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2018年3月16日

慢性期でも脳卒中後うつはあるのか


Post stroke depression, a long term problem for stroke survivors.
2018  3月  オランダ
脳卒中後のうつはめずらしくなく、数おおくの報告がある。しかしそのほとんどは発症から1年内の調査で、長期にフォローした研究はほとんどない。

慢性期脳卒中患者についてうつの割合と患者の特徴をしらべてみたそうな。

2018年3月15日

脳卒中やったら赤ちゃん産めないの?


Increased Risk of Pregnancy Complications After Stroke
2018  3月  オランダ

妊娠や産褥期に脳血管障害がおきやすいことはよく知られている。

逆に、若くして脳卒中を経験する女性が妊娠合併症をおこしやすいものか しらべてみたそうな。


18-50歳で脳梗塞またはTIAを経験した女性223人を約10年フォローして
脳卒中まえもふくめた妊娠合併症について聞き取りをしたところ、


次のことがわかった。

・彼女たちは一般人とくらべて、流産が35.3 vs. 13.5%、胎児死亡が6.2 vs.0.9% と高く、

・とくに出産未経験者は脳卒中ののち、妊娠高血圧が 33.3 vs 12.2%、溶血 肝酵素上昇 血小板低下は9.5 vs 0.5%、32週未満の早期産も9.0 vs 1.4% と高かった。

・また出産経験者の脳卒中再発率は35.2%だった。

若くして脳卒中を経験する女性の生涯での妊娠損失率は一般人よりも高く、特に脳卒中後の出産未経験者の妊娠合併症は深刻だった、


というおはなし。
図:妊婦

感想:

異常なくらいおおきな差に思える。

脳卒中と妊娠合併症には共通の血管要因がありそうってことらしいんだけど、降圧薬とか抗凝固薬なんかの影響を考えてしまうよ。
その種の記述は見つからなかったが、、

2018年3月14日

nature.com : 脳卒中の遺伝領域が32みつかった


Multiancestry genome-wide association study of 520,000 subjects identifies 32 loci associated with stroke and stroke subtypes
2018  3月  アメリカ

脳卒中には脳梗塞と脳出血があり、脳梗塞にはさらにアテローム血栓性、心原性、小血管性のものがある。
これらにどのような遺伝的要因があるのかはよくわかっていない。

それを調べるべく国際的な共同事業 MEGASTROKE をたちあげ、これまでの世界中の研究成果をまとめてみたそうな。


日本をふくむ世界20カ国 52万人ぶんの遺伝情報をふくむ関連研究についてメタアナリシスをおこなったところ、


次のことがわかった。

・ゲノム中の脳卒中に関連する遺伝領域がそれぞれ、アテローム血栓性が6箇所、心原性が4箇所、小血管性が2箇所みつかり、

・また 血圧や冠動脈疾患、心房細動、血栓塞栓症、LDLコレステロール、頸動脈プラーク、白質高信号域等に関連するものなど計32の遺伝領域を特定することができた。

これまで世界中でおこなわれた脳卒中にかんする遺伝研究を解析した結果、32の関連する遺伝領域を特定することができた。将来のオーダーメイド医療にいかすことができるだろう、


というおはなし。
図:脳卒中に関連する32の遺伝領域

感想:

はやくまともな医療が普及してほしいよ。

病院で2時間以上まち「いい薬があるよ」と1分でARB降圧薬を処方され、翌日血圧が下がりすぎて失神する、、みたいなことがなくなると思うんだ。

2018年3月13日

Stroke誌:tDCSは失語症治療に効果なし


Transcranial Direct Current Stimulation Does Not Improve Language Outcome in Subacute Poststroke Aphasia
2018  3月  オランダ

かつて経頭蓋直流電気刺激 tDCSは失語症の治療に有効であると考えられていた時期があった。

その後、慢性期や亜急性期でも効果がないという報告が相次いだ。

それらの研究は tDCSと言語訓練を別々におこなうものだった(オフラインtDCS)ので、同時におこなったら(オンラインtDCS)どうなるものか、もっとも改善著しい亜急性期での多施設間二重盲検のランダム化比較試験でたしかめてみたそうな。


4つのリハビリ施設にいる 発症から3ヶ月未満の脳卒中で失語症の患者58人について、

左脳のブローカ野付近にプラス電極を貼り、1回45分間の言語訓練中に直流電流をながした。

本刺激の26人には電流を20分継続し、偽刺激の32人には電流は始めの30秒だけながした。

5日間の訓練後、写真を見せて物の名称を言わせるテスト等をおこなったところ、


次のようになった。

・両グループともにテストスコアは改善したが、

・グループ間のあきらかな差はまったくみられなかった。

脳卒中後の失語症治療にtDCSはなんの効果ももたらさなかった、


というおはなし。
図:tDCSの失語症治療効果

感想:

tDCSやってる人 もういないと思ってたよ。

[tDCS]の関連記事

2018年3月12日

心房細動だけで認知症になることがあきらかに


Association of Atrial Fibrillation With Cognitive Decline and Dementia Over 20 Years: The ARIC-NCS (Atherosclerosis Risk in Communities Neurocognitive Study).
2018  3月  アメリカ

