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2016年5月27日

運動イメージ中の脳ネットワーク結合を調べた結果、、


Conditional Granger Causality Analysis of Effective Connectivity during Motor Imagery and Motor Execution in Stroke Patients.
2016  5月  中国

運動イメージ訓練は脳卒中リハビリ法のなかでも最も効果的な方法の1つとされている。しかしそのメカニズムはいまだよくわかっていない。

そこで運動イメージ中の脳卒中患者の皮質ネットワークの結合がどの方向に変化しているのか調べてみたそうな。


左脳損傷で右手麻痺の患者10人と健常者10人について、
右手の指を実際に動かしている時とイメージのみの場合での60秒間のfMRIデータを撮り、

一次運動野(M1)、前運動皮質(PMC)、補足運動野(SMA)間の結合性変化を解析したところ、


次のことがわかった。

・実際に指を動かしている時、患者は健常者にくらべ損傷脳のM1,PMC,SMAの相互の結合が明らかに低下していたものの、

・非損傷側のPMCとM1の相互の結合は強まっていた。

・運動イメージ中は患者の方が各皮質間のネットワークの結合が強く、

・特に非損傷側の皮質間相互の結合が顕著だった。

実運動では損傷脳での結合性は患者で低下していたが、それを補うように非損傷脳でのネットワークが強化されていた。運動イメージは損傷脳の影響を受けにくく各皮質間ネットワークを強化しているように見えた


というおはなし。

図:運動イメージ時の皮質結合性変化


感想:

イメージトレーニングは気のせいじゃないんだな。

2016年5月26日

[動画] TIA(一過性脳虚血発作)を自在に再現できる男性


Inducible limb-shaking transitory ischemic attacks: a video-documented case report and review of the literature.
2016  5月  デンマーク

意のままにTIAを起こし自分の手を震えさせることのできる患者を発見しビデオに収めたたそうな。


・運動をすると右手が震える症状の男性が病院にきた。

・検査の結果、左の頸動脈に狭窄がみつかった。

・投薬で治療を試みたが治らなかったので、頸動脈を頭蓋の外から中へバイパスする手術を行った。

・症状は収まったが2年後に患者が戻ってきてTIAの再現方法を教えてくれた。

・手術跡を押すことでバイパス血管が圧迫され左脳が虚血になり右手が震えだすと考えられた。
(以下のビデオを参照)

・脳波を調べたところ、てんかん発作の類ではなかった。

この様子のビデオはTIAによる手の震え症状例として参考になるだろう、


というおはなし。

問題のビデオ(58秒)↓

再生できないときはこちらのリンクから


感想:

こわくて横向いて寝れないな、、

2016年5月25日

自動車運転の再開 医師の判定は信用できるのか


Fitness-to-drive agreements after stroke: medical versus practical recommendations.
2016  5月  ベルギー

脳卒中の経験者が再び自動車運転に適しているかどうかの医師の判断が 路上テストの結果とどの程度一致しているものか調べてみたそうな。


ベルギーの交通安全センターを訪れて45分20kmの路上運転テストを行った脳卒中経験者735人について、
同乗した審査者による判定結果(合格、保留、不適格)と事前の医師の判定結果との整合性を評価したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中経験者の73%については医師と路上審査者との結果が一致していた。

・路上で不適格と判定された83人のうち61%にあたる51人を、医師は合格としていた。

・路上で保留と判定された80人のうち78%にあたる62人を、医師は合格としていた。

医師の判定は路上テストの結果と概ね一致していたものの、運転にリスクのある脳卒中経験者を見つけ出す能力は充分とは言えなかった、


というおはなし。

図:脳卒中経験者の運転適格テストの結果


感想:

オレも事前に路上テストやってたら運転諦めてたかもしれないな、、、

2016年5月24日

脳卒中リスク計算機 日本人向け


Development of a Risk Equation for the Incidence of Coronary Artery Disease and Ischemic Stroke for Middle-Aged Japanese - Japan Public Health Center-Based Prospective Study.

健診成績に基づく心筋梗塞および脳梗塞の発症確率予測モデル開発
2016  5月  日本

日本人むけの脳卒中リスク計算機を作ってみたそうな。


15672人の中年(40-69歳)日本人を約16年間フォローして、192の心筋梗塞と552の脳梗塞の事例を得た。

健康診断で得られる検査項目との関連を解析し、今後10年間の脳卒中リスクを自動算出するプログラムを作成、公開した、


というおはなし。

図:脳卒中リスク計算機
あなたのリスクはどのくらい??以下のサイトで計算できます。
http://www.fujita-hu.ac.jp/~deppub/risk.html



感想:

これ↓思い出した。
脳梗塞再発リスク計算機(RRE)を使ってみた

2016年5月23日

片麻痺に適したスマートフォンのスクリーンサイズは


Effects of screen size on smartphone functionality and usability for stroke patients with hemiparalysis.
2016  4月  韓国

