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2017年1月24日

要介助の割合 3年間の傾向


How Many Patients Become Functionally Dependent after a Stroke? A 3-Year Population-Based Study in Joinville, Brazil.
2017  1月  ブラジル

脳卒中のあと3年間でどのくらいの患者が要介助にあるのかしらべてみたそうな。


ブラジル・ジョインヴィレでの2009年の脳卒中患者407人について電話アンケートもつかって3年後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・患者内訳は脳梗塞が83%、脳出血10%、クモ膜下出血7%だった。

・退院時点での要介助状態(mRS=3-5)の患者は32.7%だった。

・退院時から3年後までの要介助患者の割合は、脳梗塞で33%→8%、

・脳出血で38%→14%、クモ膜下出血で19%→4% と推移した。

・脳梗塞のなかでは心原性のタイプがもっとも要介助リスクが高かった。

脳卒中のあと最初の1年間は3分の1の患者が要介助だった、


というおはなし。
図:脳卒中後の要介助割合

感想:

うえのグラフだと要介助の減少は回復したからではなく 死亡が理由のようにもみえる。

2017年1月23日

ヨーガは脳卒中にいいの?


Determining the potential benefits of yoga in chronic stroke care: a systematic review and meta-analysis.
2017  1月  オーストラリア

ヨーガは仏教やヒンズーに由来し 姿勢維持、呼吸法、瞑想などからなる伝統的な健康法である。これは脳卒中後の長期にわたる身体的 心理的問題への助けになる可能性がある。

これまでの研究をまとめてみたそうな。


1950年以降の関連する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・5つの研究がみつかった。いずれもサンプルサイズはn=17-47で小さかった。

・ヨーガは不安やうつの改善に効果があった。

・バランス能力やQoLにも良さそうだった。

ヨーガ人気のわりにはエビデンスは少なかった。慢性期脳卒中患者の心理面での改善効果がありそうだった、


というおはなし。
図:ヨーガの脳卒中効果

感想:

ヨーガ自体 漠然としていてなんだかよくわからないとこがいちばんの問題じゃないかね。

2017年1月22日

教育歴と脳卒中後の認知障害について


Effect of Formal Education on Vascular Cognitive Impairment after Stroke: A Meta-analysis and Study in Young-Stroke Patients.
2017  1月  オランダ

脳卒中のあとの血管性認知障害は脳損傷が同程度であっても個人でおおきく異なる。これは教育歴からくる認知的予備力の差によるとも考えられる。

そこで血管性認知障害と教育歴との関連をくわしくしらべてみたそうな。


関連する過去の研究を厳選し データを統合 再解析した。

これとは別に若年脳卒中患者277人と健常者146人を11年間フォローしたデータを解析した。


次のことがわかった。

・被験者7770人を含む21の研究が見つかった。

・いずれの研究も規模がちいさかった。教育歴が血管性認知障害におよぼす影響は強いとは言えなかった。

・若年患者277人11年の調査では 低教育歴の患者で注意力が平均を下回ることが多かった。


教育歴と血管性認知障害に関連はあったが その影響は小さかった。低教育歴の脳卒中患者で注意力の低下が見られた、


というおはなし。
図:

感想:

認知的予備力は「テスト慣れ」の別表現だとおもう。

リハビリ入院直後にテストがあって、文字と図形をひたすら対応させる課題だった。試験者が説明しているあいだに全部のパターンを暗記しておいたら「こんなスコアいままで見たことが無い!」って驚かれたよ。

2017年1月21日

80歳以上の脳卒中を防ぐ方法がわかった


Physical inactivity is a strong risk factor for stroke in the oldest old: Findings from a multi-ethnic population (the Northern Manhattan Study).
2017  1月  アメリカ

80歳以上の人口割合が急増している。かれらへの脳卒中予防のための積極介入は多剤併用をまねきやすい。

しかし運動ならその心配はない。そこで高齢者の身体活動と脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