さいきん心房細動が認知機能の低下や認知症そのものと関連するという報告がふえてきている。しかしそれらのおおくはサンプル数が少なかったりフォロー期間が短いなどのもんだいをかかえている。

そこで、これを大規模かつ長期にしらべてみたそうな。


12515人を20年間フォローした調査記録(ARICスタディ)を解析したところ、


次のことがわかった。

・20年間に2106人が心房細動に、1157人が認知症になった。

・脳卒中などの関連要因を考慮にいれても、心房細動があるだけで認知機能低下スピードが大きく、

・認知症になるリスクは1.23倍だった。

脳卒中の有無にかかわらず 心房細動があるだけで認知機能の低下スピードはおおきく、認知症リスクも高かった、


というおはなし。
図:心房細動と認知症リスク

感想:

先週ガッテンみてたら心房細動の恐怖をあおりまくったあげく、最後にカテーテル手術を強く推してた テレビならではの手法で。

NHKがこんな映像をながしていいのか、、?と思ったよ。

2018年3月11日

5年生存率、再発率、障害者率 in ブラジル


Five-year survival, disability, and recurrence after first-ever stroke in a middle-income country: A population-based study in Joinvile, Brazil.
2018  3月  ブラジル

これまで先進国では脳卒中患者を長期にフォローするおおきな研究が数多くおこなわれ、5年間で半数が死亡 3分の1が障害者 という結果がえられている。

そこで、途上国ではおそらく初のくわしい調査をおこなってみたそうな。


ブラジルの都市ジョインヴィレの2010-2015の脳卒中患者記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・平均年齢64、399人の5年後について、生存率は52%で、

・なんらかの障害が残っているmRS>2 は20%、これらのうち半数以上が要介護施設に入っていた。

・年間の死亡率はおよそ7%で、生存率はくも膜下出血と脳内出血が脳梗塞よりもずっと低かった。

・5年再発率は12%で、最初の脳卒中が死因の4分の3を占めていた。

5年後、脳卒中患者の68%(48%死亡+20%障害)は死亡または障害者となっていた。患者年齢こそ低いものの この比率は先進国のそれと同じだった、


というおはなし。
図:脳卒中の種類と5年生存率

感想:

5年で半分が死ぬといっても、ほとんどが最初の数ヶ月間のはなし。とくに脳内出血とくも膜下出血はそれを乗り越えると超安定(上のグラフ)。

2018年3月10日

心房細動患者のデフォルトモードネットワークに異常


Default Mode Network Disruption in Stroke-Free Patients with Atrial Fibrillation.
2018  3月  ブラジル

歳をかさねると心房細動がおきやすくなり脳卒中のリスクが高まる。たとえ脳卒中にならなくても心房細動が認知障害のリスクを上げるという報告が増えている。しかしそのメカニズムはよくわかっていない。

いっぽう安静時の脳活動パターンである "デフォルトモードネットワーク"(DMN)がアルツハイマー病やパーキンソン病、てんかんの患者で異常をしめすことがわかっている。

そこで脳卒中でない心房細動患者にDMNの異常がないかしらべてみたそうな。


脳卒中や認知症でない心房細動患者21人と同年齢の健常者21人について、
安静時のfMRI検査をおこないDMNを評価した。


次のことがわかった。

・健常者にくらべ心房細動患者のDMNは、前頭葉(左中前頭回、左上前頭回、前帯状皮質)と左角回、両側楔前部のコネクティビティ(接続性)が減少していた。

脳卒中でない心房細動患者のデフォルトモードネットワークの接続性はふつうではなかった。これをみれば将来の認知障害を予測できるかも、、


というおはなし。
図:脳卒中のデフォルトモードネットワーク

感想:

高度なIT技術を脳科学に活かしたかのようなネーミングと、目を閉じて寝ているだけでデータ取得できるシンプルさがウケているんだとおもう。

なにを意味しているのかはよくわからないけど、、

[デフォルトモードネットワーク]の関連記事

2018年3月9日

脳に動脈瘤がいくつもできる人の特徴


Risk Factors for and Clinical Consequences of Multiple Intracranial Aneurysms
2018  3月  ドイツ

脳動脈瘤は健康な成人の3.2%にみられ そのほとんどは症状がない。

このうち脳動脈瘤が複数個ある者の割合は 調査によりおおきくことなり 2-45%のひらきがある。

彼らの特徴をあきらかにするべく、これまでの研究をまとめてみたそうな。


複数脳動脈瘤に関係する論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・脳動脈瘤患者86989人をふくむ174の論文がみつかった。

・これら全体で複数の脳動脈瘤がある者の割合は20.1%だった。

・複数脳動脈瘤の関連要因として、女性、高齢、高血圧、喫煙、脳動脈瘤の家族歴 があげられ、

・彼らは新規の脳動脈瘤ができやすく、そのサイズが大きくなりやすかった。

・複数脳動脈瘤が出血するリスクは日本と韓国でのみ高かった。

女性、高齢、高血圧、喫煙、家族歴が複数脳動脈瘤のおもなリスク要因で、しかも彼らの脳動脈瘤は大きくなりやすかった、


というおはなし。
図:脳動脈瘤家族歴と複数脳動脈瘤リスク

感想:

やっぱファミリーの問題なんだな。↑

脳動脈瘤は次から次へとできてしまうの?

