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2017年2月4日

太ももの裏をサワサワするとリハビリがはかどる


Effect of sensory training of the posterior thigh on trunk control and upper extremity functions in stroke patients.
2017  1月  トルコ

脳卒中患者への触覚刺激が運動機能の回復をうながすとする報告がいくつかある。

実験で確かめてみたそうな。


慢性期脳卒中患者26人を触覚トレーニングと比較グループに分けた。

触覚トレーニングでは患者の両腿のうしろを次の方法で刺激する。

*トゲトゲボールをやさしくころがす。
*バイブレータで振動刺激をあたえる。
*硬さのことなるスポンジでこする。
*電気刺激をあたえる。

これら刺激の組み合わせを1回45分間、2週間で計10セッション行った。

両グループに通常のリハビリも施し、体幹、上肢、肩、バランス、ADL、触覚能力の評価を行ったところ、


次のようになった。

・セッション終了後、触覚トレーニングの患者で座位での上肢前方リーチ課題のスコアが明らかにすぐれていた。

・触覚トレーニングから10日後、生活自立度の向上も確認できた。

・触覚能力にグループ間の差はなかった。

ふともも裏への触覚刺激トレーニングを脳卒中リハビリに追加するべき、


というおはなし。
図:脳卒中の触覚トレーニング

感想:

こういう考え方は ボバース法に通じるところがあるんだって。

2017年2月3日

Stroke誌:これ エビデンス? 早期リハビリの...


Impact of Rehabilitation on Outcomes in Patients With Ischemic Stroke
2017  1月  日本

脳卒中患者のリハビリを開始するタイミング、リハビリ量と日常生活動作ADL改善度との関連をしらべてみたそうな。


日本の診断群分類包括評価DPCデータベースから2012-2014にリハビリを受けた脳卒中入院患者10万人ぶんの記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・ADL改善度は、入院から3日以内にリハビリを開始し かつ

・1日5単位以上こなした患者で有意に高かった。

早期の集中的リハビリテーションが脳卒中患者のADLを改善した、


というおはなし。


感想:

おかしいなぁ "早期リハは効果なし" がトレンドなのに、、と思って目を通すと

いちばん最後に数行、
『今回使用したデータベースには患者の重症度の情報は含まれていない』って書いてある。
図:エビデンスの作り方

ショックを受けた。

圧倒的多数を占める軽症の患者ほどおおくのリハビリに耐えられるのだから、重症度を無視したらリハビリ量とADL向上度が相関するのは当然だろう。調べるまでもない。


それ以前に バーセルインデックスの差分を比較することにどれほどの意味があるのか。

2017年2月2日

ビタミンBサプリ 再発防止のエビデンス


Meta-analysis reveals protective effects of vitamin B on stroke patients.
2015  8月  中国

ビタミンB(B6,B9,B12)には動脈硬化の原因となる血中ホモシステインを低下させる働きがあり脳卒中予防に有効であるとする報告が数多くある。

いっぽうで脳卒中になったあとでのビタミンBサプリメントの効果については結論がでていない。そこでこれまでの研究をまとめてみたそうな。


ビタミンBサプリメントの脳卒中治療に関する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・7474人の脳卒中患者を含む12の研究がみつかった。

・ビタミンBサプリメントはあきらかに血中ホモシステインを低下させ、

・脳卒中の再発や心筋梗塞による死亡が減少した。

・好意的結論のみが公表される偏り(バイアス)はみられなかった。

ビタミンBサプリメントを脳卒中患者の正規の治療に加えてもいいのではないか、、


というおはなし。
図:

感想:

これまでの [ビタミンB関連記事] をみなおした。

2017年2月1日

脳卒中患者がTimed Up and Goをイメージする能力


Evaluating the Effect of Cognitive Dysfunction on Mental Imagery in Patients with Stroke Using Temporal Congruence and the Imagined 'Timed Up and Go' Test (iTUG).
2017  1月  フランス

運動イメージは脳卒中のリハビリに深く関わっていて、その能力は実際の運動に要した時間とイメージの時間とのズレで評価できる(Temporal Congruence:TG)。

歩行動作について運動イメージ能力をしらべてみたそうな。


脳卒中患者20人と健常者20人について、
タイムアップアンドゴーテスト:TUG(椅子から立ち上がってひとまわりしてまた座るまでの時間計測)
の実動作とイメージに要する時間(iTUG)をそれぞれ測定した。

