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2018年6月16日

リハビリ病院でセックスの話題がでない理由


Healthcare Professionals' and Patients' Views of Discussing Sexual Well-being Poststroke
2018  5月  アイルランド

脳卒中を経験すると性的ウェルビーイング(健康 満足度)に問題をかかえることがおおい。

しかしリハビリの現場でこの種の問題があつかわれることはすくなく患者が不満に感じているという報告がすくなくない。

その理由をしらべるべく、患者と医療関係者との会談をもうけてみたそうな。


脳卒中経験者50人に性的ウェルビーイングについてのアンケートをとり、
これとは別に脳卒中病棟の医療関係者6人と患者6人を1時間ほど話し合わせて内容を分析したところ、


次のことがわかった。

・アンケートによると性的テーマについて医療関係者と話し合ったことのある脳卒中経験者は1人もいなかった。

・脳卒中経験者はリハビリの場で性的ウェルビーイングの問題をとりあげてほしいと考えていたが、医療関係者は身体機能と医療行為にしか関心がないように感じられた。

・おおくの医療関係者が患者と性的テーマについて話し合うことを意識的に避けていた。個人的に恥ずかしい感情と専門家として必要な知識を持ち合わせていないことが主な理由だった。

・性的ウェルビーイングの問題を公式にみとめて情報提供用の資料を手渡すだけでも状況は改善すると考えられた。

ニーズにかかわらず医療関係者は脳卒中患者の性的ウェルビーイングの相談にのるために必要な訓練はおろか知識すらまったく持ち合わせていなかった、


というおはなし。
図:セクシャルウェルビーイング質問結果

感想:

相談したくないなぁ、、、担当のOTが芸っぽかったんだ。

2018年6月15日

食事コレステロールがおおいひとの脳卒中リスク


Dietary cholesterol intake and stroke risk: a meta-analysis
2018  5月  中国

食事から摂るコレステロールと脳卒中との関連について 過去20年おおくの研究がおこなわれてきたが、コレステロール摂取量の推定がグラムであったり食事回数、相対比であったりとまちまちであった。

そこでこれまでの研究をまとめてメタアナリシスしてみたそうな。


信頼性の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者269777人と脳卒中4604件を含む7つの研究がみつかった。うち3つは日本の研究だった。

・コレステロールを1日300mg以上摂ることの 摂取量がもっとも少ないグループに対する脳卒中リスクは0.98で、

・60歳以上の女性に限定しても1.18だった。

食事からのコレステロールを多く摂っても脳卒中リスクとの関連はなかった、


というおはなし。

図:コレステロールと脳卒中 メタアナリシス

感想:

300mgって玉子1個半程度。上限はなくなったので この5倍くらいの量での調査を期待。

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2018年6月14日

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険


Aerobic Fitness Training: No Benefit in Early Subacute Stroke

PHYSICAL ACTIVITY IN SUBACUTE STROKE – PHYS-STROKE
2018  6月  ドイツ

ながらく脳卒中後の有酸素運動は脳の血液循環をうながし可塑性がすすみ、ひいては運動機能、日常生活動作の改善につながると考えられてきた。

しかし "超早期"の運動については最近のAVERT研究によりまったく効果がないばかりか危険すぎるとしてその意義は否定された。

そこで、"亜急性期" の患者についてはどうか、大規模にしらべてみたそうな。

先月の欧州脳卒中協会会議(ESOC 2018)でのPHYS-STROKE研究の報告。


複数施設での発症から5-45日の脳卒中患者200人を、
トレッドミルをつかった有酸素運動グループとリラックスしているだけのグループにわけた。

1回50分間x週5回x4週間のトレーニングを行い、3ヶ月後の歩行スピード、生活自立度、有害事象を複数の指標でしらべたところ、


次のようになった。

・両グループともに歩行スピード、日常生活動作にまったく差はなかった。

・しかし運動グループでは深刻な有害事象たとえば、再発 転倒 疼痛、のリスクがあきらかに高かった。

これまでにない大きな規模のマルチセンタースタディにより、脳卒中亜急性期のリハビリトレーニングはまったく効果がないばかりか非常に危険であることがわかった、


というおはなし。
図:PHYS-STROKE研究

感想:

すくなくとも2ヶ月間はトレーニングの類は一切しないで 美味しいものをたくさんたべてネットで映画でも観てることがベストな過ごし方だとおもうよ。

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2018年6月13日

脳卒中から10年間の自殺率推移


Suicide death rates in patients with cardiovascular diseases - A 15-year nationwide cohort study in Taiwan
2018  6月  台湾

脳卒中など心血管疾患の自殺率について 疾患の種類べつの報告はすくないのでくわしくしらべてみたそうな。


2001-2015 台湾の国民健康保健研究データベースと死亡届記録から
心血管疾患の5つの種類、うっ血性心不全(CHF)、急性心筋梗塞(AMI)、脳梗塞(IS)、脳出血(HS)、ペースメーカー移植(PMI)の各ケースについて
自殺者を抽出して一般人と比較した。

2018年6月12日

脳の損傷部位と上肢痙縮率


Post-stroke Upper Limb Spasticity Incidence for Different Cerebral Infarction Site
2018  6月  中国

脳卒中患者の17-40%は上肢に痙縮を経験する。この状態がつづくと疼痛や拘縮をまねくと考えられている。

脳の損傷部位と痙縮との関係についての報告はすくないので くわしくしらべてみたそうな。

2018年6月11日

rTMS治療中に居眠りしていた脳卒中患者の末路


Sleep during low-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation is associated with functional improvement in upper limb hemiparesis after stroke
2018  6月  日本

経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)が脳卒中患者の運動機能の改善に期待できる、とする報告がおおくある。

経験的に rTMS治療中にウトウトと眠ってしまう患者ほど回復が良さそうだったので、眠気レベルの指標としての bispectral index (BIS)を測定して回復度との関連をくわしくしらべてみたそうな。


15日間のrTMS治療入院中、1日2回のrTMSセッションの直前と刺激中でのBISの低下度ΔBISを測定した。

この平均値が10以上を睡眠グループ、10未満を覚醒グループとして
Fugl-Meyer assessment (FMA)
Action Research Arm Test (ARAT)
との関連を解析した。

rTMSは対側の運動野に1ヘルツの刺激を20分間与えた。

BISは脳波の解析にもとずく簡便な睡眠深度測定法である。


次のようになった。

・睡眠グループ7人と覚醒グループ6人を対象とした。

・FMAスコアの改善度にグループ間のちがいはなかった。

・しかしARATスコアは睡眠グループがすぐれていて、

・ΔBISとARATスコアの改善度にあきらかな相関がみられ、ΔBISが15をこえるあたりからARATスコアが急激に向上した。

rTMS中の睡眠が上肢機能の改善を促すのかも、、、


というおはなし。
図:BIS変化分とARATスコアの相関

感想:

眠りは脳の可塑性をうながす。だから目をひんむいてリハビリがんばる人よりも眠ってばかりの怠け者のほうがじつは回復がいい。
ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは

眠っている間にリハビリがすすむオフライン運動学習とは

リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

2018年6月10日

脳内出血後の発熱と1年後の生活の質


Fever Burden and Health-Related Quality of Life After Intracerebral Hemorrhage.
2018  3月  アメリカ

脳内出血患者の20-40%は発熱を経験する。最初の72時間に37.5℃を超える状態がつづくと死亡や入院期間の延長、回復不良のリスクが非常に高まることが報告されている。

発熱と生活の質(QoL)との関連については報告がないのでしらべてみたそうな。


脳内出血患者106人について、
発症から14日間に38℃以上あった日数と、
28日後、3ヶ月後、1年後の健康関連の生活の質(HRQoL)との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・発熱した日数がふえるごとにHRQoLの移動および認知機能に関するスコアが低下した。

・この関連は重症度や年齢、フォロータイミングを考慮にいれても変わらなかった。

脳内出血のあと 発熱した日がふえるごとに1年後の移動 認知関連QoLが低下していた、


というおはなし。
図:脳内出血後の発熱日数とHRQoL

感想:

じぶんもしばらく熱がおさまらなかったので関心をもった。

2018年6月9日

脳卒中の二重課題干渉時の優先順位付け


Dual-Task Walking in Challenging Environments in People with Stroke: Cognitive-Motor Interference and Task Prioritization
2018  5月  オランダ

