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2017年6月29日

ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは


Action Observation of Motor Skills Followed by Immediate Sleep Enhances the Motor Rehabilitation of Older Adults With Stroke.
2017  6月  イスラエル

運動動作の観察が脳卒中のリハビリに効果があるといわれている。

いっぽうでリハビリ訓練のあとに睡眠をはさむと運動学習が強化されることがわかっている。

この2つを組み合わせて実験してみたそうな。


脳卒中で利き手が麻痺した患者20人を2グループに分け、

電話操作を映した5分間のビデオを見せた直後に いっぽうのグループには90-120分間の睡眠をとってもらった。
これを4週間くりかえしたあと 上肢機能を評価して比較したところ、


次のようになった。

・両グループともに上肢機能が改善したが

・睡眠をとらせたグループの上肢機能スコアは明らかにすぐれていた。

脳卒中患者へ 動作観察の直後に睡眠の時間を追加したところ上肢機能の改善度がよりおおきくなった、


というおはなし。
図:リハビリのあとの睡眠

感想:

「指が動かないのは努力不足のせい。もっと頑張れ!」という暗黙のプレッシャーのなか なんと魅力的なエビデンスか、、
眠っている間にリハビリがすすむオフライン運動学習とは

2017年6月28日

低コレステロールの東アジア人におきやすい脳出血の種類


Cholesterol Levels and Hemorrhagic Stroke Risk in East Asian Versus Non-East Asian Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis.
2017  6月  中国

コレステロール降下薬を使った大規模な研究から、総コレステロールが160mg/dlを下回ると脳出血で死亡するリスクが3倍になることがわかっている。

そこで低コレステロールでおきやすい脳出血の種類について 特に東アジア人での特徴をしらべてみたそうな。


コレステロールが低いときの脳出血(脳内出血、くも膜下出血)リスクに関する過去の研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・東アジア人についての研究が9件、非東アジア人についてが12件見つかった。

・脳出血全体では 東アジア人であるか否かでリスクにおおきな差はなかった。

・脳内出血に限定すると、東アジア人ではコレステロールの高低でリスクに差がなかったが 非東アジア人では明らかにリスクが高かった。

・くも膜下出血では、東アジア人で明らかなリスク上昇があり、非東アジア人では差がなかった。

コレステロールが低いと東アジア人は脳内出血よりも くも膜下出血になりやすいことがわかった、


というおはなし。
図:コレステロールのもと

感想:

薬で下げすぎは論外として、食事からのぶんはしっかり確保しとかないとな。

[コレステロール 脳出血]の関連記事

2017年6月27日

二重課題で歩行能力アップ


Cognitive and motor dual task gait training improve dual task gait performance after stroke - A randomized controlled pilot trial.
2017  6月  台湾

歩きながらの、会話や 傘をさす スマホをいじるなど 二重課題動作は日常生活にあふれている。

しかし脳卒中患者は二重課題をこなす能力が非常にかぎられていることがわかっている。

脳卒中患者に対し あえて二重課題の歩行訓練をほどこすことでより改善効果を得られるとする報告があるが研究例がひじょうに少ない。

そこで歩行訓練に認知課題または運動課題を重ねたときのそれぞれの歩行改善度をしらべてみたそうな。


脳卒中で片麻痺の患者28人を、次の3グループに分け歩行訓練を施した。

*認知課題+歩行訓練
*運動課題+歩行訓練
*ただの歩行訓練のみ

認知課題グループでは、歩きながらフレーズを繰り返す、数を数える、しりとり、詩を読むなどおこない、

運動課題グループでは、歩きながら複数のボールを抱える、両手で傘をさす、楽器を鳴らす、ドリブルするなど、
の訓練を1回30分x週3回x4週間おこなった。

そのご、各グループについて、 1)ただ歩く、 2)歩きながら連続引き算、3)歩きながら水を載せたトレイを運ぶ、
の動作中の歩行パラメータ(速度、歩調、歩幅、効率)を評価 比較したところ、


次のようになった。

・連続引き算中の歩幅と歩行効率が 認知課題+歩行訓練グループで改善した。

・トレイ運び中の歩行速度、歩幅と歩行効率が運動課題+歩行訓練グループで改善した。

認知課題および運動課題を脳卒中患者の歩行訓練に重ねることにより、それぞれの状況に応じた改善が見られた。こういった訓練は簡単にリハビリに取り入れることができるのでどんどんやったらいい、


というおはなし。
図:歩きスマホ

感想:

野生のポケモンが現れると いつもは立ち止まっていたんだけど、さいきんは歩きながらモンスターボール投げられるようになった、、これも二重課題訓練の成果だと思う。

2017年6月26日

脳卒中患者が転んで再入院しやすい時期とは


Hospital readmission within 10 years post stroke: frequency, type and timing.
2017  6月  ノルウェー

