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2017年6月23日

母乳をあたえるかあちゃんは脳卒中にならない


Breastfeeding and the Risk of Maternal Cardiovascular Disease: A Prospective Study of 300 000 Chinese Women
2017  6月  中国

妊娠によって母体の心血管代謝系に生じたさまざまな変化が、母乳をあたえることでもとに戻るという考え方があるが 研究例はすくない。

これを東アジア人について大規模にしらべてみたそうな。


中国全土、平均年齢51 出産経験のある約30万人を8年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・母乳を与えた経験のない者にくらべ母乳経験があると脳卒中および心血管疾患のリスクが10%ほど低かった。

・母乳経験が2年以上あると、冠動脈疾患リスクが18%、脳卒中リスクは17%低かった。

・母乳経験が6ヶ月間ふえると心血管疾患リスクがさらに3-4%低下した。

母乳で子供を育てた経験があると脳卒中など心血管疾患リスクが10%ほど低下した。この関連は母乳経験が長くなるほど強くなった、


というおはなし。
図:母乳を授乳

感想:

なぜなのか。

2017年6月22日

脳内出血で蘇生措置拒否指示がでる患者


Emergency department do-not-resuscitate order in patients with spontaneous intracerebral hemorrhage.
2017  6月  台湾

医療の進歩にもかかわらず脳内出血患者の死亡率はいまだ非常に高く 生き残っても重い障害が残る。

この状況への緩和医療行為のひとつとして積極的な心肺蘇生、気管挿入や人工呼吸器を使わない "蘇生処置拒否指示"(DNR)がある。

救急部でのDNRの有無と脳内出血患者の予後との関連をしらべてみたそうな。


脳内出血患者835人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・12.1%の患者に救急部でDNRが出た。

・DNRは高齢で病状の重い患者におおかった。

・入院時の重症度レベルがいっしょであれば30日死亡率はDNRの有無でかわらなかった。

・30-90日の死亡率はDNRグループがあきらかに高かったが、

・神経症状の改善度にはあまり差はなかった。

高齢で病状の重い脳内出血患者は蘇生措置拒否指示がでやすかった。指示の有無で回復度に明らかな違いはなかった、


というおはなし。

図:

感想:

延命行為をあれこれ経ずにすんなりと亡くなってくれたほうが臓器のクウォリティは高いから?

どうしても勘ぐってしまうよ。

2017年6月21日

脳梗塞の有病率 さいきんの傾向


Long-term trends in the prevalence of patients hospitalized with ischemic stroke from 1995 to 2010 in Sweden.
2017  6月  スウェーデン

高齢化で脳卒中患者数の増加が予想される。そこで 脳卒中のおよそ85%を占める脳梗塞の有病率のさいきんの傾向をしらべてみたそうな。


スウェーデンの患者データベースから脳梗塞で入院した事例を抽出して1995-2010の傾向を解析したところ、


次のことがわかった。

・過去15年間の総患者数は1995年時点で129418人で、2010年時点では148778人だった。

・この間に脳梗塞で入院したことのある患者は人口10000人あたり189人の有病率だった。

・有病率は2000年までは増加傾向にあったがそれ以降 ほぼ安定した。

・45歳未満の有病率は増加したが その増加スピードは低下傾向にあった。

・85歳以上では有病率はやや低下傾向にあった。

脳梗塞の有病率は2000年までは増加し、その後緩やかに減少している。しかし若年者脳梗塞の有病率は増加傾向にあった、


というおはなし。
図:

感想:

日本で脳血管疾患で入院か通院中の患者は2014に118万人だから、1.2億人で割ったら10000人あたり約100人ってことになる。
スウェーデンのはんぶん。

総患者数の決め方が調査によってまちまちなんだな。

2017年6月20日

くも膜下出血→脳死→臓器摘出 の頻度がわかった


Irreversible Total Loss of Brain Function and Organ Donation in Patients with Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2017  6月  ドイツ

臓器移植は待機者が増えるいっぽうで 供給はまったく増えていない。

脳動脈瘤破裂のくも膜下出血患者は死亡率が非常に高いので 救急医療の現場では臓器提供者候補として期待されている。

そこで、どのくらいの患者が脳死になり 臓器提供の同意が得られているものか 実際にしらべてみたそうな。


2011-2016の脳動脈瘤性くも膜下出血患者395人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・全体の18.0%が集中治療室で死亡した。

・死亡患者の42.3%には脳内出血、22.5%には動脈瘤の再出血、87.3%には脳室内出血があった。

・死亡患者の50.7%は脳死判定され、32.4%(23人)が臓器提供者になった。

・女性よりも男性のほうが明らかに臓器提供者になりやすかった。

・脳死からの臓器提供は60歳未満の患者でおおかった。

・23人から計85の臓器(腎臓42、肝臓21、膵臓3、心臓11、肺8)が摘出された。

脳動脈瘤破裂のくも膜下出血から脳死 そして臓器提供への流れはまったくめずらしいことではなかった、


というおはなし。
図:くも膜下出血からの臓器提供

感想:

つまり亡くなる3人に1人(全体の6%)が臓器提供していることになる。

一人の重症患者を脳死判定するだけで 複数人の命を救えるのが臓器移植。

提供の意志をチラつかせたら どういう結果になるかは想像に難くない

だから運転免許証の裏には臓器提供拒否に二重丸をつけてある。

2017年6月19日

若年者が脳卒中予防のために改善すべき2つのこと


Contribution of Established Stroke Risk Factors to the Burden of Stroke in Young Adults
2017  6月  ドイツ

脳卒中のリスク要因で改善が可能なもののうち、およそ9割が 高血圧、脂質異常、糖尿病、冠動脈疾患、喫煙、飲酒、運動不足、肥満 の計8つで説明がつくといわれている。

脳卒中発症年齢が低下傾向にあることから、55歳以下の若年脳卒中患者のリスク要因にどういった特徴があるものかしらべてみたそうな。


26の脳卒中センターから18-55歳の患者2125人の記録を抽出し、健常者サンプル8500人と比較したところ、


次のことがわかった。
・改善可能な要因のうち、全脳卒中の59.7%を運動不足が、 27.1%を高血圧が占めていた。

・これら要因の集団寄与危険度は脳梗塞の種類ごとにほぼおなじで、高齢なほど高かった。

改善可能なリスク要因のうち、運動不足と高血圧で若年者の脳卒中原因のほとんどを説明できた、


というおはなし。
図:若年者の脳卒中リスクファクター8

感想:

運動不足 やばいな、、

2017年6月18日

脳卒中のあと精神病になった例


Post-stroke psychosis: how long should we treat?
2017  6月  ポルトガル

脳卒中のあと精神病症状をしめし、抗精神病薬でいったん治ったものの けっきょく薬が手放せなくなった患者がいたそうな。


・65歳男性が精神科救急を訪れ、妄想性嫉妬、目の錯覚、焦燥を訴えた。

・彼は6ヶ月まえに右後大脳動脈の梗塞を経験しており、そのひと月後から精神病症状が現れた。

・抗精神病薬のリスペリドンを与えたところ症状は消えた。

・2年後フォローしたところ、症状は消えており薬も徐々に飲まなくなっていた。

・そして薬を完全に断った1週間後、ふたたび症状がもどったので同じ薬を10分の1の量で与えたところ治った。

・その後、薬をつづけながら1年以上安定している。

脳卒中の合併症として精神病になることは稀で、さらに抗精神病薬が必要になるケースは初めて経験した、


というおはなし。
図:

感想:

精神病と認知症の違いがよくわからない。


ところで 精神病といえば思い出す。

大学入学時に自身の性格アンケート調査があって、それに実験的な回答を試みたところ有名な精神病学者に目をつけられてしまった。

3-4回呼び出されては面談をくりかえした。
さいごに1時間くらいのロールシャッハテストが終了した瞬間、
『あ~安心した!きみが正常とわかって安心したよ。てっきり心の病気だと思っていたんだよ。もう来なくていいから』、、 だって。

2017年6月17日

乗馬や音楽で慢性期患者のリハビリを工夫してみた


Long-Term Improvements After Multimodal Rehabilitation in Late Phase After Stroke
2017  6月  スウェーデン

慢性期脳卒中患者への多様な刺激をもたらす治療法として、リズム音楽療法と乗馬療法をためしてみたそうな。


発症後10ヶ月-5年の脳卒中患者123人を、リズム音楽療法と乗馬療法、通常リハビリの3グループに分けた。

これら治療を週2回x12週間継続し、回復度の自己評価、バランス、歩行、上肢機能、認知機能を6ヶ月後までフォローしたところ、


次のようになった。
・回復度の自己評価は 乗馬療法>リズム音楽療法>通常リハビリ の順であきらかに高かった。

・この回復効果は乗馬とリズムの両グループで6ヶ月後も持続していた。

・バランス、歩行、握力、認知機能も改善していた。

脳卒中の慢性期であってもリハビリ方法をいろいろと工夫することであらたな回復を実感させることができた、


というおはなし。
図:リズム音楽療法と乗馬セラピーの脳卒中回復効果

感想:

Stroke誌に載って やたらニュースになっていたので関心をもった。

でも乗馬はやり過ぎだと思う。
シングルブラインドだから被験者はだれが乗馬療法に当たったかハズれたかがわかる。

つまり当選者は馬に乗れて上機嫌、落選者(通常リハ)は不機嫌。
こういう結果になるのは実験するまでもないと思うんだ。

[乗馬]の関連記事

2017年6月16日

脳卒中になりやすいミルク なりにくいミルク


Substitutions of dairy product intake and risk of stroke: a Danish cohort study.
2017  6月  デンマーク

