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2017年12月8日

脳梗塞やTIAに心房細動がからむ頻度


Atrial fibrillation is not uncommon among patients with ischemic stroke and transient ischemic stroke in China.
2017  12月  中国

中国での脳卒中に占める心房細動患者の割合は欧米にくらべ低いとされてきた。これが本当かどうか確かめるべくきっちりと調査してみたそうな。


中国の20の病院で脳梗塞やTIAの患者1511人について、発作性の心房細動も検出できるホルター心電計を6日間装着させた。


次のようになった。

・20.2%に心房細動があった。

・内訳は、もともとわかっていた13.0%、通常の心電図検査で新たに発見3.5%、ホルター心電計で発見4.4% だった。

・新たに心房細動が見つかった患者には、*心不全歴、*高齢、*入院時の重度の神経症状、*高HDL、の特徴があった。

中国での脳卒中に占める心房細動の割合は20%で、これまで考えられてきたよりも高かった、


というおはなし。
図:ホルター心電計と心房細動

感想:

「20%」おぼえとこ。

2017年12月7日

たばこや酒やってた人の脳内出血予後は


Influence of Prior Nicotine and Alcohol Use on Functional Outcome in Patients after Intracerebral Hemorrhage.
2017  11月  ドイツ

ニコチンやアルコールといったいわゆる合法薬物の脳内出血予後への影響は未だよくわかっていない。

これを長期に詳しくしらべてみたそうな。


脳内出血患者554人について、ニコチン、アルコールの各使用経験別にグループわけして5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。
・合法薬物経験者は35.6% で、内訳は ニコチンのみ17.0%、アルコールのみ6.0%、両方あり12.6% だった。

・彼らは非経験者より若く (65 vs. 75歳)、女性が少なかった。

・また、心筋梗塞歴と合併症が多かった。

・肺炎リスクが高いことを除くと、ニコチンやアルコール経験者と非経験者の予後にあきらかな差はなかった。

脳内出血以前のニコチンやアルコール経験の有無は、脳内出血後の状態に長期的にも影響しなかった、


というおはなし。
図:酒とタバコ

感想:

でも脳内出血にはなりやすいわけで、、、

脳細胞が死んでしまったあとは たばこ酒歴なんて些細なことなんだろうね。

2017年12月6日

復職率の時間推移と条件


Return to work after young stroke: A systematic review.
2017  11月  カナダ

若年脳卒中患者のおおくは症状は軽く回復も良い。ほとんど障害も残らない。それにもかかわらず彼らの復職率は必ずしも高くない。

そこでこれまでの研究から若年脳卒中患者の復職率の時間経過とその関連要因をしらべてみたそうな。


18-64歳の脳卒中患者の復職に関係する研究論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・29の研究がみつかった。

・復職率は時間経過とともに上昇し、

・0-6ヶ月後 41%、1年後 53%、1.5年後56%、2-4年後 66%だった。

・*日常生活動作の自立度が高い、*神経症状が少ない、*認知機能が良好、がもっとも復職を可能にする要因だった。

若年脳卒中患者の復職には日常生活動作と神経症状の改善が大切で、さらに認知機能の評価も重要である、


というおはなし。
図:復職

感想:

経験的に、仕事の慣性に抗うのは凄まじくエネルギーの要ること。病気でもしないとなかなか立ち止まれない。

軽症ですんだのなら仕事を変えるチャンス。

2017年12月5日

プリズム順応療法で半側空間無視のADLは改善しない


Prism Adaptation in Rehabilitation? No Additional Effects of Prism Adaptation on Neglect Recovery in the Subacute Phase Poststroke: A Randomized Controlled Trial.
2017  11月  オランダ