脳卒中で片麻痺の患者にとって使いやすいスマートフォンの画面サイズを 利き手との関係も含め調べてみたそうな。


発症前に右利きだった脳卒中患者13人の麻痺手について、

*右脳損傷の5人→元非利き手グループ
*左脳損傷の8人→元利き手グループ

として分けて、スクリーンのインチサイズがそれぞれ4.2, 4.5, 5.6のスマートフォンでの機能性、操作性を測定する実験を行った。

機能性はスマートフォンをキーパッドに見立て 指定の数列入力スピード、エラーを評価した。
操作性はスマートフォン画面上の指定した経路をドラッグする操作を行い違和感の程度を述べさせた。


次のようになった。

・スクリーンサイズごとの操作性は元非利き手グループでは差が無かったが、元利き手グループでは明らかな差が生じた。

・操作性に違和感を感じる箇所数のグループ間の差は スクリーンサイズが小さいほど多かった。

・入力スピードは元非利き手グループではスクリーンサイズに依らなかったが、元利き手グループでは差が生じた。

・グループ間の入力スピードの差は全てのスクリーンサイズで確認できた。

・グループ間でエラー頻度の差がもっとも小さかったスクリーンサイズは5.6インチ型だった。

スマートフォンの画面サイズごとの機能性、操作性を脳卒中片麻痺患者で調べた結果、大きい画面サイズだと操作への違和感およびエラー頻度が利き手の影響を受けにくかった、


というおはなし。

図:スマートフォン操作性テスト

感想:

たしかに大きい方が使いやすいので4→5インチに買い換えた。

けど 左手は触覚が鈍すぎてスクリーンに軽く触れたつもりが長押し判定になったり、電子書籍のページめくりすら頻繁にミスする。

2016年5月22日

若年脳梗塞 原因別再発ランキング発表


Cardiovascular events after ischemic stroke in young adults: A prospective follow-up study.
2016  4月  スウェーデン

脳梗塞を経験した若年成人の心血管疾患再発リスクについて、脳梗塞の原因別に長期的に調べてみたそうな。


15-49歳で脳梗塞を経験した970人について10年前後フォローして、15年間での再発リスクを脳梗塞の原因グループ別に推定したところ、


次のようになった。

・フォロー中に29.2%で心血管疾患が起きた。

・全体として 15年再発率は、年間1000人あたり34.0人だった。

・心原性グループで心血管疾患再発リスクが最も高く、

・脳卒中再発リスクに限定すると、アテローム性動脈硬化グループが最も高かった。

脳梗塞を経験した若年成人が再び心血管疾患になるリスクは長期的にも高かった。特に心原性塞栓症とアテローム性動脈硬化が原因の場合 再発リスクが高かった、


というおはなし。
図:再発しやすい脳梗塞原因

感想:

椎骨動脈解離(VAD)が一番 再発率低いんだな、、

2016年5月21日

ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる


Associations of urinary sodium excretion with cardiovascular events in individuals with and without hypertension: a pooled analysis of data from four studies
2016  5月  カナダ

塩分摂取量は多すぎても少なすぎても脳卒中など心血管疾患になりやすいという報告がいくつかある。

高血圧症の有無を含めてこの関連を確認してみたそうな。


49カ国、55歳前後の男女13万人あまり(半数が高血圧)について24時間の尿中ナトリウム排泄量を測定し、4.2年間のフォロー中に発生した心血管疾患との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・高血圧グループでは塩分摂取量の増加に従い収縮期血圧が上昇した。

・高血圧グループでは、1日あたりのナトリウム排泄量が7g以上または3g未満は その中間量(4-6g)の者に比べ心血管疾患リスクが高かった。

・高血圧でないグループでは、ナトリウム排泄量が7g以上でも心血管疾患リスクの上昇はなかったが、3g未満だと心血管疾患リスクが明らかに上昇した。

高血圧グループでは塩分摂取量が平均よりも増えると心血管疾患リスクが高くなった。一方 塩分摂取量が少ない場合には、高血圧の有無に関わらず心血管疾患リスクが高くなった。減塩を勧めるのはせめて高血圧の人だけにしたほうがいい、


というおはなし。
写真:塩


感想:

ナトリウム3gは塩7.6g。尿に80%が出るとすると 摂取量は9.5gが相当。健康な人はこれを下回らないようにしなさいってことなんだな。

これ↓思い出した。
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

【常識破壊】塩分を控えさせるほど脳卒中死亡者が増えることが判明

2016年5月20日

30歳以下の脳卒中発症率 20年間の傾向


Increasing Incidence of Hospitalization for Stroke and Transient Ischemic Attack in Young Adults: A Registry-Based Study.
2016  5月  デンマーク