低脂肪乳製品は脳卒中予防になると考えられているが、確かなエビデンスがあるわけでもない。

乳製品の細かい種類別に脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


50-64歳の健康な男女55211人に食事調査を行い、脳卒中の有無を13年ほどフォローした。


次のことがわかった。

・この間に脳梗塞が1870件(大血管アテローム硬化318、ラクナ839、心塞栓102 他)、

・脳出血389件(脳内出血273、くも膜下出血116)があった。

・成分調整した発酵乳やチーズを摂ると脳梗塞になりやすかった。

・成分無調整の発酵乳は、低脂肪乳や成分無調整乳 バターミルクにくらべ脳梗塞リスクが低かった。

・脳出血と乳製品との関連はみられなかった。

成分無調整の発酵乳が脂肪含有率にかかわらず脳梗塞リスクがもっとも低かった、


というおはなし。
図:代替乳製品と脳卒中リスク

感想:

そういえば加工乳の類をのむと高確率でお腹壊す。共通するものがあるのかもしれない。

2017年6月15日

睡眠が8時間を超えると脳卒中経験者の生活動作が、、


Longer Sleep Linked to Poorer Daily Function After Stroke
2017  6月  アメリカ  

手段的日常生活動作能力(IADL)は、たとえば買い物や料理、お金の管理といった活動に要する能力を指し 認知機能的側面がつよい。

脳卒中経験者の睡眠時間とIADLとの関連をしらべてみたそうな。

先週の米国睡眠学会での発表。


平均年齢46の健診記録110万人ぶんの記録をつかって解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中経験あり と申告した者の30%はIADLに問題を抱えていた。

・IADLに問題ありと答えた者の34%は睡眠時間が6時間以下だった。

・脳卒中経験者のうち 睡眠時間が8時間よりも長い者はIADLに問題を抱える率が1.97倍だった。

・脳卒中経験がない者でも睡眠時間が長いとIADLに問題をもつ傾向があった。

・どういうメカニズムかは不明。

脳卒中経験があって睡眠時間が長い者は手段的日常生活動作能力に問題がある可能性が高い、


というおはなし。
図:睡眠時間

感想:

好きなだけ眠らせてくれよ。
睡眠が6時間を切ると脳卒中経験者は死ぬ:米国睡眠学会

2017年6月14日

脳卒中やったのに喫煙はじめる患者


Long-term trends and predictors of smoking behaviors among men following first-ever ischemic stroke.
2017  6月  中国

喫煙は脳卒中患者にとっては 再発リスクを高める要因のひとつと考えられる。

にもかかわらず喫煙を再開してしまう患者の特徴を長期的にしらべてみたそうな。


2010-2014に 男性脳卒中患者372人を3ヶ月毎にフォローして喫煙状況を確認したところ、


次のことがわかった。

・全体の41.7%が脳卒中をきっかけに喫煙をやめた。

・そのうちの39.3%は57ヶ月以内に喫煙を再開した。

・自宅の外や職場での喫煙環境、独身、病気前のヘビーな喫煙習慣、が喫煙を再開する患者に特徴的だった。

喫煙を再開してしまう脳卒中患者には環境的な理由がつよかった、


というおはなし。

図:脳卒中後の喫煙再開率

感想:

たばこは高次脳機能てきには よさそうに思うのだが、、、

2017年6月13日

Stroke誌:抗血小板薬を複数使っていると脳内出血で死ぬ


Association Between Previous Use of Antiplatelet Therapy and Intracerebral Hemorrhage Outcomes
2017  6月  アメリカ

抗血小板薬の使用は脳内出血リスクを高めると考えられているが、それを複数使用したときの脳内出血の予後についてはよくわかっていないので しらべてみたそうな。


アメリカ1574施設の脳卒中患者データベースから、抗凝固薬を使用していなかった脳内出血患者82576人を抽出した。

入院以前に抗血小板薬を1種類のみ使っていたグループと、複数使っていたグループにわけ院内死亡率を比較したところ、


次のことがわかった。

・脳内出血以前、65.8%は抗血小板薬を使わず、29.5%は1種類のみ、4.8%が複数種類の抗血小板薬を使っていた。

・院内死亡率は 24% vs. 23% でわずかに抗血小板薬使用グループが高かった。

・1種類のみ使うグループの院内死亡率は抗血小板薬を使わないグループと差がなかった(23% vs. 23%)。

・複数使うグループの院内死亡率は 抗血小板薬を使わないグループよりもあきらかに高かった( 30% vs. 23%)。

脳内出血をおこすまえに複数の抗血小板薬を使っていた患者は、まったく使っていなかったか 1種類のみの患者にくらべ明らかに院内死亡率が高かった、


というおはなし。

図:抗血小板薬の組み合わせ

感想:

血腫の拡大がとまらなくなるんだって。

ところで 脳内出血患者にしめる抗血小板薬使用者ってこんなにもおおかったん?
ちょっと衝撃。
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