脳卒中患者が再入院する頻度と理由を長期的にしらべてみたそうな。


2002-2003に脳卒中になった患者243人のその後10年間の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・10年間で68.9%の患者が死亡した。

・72.4%の患者は平均3.4回再入院していた。

・再入院の理由は、20%が心血管疾患の再発、17.3%が感染症、9.3%が転倒、5.7%は出血だった。

・再入院率は最初の6ヶ月間がもっとも高かった。

・転倒による再入院は3-5年後にもっとも起きやすかった。

発症後10年間の再入院理由は、心血管疾患の再発、感染症、転倒、出血の順で多く、転倒入院は3-5年後にピークを迎えた、


というおはなし。
図:転倒原因の再入院率

感想:

そういえば半年後と5年後に自転車で派手にころんで 血でた思い出がある。

2017年6月25日

片麻痺の杖の長さは大転子 これほんとうか?


Are patients with hemiplegic stroke really walking with a cane fitted at the greater trochanter?
2017  6月  韓国

脳卒中の片麻痺患者に必要とされる杖の長さは、ふつうの高齢者がつかう杖の長さとは異なると考えられる。

過去のいくつかの研究から大腿骨の外側の突起したでっぱり部分である「大転子」または手首の「近位手根線」から床までの長さが適当である、とも言われている。

明確なガイドラインがないなかで 実際にはどの程度の長さの杖が使われているのかしらべてみたそうな。

2017年6月24日

脳卒中は血圧が140/90より低い者におおかった


Incident Cardiovascular Disease Among Adults with Blood Pressure < 140/90 mm Hg.
2017  6月  アメリカ


数十年前まで脳卒中など心血管疾患になる患者のおおくは血圧が140/90より高かった。

さいきん 血圧が140/90よりも低い患者が増えてきたという報告があるのでキッチリと確かめてみたそうな。


2000年以降で 男女計31856人をフォローした複数の研究データを解析したところ、


次のことがわかった。

・平均7.7年間に2584人が心血管疾患になった。

・このうち63.0%は血圧が140/90未満で、

・彼らは 降圧薬使用者の58.4%、降圧薬を使用しない者の68.1%を占めていた。

・心血管疾患発生率は、血圧140/90未満グループが1000人あたり年間8.0人に対し、140/90以上グループでは18.1人だった。

・140/90未満で降圧薬使用者の中にはコレステロール治療が必要な者が少なくなかった。

これまで脳卒中など心血管疾患は高血圧との関連が強かったが、現代では患者のおおくが血圧140/90未満であった。心血管疾患の発生率はこれまでとおり血圧が高いほど高いので ひきつづきもっと血圧をさげましょう、


というおはなし。
図:血圧測定

感想:

血圧はいったいどこまでさげればいいのか?
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

2017年6月23日

母乳をあたえるかあちゃんは脳卒中にならない


Breastfeeding and the Risk of Maternal Cardiovascular Disease: A Prospective Study of 300 000 Chinese Women
2017  6月  中国

妊娠によって母体の心血管代謝系に生じたさまざまな変化が、母乳をあたえることでもとに戻るという考え方があるが 研究例はすくない。

これを東アジア人について大規模にしらべてみたそうな。


中国全土、平均年齢51 出産経験のある約30万人を8年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・母乳を与えた経験のない者にくらべ母乳経験があると脳卒中および心血管疾患のリスクが10%ほど低かった。

・母乳経験が2年以上あると、冠動脈疾患リスクが18%、脳卒中リスクは17%低かった。

・母乳経験が6ヶ月間ふえると心血管疾患リスクがさらに3-4%低下した。

母乳で子供を育てた経験があると脳卒中など心血管疾患リスクが10%ほど低下した。この関連は母乳経験が長くなるほど強くなった、


というおはなし。
図:母乳を授乳

感想:

なぜなのか。

2017年6月22日

脳内出血で蘇生措置拒否指示がでる患者


Emergency department do-not-resuscitate order in patients with spontaneous intracerebral hemorrhage.
2017  6月  台湾

医療の進歩にもかかわらず脳内出血患者の死亡率はいまだ非常に高く 生き残っても重い障害が残る。

この状況への緩和医療行為のひとつとして積極的な心肺蘇生、気管挿入や人工呼吸器を使わない "蘇生処置拒否指示"(DNR)がある。

救急部でのDNRの有無と脳内出血患者の予後との関連をしらべてみたそうな。


脳内出血患者835人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・12.1%の患者に救急部でDNRが出た。

・DNRは高齢で病状の重い患者におおかった。

・入院時の重症度レベルがいっしょであれば30日死亡率はDNRの有無でかわらなかった。

・30-90日の死亡率はDNRグループがあきらかに高かったが、

・神経症状の改善度にはあまり差はなかった。

高齢で病状の重い脳内出血患者は蘇生措置拒否指示がでやすかった。指示の有無で回復度に明らかな違いはなかった、


というおはなし。

図:

感想:

延命行為をあれこれ経ずにすんなりと亡くなってくれたほうが臓器のクウォリティは高いから?

