from Breakfast and Risk of Stroke in The Japanese Population: The Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS)
2018  6月  日本

これまで朝食と脳卒中との関連を長期に調べた研究は存在しないのでやってみたそうな。


40-59歳で秋田、大阪、高知、茨城の健康な住民3248人の食事調査をして、脳卒中の発生を25年間フォローしたところ、


次のようになった。

・230人が脳卒中になった。

・朝食を摂らない人にくらべて、しっかりと朝食を摂っているひとの脳内出血リスクは男性で0.38倍、女性は1.36倍だった。

・とくに朝食で飽和脂肪や一価不飽和脂肪をおおく摂る男性で脳内出血リスクが低かった。

飽和脂肪や一価不飽和脂肪をおおく含む朝食を毎日しっかりと摂っている日本人男性の脳内出血リスクはあきらかに低かった、


というおはなし。
図:朝食

感想:

一価不飽和脂肪はオリーブ油やアボカドに豊富。1日の量ではなくて朝食に摂ることがポイントなんだって。

さいきん朝食によく、バターを混ぜたご飯にオリーブ油をかけた納豆をのせて食べる。
続けよう。

2018年6月16日

リハビリ病院でセックスの話題がでない理由


Healthcare Professionals' and Patients' Views of Discussing Sexual Well-being Poststroke
2018  5月  アイルランド

脳卒中を経験すると性的ウェルビーイング(健康 満足度)に問題をかかえることがおおい。

しかしリハビリの現場でこの種の問題があつかわれることはすくなく患者が不満に感じているという報告がすくなくない。

その理由をしらべるべく、患者と医療関係者との会談をもうけてみたそうな。


脳卒中経験者50人に性的ウェルビーイングについてのアンケートをとり、
これとは別に脳卒中病棟の医療関係者6人と患者6人を1時間ほど話し合わせて内容を分析したところ、


次のことがわかった。

・アンケートによると性的テーマについて医療関係者と話し合ったことのある脳卒中経験者は1人もいなかった。

・脳卒中経験者はリハビリの場で性的ウェルビーイングの問題をとりあげてほしいと考えていたが、医療関係者は身体機能と医療行為にしか関心がないように感じられた。

・おおくの医療関係者が患者と性的テーマについて話し合うことを意識的に避けていた。個人的に恥ずかしい感情と専門家として必要な知識を持ち合わせていないことが主な理由だった。

・性的ウェルビーイングの問題を公式にみとめて情報提供用の資料を手渡すだけでも状況は改善すると考えられた。

ニーズにかかわらず医療関係者は脳卒中患者の性的ウェルビーイングの相談にのるために必要な訓練はおろか知識すらまったく持ち合わせていなかった、


というおはなし。
図:セクシャルウェルビーイング質問結果

感想:

相談したくないなぁ、、、担当のOTが芸っぽかったんだ。

2018年6月15日

食事コレステロールがおおいひとの脳卒中リスク


Dietary cholesterol intake and stroke risk: a meta-analysis
2018  5月  中国

食事から摂るコレステロールと脳卒中との関連について 過去20年おおくの研究がおこなわれてきたが、コレステロール摂取量の推定がグラムであったり食事回数、相対比であったりとまちまちであった。

そこでこれまでの研究をまとめてメタアナリシスしてみたそうな。


信頼性の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者269777人と脳卒中4604件を含む7つの研究がみつかった。うち3つは日本の研究だった。

・コレステロールを1日300mg以上摂ることの 摂取量がもっとも少ないグループに対する脳卒中リスクは0.98で、

・60歳以上の女性に限定しても1.18だった。

食事からのコレステロールを多く摂っても脳卒中リスクとの関連はなかった、


というおはなし。

図:コレステロールと脳卒中 メタアナリシス

感想:

300mgって玉子1個半程度。上限はなくなったので この5倍くらいの量での調査を期待。

[コレステロール]の関連記事

2018年6月14日

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険


Aerobic Fitness Training: No Benefit in Early Subacute Stroke

PHYSICAL ACTIVITY IN SUBACUTE STROKE – PHYS-STROKE
2018  6月  ドイツ

ながらく脳卒中後の有酸素運動は脳の血液循環をうながし可塑性がすすみ、ひいては運動機能、日常生活動作の改善につながると考えられてきた。

しかし "超早期"の運動については最近のAVERT研究によりまったく効果がないばかりか危険すぎるとしてその意義は否定された。

そこで、"亜急性期" の患者についてはどうか、大規模にしらべてみたそうな。

先月の欧州脳卒中協会会議(ESOC 2018)でのPHYS-STROKE研究の報告。


複数施設での発症から5-45日の脳卒中患者200人を、
トレッドミルをつかった有酸素運動グループとリラックスしているだけのグループにわけた。

1回50分間x週5回x4週間のトレーニングを行い、3ヶ月後の歩行スピード、生活自立度、有害事象を複数の指標でしらべたところ、


次のようになった。

・両グループともに歩行スピード、日常生活動作にまったく差はなかった。

・しかし運動グループでは深刻な有害事象たとえば、再発 転倒 疼痛、のリスクがあきらかに高かった。

これまでにない大きな規模のマルチセンタースタディにより、脳卒中亜急性期のリハビリトレーニングはまったく効果がないばかりか非常に危険であることがわかった、


というおはなし。
図:PHYS-STROKE研究

感想:

すくなくとも2ヶ月間はトレーニングの類は一切しないで 美味しいものをたくさんたべてネットで映画でも観てることがベストな過ごし方だとおもうよ。

[AVERT]の関連記事

2018年6月13日

脳卒中から10年間の自殺率推移


Suicide death rates in patients with cardiovascular diseases - A 15-year nationwide cohort study in Taiwan
2018  6月  台湾

脳卒中など心血管疾患の自殺率について 疾患の種類べつの報告はすくないのでくわしくしらべてみたそうな。


2001-2015 台湾の国民健康保健研究データベースと死亡届記録から
心血管疾患の5つの種類、うっ血性心不全(CHF)、急性心筋梗塞(AMI)、脳梗塞(IS)、脳出血(HS)、ペースメーカー移植(PMI)の各ケースについて
自殺者を抽出して一般人と比較した。

2018年6月12日

脳の損傷部位と上肢痙縮率


Post-stroke Upper Limb Spasticity Incidence for Different Cerebral Infarction Site
2018  6月  中国

脳卒中患者の17-40%は上肢に痙縮を経験する。この状態がつづくと疼痛や拘縮をまねくと考えられている。

脳の損傷部位と痙縮との関係についての報告はすくないので くわしくしらべてみたそうな。

2018年6月11日

rTMS治療中に居眠りしていた脳卒中患者の末路


Sleep during low-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation is associated with functional improvement in upper limb hemiparesis after stroke
2018  6月  日本

経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)が脳卒中患者の運動機能の改善に期待できる、とする報告がおおくある。

経験的に rTMS治療中にウトウトと眠ってしまう患者ほど回復が良さそうだったので、眠気レベルの指標としての bispectral index (BIS)を測定して回復度との関連をくわしくしらべてみたそうな。


15日間のrTMS治療入院中、1日2回のrTMSセッションの直前と刺激中でのBISの低下度ΔBISを測定した。

この平均値が10以上を睡眠グループ、10未満を覚醒グループとして
Fugl-Meyer assessment (FMA)
Action Research Arm Test (ARAT)
との関連を解析した。

rTMSは対側の運動野に1ヘルツの刺激を20分間与えた。

BISは脳波の解析にもとずく簡便な睡眠深度測定法である。


次のようになった。

・睡眠グループ7人と覚醒グループ6人を対象とした。

・FMAスコアの改善度にグループ間のちがいはなかった。

・しかしARATスコアは睡眠グループがすぐれていて、

・ΔBISとARATスコアの改善度にあきらかな相関がみられ、ΔBISが15をこえるあたりからARATスコアが急激に向上した。

rTMS中の睡眠が上肢機能の改善を促すのかも、、、


というおはなし。
図:BIS変化分とARATスコアの相関

感想:

眠りは脳の可塑性をうながす。だから目をひんむいてリハビリがんばる人よりも眠ってばかりの怠け者のほうがじつは回復がいい。
ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは

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リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

2018年6月10日

脳内出血後の発熱と1年後の生活の質


Fever Burden and Health-Related Quality of Life After Intracerebral Hemorrhage.
2018  3月  アメリカ

脳内出血患者の20-40%は発熱を経験する。最初の72時間に37.5℃を超える状態がつづくと死亡や入院期間の延長、回復不良のリスクが非常に高まることが報告されている。

発熱と生活の質(QoL)との関連については報告がないのでしらべてみたそうな。


脳内出血患者106人について、
発症から14日間に38℃以上あった日数と、
28日後、3ヶ月後、1年後の健康関連の生活の質(HRQoL)との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・発熱した日数がふえるごとにHRQoLの移動および認知機能に関するスコアが低下した。

・この関連は重症度や年齢、フォロータイミングを考慮にいれても変わらなかった。

脳内出血のあと 発熱した日がふえるごとに1年後の移動 認知関連QoLが低下していた、


というおはなし。
図:脳内出血後の発熱日数とHRQoL

感想:

じぶんもしばらく熱がおさまらなかったので関心をもった。
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