平均年齢69の3298人に余暇の身体活動習慣をアンケートし、脳卒中の有無を14年間フォローしたところ、


次のようになった。

・80歳以上が17%を占め、40.8%は余暇の時間に身体活動がまったくなかった(仕事や歩行時間を含まない) 。

・14年間に391人が脳卒中になった。80歳以上と余暇の不活動があきらかに関連していた。

・80歳以上では、余暇活動がまったくないばあい脳卒中リスクは1.60倍だった。

・いっぽう糖尿病や高血圧、心不全は80歳以上にとっては脳卒中リスクではなかった。

80歳以上の高齢者にとって運動不足は脳卒中の強いリスク要因だった。運動をうながすことで容易に改善できるかもしれない、


というおはなし。
図:余暇時間に運動しないと脳卒中80歳以上

感想:

年金はあてになりそうもないので生涯 労働はつづく。要介護になって社会の負担にならぬよう、つかの間の余暇タイムにも運動が奨励される素敵なみらい。

2017年1月20日

肥満 飲酒 喫煙と脳卒中の予後について


Lifestyle Factors and Early Clinical Outcome in Patients With Acute Stroke
2017  1月  デンマーク

肥満、飲酒、喫煙はいずれも脳卒中の発症要因である。これらライフスタイルの脳卒中予後への影響調査は、これまで小規模 施設限定的なものがおおく結論がでていない。

そこで非健康的ライフスタイル(肥満or痩せ、飲酒、喫煙)と脳卒中予後との関連を大規模にしらべてみたそうな。


デンマークの脳卒中患者データベースから82597人の記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・発症30日以内に18.3%が重症化し、7.8%が肺炎、12.5%が尿路感染症、9.9%が死亡した。

・ライフスタイルと脳卒中の重症度、死亡率の関連は性別により異なった。

・非健康的ライフスタイルの男性患者は脳卒中重症度と30日死亡率が低かった。はんたいに女性患者は重症度と死亡率が高かった。

・肺炎と尿路感染症については男女の違いはなく、有意なリスク上昇もなかった。

・低体重だと男女ともに30日死亡率が明らかに高かった。

非健康的ライフスタイルの男性脳卒中患者の予後は悪くなかった。しかし低体重は男女ともにあきらかな予後悪化要因だった、


というおはなし。
図:不健康なライフスタイルと脳卒中の予後

感想:

いっけんパラドックスめいてておもしろうそうだけど、脳卒中になってしまったんだから 何をいまさらだ。

ただ「痩せ」だけはどうにも擁護のしようがない、ってことだな。

2017年1月19日

PTとOTの違い 上肢麻痺患者のばあい


Content of conventional therapy for the severely affected arm during subacute rehabilitation after stroke: An analysis of physiotherapy and occupational therapy practice.
2017  1月  オランダ

脳卒中リハビリで麻痺上肢に費やされる時間にはかたよりがあると言われているが内訳がよくわかっていない。

そこでPT(理学療法)とOT(作業療法)にわけて上肢の麻痺が重い脳卒中患者へのリハビリ時間で比べてみたそうな。


上肢が重度に麻痺した脳卒中患者46人の医療記録を解析した。
各リハビリ内容に要した時間を国際生活機能分類(ICF)のメインカテゴリ別(心身機能、活動、参加、その他)に集計した。

次のことがわかった。

・PT,OTともに30分間のセッションのうち4-7分間を上肢リハにあてていた。

・PTは麻痺上肢よりも心身機能へあきらかに多くの時間を費やしていた。

・OTは移動や身支度 家事の 活動カテゴリに特に多くの時間を費やしていた。

・ICFの全15のサブカテゴリのうち上記3つを除く12では時間配分がPT,OTで酷似していた。

重度に上肢が麻痺した脳卒中患者は上肢に特化したPTやOTの時間がほとんどなかった。療法士は上肢リハビリの時間をおもに心身機能向けに使っていた。PTとOTの時間配分では15あるリハビリカテゴリのうち12が完全にダブっていた、

というおはなし。

図:PTとOT 上肢に割く時間


感想:

いっそ資格を統合して PTOT(ピィーティーオーティー) にすればよくね? (㌰
じつは上肢リハビリがほとんど行われていなかった!