運動イメージは、動作を感覚的にとらえる方法と1人称または3人称視点で視覚的に描く方法のいずれでもよしとした。

TG(%)=(TUG-iTUG)/((TUG+iTUG)/2)x100 と定義した。

認知機能テストもおこない関連を解析したところ、


次のようになった。

・運動イメージ能力のズレの大きさTGは脳卒中患者で45%、健常者で24%だった。

・イメージに要した時間iTUGは注意力を測るBells Test スコアと正の相関があった。

脳卒中リハビリに運動イメージ訓練を応用するばあい、患者の注意障害の可能性を考慮するひつようがあるだろう、


というおはなし。

図: temporal congruence

感想:

この↓はなしに似ているとおもった。
重度感覚麻痺がイメージ能力に及ぼす影響とは

2017年1月31日

若年脳卒中患者の回復コース


Effects of professional rehabilitation training on the recovery of neurological function in young stroke patients.
2016  11月  中国

若年脳卒中患者の回復パターンについてしらべてみたそうな。


2014年の中国首都医科大学の脳卒中患者について、若年100人(18-44歳)と中高年100人(45歳以上)にわけ、退院後6ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。
・若年グループの59.6%は脳出血で、中高年グループの60.0%は脳梗塞だった。

・中高年にくらべ若年者の教育レベルは高く、高血圧 糖尿病 心疾患はすくなかった。

・若年者の平均入院期間は長く、

・おもなリスク要因は 高血圧、飲酒、喫煙 だった。

・リハビリは理学療法、作業療法、言語聴覚療法、鍼灸が主で、

・1日の平均リハビリ時間は2.5時間、退院時には生活自立度と身体機能が改善していた。

・退院後6ヶ月をすぎると仕事や経済面での不満が表出した。

・家族生活の満足度はかわらなかったが 交友関係の満足度は改善した。

正規のリハビリテーションにより若年脳卒中患者の身体機能はあきらかに改善したが、6ヶ月以内に社会復帰できる者はすくなかった、


というおはなし。

図:若年脳卒中患者の入院期間

感想:

脳出血がおおいから入院が長いのかな?

2017年1月30日

葉酸サプリメントで糖尿病からの脳卒中を予防できる!


Longitudinal association between fasting blood glucose concentrations and first stroke in hypertensive adults in China: effect of folic acid intervention.
2017  1月  中国

葉酸(ビタミンB9)の脳卒中予防効果に関心があつまっている。

血糖値が高い人の脳卒中リスクと葉酸サプリメントの脳卒中予防効果をしらべてみたそうな。


高血圧で治療中の20327人について、葉酸サプリメントあり(0.8mg/日)となしのグループに分けて脳卒中の有無を4.5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に616人が脳卒中になった。(497人が脳梗塞)

・空腹時血糖値が7.0mmol/L(=126mg/dl)以上だと明らかに脳卒中がおおかった。

・葉酸サプリメントグループでは血糖値5.0mmol/L以上で脳卒中予防効果がみられ、

・特に7.0mmol/L以上だと葉酸グループの脳卒中リスクがさらに小さかった(5.0mmol/L未満の0.66倍)。

高血圧の中国人について、空腹時血糖値が7.0mmol/L以上だと脳卒中リスクが非常に高かった。彼らへの葉酸サプリメントの投与で脳卒中リスクが34%低下した、


というおはなし。

図:血糖値と脳卒中リスク

感想:

葉酸サプリメント優秀だな。これ↓思い出した。
高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果

2017年1月29日

脳梗塞に効くコレステロール比 TC/HDLとは


The total cholesterol to high-density lipoprotein cholesterol as a predictor of poor outcomes in a Chinese population with acute ischaemic stroke.
2017  1月  中国

これまで 血中コレステロール値と脳梗塞の予後の関連については研究により相反する結果が得られている。

そこを確かめるべく多くの患者で調べてみたそうな。


2013-2015の急性脳梗塞患者871人の3ヶ月後の生存率、回復度を調査し入院時のコレステロールレベルとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・3ヶ月後10.8%が死亡した。

・入院時の総コレステロールTC および HDLコレステロールとの比 TC/HDL が予後につよく関連していた。

・特に TC/HDL が高いと死亡リスクがとても低く、

・回復良好(mRS=0-2)の可能性も高かった。

・TC/HDL が4.09以上だとあきらかに予後が良かった。

TC/HDL が高いと急性脳梗塞患者の3ヶ月後の生存率、回復良好の可能性が高かった、


というおはなし。
図:回復良好な脳梗塞患者のコレステロール

感想:

TC=LDL+HDL+TG/5 だから LDLコレステロールはたっぷりあったほうがいいってことなんだよな。

これ↓
悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに

2017年1月28日

脳卒中やった子供の社交性


Psychosocial function in the first year after childhood stroke.
2017  1月  オーストラリア

子供の脳卒中は脳の発達をさまたげ 運動 認知 言語能力に問題を生じうることが知られている。しかし心理社会的な影響についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