脳卒中患者の20-80%がなんらかの無視症状を示し そのおおくは3ヶ月以内に回復するが40%は1年後も無視症状がつづく。

半側空間無視の治療法としてプリズム順応療法がある。これは視野を脳損傷側に10度ほど偏向させるプリズムメガネをかけてポインティング動作を繰り返す。

これまでおおくの研究がなされ机上のテストではその有効性を示す結果が得られているものの、日常生活動作(ADL)上の改善につながるかはよくわかっていない。

そこでプリズム順応療法のADLへの影響をきっちりとしらべてみたそうな。


亜急性期の脳卒中で半側空間無視の症状を示す患者70人について、
半数をプリズム順応療法、のこりの半数をプリズムのないメガネで2週間おなじ治療をおこなった。

半側空間無視のADLへの影響は "Catherine Bergego Scale"(CBS) および他2種(MAC,SC)の方法で評価した。


次のことがわかった。

・両グループともに時間経過とともにCBS,MAC,SC のスコアが改善した。

・すべての指標で改善度に両グループ間のあきらかな差は確認できなかった。

亜急性期脳卒中で半側空間無視の患者へのプリズム順応療法には なんの効果もなかった、


というおはなし。
図:プリズム順応療法の半側空間無視治療効果

感想:

はじめのころ、よく部屋の出入り口に左肩をぶつけた。見えていなかったわけじゃなくて、感覚麻痺のおかげで左側の世界にリアリティを感じられず注意が向かなかったのが原因 と考える。

だから視野じゃなくて意識のもんだいだと思うんだ。

2017年12月4日

ポケモンGo レベル30!

まいとしこの日はブログらしく自分語りにだけ使う。

・2週間ほどまえ ポケモンGoのトレーナーレベルが30になった。わかるひとにはわかる大変さ。
図:ポケモンGoレベル30

この1年間、長かった。まったく課金サービスつかわず バトルもしない。ただただ歩いてボールを集めながらポケモンを捕まえては進化させるの繰り返し。

続けたからといって動体視力や反射神経が鍛えられるわけでもなんでもないが、歩く動機づけとしてはこれ以上のものを知らない。

歩数計アプリは3日で飽きたが これは飽きずに続いている。


・このブログもまる8年間続いている。こちらはあっと言う間で 始めた日がまるで昨日のことのようだ。

食事や排便以外でこれほど長くものごとが続いたことはいままでない。
きっとこれが好きなんだと思う。


・昨年の5月頃から腕立て伏せを再開して、拍動性の耳鳴りの爆音もねじふせて徐々に回数をふやし今年の6月からは1日に延べ200回やっていた。

しかし11月になって寒くなったとたん 吐き気と左手足のしびれがひどくなって、すっかりビビってしまい100回に減らした。


・ついさいきん 近所の幼児とたわむれることがあり、コマのようにじぶんの体を回転させてあそんだ。1回転3秒くらいのゆっくりスピードで5回ほどまわったところでめまいと気持ち悪さで床に手をついてしまった。

あとで再現性を確認したところ、回転耐性が非常に弱くなっていることがわかった。

風呂上がりに頭を左に傾けると全視野がまっしろになる現象」のときの気持ち悪さに似ていた。

以来これを鍛えるべく できるだけまわるよう心がけている

2017年12月3日

AFがある脳卒中患者の家族は燃え尽きやすい


Determinants of Informal Care, Burden, and Risk of Burnout in Caregivers of Stroke Survivors
2017  11月  スペイン

脳卒中は患者のみならずその近親者の生活の質にもおおきな影響をあたえる。

近親者による無給の介護はさいきんまで注目されることが少なかった。その研究のおおくは医療コストの社会経済的視点のものがおおかった。

そこで無給介護と介護者の燃え尽きリスク要因について詳しくしらべてみたそうな。


複数施設の脳卒中患者321人について、発症から3,12ヶ月後の介護状況を調査した。介護者の負担度は Zarit介護負担尺度 をもちいた。


次のことがわかった。

・脳卒中患者の80%は3,12ヶ月時点で無給介護を受けていた。

・3ヶ月時点では40%以上が主介護者以外の介護者も必要としていた。

・無給介護は患者の脳卒中重症度と健康関連QoLと関連があり、

・介護者の燃え尽きリスクは 1)介護時間、2)患者の健康関連QoL、3)退院時の重症度、4)心房細動、5)要介護度、に関連していた。

脳卒中患者の近親者による無給介護の頻度と 介護者の燃え尽きリスクの要因がわかった、


というおはなし。
図:無給介護者の燃え尽きリスクランキング

感想:

一見あたりまえの話なんだけど、心房細動(Atrial Fibrillation)がすごい負担になってるってとこが面白い。AFだと どうやっかいなのか?