2018年3月8日

再発予防にベストなLDLコレステロール値は


Desirable Low-Density Lipoprotein Cholesterol Levels for Preventing Stroke Recurrence
2018  3月  日本

脂質異常の薬物治療による脳卒中の再発予防効果についてはよくわかっていない。

そこで、"スタチンによる脳卒中の再発予防研究"(J-STARS)のデータをつかって、LDLコレステロール値に着目して脳卒中の種類別に再発リスクをしらべてみたそうな。


2004-2009の脳梗塞患者1578人をフォローした記録(スタチン使用793人と非使用785人)について解析したところ、


次のことがわかった。
・LDLコレステロールレベルの平均はスタチングループで104mg/dL,比較グループで126mg/dLだった。

・脳卒中とTIAはLDLコレステロールが80-100mg/dL の範囲のときリスクが低下した。

・アテローム血栓性脳梗塞でのみスタチン使用グループであきらかなリスクの低下があった。

・脳内出血リスクはアテローム血栓性脳梗塞と同パターンで、スタチン使用でリスクが高くなるわけではなかった。

・ラクナ梗塞は100-120mg/dL の範囲でリスクが低かった。

脳卒中の再発予防にはLDLコレステロールは80-100mg/dLの範囲を目指すとよいだろう、


というおはなし。

図:LDLコレステロールと脳卒中再発リスク

感想:

もともと脂質コントロールに脳卒中再発の予防効果がほとんどないなかで、強いていえばこの辺りかな、、という結果と理解した。

じぶんはスタチンには縁がないけど、筋肉が溶けるとか副作用の評判はひどい、、
脳卒中患者が医師のアドバイスを無視するとき

2018年3月7日

脳卒中で薬が増えた患者の末路


The association of increased drugs use with activities of daily living and discharge outcome among elderly stroke patients.
2018  3月  日本

脳卒中で入院する患者のほとんどは高齢者で 複数の薬を飲んでいることがおおい。

入院してから増えたくすりの量と回復度にかんする研究はほとんどないのでしらべてみたそうな。


65歳以上の脳卒中でリハビリ病院に入院した患者417人の記録について、

入院中にあらたに増えた薬の種類と
機能的自立度FIM、退院先、
との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・平均年齢は78.8、自宅へ退院が226人 自宅以外が191人で、FIM中央値は77だった。

・入院中ふえた薬の種類とFIMの増分は逆相関にあった。

・また 薬の種類が増えると自宅へ退院できる可能性が低下した。

・抗凝固薬は入退院時いずれでも もっともおおく使われ、睡眠薬 抗精神病薬 抗うつ薬 便秘薬が入院中あきらかに増加していた。

脳卒中でリハビリ入院中にあらたに薬の種類がふえた患者ほど回復が悪く自宅へ戻れなかった、


というおはなし。
図:脳卒中の退院までにふえた薬の種類

感想:

「なら 出された薬を飲まなければいいんだ!」
   ↑
これが冗談に思えない。

2018年3月6日

脳梗塞とくも膜下出血の運転能力のちがい


A Case-Control Study Investigating Simulated Driving Errors in Ischemic Stroke and Subarachnoid Hemorrhage.
2018  2月  カナダ

自動車の運転には認知 知覚 運動といった機能が要求される。しかし脳卒中を経験するとそれら能力はおおきく影響を受ける。

これまでの研究では脳卒中経験者の運転能力評価は患者によりおおきく異なっている。そこで脳卒中の種類ごとの特徴をしらべてみたそうな。


慢性期患者のうち、脳梗塞の15人とくも膜下出血の15人および同年齢の健常者20人について運転シミュレータをもちいた能力評価を行った。


次のことがわかった。

・全体の30%、脳梗塞の26.7%およびくも膜下出血の33.3%で健常者にくらべ運転パフォーマンスが低かった。

・脳梗塞とくも膜下出血の患者はいずれも車線維持能力が低かった。

・さらに脳梗塞ではスピード維持が、くも膜下出血では右左折能力に困難を示した。

・梗塞の左右脳半球やくも膜下出血の影響領域(中大脳動脈か前交通動脈)の違いは結果に反映しなかった。

・Trail Making Test (TMT)とUseful Field of View test(UFOV)は脳梗塞の車線維持能力と関連し、くも膜下出血は認知機能テストとの関連はみられなかった。

脳梗塞も くも膜下出血も車線維持能力が低かった。とくに脳梗塞ではスピード維持、くも膜下出血では右左折に問題がみられた。運転能力評価は脳卒中の種類を考慮にいれたほうがよいかも、、


というおはなし。
図:脳卒中経験者の自動車運転事故

感想:

ようするに まっすぐ走れない、曲がれないってこと。

自動運転はやくきてくれー

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