55歳以下の脳梗塞の発症率が年々上昇傾向にあるという報告は多い。

そこで、さらに若い15-30歳での傾向を すべての脳卒中の種類について調べてみたそうな。


1994-2012のデンマークの患者記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に脳卒中またはTIAで入院した患者が4156人いた。

・全体として 発症率は上昇傾向にあり、脳卒中は10万人あたり 11.97→16.77人に TIAは1.93→5.81人になった。

・男性の脳梗塞とTIAの発症率は低かったが2006から急増した。

・脳内出血、くも膜下出血の発症率は ほぼ横ばいだった。

15-30歳の脳梗塞とTIAの発症率は90年台なかばから上昇傾向にあった。とくに近年の増加が著しい、


というおはなし。

図:脳梗塞と脳出血の年次傾向

感想:

2006年以降の急な上昇はFASTキャンペーンのせいだと思うね。否定してるけど。

2016年5月19日

ランセット誌:脳虚血かな?と思ったらアスピリン飲め


Effects of aspirin on risk and severity of early recurrent stroke after transient ischaemic attack and ischaemic stroke: time-course analysis of randomised trials
2016  5月  イギリス 

これまでアスピリンによる脳梗塞の再発予防効果は長期的にはわずか(~15%)であると考えられてきた。

しかし再発の多くは早い時期に起きることから短期の経時的な予防効果を調べなおしてみたそうな。


16万人の被検者データを含む脳梗塞の再発研究12件について、
アスピリン使用者の再発結果を 6週間後、12週間後で評価したところ、


次のことがわかった。

・6週間時点での脳梗塞再発リスクはアスピリン使用者で60%低下し、障害を残すリスクも70%以上低下した。

・この効果はTIAや軽微な脳梗塞経験者で顕著だった。

・12週間を過ぎると この効果は確認できなかった。

TIAや軽微な脳梗塞のあとのアスピリンは 再発のリスクをこれまで考えられてきた以上に低下させる。頭の血管詰まったかな?と思ったらすぐにアスピリンを飲むように人々に周知するべきではないか、、


というおはなし。

図:アスピリンの短期再発予防効果

感想:

これ↓思い出した。
アスピリンに脳卒中予防効果はあるのかないのか


追記:

NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

2016年5月18日

歩ける脳卒中経験者に杖を持たせた結果、、


The provision of a cane provides greater benefit to community-dwelling people after stroke with a baseline walking speed between 0.4 and 0.8 metres/second: an experimental study.
2015  10月  オーストラリア

慢性期脳卒中経験者に杖を与えてその影響を調べてみたそうな。


発症後6年前後で自立歩行が可能な脳卒中経験者24人について、歩行スピード別に
低速度グループ(0.4m/s未満)、
中速度グループ(0.4-0.8ms/s)、
高速度グループ(0.8m/sより大)に分けた。

さらに 杖を持たせた時の歩行スピード、歩幅、歩調(ステップ数/分)も測定したところ、


次のことがわかった。

・全体として、杖を使わせても歩幅がやや広くなるほかは、歩行スピード、歩調に大きな違いはでなかった。

・中速度グループでは杖使用によってスピードが0.18m/s速くなり、歩幅が0.07m広くなった。歩調は変わらなかった。

・杖使用前後で 中速度グループは、スピード変化量が高速度グループよりもさらに0.27m/s速く、低速度グループよりもさらに0.12m/s速くなった。

慢性期脳卒中経験者への杖の提供は、中速度の歩行能力者にとってはメリットが大きかった。しかし高速度の歩行ができる者にとってはむしろ害になった、


というおはなし。

図:杖を持たせた脳卒中経験者

感想:

杖を使っても遅いひとは遅いまま、速いひとは遅くなる。
「転ばぬ先の杖」は はやく歩くためのものではないってこと。

2016年5月17日

嚥下障害に咽頭電気刺激はほんとうに効くのか


Pharyngeal Electrical Stimulation for Treatment of Dysphagia in Subacute Stroke
2016  5月  イギリス

脳卒中後の嚥下障害は予後の悪化につながる いっぽうで治療法は限られる。

咽頭電気刺激はこれまで3つのランダム化比較試験で有効であるとされている。
ほんとうのところはどうか、確かめてみたそうな。


脳卒中で嚥下障害の患者162人(平均年齢74、脳梗塞89%)について1回10分間の咽頭電気刺激治療を3日間行い、2、6、12週間後に改善度を評価した。
偽刺激グループも設けて比較した。


次のことがわかった。

・2週間後、誤嚥スケールは両グループで差がなかった。

・6、12週間後の嚥下能力、症状ともにグループ間の差はなかった。

・有害事象はなかった。

脳卒中で嚥下障害の患者への咽頭電気刺激は安全ではあるものの、改善効果はまったく認められなかった、


というおはなし。



感想:

これ↓思い出した。
嚥下リハビリにバイタルスティムセラピーはいかが
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