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2018年1月12日

JAHA誌:脳卒中経験者に特におおい自殺方法とは


Risk of Suicide Attempt in Poststroke Patients: A Population‐Based Cohort Study
2018  1月  台湾

脳卒中は身体障害のおもな原因の1つである。欧米にくらべアジア地域は文化的に身体障害に対して寛容であるとする見方があり、脳卒中患者の自殺率も低いと予想される。

これをたしかめるべく台湾の住民について大規模にしらべてみたそうな。

2018年1月11日

ボツリヌス療法の歩行改善エビデンス


A systematic review: efficacy of botulinum toxin in walking and quality of life in post-stroke lower limb spasticity.
2018  1月  オーストラリア

脳卒中経験者にとって歩行の改善はもっとも関心のたかいテーマである。下肢痙縮へのボツリヌス療法の歩行とQoL改善効果についてはいまだあきらかでない。

そこでこれまでの研究についてシステマチックレビューをおこなってみたそうな。

2018年1月10日

脳卒中経験者の方向転換 二重課題のとき


The performance of stroke survivors in turning-while-walking while carrying out a concurrent cognitive task compared with controls.
2017  12月  香港

歩行中の方向転換動作には視覚、前庭感覚、体性感覚を統合する高度な認知機能が要求される。

じっさい高齢の脳卒中患者の転倒のおおくは方向転換中におきる。
方向転換中の転倒はまっすぐ歩行時の転倒にくらべ大腿部骨折が7.9倍起きやすいという報告もある。

そこで脳卒中患者に認知課題を与えたときの歩行中の方向転換動作の変化を、健常者とくらべてみたそうな。


脳卒中経験者59人と健常者45人について
聴覚ストロープテストの反応時間と精度 および
歩行中の方向転換動作に要する時間とステップ数を測定し、
さらに両者を組み合わせたとき(二重課題)の結果も比較した。


次のようになった。
・脳卒中経験者は二重課題時に正答精度があきらかに低下したが、反応速度に変化はなかった。

・方向転換動作については単一課題時と二重課題時でほぼおなじだった。

・健常者とくらべ脳卒中経験者はいずれの課題でも反応時間が長く精度は低かった。

・おなじく脳卒中経験者の方向転換にかかる時間とステップ数は健常者よりも大きかったが、

・二重課題にしたときの変化割合(dual-task cost)は健常者とあきらかな差がなかった。

脳卒中経験者では方向転換動作を優先するために認知課題を犠牲にしているようにみえた、


というおはなし。
図:

感想:

注意リソースの競合理論というのがあって、1)注意リソース自体の減少、2)注意リソース分配能力の低下、3)要求される注意リソース量の増加、
二重課題もんだいは これらの組み合わせで説明がつくらしいんだけど、

じぶんにあてはめると 注意リソースの総量は変わらないけれど 麻痺した手足を操るためにあらたにおおくの注意を要するため 結果として足らなくなる、
そういう印象がある。

[二重課題 歩行]の関連記事

2018年1月9日

関節の柔軟性から動脈硬化を知る方法


Association of body flexibility and carotid atherosclerosis in Japanese middle-aged men: a cross-sectional study.
2018  1月  日本

心肺能力や筋力が低いひとは糖尿病や脳卒中になりやすい。同様に関節をフルに動かすことのできる「柔軟性」の高さもこれらの慢性病に影響すると考えられる。

そこで腕と体幹の柔軟性と頸動脈の動脈硬化度(内膜厚とプラーク形成)との関連をしらべてみたそうな。


35-59歳の健康な男性1354人について腕伸展性テストと座位リーチテストをおこなった。

(腕伸展性テストは下の写真を見ればわかる)
図:arm extensibility test


さらに超音波検査で頸動脈の内膜中膜肥厚およびプラーク形成を測定し、関連を解析したところ、


次のようになった。

・腕伸展性テストで腕を伸ばしきれた者は55.0%で、37.8%にプラーク形成が確認できた。

・腕の完全伸展ができた者の内膜厚とプラークはあきらかに小さく、座位リーチ距離は大きかった。

・プラーク形成があった者の完全伸展者割合と座位リーチ距離はあきらかに小さく、内膜厚は有意に大きかった。

腕の伸展性と体幹の柔軟性が動脈硬化と関連していた。さらにこれらの関連は年齢 血圧 血糖 肥満 ライフスタイルに依らなかった、


というおはなし。


感想:

120度くらいが限界で 腕伸ばしきれなかったよ。ショックだ。

2018年1月8日

抜歯まえはワルファリンとめるべき→いまや迷信


The mythology of anticoagulation therapy interruption for dental surgery.
2018  1月  アメリカ

脳卒中予防の目的でワルファリン等の抗凝固療法をうけている者が歯科で抜歯やインプラントなどの手術を受ける場合、一時的に服薬をとめるべきであると信じられていた時代があったそうな。


抗凝固薬を継続すると出血のリスクがあり、服薬をとめると血栓が生じて塞栓症を起こすリスクがある。

どちらのリスクをとるべきか60年以上にわたり議論が続けられてきた。

そしてこれまでの研究から服薬を続けてもおおきな出血はまれで ましてや致命的なものは無かった一方、服薬を停止することで致命的な塞栓症を起こすことがありうる とわかってきた。

ようやく
「歯科手術に際して抗凝固薬を停止するべきでない」という考えでほとんどの研究グループ間で意見の一致をみるようになった、


というおはなし。
図:歯科手術まえの抗凝固療法 継続か?停止か?

感想:

小学2年以来 歯科にかかったことのないじぶんにいわせると、脳卒中予防と歯科治療をおなじ天秤にかけることじたいがナンセンス。

歯科治療なんか命にかかわるものじゃぁないんだから我慢すればいいだけ。

2018年1月7日

2年間の認知機能変化を追跡


A 2-year prospective follow-up study of temporal changes associated with post-stroke cognitive impairment.
2018  1月  韓国

脳卒中経験者のおよそ50%は認知障害を経験し、主に処理スピードが低下する。次いで計算力、注意力、視空間認識、言語、遂行機能、記憶力に影響する、という報告もある。

しかしこれら認知機能への影響が時間とともにどのように変わるのか よくわかっていないので調べてみたそうな。


52人の脳卒中患者について、入院直後、3、6、12、24ヶ月後の認知機能をフォローしたところ、


次のことがわかった。
・認知機能のもっとも大きな変化は3-6ヶ月の間におきた。

・認知障害者の割合は23.1%から42.3%の幅があり、3ヶ月後がもっとも多く、6ヶ月後がもっとも少なかった。

・性別(女性)、教育レベル、病変サイズなどが関連要因だった。

脳卒中後の認知機能は3-6ヶ月間にダイナミックな変化を示した。そういうものと理解したうえでのサポートが必要だろう、


というおはなし。

図:脳卒中後2年間の認知障害

感想:

3ヶ月後にボケててもすぐに治るから悲観しなくてもいいよ ってことなのかな。

上図右下は遂行機能。1年以降の低下っぷりに共感できる。

2018年1月6日

Stroke誌:TIAを経験するとかならず脳が萎縮する


Transient Ischemic Attack Results in Delayed Brain Atrophy and Cognitive Decline
2018  1月  スイス

脳の虚血がながびくと梗塞が起きる。さらに2次的な神経変性の影響も考えられ 動物実験の結果はあるが人ではよくわかっていない。

そこで一過性脳虚血発作(TIA)の患者についてその影響をフォローしてみたそうな。


TIA患者50人について造影剤をつかったCT検査で脳の還流状態を測定した。さらにMRIで直後と90日後の脳の解剖情報を取得し、脳の各部位の体積変化をソフトウェアで自動計測した。

認知症検査を並行してこれらの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・全患者で脳全域の灰白質の減少があった。

・前頭葉虚血の患者では橋および虚血脳半球側でのあきらかな体積減少があった。

・前頭葉虚血だった患者は認知症検査スコアがあきらかに低く、視床の萎縮との関連も示唆された。

TIA患者すべてに虚血から離れた部位での脳萎縮が広く確認され、認知機能低下への影響も示された、


というおはなし。
図:TIAと脳萎縮

感想:

TIAには神経保護作用があるっていわれてるわりにはヒドイ結果だ。

[TIA 神経保護]の関連記事

2018年1月5日

血糖値たかめの脳卒中患者は認知障害に


Prediabetes is associated with post-stroke cognitive impairment in ischaemic stroke patients.
2017  12月  中国

糖尿病は脳卒中のリスク要因の1つで、脳卒中後の認知障害との関連もあきらかになっている。

そこで糖尿病前症(正常と糖尿病の中間)と脳卒中後の認知障害との関連についてしらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者201人について食後2時間後の血糖値とヘモグロビンA1cの値をもとに糖尿病、糖尿病前症、非糖尿病の3グループにわけた。

1ヶ月後の認知機能検査との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・糖尿病前症グループは 35.7 vs. 18.1% で非糖尿病グループよりも認知障害が多く、

