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2016年12月8日

うつと不安 脳卒中が再発しやすいのはどっちだ


Depression but not anxiety predicts recurrent cerebrovascular events.
2016  7月  オーストラリア

脳卒中のあとのうつや不安障害は珍しくなく予後によくない影響を及ぼすと考えられている。

そこでうつ 不安障害と脳卒中の再発との関連を調べてみたそうな。


脳梗塞患者182人について退院後2週間時点でのうつおよび不安のレベル(HADスコア)を調査し、退院6ヶ月後の再発事例との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の15.9%がうつ、22.5%が不安ありと診断された。

・退院から6ヶ月間に9人が再発した。

・年齢、性別、脳卒中の重症度を考慮に入れても うつがある場合の再発しやすさは5.22倍で、

・不安がある場合では0.98倍だった。

脳卒中後のはやい時期のうつは脳卒中の再発リスクの増加と関連していた。不安との関連はなかった、


というおはなし。
図:うつと不安 再発しやすさ

感想:

これ↓思い出した。
脳卒中後のウツと不安 その違い

2016年12月7日

脳卒中患者の自動車運転を黙認する


Driving restrictions post-stroke: Physicians' compliance with regulations.
2016  11月  スウェーデン

脳卒中は認知機能や身体機能に影響が残るため多くの国で患者の自動車運転には規制を設けている。

スウェーデンでは入院時 すべての脳卒中患者に今後3-6ヶ月間の自動車運を控えるよう伝え、その旨を記録に残し交通局へ報告する義務が医師に課せられている。

そこのところがちゃんと守られているものか調べてみたそうな。


スウェーデンの中堅病院での1年間の脳卒中患者342人の医療記録を調べ上げ再確認したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者への運転控え勧奨と交通局への報告はその81%が見逃されていた。

・女性よりも男性により多く 運転を控えるよう伝える傾向があった。

・2%についてのみ今後の運転能力評価が予定されていた。

脳卒中患者の自動車運転制限にかんするスウェーデンの規則は 病院でほとんど守られていなかった


というおはなし。

図:脳卒中年齢と運転見逃し数


感想:

上の表の運転見逃し脳卒中患者の高齢者率の高さには笑うしかない。

2016年12月6日

アジア人脳内出血患者の年間再発率は


Incidence of Recurrent Intracerebral Hemorrhages in a Multiethnic South Asian Population.
2016  11月  シンガポール

脳内出血はシンガポールの脳卒中のおよそ25%を占める。しかし再発率はよくわかっていない。

そこで脳内出血再発率とそのリスク要因をアジア人について調べてみたそうな。


2006-2013の国立神経科学研究所の患者記録を使って解析したところ、


次のことがわかった。

・14日以上生存した脳内出血患者1708人をおよそ3年半フォローした結果、60人の患者に68箇所の脳内出血が再発した。

・これは1年間に患者全体の1.1%が再発する頻度に相当した。

・脳梗塞歴、皮質下出血が再発のおもなリスク要因だった。

・再出血位置は 基底核→基底核が44.1%、皮質下→皮質下が17.6%だった。

・再出血患者の死亡率は17.6%だった。

脳内出血の年間再発率は1.1%で、脳梗塞歴や皮質下出血があると再出血しやすかった、


というおはなし。
図:皮質下出血 脳葉出血

感想:

この先100年生きるつもりでなければ逃げ切れるな。

2016年12月5日

脳卒中の音楽療法は4種類あった


Effectiveness of music-based interventions on motricity or cognitive functioning in neurological populations: a systematic review.
2016  11月  ベルギー

脳卒中などの神経疾患には長期のリハビリが求められる。

近年、神経学的音楽療法(Neurologic Music Therapy)を謳う

*療法的楽器演奏 (Therapeutic Instrumental Music Performance)
*音楽による記憶訓練法 (Musical Mnemonic Training)
*リズム性聴覚刺激(Rhythmic Auditory Stimulation)
*メロディック・イントネーション・セラピー(Melodic Intonation Therapy)

等が導入されるようになった。

そこで神経疾患への音楽療法の種類と効果についてレビューしてみたそうな。


今日までの関連論文を検索して内容を吟味したところ、


次のことがわかった。

・19の研究がみつかった。多くは脳卒中患者を対象とし、パーキンソン病や多発性硬化症もあった。

・従来型リハビリに同等か上回る効果があった。

・音楽療法は大きく4種類に分類できた。
1)楽器演奏→ 上肢の運動機能、手の器用さの改善
2)リスニング→ 言語記憶、注意力の改善
3)リズム同期→ 歩行速度やペースの改善 
4)複合→ これらの合わせ技

神経疾患への音楽療法は4種類に大別できた。多くは脳卒中患者の運動機能の改善に関わるものだった。音楽療法には患者の心的健全性をうながしリハビリへの意欲を高める効果があるのかもしれない

