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2018年6月5日

近所にファーストフード店があると脳卒中になるの?


Association of Fast‐Food and Full‐Service Restaurant Densities With Mortality From Cardiovascular Disease and Stroke, and the Prevalence of Diabetes Mellitus
2018  5月  アメリカ

ファーストフードは高カロリーで 脂肪 砂糖 塩がおおく含まれ、ビタミンやミネラルといった栄養素に乏しい。

頻繁なファーストフード店の利用が肥満をもたらし やがて脳卒中などの心血管疾患を招くというシナリオが考えられるが、これまでの研究結果はかならずしもそれと一致しない。

そこで、地域の人口あたりのファーストフード店密度と脳卒中など心血管疾患死亡率との関連を詳しくしらべてみたそうな。


アメリカのCDCと農務省が公開しているデータをもちいて解析したところ、


次のことがわかった。

・ファーストフード店密度は脳卒中や心血管疾患の死亡率とあきらかな正の相関があった。

・これが因果関係にあるとしてもその影響はわずかなもので、地域でファーストフード店があらたに10店舗開業したとき55年間に1人の脳卒中死亡者が増えるという程度だった。

地域のファーストフード店密度が高くなると脳卒中死亡リスクは上昇した。しかしその影響はごくわずかなものだった、


というおはなし。
図:ファーストフード店密度と脳卒中死亡リスク

感想:

ファーストフードがすべて劣悪ではないし、たくさん店があったからといって全店巡るわけでもない。

日本の誇るファーストフード店「立ち食いそば屋」を近所につくってほしい。コストとクオリティのバランスがどの側面からみても絶妙だと思うんだ。
日本人の脳卒中死はラーメン屋のせい

2018年6月4日

コイル塞栓術が安全 はホントか


Outcome After Clipping and Coiling for Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in Clinical Practice in Europe, USA, and Australia
2018  5月  フィンランド

くも膜下出血の再出血を防ぐための手術としてクリッピングとコイリングがある。

コイリングのほうが患者の予後が良いとするシステマチックレビューがでて以来、コイリングの比率が徐々に高まってきている。

この流行によりおおくの経験の浅い医師が参入するようになり またコイリングをアシストするあらたな器具も次々と投入されてきている。

そこで過去10年間のクリッピングとコイリングの現場状況を大規模にくらべてみたそうな。


ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの22サイトが参加する行政管理データベースから患者7658人と、

ヨーロッパ2サイトの臨床データベースの1501人ぶんを別々に解析したところ、


次のことがわかった。

・行政データベースでは14日後の致命率は クリッピング6.4%、コイリング8.2% だった。

・臨床データベースでは14日後の致命率は クリッピング5.7%、コイリング9.0% だった。90日後の致命率もコイリングが高く、

・90日後の機能的回復不良率はコイリングのほうが低かった。

ワールドワイドな大規模調査ではくも膜下出血のコイリングは致命率が高くクリッピングよりすぐれているとは言えなかった、


というおはなし。
図:脳動脈瘤の位置とコイル クリップの棲み分け

感想:

うえのグラフみると、手の届きにくい場所ではほとんどコイルしか選択の余地がなく棲み分けができているようにも見える。

けどそれ以前に、再出血予防手術の必要性がいまだ理解できない、、、↓
くも膜下出血の超早期手術はじっさいどうなの?

2018年6月3日

マグネシウムが少ないと脳動脈瘤が破裂する?


Low Serum Calcium and Magnesium Levels and Rupture of Intracranial Aneurysms
2018  5月  アメリカ

さいきん低カルシウム血症や低マグネシウム血症が脳内出血の拡大と関連しているという報告がなされるようになった。

これはカルシムやマグネシウムが血小板機能や凝固カスケードに関与していることが理由と考えられている。

脳動脈瘤の破裂との関連についての報告はないのでしらべてみたそうな。


脳動脈瘤患者1275人の医療記録から、血清カルシウム マグネシウム アルブミン濃度と破裂の有無との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・このうち70.6%の患者の脳動脈瘤が破裂していた。

・血清カルシウムとマグネシウム濃度は脳動脈瘤の破裂とあきらかな逆相関にあり、オッズ比はそれぞれ0.33, 0.40 だった。

血清カルシウム マグネシウム濃度が低いとあきらかに脳動脈瘤が破裂しやすかった、


というおはなし。
図:カルシウム マグネシウムと脳動脈瘤破裂

感想:

カルシウムはともかくマグネシウムってどう摂ればいいかわかりにくい。

そこで「まぐねしお」↓ ツカッタコトナイケド
脳卒中が回復する食塩の条件がわかった!

2018年6月2日

慢性期脳卒中での日中の眠気の正体 Sci Rep.