・そのオッズ比は関連要因を考慮にいれてなお3.062倍だった。

脳卒中患者で糖尿病の前段階にある者は血糖値が正常な者にくらべあきらかに認知障害になりやすかった、


というおはなし。

図:糖尿病前症と脳卒中後の認知障害

感想:

やはり糖分は控えないといかんな。
脳卒中やるひとがアルツハイマー病にもなりやすい理由

糖尿病だと脳卒中の回復が遅い理由

やがて認知症になる脳卒中患者の特徴

2018年1月4日

テロメアは長いほうが脳梗塞になりやすいという結論


Telomere length associated with the risks of high-risk and ischemic stroke in southern Chinese Han population.
2017  12月  中国

テロメアは染色体の末端にあるDNA構造で、染色体同士の融合を防ぎ安定化させる役割をもっている。

テロメアは細胞分裂のたびに短くなり、細胞の老化と細胞死に関連している。このプロセスは慢性的な炎症や活性酸素によって加速され、血管のアテローム性動脈硬化や心血管疾患と関連するとも考えられている。

これまでの研究でテロメア長が短いと冠動脈疾患になりやすいことがわかっている。しかし脳梗塞との関連については結論がでていないので、脳梗塞の高リスク群もふくめきっちりとしらべてみたそうな。


脳梗塞患者400人と高血圧や糖尿病 肥満などの高リスクの409人および健康な399人について白血球のテロメア長を測定し、関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・脳梗塞患者のテロメア長は健康な人よりも明らかに長かった。

・テロメア長と脳梗塞リスクの関連はU字カーブを描き、テロメアが長くても短くても脳梗塞リスクが高かった。

・高リスク群についても同様だった。

テロメアが長いと脳梗塞のリスクおよび脳梗塞リスクを持つリスク が高かった、


というおはなし。
図:テロメア長と脳卒中リスク

感想:

これまででてきたテロメア研究のそれとは真逆の結論。
ながければ良いってわけでもないんだね。

[テロメア]の関連記事

2018年1月3日

くも膜下出血で回復良好だった患者の性機能について


Sexual Dysfunction after Good-Grade Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2017  12月  スイス

回復が良かったくも膜下出血患者の性的機能についてしらべてみたそうな。


くも膜下出血でグラスゴーアウトカムスケールが4-5で回復が良かった女性19人と男性14人について匿名アンケート調査したところ、


次のことがわかった。
・31.3%の患者がくも膜下出血後にセックスの楽しみが低下したと報告していた。

・女性性機能インデックス(FSFI:female sexual function index)によると女性の47.4%が性機能不全に該当した。

・そして女性19人全員が不感症を訴えていた。

・国際勃起機能スコア(IIEF:International Index of Erectile Function)によると男性の50%が勃起不全に該当した。

・くも膜下出血の重症度でWFNSグレード2の患者は1にくらべあきらかに性機能低下の報告が多かった。

くも膜下出血で回復良好だった患者でも性機能不全はありふれたことだった、


というおはなし。

図:性別

感想:

くも膜下出血患者は若くて元気なひとおおいから深刻だな。

2018年1月2日

夜間に心拍数がふえる脳血管病は


Association Between Heart Rate and Subclinical Cerebrovascular Disease in the Elderly.
2017  12月  アメリカ

心拍数の増加は心血管死亡率と相関することがわかっている。自律神経の緊張による心拍数の増加が血管抵抗と高血圧を反映する。

とくに最近の研究では安静時や日中の心拍数よりも夜間心拍数が重要であると考えられている。

しかし脳卒中と心拍数との関連はいまだあきらかでない。そこで患者数がおおい無症候性の脳梗塞と白質病変について心拍数との関連をくわしくしらべてみたそうな。


平均年齢74の高齢者680人に24時間の心拍数モニター行い、MRIでの無症候性脳梗塞と白質病変体積との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・無症候性脳梗塞は13.7%に見られた。

・白質病変体積が特に大きいグループでは夜間心拍数とのみ あきらかな相関があり、収縮期血圧や他の心血管リスク要因に依らなかった。

・日中の心拍数や心拍変動との同様な関連は確認できなかった。

・心拍数と無症候性脳梗塞との関連も確認できなかった。

高齢者の調査では夜間心拍数の増加が無症候性の脳血管病である白質病変体積と相関していた、


というおはなし。
図:心拍数と無症候性の脳梗塞と白質病変体積

感想:

自慢じゃないけど心拍数は高い。
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