どうしても勘ぐってしまうよ。

2017年6月21日

脳梗塞の有病率 さいきんの傾向


Long-term trends in the prevalence of patients hospitalized with ischemic stroke from 1995 to 2010 in Sweden.
2017  6月  スウェーデン

高齢化で脳卒中患者数の増加が予想される。そこで 脳卒中のおよそ85%を占める脳梗塞の有病率のさいきんの傾向をしらべてみたそうな。


スウェーデンの患者データベースから脳梗塞で入院した事例を抽出して1995-2010の傾向を解析したところ、


次のことがわかった。

・過去15年間の総患者数は1995年時点で129418人で、2010年時点では148778人だった。

・この間に脳梗塞で入院したことのある患者は人口10000人あたり189人の有病率だった。

・有病率は2000年までは増加傾向にあったがそれ以降 ほぼ安定した。

・45歳未満の有病率は増加したが その増加スピードは低下傾向にあった。

・85歳以上では有病率はやや低下傾向にあった。

脳梗塞の有病率は2000年までは増加し、その後緩やかに減少している。しかし若年者脳梗塞の有病率は増加傾向にあった、


というおはなし。
図:

感想:

日本で脳血管疾患で入院か通院中の患者は2014に118万人だから、1.2億人で割ったら10000人あたり約100人ってことになる。
スウェーデンのはんぶん。

総患者数の決め方が調査によってまちまちなんだな。

2017年6月20日

くも膜下出血→脳死→臓器摘出 の頻度がわかった


Irreversible Total Loss of Brain Function and Organ Donation in Patients with Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2017  6月  ドイツ

臓器移植は待機者が増えるいっぽうで 供給はまったく増えていない。

脳動脈瘤破裂のくも膜下出血患者は死亡率が非常に高いので 救急医療の現場では臓器提供者候補として期待されている。

そこで、どのくらいの患者が脳死になり 臓器提供の同意が得られているものか 実際にしらべてみたそうな。


2011-2016の脳動脈瘤性くも膜下出血患者395人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・全体の18.0%が集中治療室で死亡した。

・死亡患者の42.3%には脳内出血、22.5%には動脈瘤の再出血、87.3%には脳室内出血があった。

・死亡患者の50.7%は脳死判定され、32.4%(23人)が臓器提供者になった。

・女性よりも男性のほうが明らかに臓器提供者になりやすかった。

・脳死からの臓器提供は60歳未満の患者でおおかった。

・23人から計85の臓器(腎臓42、肝臓21、膵臓3、心臓11、肺8)が摘出された。

脳動脈瘤破裂のくも膜下出血から脳死 そして臓器提供への流れはまったくめずらしいことではなかった、


というおはなし。
図:くも膜下出血からの臓器提供

感想:

つまり亡くなる3人に1人(全体の6%)が臓器提供していることになる。

一人の重症患者を脳死判定するだけで 複数人の命を救えるのが臓器移植。

提供の意志をチラつかせたら どういう結果になるかは想像に難くない

だから運転免許証の裏には臓器提供拒否に二重丸をつけてある。

2017年6月19日

若年者が脳卒中予防のために改善すべき2つのこと


Contribution of Established Stroke Risk Factors to the Burden of Stroke in Young Adults
2017  6月  ドイツ

脳卒中のリスク要因で改善が可能なもののうち、およそ9割が 高血圧、脂質異常、糖尿病、冠動脈疾患、喫煙、飲酒、運動不足、肥満 の計8つで説明がつくといわれている。

脳卒中発症年齢が低下傾向にあることから、55歳以下の若年脳卒中患者のリスク要因にどういった特徴があるものかしらべてみたそうな。


26の脳卒中センターから18-55歳の患者2125人の記録を抽出し、健常者サンプル8500人と比較したところ、


次のことがわかった。
・改善可能な要因のうち、全脳卒中の59.7%を運動不足が、 27.1%を高血圧が占めていた。

・これら要因の集団寄与危険度は脳梗塞の種類ごとにほぼおなじで、高齢なほど高かった。

改善可能なリスク要因のうち、運動不足と高血圧で若年者の脳卒中原因のほとんどを説明できた、


というおはなし。
図:若年者の脳卒中リスクファクター8

感想:

運動不足 やばいな、、
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