Post-stroke insomnia in community-dwelling patients with chronic motor stroke: Physiological evidence and implications for stroke care
2018  5月  ドイツ

脳卒中患者の睡眠呼吸障害についての報告はおおい。しかし慢性期の脳卒中経験者について1日をとおした睡眠の質を測定した研究はとてもすくない。

そこで夜間の睡眠ポリグラフィー検査と日中の眠気をしらべる睡眠潜時反復検査(Multiple Sleep Latency Test)でくわしくしらべてみたそうな。


発症から1年以上経つ脳卒中経験者22人と年齢性別などが一致する一般の22人について調査したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中経験者は夜 眠りにつくまでの時間が長く、ベッドの中で眠っている時間の比率(睡眠効率)も低かった。

・日中は脳卒中経験者のほうが覚醒効率は高く、夜間の睡眠不足を取り戻そうとする傾向はみられなかったが、

・代わりに日中の注意力スコアがあきらかに低かった。

慢性期の脳卒中経験者は睡眠効率がひくく不眠傾向がみられた。日中の覚醒効率は高いいっぽう注意力は低かった、


というおはなし。
図:脳卒中患者の日中の覚醒効率

感想:

日中ウトウトとしているのではなく、ボーッとしているってこと。

2018年6月1日

復職後 なん年間仕事を続けられるのか 日本で


Employment sustainability after return to work among Japanese stroke survivors
2018  5月  日本

生存率の改善と高齢化から こんご日本では労働可能な脳卒中経験者が増加すると考えられる。

彼らが職場復帰したのち どれくらいのあいだ仕事を継続していられるものか よくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


大企業勤務で2000-2011に復職をはたした脳卒中経験者284人をフォローしたところ、


次のことがわかった。

・仕事継続率は復職後1年時点で78.8%、5年では59.0% だった。

・復職後、平均7.0年間 仕事を続けていた。

・また 30.3%は復職後に医師の診断つきのなんらかの病気休業を経験していた。

・病気休業の原因は、脳卒中の再発が57.0%、精神障害が20.9%、骨折が10.5% だった。

・21人は復職してから自主的に退職した。退職率は1年で4.9%、5年で7.6%だった。

・年齢が50以上だと仕事が継続できなくなるリスクが2倍以上だった。

復職後の脳卒中経験者には労働衛生の専門家のサポートが求められている。特に脳卒中の再発や精神障害 骨折には注意が必要である、


というおはなし。
図:脳卒中からの復職後の仕事継続率

感想:

大企業でこの数字だからな、、、

2018年5月31日

Stroke誌:抗血小板薬で微小脳出血そして脳内出血


Antiplatelet Therapy, Cerebral Microbleeds, and Intracerebral Hemorrhage
2018  5月  中国

MRIの普及により微小脳出血が確認できるようになった。微小脳出血は小血管病を反映し、その存在は脳内出血につながると考えられている。

これまで抗血小板薬と微小脳出血の関連をしめす研究がいくつもなされ、2つのメタアナリシスが報告されたがいずれも規模が小さかった。

それらを上回る規模のメタアナリシスで抗血小板薬と微小脳出血との関連を確認してみたそうな。


関係する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者20988人を含む37の研究がみつかった。

・微小脳出血は抗血小板薬使用者におおかった。

・抗血小板療法は深部よりも脳葉での微小脳出血とあきらかな関連があった。

・さらに脳内出血の発生率は微小脳出血のある者で高かった。

抗血小板薬使用者は脳葉の微小脳出血リスクが高く、微小脳出血があると脳内出血になりやすかった、


というおおはなし。
図:抗血小板療法と微小脳出血

感想:

血液サラサラのおくすりを飲んでいると、高次脳機能を司る皮質にいくつもの穴が空き やがてドバっと出血するかもよ、、、

ってことなんだけど いまさら感がある。

[抗血小板薬]の関連記事

2018年5月30日

日本人の仮面高血圧と脳卒中 JAMA Cardiol.


Association of Cardiovascular Outcomes With Masked Hypertension Defined by Home Blood Pressure Monitoring in a Japanese General Practice Population
2018  5月  日本

血圧は1日のうち 職場 自宅 睡眠中など環境次第で変動し、病院で測定した結果とかならずしも一致しない。

高血圧患者のうち30-50%は病院では血圧が正常値を示すものの そとでは高値をしめす。これを「仮面高血圧」という。

仮面高血圧を見つける方法の1つとして家庭での血圧測定がある。

そこで、「日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究」(J-HOP研究:Japan Morning Surge-Home Blood Pressure study)をつかって仮面高血圧と脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


平均年齢65の日本人男女4261人を4年ほどフォローした。

仮面高血圧(masked hypertension)は、
自宅で135/85以上、病院で140/90未満

白衣高血圧(white-coathypertension)は、
自宅で135/85未満、病院で140/90以上、

持続性高血圧(sustained hypertension)は、
自宅と病院ともに140/90以上、
とした。


次のことがわかった。

・この間に74の脳卒中と77の冠動脈疾患があった。

・正常血圧にくらべ仮面高血圧では脳卒中リスクが2.77倍であきらかに高かった。

・いっぽう仮面高血圧は冠動脈疾患とはなんの関連もなかった。

家庭用血圧計でみつかる仮面高血圧患者はあきらかに脳卒中になりやすかった、


というおはなし。
図:仮面高血圧と脳卒中リスク

感想:

当時わたしは その「仮面をかぶる方法」を編み出し自在に操っていたのだが、、↓↓↓
一時的に大きく血圧を下げる方法

2018年5月29日

脳卒中後のアパシーと学習記憶力


The Role of Apathy and Depression on Verbal Learning and Memory Performance After Stroke
2018  5月  カナダ