歩行は強く意識しなくてもできる運動であるが、これに別の認知課題が加わると歩行スピードが落ちたり認知課題スコアの低下を招く。

これを「二重課題干渉効果」と呼び、特に脳卒中患者で顕著であることがわかっている。

歩行課題に障害物を置き難度を高めた場合、認知課題よりも運動課題が優先されると考えられていて、これを 姿勢優先原理(posture-first principle)と呼ぶ。

そこで、歩行課題にバリエーションをもたせたときに 二重課題干渉効果と優先度に違いがでるものか実験してみたそうな。

2018年6月8日

性的にやる気がなくなる降圧薬の種類がわかった


Risk Factors, Depression, and Drugs Influencing Sexual Activity in Individuals With and Without Stroke
2018  5月  アメリカ

脳卒中患者のおおくは性的活動頻度の低下や性機能不全を経験するという。

アメリカ全国健康栄養調査をつかって心血管要因と性的活動レベルとの関連をくわしくしらべてみたそうな。


40-59歳の3649人について脳卒中経験の有無と使用薬、性的活動について調査し関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・使用する薬の種類がおおく喫煙習慣があると性的活動頻度が低かった。

・脳卒中経験のある者も性的活動頻度があきらかに低かった。

・特に アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害タイプの降圧薬やスタチンの使用者で性的活動頻度が低かった。

脳卒中経験者の性的活動頻度はあきらかに低く、とくにACE阻害薬やスタチン使用者で顕著だった、


というおはなし。
図:脳卒中経験と性的活動頻度

感想:

その種のもんだいがまったくないと謳われてきたARB(アンジオテンシンII受容体拮抗)タイプの降圧薬でもかなり性欲減退したんだって。

2018年6月7日

小児脳梗塞の5年後


Motor function daily living skills 5 years after paediatric arterial ischaemic stroke: a prospective longitudinal study
2018  5月  オーストラリア

小児の脳梗塞では運動機能に障害が生じることがすくなくない。これを長期に詳しくフォローした報告はすくないのでしらべてみたそうな。


急性脳梗塞の小児33人について、発症タイミングの出生からの時期別に、
新生児:~30日、
幼児:30日~5年、
学童:5年~、
のグループにわけて、
発症から5年後の運動機能、神経症状等を複数の評価基準で測定したところ、


次のことがわかった。

・5年後の 運動機能、生活の質、疲労、適応行動、日常生活動作、書字スピードが同年齢の一般人とくらべて、あきらかに劣っていた。

・就学まえの幼児期に発症したグループで運動機能の細かな動作と全体的な動作のいずれもが おおきく低下していた。

・細かい動作の障害は皮質下のおおきな脳損傷に関連し、

・全体動作の障害は幼児期の発症で両側の損傷と関連があった。

小児の急性脳梗塞では運動機能に障害が残るリスクが高く、特に就学前の幼児期での発症で顕著だった、


というおはなし。
図:子供の脳卒中後の機能評価

感想:

言語をあっという間に習得してしまうほどに脳が柔らかい子供ですら麻痺が治らないのだから、おとながトレーニング繰り返して良くならないのは無理もない。
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

2018年6月6日

微小脳出血と軽度認知障害


Cerebral Microbleeds Are Associated With Mild Cognitive Impairment in Patients With Hypertension
2018  6月  中国

微小脳出血は脳小血管病を反映していると考えられMRIで確認できる。いっぽう脳小血管病はアルツハイマー病など認知症の要因の1つでもある。

そこで、微小脳出血と 軽度認知障害との関連をくわしくしらべてみたそうな。


50歳以上、高血圧症で脳卒中歴のない983人について、

微小脳出血の数と位置 および認知機能検査の結果との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・164人が軽度認知障害と診断された。

・軽度認知障害の者ほど微小脳出血がおおかった。

・微小脳出血の位置(皮質や深部)によらずその存在自体が軽度認知障害と関連し、

・年齢、性別、教育歴、他の心血管要因 等を考慮にいれてもこの関連は変わらなかった。

・特に微小脳出血が5個以上あると認知機能スコアがあきらかに低く、情報処理スピードなどのパフォーマンスが悪かった。

微小脳出血の存在およびその個数が高血圧患者の軽度認知障害とあきらかに関連していた、


というおはなし。
図:微小脳出血 皮質と深部

感想:

こういうものが見つかるのが怖くて ずっとMRI撮ってないんよ。

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