2017年1月18日

ハンドグリップで脳梗塞が治るというエビデンス


Physiological Ischemic Training Promotes Brain Collateral Formation and Improves Functions in Patients with Acute Cerebral Infarction.
2016  12月  中国

生理学的虚血トレーニング(Physiological Ischemic Training)という考え方があって、たとえば手脚への虚血刺激で 離れた位置にある心臓の血管新生が促され血のめぐりがよくなるという。

ハンドグリップを用いたアイソメトリック運動での心臓の報告があることから、脳についても同様の効果を確かめてみたそうな。


脳梗塞患者10人と健常者10人について、虚血トレーニングと通常リハビリにグループ分けした。

虚血トレーニングでは、
[ハンドグリップを全力で1分握って1分休み]を10セット x 4回/日 x 5回/週 x 4週間とした。

この前後での脳の還流状態をMRIで測定し、運動機能や血液中の血管増殖因子なども調べたところ、


次のことがわかった。

・トレーニング後、いずれのグループも運動機能、ADL、QoLがおおきく改善した。

・通常リハにくらべ虚血トレーニングでは運動機能とQoLスコアがあきらかに高かった。

・さらに虚血トレーニングでは局所脳血流が通常リハよりも有意に高く、

・同様に血中のVEGF(血管内皮細胞増殖因子 )、EPCs(内皮前駆細胞)も多かった。

・運動機能と局所脳血流レベル、VEGFレベル、EPCs数に正の相関があった。

生理学的虚血トレーニングは血管新生をうながし脳の血の巡りをよくする。その結果、脳卒中患者の運動機能や日常生活動作、生活の質の改善につながるのだろう、


というおはなし。
図:脳血流と生理学的虚血トレーニング

感想:

ようするに健側だけでもいいから筋トレやれってことじゃないかな。

これ↓思い出した。
脳梗塞が簡単に治る 下肢遠隔虚血コンディショニングとは

2017年1月17日

刺激豊富な環境っていうけど、どの刺激がいいの?


Effect of Physical and Social Components of Enriched Environment on Astrocytes Proliferation in Rats After Cerebral Ischemia/Reperfusion Injury.
2017  1月  中国

グリア細胞の1つであるアストロサイトはさいきんまで脳の回復の妨げになると考えられてきたが、実はとても重要であることがわかってきた。

いっぽう刺激豊富な環境が脳の回復をうながすという報告が数多くある。どの種類の環境刺激が脳にいいのかアストロサイトに着目してしらべてみたそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミを5つのグループにわけた。

*運動刺激環境(PE):ひろいケージに1匹で遊具がいっぱい
*社会刺激環境(SE):ひろいケージに12匹飼い
*運動社会刺激環境(PSE):ひろいケージに遊具と仲間12匹
*虚血+通常環境(IS):せまいケージに食べ物だけ
*虚血なし+通常環境:せまいケージに食べ物だけ


次のことがわかった。

・行動テストの結果は通常環境にくらべて刺激豊富な環境のネズミで回復がおおきかった。

・梗塞体積が減少したのは運動刺激のあるPE,PSEグループのみだった。

・PE,PSEグループではSEグループにくらべアストロサイトとBDNF(脳由来神経栄養因子)が激増していた。

・アストロサイトとBDNFの増加は機能回復度とよく相関していた。

アストロサイトとBDNFの点で、環境刺激のうち "身体活動" が脳卒中からの回復により重要な刺激要素であった、


というおはなし。
図:梗塞体積と刺激豊富な環境

感想:

これ↓思い出した。
刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由

2017年1月16日

脳卒中を見逃さない BE-FAST とは


BE-FAST (Balance, Eyes, Face, Arm, Speech, Time)
2017  1月  アメリカ

脳梗塞の血栓溶解治療にてきした時間はとても短い。
脳卒中の発症に早く気づくためにFAST (Face, Arm, Speech, Time)アルゴリズムが考案された。

しかしFASTでは脳梗塞患者のおおくを取りこぼす可能性があるため、これに歩行バランス(Balance)と視覚症状(Eye)を加えた "BE-FAST" が提案されている。
この脳卒中発見率をくらべてみたそうな。


脳卒中患者736人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・入院時 14.1%にはFASTの症状はなく、

・そのうちの42%は歩行バランスの低下が、40%には視覚症状があり、70%にいずれかの症状があった。

・この2つの症状をFASTに加えた "BE-FAST"で選別しなおすと、あてはまらない患者は4.4%に減った。

脳卒中患者の14%はFASTで識別できなかった。歩行バランスと視覚症状を加えたBE-FASTにすると見逃し率が大きく減った、


というおはなし。
図:BE-FAST


感想:

思い返すに、脳卒中と確信する6時間以上まえに 登りの階段でなんどもつまずいていた。こういう知識があればもっとはやく気づいてたかもね。
脳卒中のサインはFASTだけではなかった!

2017年1月15日

脳卒中患者がよだれをこぼす理由


Oral tactile sensitivity and masticatory performance are impaired in stroke patients.
2017  1月  スイス

脳卒中になると嚥下障害にならないまでも よだれや味覚低下がある。

そこで脳卒中患者の咀嚼(そしゃく)能力と口の触覚障害との関連をしらべてみたそうな。


脳卒中患者27人と健常者27人についてカラーガム等をつかった咀嚼能力テスト、唇や顎の筋力、触覚しきい値検査を行い比較したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者は口の渇きやたべものを口からこぼすことが多かった。

・口腔内のあきらかな触覚低下は脳卒中の反対側にみられた。

・脳卒中患者のくちびるは両側ともに触覚がにぶかった。

・咀嚼能力とくちびるのちからは脳卒中患者で低かったが、

・噛む力は健常者と同レベルだった。

・口腔内の触覚と咀嚼能力には関連があった。

脳卒中は反対側の口腔内触覚に影響して、咀嚼能力が低下すると考えられる、


というおはなし。
図:脳卒中の咀嚼筋能力

感想:

顔はんぶん触覚がにぶくガムを噛んでると左の頬も噛んで血が出ることがよくある。そういうことだとおもう。

2017年1月14日

脳卒中チルドレンのてんかんと早期けいれん発作


Early seizures predict the development of epilepsy in children and adolescents with stroke.
2016  12月  ドイツ

脳卒中のあとてんかんになる割合は 成人でおよそ10% こどもでは16-26%である。

こどもの場合 早期けいれん発作がのちのてんかんと関連するという。これを確かめてみたそうな。


18歳以下の脳卒中患者を2年間フォローした93人分の記録を解析した。

脳卒中から48時間以内のけいれん発作を「早期」とした。2年間に2回以上のけいれん発作を「てんかん」とした。


次のことがわかった。

・てんかんになった子供脳卒中患者は 年齢が低く、早期けいれん発作と脳皮質にかかる病変が特徴的だった。

・早期けいれん発作は、てんかんの子供の79%が経験し、非てんかんの子供では13%に過ぎなかった。

脳卒中のあと48時間以内のけいれん発作はのちにてんかんになるリスクが高かった。早期けいれん発作がないばあい てんかんはまれだった、


というおはなし。
図:脳卒中でてんかんになる子供の特徴

感想:

これ↓思い出した。
けいれん発作を起こした脳卒中の子供は 再びけいれん発作を繰り返すのか?

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