2017年12月2日

梗塞で死んだ脳組織が勝手に再生するタイミング


Specific Features of SVZ Neurogenesis After Cortical Ischemia: a Longitudinal Study.
2017  11月  スペイン
いっぱんに脳細胞は再生しないと考えられているが、脳には2箇所だけ神経細胞が生まれ続けている場所がある。

1つは海馬歯状回の顆粒細胞下帯で おもに記憶や学習に関係する。もう1つは側脳室の脳室下帯(SVZ)で、通常ここで生まれた神経細胞は脳の嗅球とよばれる位置へ移動する。

しかし脳が損傷を受けた場合にはSVZで生まれた神経芽細胞がそこへ移動して脳組織の再生に寄与すると考えられている。

こんかい、これらの過程がどのようなタイミングおきるのか動物で確かめてみたそうな。

2017年12月1日

仕事の運動量と脳卒中リスクについて


Association of Physical Activity With Risk of Major Cardiovascular Diseases in Chinese Men and Women.
2017  11月  中国

身体活動は脳卒中など心血管疾患の予防に重要である。
この数十年間で仕事やライフスタイルの変化から身体活動量は世界的に低下してきている。

身体活動量と心血管疾患の研究のおおくは先進国を対象にしたものなので 中国で大規模に調査してみたそうな。


中国の都市部と農村部の10地域から、平均年齢51、35-79歳で健康な男女487334人を抽出して身体活動量をしらべ7年半フォローしたところ、


次のことがわかった。
・この間に脳梗塞25647件、脳内出血5252件、心血管疾患死亡8437件があった。

・身体活動量の平均は1日たり21.5MET-hで、仕事由来の割合は男性で75% 女性では50%だった。

・トータルの身体活動量がおおいと心血管疾患リスクは最大で33%低下した。

・身体活動量が1日あたり4MET-h(早足の1時間歩行に相当)ふえると心血管疾患リスクは6%低下し、脳梗塞 脳内出血 死亡リスク別にみても5-12%低下した。

・これらの関連の強さは 身体活動が仕事や余暇時間のものであってもおなじだった。

・ただし仕事由来の身体活動量が1日あたり20MET-hを超えると脳内出血にかんしてはその関連が弱くなった。

中国では仕事や余暇の身体活動量がおおいほど脳卒中など心血管疾患のリスクがあきらかに低かった、


というおはなし。
図:身体活動量と脳内出血リスク

感想:

椅子のないオフィスが流行ってるみたいだけど、エアロバイクつきのデスクにして発電と仕事を同時にさせれば脳卒中予防にもいいし一石三鳥。
ランセット誌:通勤や家事は脳卒中予防にならないの?

2017年11月30日

黒人の障害が重いのはリハビリが少ないから?


No Racial Difference in Rehabilitation Therapy Across All Post-Acute Care Settings in the Year Following a Stroke
2017  10月  アメリカ

アメリカでは黒人の脳卒中発生率は悪化の一途である。しかも黒人脳卒中経験者の日常生活動作上の障害は白人よりも25%以上多いという報告もある。

脳卒中後の障害の重さが人種間で違う原因として リハビリ時間の差が考えられる。これを確かめてみたそうな。


メディケアの記録から黒人および白人の高齢脳卒中患者186168人を抽出して、1年間に受けた理学療法、作業療法、言語聴覚療法の時間(分)とリハビリ強度、施設の種類(院内リハビリ、介護施設 など)を集計した。

そして人種との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・PT,OT,STいずれも黒人のほうが受ける時間が長かった。

