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2018年4月26日

砂場歩行のいいところ


Effects of gait training on sand on improving the walking ability of patients with chronic stroke:a randomized controlled trial.
2017  12月  韓国

脳卒中患者の歩行リハビリのために柔らかい床を用いることで足首まわりのおおくの筋肉と深部感覚の改善がきたいできる。

砂場での歩行訓練は前例がないのでやってみたそうな。


脳卒中のあと退院して自立歩行の可能な28人について、砂場歩行と床歩行グループにわけた。

1回30分間の歩行訓練を週5回x6週間 行い、

前後でのタイムアップアンドゴーテストと6分間歩行テストの結果をくらべたところ、


次のようになった。

・タイムアップアンドゴーの時間は両グループともにあきらかに短縮した。

・6分間歩行は砂場グループでのみ 距離のおおきな延びがあった。

・しかしグループ間の差は統計学的有意なほどではなかった。

歩く路面の状態にかかわらず訓練により歩行能力は改善した。しかし歩行耐久性の改善には砂場歩行が適していると考えられた、


というおはなし。
図:脳卒中 砂場歩行訓練の効果

感想:

そもそも 砂場あるけるようなひとをリハビリ対象とすることに強い違和感がある。

こんなことで療法士さんの手をわずらわしてはいけない。

2018年4月25日

みつかっていない心房細動患者の割合は


Estimated prevalence of undiagnosed atrial fibrillation in the United States.
2018  4月  アメリカ

心房細動は脳梗塞のおもな原因であるが、それ自体には症状がないため脳卒中をおこすまで見つからないことがおおい。

そこで診断できていない心房細動患者がどれくらいいるものなのか推定してみたそうな。


アメリカで2004-2010の保険請求データベースから、脳梗塞になったのちに心房細動が見つかったケースを抽出し、未診断だった心房細動患者数をAIDS調査に開発されたアルゴリズムを用いて逆算した。


次のようになった。

・心房細動患者の推定総数は、65歳以上の高齢グループで3873900人、18-64歳の労働年齢グループで1457100人だった。これはそれぞれの年齢人口の10.0%、0.92%に相当した。

・これらのうち698900人が診断未確定で、高齢グループが535400人 労働年齢グループ163500人だった。それぞれ各年齢層の1.3%、0.09%に相当した。

・診断未確定患者のうち脳卒中リスクが高いとされワルファリン推奨レベルに相当するCHADS2スコア=2以上の患者が56%いた。

心房細動患者のアメリカでの総数は5.3百万人と推定され、そのうち0.7百万人(全人口の0.31 %)が診断未確定だった。かれらの半数以上は脳卒中リスクが高かった、


というおはなし。
図:CHADS2スコア 未診断心房細動患者

感想:

みつかっていない心房細動患者ってもっと桁違いにおおくいるものだと思ってた。

2018年4月24日

ストレスで脳動脈瘤ができる条件とは


Stress in Patients With (Un)ruptured Intracranial Aneurysms vs Population-Based Controls.
2018  4月  オランダ

ストレスが脳卒中のリスク要因とする報告がいくつもある。

そこでストレスと脳動脈瘤の発生および破裂との関連を詳しくしらべてみたそうな。


未破裂動脈瘤患者227人と破裂脳動脈瘤患者490人、健常者775人について、

おおきなストレスイベントとして以下の4種類のテーマ
*お金、*家族との死別、*子供、*仕事
と、その時期、

継続的なストレスを自覚する場として、
自宅 または 職場
でのストレス頻度を聞き取りし、

関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・未破裂脳動脈瘤患者のほうが破裂患者よりも重大なストレスイベントの数がおおかった。