脳卒中後のアパシーは、やる気のない感情の起伏がなくなっている状態をさす。脳卒中後のうつには気分の落ち込み、絶望、罪悪感、自殺念慮、睡眠や食欲の異常といった特徴がある。

アパシーもうつも互いに関連し共通部分が少なくないいっぽう別々に現れることもある。

脳卒中後のアパシーやうつが認知機能の特に学習や記憶のパフォーマンスに及ぼす影響をしらべてみたそうな。

2018年5月28日

月の満ち欠けと脳卒中との関連について


No association of moon phase with stroke occurrence
2018  5月  フィンランド

月相(新月-上限-満月-下弦)と睡眠との関連をしめす報告がいくつかある。睡眠障害が脳卒中に影響することから月相と脳卒中との関連が予想される。

しかしその報告は非常にすくなく、いずれも脳梗塞との関連はなく 上弦の月で脳内出血リスクが新月時の1.5倍、満月でTIAリスクが2倍 また脳卒中様の症状が増えるといった内容である。

そこで これを確かめるべく長期かつ大規模にしらべてみたそうな。


2004-2014 フィンランドの脳卒中患者データベースから18歳以上の脳梗塞と脳内出血患者の記録を抽出して発症時刻と月相との関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳梗塞94894人、脳内出血17855人の記録があった。

・月相と脳卒中の発生率との関連はなかった。

・脳梗塞と脳内出血にわけても関連はなかった。

・性別、年齢、脳卒中の種類を絡めても関連はなかった。

・脳卒中の院内死亡率との関連もなかった。

・月相および天文学的季節(春分-夏至-秋分-冬至)と脳卒中の関連もなかった。

10年以上にわたる全国レベルの調査でも月相と脳卒中の発生率 院内死亡率との関連は確認できなかった、


というおはなし。

図:月相と脳卒中

感想:

1987の報告だと救急救命の医師64%と看護師の80%が月相と患者の関係を信じていたんだって。

2018年5月27日

療法士さんがいなくても手は回復するの?


In-home therapy effective for stroke rehabilitation, study shows
2018  5月  アメリカ

おおくの脳卒中患者がコストや通院手段の問題でじゅうぶんなリハビリ訓練をうけることができないでいる。

そこでネットを介した遠隔リハビリテーションの可能性を検証してみたそうな。

先週の欧州脳卒中協会会議(ESOC 2018)でのカルフォルニア大学の報告。


平均年齢61、11の地域で発症から4.5ヶ月の脳卒中患者124人を通院リハビリと自宅リハビリグループにわけた。

自宅リハビリではビデオカンファレンス経由でセラピストの指導を受ける。

6週間の上肢集中訓練の30日後に上肢機能を評価 比較したところ、


次のようになった。

・上肢のFugl-Meyerスコアが通院グループで8.4ポイント、自宅リハビリグループで7.9ポイント改善した。両者の差は統計学的有意ではなかった。

セラピストが監督する遠隔リハビリテーションによって通院時と同レベルの上肢機能の改善があった、


というおはなし。
図:遠隔リハビリ

感想:

セラピストがつきっきりで集中訓練をしても特別な効果はまったくなく、
JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

しかもそばにいようがいまいが患者は同程度に回復する。つまりやる気を維持できるゲームでも与えておけばよさそう。

上肢リハビリに最適なPCゲームを見つけた。今月発売されたばかりのソフトで価格はたったの2000円 Beat Saber(ビートセーバー) の動画↓。

2018年5月26日

チベット人はなぜ脳内出血になるのか


Spontaneous Intracerebral Hemorrhage in a Plateau Area: A Study Based on the Tibetan Population
2018  5月  中国

チベット高原は世界の屋根と呼ばれ、大気圧と酸素レベルは平地よりも3割以上低い。チベット自治区の人口の96-98%はチベット民族である。

チベット民族の脳卒中には脳内出血が非常におおく7割以上を占める。その特徴を詳しくしらべてみたそうな。


2013-2017の特発性脳内出血患者について四川大学の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・チベット民族122人、漢民族927人の記録がみつかった。

・漢民族にくらべチベット民族はあきらかに、
男性がおおく、過体重がおおく、喫煙率が高く、ヘモグロビン濃度が高く、高血圧や糖尿病 脳出血歴のある患者がおおかった。

・チベット民族の患者は脳幹出血がおおく血腫拡大による合併症のリスクが高かった。

・6ヶ月間のフォロー期間中 チベット民族の患者は高率で回復不良だった。

チベット民族の脳内出血には漢民族とあきらかに異なる特徴があった。チベット民族というだけで脳内出血は回復不良だった、


というおはなし。
図:チベット人

感想:

仏教の聖地だからみなつつましく暮らしているのかとおもったけど「タバコを吸う太り過ぎで糖尿病の高血圧」って自暴自棄感がすごい。

きっと中国の圧政でストレス溜まってるから脳血管がキレるんだろね。
チベット住人はキレやすいという科学的根拠
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