・しかし年齢や合併症、重症度、血栓溶解療法などの違いを考慮にいれるとリハビリの量に有意な差はなかった。

・ただし黒人のほうが転院回数はおおかった。

脳卒中後のリハビリ量に黒人と白人とであきらかな差はなかった。黒人の障害がおおきい理由はリハビリ量の違いではないようだ、


というおはなし。
図:黒人と白人 脳卒中リハビリ時間の違い

感想:

「脳卒中からの回復度」が「脳卒中リハビリにかける時間」に比例すると思い込んでいるから はなしがおかしくなる。

2017年11月29日

くも膜下出血への遠隔虚血コンディショニング


Limb remote ischemic post‑conditioning reduces injury and improves long‑term behavioral recovery in rats following subarachnoid hemorrhage: Possible involvement of the autophagic process.
2017  10月  中国

くも膜下出血の死亡率は先進国で25-35%、途上国で48%にのぼる。発症後数日間のダメージが死亡率にもっとも影響し、さらに1-2週間後にも血管攣縮に関連した脳虚血のリスクがのこる。

両腕の血流を止めたり解放したりを繰り返す遠隔虚血コンディショニングは簡単にかつ長期に実行可能な回復方法の1つである。

くも膜下出血への遠隔虚血コンディショニングについてはあまり例がないので、メカニズムの解明を兼ねて細胞内タンパク質分解機能であるオートファジーに着目して実験してみたそうな。


人為的にくも膜下出血にしたネズミに、その直後から両前脚の動脈をクリップして10分、解放して10分のサイクルを1日に3回くりかえし、3日間続けた。

このあと脳浮腫の程度や行動検査、記憶力 およびオートファジー関連タンパク質の測定を1ヶ月間フォローした。


次のことがわかった。

・遠隔虚血により脳浮腫が改善し、組織の細胞死が減った。

・短長期的な神経機能と記憶力も改善し、

・皮質のオートファジー関連タンパク質が増加してオートリソソーム量が1ヶ月後も増えたままだった。

くも膜下出血直後の遠隔虚血コンディショニングは神経保護と回復をうながす非侵襲的な方法であり、オートファジー機能が関係していると考えられた、


というおはなし。
図:

感想:

遠隔虚血コンディショニングにはプレとポストがある。なにかイベントのまえに行うのがプレコンディショニングで、脳卒中リハビリに応用されるのはポストの方。

[遠隔虚血コンディショニング]の関連記事。

2017年11月28日

たった3日間 高脂肪食にしただけで脳梗塞が拡大


Acute high-fat feeding leads to disruptions in glucose homeostasis and worsens stroke outcome.
2017  11月  イギリス

高脂肪の食事をつづけることは肥満のもとであり健康上のリスクになる。さらに高脂肪食による記憶力への影響がほんの数日で現れることも動物実験で報告されている。

そこで、高脂肪食を長期および短期に摂った時の脳卒中ダメージへの影響を実験してみたそうな。


通常食(脂肪由来のカロリー12%)のネズミと、高脂肪食(カロリーの60%が脂肪由来)のネズミを7ヶ月半飼育した。
そして通常食グループの一部に3日間だけ高脂肪食を摂らせた。

その後人為的に脳虚血にしたところ、


次のようになった。

・長期高脂肪食グループにくらべ 3日間の短期高脂肪食グループでは体重増加や脂肪組織、脂質異常や炎症マーカーに変化はなかった。

・しかし短期高脂肪食グループでは耐糖能やインスリンへの反応、糖輸送体タンパク質GLUT-1の発現が低下して、

・脳の梗塞サイズは48%増大した。これは虚血脳半球でのGLUT-1のさらなる低下と関連していた。

たった3日間の高脂肪食がグルコース恒常性を崩し脳梗塞を悪化させた、


というおはなし。
図:短期脂肪食で脳梗塞が拡大

感想:

炭水化物の代わりに脂肪を摂るケトン食で脳梗塞が小さくなったっていう報告もあるから、不安定なのは高脂肪食に切り替えた直後だけなんだろうね。
糖質制限ダイエットで脳梗塞に強くなる理由
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