・ストレスイベントとしてはお金にまつわるものが未破裂脳動脈瘤とのみ関連が強く、子供関連ストレスや家族の死別と脳動脈瘤との関連はなかった。

・ストレスイベントの時期と脳動脈瘤との関連はなかった。

・自宅で受ける継続的なストレスの頻度は 破裂および未破裂脳動脈瘤と用量関係にあり、生涯をとおして受けるとさらに関連はつよかった。

・職場での継続的ストレスと脳動脈瘤との関連はほとんどなかった。

自宅で受けるストレスの総量が脳動脈瘤と関連していた。どういうメカニズムなのかはさらなる調査が必要、


というおはなし。
図:ストレスと脳動脈瘤

感想:

社会からの避難所であるべき自宅がストレスフルな環境の場合、もはや「あの世」を目指すしか逃げ場がないという意味の生体反応じゃないかな。

2018年4月23日

ランセット誌:脳卒中予防に適したアルコール量は


Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies
2018  4月  イギリス

アルコール摂取ガイドラインは国ごとにおおきく異なっていて、アメリカではその上限が男性196g/週 女性98g/週で、スペインはこの1.5倍、イギリスは半分である。

このような違いが生じる理由として アルコール摂取量と死亡率、心血管疾患との関係がわかっていないことが考えられる。

それをあきらかにするべく大規模な調査をおこなってみたそうな。


19の高所得国で飲酒習慣のある599912人について脳卒中などの心血管疾患、死亡の有無を長期にフォローしたところ、


次のことがわかった。

・長期フォロー中に、40310の死亡と39018の心血管疾患があった。

・総死亡率はアルコール摂取量が100g/週 で最低になった。

・脳卒中リスクはアルコール摂取量と線形関係にあった。

・心筋梗塞だけはアルコール摂取が増えるとリスクが低下した。

・100g/週にくらべ、100-200、200-350、>350g/週 の40歳時点での余命短縮度はそれぞれ、6ヶ月、1-2年、4-5年となった。

総死亡率をもっとも低くするアルコール摂取量は100g/週だった。心血管疾患についてはその種類ごとに用量関係がことなりリスク最低しきい値は決められなかった、


というおはなし。
図:アルコールと脳卒中リスク

感想:

うえのグラフから、脳卒中的にはアルコールに適量はなく 摂取量ゼロが望ましいってことと理解。


追記:
ランセット誌:適量などない!酒は脳卒中のもと

2018年4月22日

くも膜下出血のあと太らせるべき根拠


Increased Body Mass Index Associated With Reduced Risk of Delayed Cerebral Ischemia and Subsequent Infarction After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2018  4月  アメリカ

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血では遅発性脳虚血がおきやすい。遅発性脳虚血は可逆的ではあるもののさらに進んで梗塞になる患者もいる。

高BMI(ボディマス指数)で脳卒中の予後が良いとする肥満パラドックスはくも膜下出血でも報告されているが、BMIと遅発性脳虚血からの梗塞 との関連についての研究はないのでしらべてみたそうな。


くも膜下出血患者161人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・平均BMIは28.9、遅発性脳虚血は31.1%で起き、つづいて梗塞が9.3%で起きた。

・BMIが29.4以上だとあきらかに遅発性脳虚血と梗塞が少なかった。

・BMIが29.4以上でも生活自立度が不良(mRS>2)というわけではなかった。

・超音波装置で測定した最大脳血流速が高いほど遅発性脳虚血と梗塞が起きやすかったがBMIとの関連は確認できなかった。

BMIが高いくも膜下出血患者には遅発性脳虚血や梗塞がおきにくかった。積極的に患者を太らせたほうがいいのかも、


というおはなし。
図:BMIと脳内血流速

感想:

BMIが29.4っていったら じぶんはあと30キロ以上体重ふやさないといかん。

2018年4月21日

若い男性の喫煙本数と脳梗塞の関係


Smoking and Risk of Ischemic Stroke in Young Men
2018  4月  アメリカ

喫煙本数と脳梗塞リスクは、中高年では弱い関連があって 若年成人女性では強い関連があることがわかっている。

若年成人男性についてはわかっていないので、喫煙量と脳梗塞リスクについて詳しくしらべてみたそうな。


2003-2007の15-49歳の男性脳梗塞患者615人と同じ地域に住む同年齢の健常者530人について喫煙調査をおこなった。

生涯喫煙本数が100本未満を「非喫煙者」
生涯100本以上で発症30日以内の非喫煙者を「喫煙経験者」
発症30日以内の喫煙者を「現在喫煙者」とした。


次のようになった。

・非喫煙者に対する現在喫煙者の脳梗塞のオッズ比は1.88、

・本数別では1日11本未満はオッズ比 1.46、

・40本以上だとオッズ比 5.66になった。

若年成人男性の1日の喫煙本数と脳梗塞のなりやすさには強い用量関係が確認できた。だから本数をへらすだけでも脳梗塞リスクを下げられるだろう、


というおはなし。
図:喫煙本数と脳梗塞リスク

感想:

すこしまえのメタアナリシスで、「1本でも吸ったら20本時の半分近い脳卒中リスクあり」って話があったのを思い出した。↓
Low cigarette consumption and risk of coronary heart disease and stroke: meta-analysis of 141 cohort studies in 55 study reports

2018年4月20日

tPA治療に間に合うとどれくらいラッキーなのか


Long-Term Survival After Intravenous Thrombolysis for Ischemic Stroke
2018  2月  イギリス

急性脳梗塞のほぼ唯一の治療法である静脈内血栓溶解治療(tPAアルテプラーゼ)の長期的な影響については脳内出血の問題もありじつはよくわかっていない。

そこでアルテプラーゼ治療による10年間の生存率と機能回復について詳しくしらべてみたそうな。

2018年4月19日

くも膜下出血の超早期手術はじっさいどうなの?


Ultra-early treatment for poor-grade aneurysmal subarachnoid hemorrhage: a systematic review and meta-analysis.
2018  4月  中国

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血患者のうちグレードがⅣ Ⅴに相当する重症患者は18-24%を占め、その60%は死亡または重度の障害が残る。

くも膜下出血の再出血率は重症患者で20% 軽症患者は5%、12時間以内の再出血が特におおい。

これまでクリッピングやコイリングといった手術は発症から数日間患者の様子をみてから実施されてきた。

しかし最近では24時間以内の超早期に手術を行うことで再出血や血管攣縮を防ぐことができるとする考え方が流行してきている。

この超早期手術が重症患者にも有効なのか?メタアナリシスで検証してみたそうな。


関係する研究論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・患者1111人を含む14の研究がみつかった。

・回復良好患者は47%で、

・死亡率は26%、再出血率10%、手術困難率20% だった。

・従来のやり方にくらべ超早期手術には予後改善と死亡率低下の効果は認められなかった。

重症くも膜下出血患者への超早期手術に機能回復や死亡率を下げるあきらかな効果はなかった、


というおはなし。
図:クリッピングとコイリング

感想:

1) 再出血予防手術の有効性のRCTは存在しない。(by ガイドライン

2) 入院が遅れるほど死亡率は下がる。

3) そして今回の結果。

これらの事実から、じぶんがくも膜下出血になったときには手術をお断りするつもり。

2018年4月18日

脳梗塞になったらたんぱく質をがっつり摂るべき理由


Impact of Early High-protein Diet on Neurofunctional Recovery in Rats with Ischemic Stroke.
2018  4月  中国