というおはなし。
図:音楽療法の種類と疾患

感想:

なかでも音楽リスニングの研究は極端に少ないんだよね。

2016年12月4日

飽きるころかな

このブログを始めてから今日で まる7年がすぎた。

記念に自分語りメモ

・ふと思いついて始めたブログ。続けることになんの必然もないのに7年間1日もサボらなかったのは脳の障害がなせるわざか。

・これまで ものごとが8年以上続いたことがない。だいたい7年前後で飽きてしまう。天職だと思っていたかつての仕事も7年11ヶ月目に投げ出した。
このブログ あと1年続けば記録更新だ。

・とはいってもやめるつもりは毛頭ない。
今年になって親切なロシア人女性のおかげでほとんどの論文にフルアクセスできるようになった。いままではアブストラクトとその周辺情報から推測するしかできず記事にならないものが多かった。
全文読めるようになって視力が0.5から1.5になったような感動がある。

・3年くらい前から たまに腕立て伏せをすると左半身体がとても痺れるようになった。再出血の恐怖でさいきんは腕立て伏せをほとんどしなかった。

・ことしの5月頃 もうどうなってもいいやと思い、腕立て伏せの限界にチャレンジした。
もちろん身体はしびれたが 直後にすごい耳鳴りが始まった。
「ブシューブシューブシュー」と右の耳に24時間響くようになった。夜中眠っていてもうるさくて目が覚めるほどの音量だった。
けれど懲りずに腕立て伏せ限界チャレンジを毎日続けた。
2-3週間したころ耳鳴りが消えていることに気づいた。しびれにも慣れた。
以来、腕立て伏せが日課になった。

ドラゴンタトゥーの女ミレニアム3で 頭を撃たれ片腕が麻痺したリズベットが腕立てリハビリするシーンが印象的で真似てみた。


・先々週、車で20分くらいのとこにあるお気に入りの禅寺に行ってきた。
X-menのボスキャラ級(空を飛び500人力)超能力者を祀る変わった寺。久しぶりに奥の院まで登った。

やっと登っているようにみえるけど 右手にスマホを持ってノンストップやで。

2016年12月3日

長期的に認知症になりやすい脳卒中の種類は


Long-Term Risk of Dementia Among Survivors of Ischemic or Hemorrhagic Stroke
2016  11月  デンマーク

脳卒中経験はのちに認知症になる要因の1つである。

認知症の長期リスクを脳卒中の種類別に調べてみたそうな。


デンマークの患者登録データベースから18歳以上で3ヶ月以上生存した脳卒中患者(脳梗塞84220人、脳内出血16723人、くも膜下出血9872人、その他104303人)を抽出し、同年齢同性の脳卒中でない1075588人と比較し、最長30年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・脳卒中経験者の30年間に認知症になる率は11.5%で、

・健常者に比べ1.80倍、脳梗塞では1.72倍、脳内出血で2.70倍、くも膜下出血では2.74倍だった。

・若年者の認知症リスクは脳卒中の種類によらず高齢者よりも高かった。

・65歳未満で認知症になった脳卒中経験者の40%は、脳内出血かくも膜下出血だった。

脳卒中は認知症の長期リスク要因であり、特に脳内出血とくも膜下出血でリスクが高かった、


というおはなし。
図:脳卒中年齢と認知症リスク

感想:

脳内出血経験者として いまさらどうやって認知症を防げというのか、、

2016年12月2日

2日間の断食が脳梗塞を癒やすという根拠について


Prolonged Fasting Improves Endothelial Progenitor Cell-Mediated Ischemic Angiogenesis in Mice.
2016  11月  中国

食事制限がおおくの慢性病に良い効果をもたらすとする考え方がある。

特に 単なるカロリー制限ではなく2日~5日間の長期断食が有効であるとする報告もある。

これを 脳卒中の動物で実験してみたそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミを48時間の長期断食させた。

もしくは この断食を週1回ペースで4週間繰り返して脳組織、血管内皮前駆細胞を観察したところ、


次のことがわかった。

・長期断食グループでは食べ放題グループよりも血管新生が明らかに増加し、虚血のダメージも小さかった。

・繰り返し長期断食は脳萎縮を抑え長期に神経症状を改善しているようにみえた。

・断食ネズミと食べ放題ネズミから抽出した内皮前駆細胞を それぞれ別の虚血ネズミに移植したところ、断食ネズミのそれは虚血脳に定着し血管新生を促して脳のダメージも小さかった。

長期断食が血管内皮前駆細胞を通じて虚血脳に血管新生をうながし長期の改善をもたらした、


というおはなし。
図:長期断食の脳梗塞治療効果

感想:

2日間の断食はつらすぎて自分ひとりではできない。

断食道場もうかるだろな、、食事ださなくていいんだから。

[断食]の関連記事

2016年12月1日

やはり長時間労働は脳卒中のもとなのか


The effect of long working hours on 10-year risk of coronary heart disease and stroke in the Korean population: the Korea National Health and Nutrition Examination Survey (KNHANES), 2007 to 2013.
2016  11月  韓国

長時間労働は健康を損ねると考えられる。そこで脳卒中との関連を男女別に調べてみたそうな。


2008-2012の韓国の国民栄養調査の13799人ぶんの脳卒中データから 10年間リスクを推定したところ、


次のことがわかった。

・週あたりの労働時間と脳卒中リスクは男女ともに明らかに相関していた。

・特に女性の長時間労働の脳卒中リスクは男性よりもかなり高かった。

1週間あたりの労働時間が長いと明らかに脳卒中になりやすかった。とくに女性で顕著だった、


というおはなし。
図:長時間労働と脳卒中リスク

感想:

グラフみると男は暇すぎるほうが脳卒中になりやすいみたい。
とおもったら これは十分な量の仕事に就けない非正規労働者または健康上の問題で働けない人々を反映しているのかも、、、という解説があった。

2016年11月30日

コイルとクリップ どっちがいいの?くも膜下出血


Coiling is not superior to clipping in patients with high-grade aneurysmal subarachnoid hemorrhage: a systematic review and meta-analysis.
2016  11月  中国

脳動脈瘤破裂のくも膜下出血でクリッピングに代わりコイル塞栓術がひろく行われるようになったがその有効性はいまいち明らかでない。

これまでの研究を特に重症患者について見直してみたそうな。


過去の関連する研究を厳選しデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・3つのランダム化比較試験と16の観察研究がみつかった。

・回復良好率にクリップとコイルで差はなかった。

・コイル塞栓術の死亡率はクリッピングよりも明らかに高かった。

・コイル塞栓術のほうが再出血率や脳梗塞、血管攣縮、水頭症などの合併症リスクが低いというわけではなかった。

重症くも膜下出血患者へのコイル塞栓術はクリッピングよりすぐれているわけではなく、むしろ死亡率が高かった、


というおはなし。
図:コイル vs クリッピング

感想:

幼いわが子のために健康でいなくては、、と考えた母親が脳ドックを受診した。そして未破裂動脈瘤がみつかった。安全だからと勧められコイル塞栓術をうけたところそのまま帰らぬ人となった。(実話)


くも膜下出血で手術しないとどのくらいヤバイのかな とおもってしらべると、、

唯一みつかったのがこれ↓
図:くも膜下出血でクリップしない死亡率
( 1994年 10.1161/01.STR.25.7.1342 )

病状が深刻でない勝手に治りそうな若い患者を積極的にえらんで手柄にしているようにもみえる。

破裂脳動脈瘤の再出血予防治療は本当に必要なのか? ?


追記:
クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率

2016年11月29日

お酒の量と脳卒中の種類との関係がわかった


Differing association of alcohol consumption with different stroke types: a systematic review and meta-analysis
2016  11月  スウェーデン

適度な飲酒が脳卒中予防になるのか、アルコールと脳卒中の種類との関係について調べてみたそうな。


関連する過去の研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・27の研究がみつかり、さらに4555件の脳卒中事例を含むスウェーデンの調査結果を加えた。

・適度な飲酒(1日にワイン1-2杯)で脳梗塞リスクが低下したが、2杯を超えるとリスクは上昇し 4杯より増えるとリスクは1.14倍になった。

・適度な飲酒での脳出血リスクの低下は認められなかった。

・2-4杯の飲酒でも脳出血リスクの明らかな上昇はなかったが、

・4杯を超えると脳内出血で1.67倍、くも膜下出血で1.82倍のリスク上昇があった。

適度な飲酒は脳梗塞リスクの低下につながった。飲酒量が多くなるとすべての脳卒中でリスクは上昇し、特に脳出血が顕著だった、


というおはなし。
図:アルコールと脳卒中の種類

感想:

脳梗塞やったひとは脳出血にもなりやすいんだから酒飲んじゃダメだと思うよ。

2016年11月28日

パラフィンセラピーは痙縮に効く?


Reduction in spasticity in stroke patient with paraffin therapy.
2016  11月  中国

パラフィンセラピーは温熱療法の一種で 溶かした蝋(ろう)に患部を浸す。

脳卒中後の痙縮に効果があるか調べてみたそうな。


上肢痙縮の脳卒中患者52人をパラフィンセラピーとプラセボにグループ分けした。

パラフィンセラピーでは仰向け患者の肩から手を42-45℃の蝋で30分間パックする。

これをほぼ毎日4週間継続し上肢の痙縮度 疼痛 運動機能を評価したところ、

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