平均年齢6.8歳の子供脳卒中患者37人について、発症後1年間の社交性をフォローした結果、


次のことがわかった。
・6ヶ月後、12ヶ月後の社交性は発症まえにくらべ 劣っていた。

・とくに感情障害や注意欠陥、多動性といった心理的な問題がおおかった。

・発症年齢がおそくなるほど、神経症状が重いほど社交性が低下した。

・これら心理社会的問題は親のメンタルヘルスとよく関連していた。

脳卒中を経験した子供の中には心理社会的な障害を受ける者が少なからずいた。特に子供の年齢や神経症状、親の精神状態が関連していた。親の影響がつよいことから 家族へのサポートが子供の治療につながるかもしれない、


というおはなし。
図:子供脳卒中の社交性

感想:

大人=高年齢の子供 と考えるとソーシャル能力へのダメージは計り知れない。フェイスブックとツイッターに挫折した原因はこのあたりにあるのかも。

2017年1月27日

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?


Movement Kinematics of the Ipsilesional Upper Extremity in Persons With Moderate or Mild Stroke.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中で損傷した脳半球と同側の手脚も麻痺の影響を受けるとする報告が増えてきている。

同側の麻痺の影響が日常生活動作にどの程度影響するものか調べてみたそうな。


軽症脳卒中患者40人と健常者20人について、
発症間もない頃と3ヶ月後の水飲み動作を3Dモーション解析した。

2017年1月26日

自宅でかんたん半側空間無視治療 VFTとは


Efficacy of home-based visuomotor feedback training in stroke patients with chronic hemispatial neglect
2017  1月  イギリス

半側空間無視の治療法は数多く提案されてはいるが 効果は定かでなく手法もまちまちで臨床応用がむつかしい状況にある。

シンプル過ぎてこれまでほとんど見向きもされなかった治療法に
"視覚運動フィードバック訓練"(Visuomotor Feedback Training:VFT) がある。

VFTは目の前に置かれた棒の中点を推定し、その位置を指でつまみ上げるだけの動作がメイン。

半側空間無視により視野が左右の一方に偏っている場合 持ち上げた棒がおおきく傾くため中点位置の誤りが瞬時にフィードバックされる。長さの異なる棒をいくつか用意してこの動作を繰り返すだけなので、簡単かつ経済的な治療法でもある。

VFTの自宅訓練効果を長期的かつ日常生活的に評価してみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視の脳卒中患者20人をVFTと比較グループに分けた。
50、75、100cmの棒を使用した。
VFTは自宅で2週間にわたり1回約15分の訓練を計10セッションおこなった。
比較グループは棒の右端をつまみ上げる訓練をおこなった。

直前、直後、4ヶ月後に複数の指標で空間無視の程度を評価した。


次のようになった。

・線分二等分テスト、行動性無視検査など短 長期的にVFTグループでスコアが明らかにすぐれていた。

・VFTグループでは日常生活動作の改善もあった。

視覚運動フィードバック訓練VFTは自宅でできる簡単 効果的な半側空間無視の治療法である。さらなる研究が期待される、


というおはなし。
図:Visuomotor Feedback Training

感想:

シンプルでいい。
この方法 20年くらいまえに発見されて、いままで2件の研究しかないんだって。

2017年1月25日

胃ろうが必要でない脳卒中患者のBMIは、、


Factors Predicting Recovery of Oral Intake in Stroke Survivors with Dysphagia in a Convalescent Rehabilitation Ward.
2017  1月  日本

脳卒中のあとの嚥下障害は27-64%の患者にみられ、半数は2週間以内に回復する。胃ろうや経鼻チューブなどの対策はいずれも一長一短であり避けれるものなら避けたい。

そこで経口摂取が勝手に復活する患者の特徴をしらべてみたそうな。


2009-2015に脳卒中で嚥下障害になった患者のうち
リハビリ病院へ転院するまでに経口摂取が可能になった患者とそうでないグループとにわけ特徴を比較したところ、


次のことがわかった。

・経口摂取可能になった34人とそうでない38人の記録がみつかった。

・経口可能になったグループは年齢が若く、BMIが高く、発症から入院までが短かった。

・経口可能予測因子は、入院時の肥満度BMI、認知機能的自立度FIM、嚥下重症度DSSの3つであり、

・これら3つの変数からその後の経口摂取の可否を精度良く予測できた。

脳卒中で嚥下障害の患者のうち、BMI、 FIM、DSSが高い者は退院までに経口摂取が可能になった。これら患者への胃ろう造設を避けることができるだろう、


というおはなし。

図:経口摂取可能とBMI

感想:

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