脳卒中のあとの栄養不良状態が患者の予後を悪化させるという報告は数多くあるが、高たんぱく質食をあたえた場合の影響についてはいまだ結論がでていない。

そこで脳梗塞の直後から高たんぱく質食をあたえたときの梗塞の大きさ、発現分子、酸化ストレスについて動物で詳しくしらべてみたそうな。


ネズミ48匹に脳梗塞にする手術をおこない次の4グループにわけた。

手術で脳梗塞+高たんぱく質食
手術で脳梗塞+通常たんぱく質食
手術行為だけ+高たんぱく質食
手術行為だけ+通常たんぱく質食

7日間フォローしたところ、


次のようになった。

・脳梗塞ネズミでは高たんぱく質食で 体重増加が著しく、神経症状スコアは低く、運動バランス能力の回復がとても良く、

・さらに梗塞エリアがあきらかに小さかった。

・また活性酸素分解酵素が増加し、複数の酸化ストレス物質が減少していた。

・手術行為のみで脳梗塞にしなかったネズミでは食事の違いの影響はほとんどなかった。

脳梗塞直後からの高たんぱく質食により体重、神経症状、梗塞エリアが改善し、酸化ストレスによるダメージも緩和された、


というおはなし。
図:脳卒中後の高タンパク質食の効果

感想:

たしかに 食事たんぱく質のはなしは「予防」ばかりで、
脳卒中の「あと」の影響についての報告は数件しか記憶にない。
プロテインを飲んでリハビリを加速

脳卒中になったら豆腐、がんも、油揚げ

2018年4月17日

消化性潰瘍を経験した脳梗塞患者の再発率


The Impacts of Peptic Ulcer on Stroke Recurrence.
2018  4月  中国

胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの「消化性潰瘍」が脳梗塞のリスクであるとする報告がさいきん増えている。

そこで、消化性潰瘍が脳梗塞の再発リスクにもなりうるものなのかしらべてみたそうな。


脳梗塞で入院した患者に、過去5年間に内視鏡検査で消化性潰瘍と診断されたことがあるか を聞き取りした。

さらに1年間フォローして脳梗塞の再発との関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳梗塞患者2577人の5.0%に消化性潰瘍歴があった。

・1年間内に脳梗塞の再発があった率は、12.4 vs 7.2% で消化性潰瘍歴グループに高かった。

・消化性潰瘍歴がある場合の脳梗塞再発リスクは1.85倍だった。

消化性潰瘍を経験した脳梗塞患者は再発リスクが高かった。消化性潰瘍の治療が再発予防になるかも、、


というおはなし。
図:消化性潰瘍と脳卒中再発リスク

感想:

どうやらピロリ菌があるとアテローム性動脈硬化がすすんでどうのこうのというメカニズムがありうるようだ。

[ピロリ菌]の関連記事

2018年4月16日

周期性四肢運動は脳卒中患者におおいのか?


Periodic limb movements during sleep in stroke/TIA: Prevalence, course, and cardiovascular burden.
2018  4月  スイス

睡眠中に手や脚が何秒かおきにビクビクとうごく周期性四肢運動(PLMS)は、健康な成人でも28%が1時間に15回以上うごくという。

これまでPLMSが脳卒中患者でおおいという報告があるので、確かめるべく詳しくしらべてみたそうな。


脳梗塞またはTIAの患者の急性期と3ヶ月後に睡眠ポリグラフ検査および24時間の血圧モニターをおこない、PLMSの有無との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・255人の患者にたいし 急性期に169人分、3ヶ月後に191人分のポリグラフ検査を行い、162人の健常者と比較した。

・脳梗塞患者のPLMSの1時間あたりの回数は健常者とほとんどおなじだった。

・脳梗塞患者のPLMS指数は急性期と慢性期で変わらなかった。

・PLMSの関連要因は年齢、BMI、高血圧歴だった。

・PLMSの有無で血圧変動と脳血管損傷の程度に差はなかった。

周期性四肢運動の頻度は脳卒中患者と一般人で差がなかった。しかし高血圧との関連はつよく、降圧薬治療をうけていた患者に周期性四肢運動がおおい傾向がみられた、


というおはなし。
図:周期性四肢運動と降圧薬

感想:

ビクビクうごいても病気の症状ってわけじゃぁ ないんだな。

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