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2016年5月22日

若年脳梗塞 原因別再発ランキング発表


Cardiovascular events after ischemic stroke in young adults: A prospective follow-up study.
2016  4月  スウェーデン

脳梗塞を経験した若年成人の心血管疾患再発リスクについて、脳梗塞の原因別に長期的に調べてみたそうな。


15-49歳で脳梗塞を経験した970人について10年前後フォローして、15年間での再発リスクを脳梗塞の原因グループ別に推定したところ、


次のようになった。

・フォロー中に29.2%で心血管疾患が起きた。

・全体として 15年再発率は、年間1000人あたり34.0人だった。

・心原性グループで心血管疾患再発リスクが最も高く、

・脳卒中再発リスクに限定すると、アテローム性動脈硬化グループが最も高かった。

脳梗塞を経験した若年成人が再び心血管疾患になるリスクは長期的にも高かった。特に心原性塞栓症とアテローム性動脈硬化が原因の場合 再発リスクが高かった、


というおはなし。
図:再発しやすい脳梗塞原因

感想:

椎骨動脈解離(VAD)が一番 再発率低いんだな、、

2016年5月21日

ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる


Associations of urinary sodium excretion with cardiovascular events in individuals with and without hypertension: a pooled analysis of data from four studies
2016  5月  カナダ

塩分摂取量は多すぎても少なすぎても脳卒中など心血管疾患になりやすいという報告がいくつかある。

高血圧症の有無を含めてこの関連を確認してみたそうな。


49カ国、55歳前後の男女13万人あまり(半数が高血圧)について24時間の尿中ナトリウム排泄量を測定し、4.2年間のフォロー中に発生した心血管疾患との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・高血圧グループでは塩分摂取量の増加に従い収縮期血圧が上昇した。

・高血圧グループでは、1日あたりのナトリウム排泄量が7g以上または3g未満は その中間量(4-6g)の者に比べ心血管疾患リスクが高かった。

・高血圧でないグループでは、ナトリウム排泄量が7g以上でも心血管疾患リスクの上昇はなかったが、3g未満だと心血管疾患リスクが明らかに上昇した。

高血圧グループでは塩分摂取量が平均よりも増えると心血管疾患リスクが高くなった。一方 塩分摂取量が少ない場合には、高血圧の有無に関わらず心血管疾患リスクが高くなった。減塩を勧めるのはせめて高血圧の人だけにしたほうがいい、


というおはなし。
写真:塩


感想:

ナトリウム3gは塩7.6g。尿に80%が出るとすると 摂取量は9.5gが相当。健康な人はこれを下回らないようにしなさいってことなんだな。

これ↓思い出した。
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

【常識破壊】塩分を控えさせるほど脳卒中死亡者が増えることが判明

2016年5月20日

30歳以下の脳卒中発症率 20年間の傾向


Increasing Incidence of Hospitalization for Stroke and Transient Ischemic Attack in Young Adults: A Registry-Based Study.
2016  5月  デンマーク

55歳以下の脳梗塞の発症率が年々上昇傾向にあるという報告は多い。

そこで、さらに若い15-30歳での傾向を すべての脳卒中の種類について調べてみたそうな。


1994-2012のデンマークの患者記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に脳卒中またはTIAで入院した患者が4156人いた。

・全体として 発症率は上昇傾向にあり、脳卒中は10万人あたり 11.97→16.77人に TIAは1.93→5.81人になった。

・男性の脳梗塞とTIAの発症率は低かったが2006から急増した。

・脳内出血、くも膜下出血の発症率は ほぼ横ばいだった。

15-30歳の脳梗塞とTIAの発症率は90年台なかばから上昇傾向にあった。とくに近年の増加が著しい、


というおはなし。

図:脳梗塞と脳出血の年次傾向

感想:

2006年以降の急な上昇はFASTキャンペーンのせいだと思うね。否定してるけど。

2016年5月19日

ランセット誌:脳虚血かな?と思ったらアスピリン飲め


Effects of aspirin on risk and severity of early recurrent stroke after transient ischaemic attack and ischaemic stroke: time-course analysis of randomised trials
2016  5月  イギリス 

これまでアスピリンによる脳梗塞の再発予防効果は長期的にはわずか(~15%)であると考えられてきた。

しかし再発の多くは早い時期に起きることから短期の経時的な予防効果を調べなおしてみたそうな。


16万人の被検者データを含む脳梗塞の再発研究12件について、
アスピリン使用者の再発結果を 6週間後、12週間後で評価したところ、


次のことがわかった。

・6週間時点での脳梗塞再発リスクはアスピリン使用者で60%低下し、障害を残すリスクも70%以上低下した。

・この効果はTIAや軽微な脳梗塞経験者で顕著だった。

・12週間を過ぎると この効果は確認できなかった。

TIAや軽微な脳梗塞のあとのアスピリンは 再発のリスクをこれまで考えられてきた以上に低下させる。頭の血管詰まったかな?と思ったらすぐにアスピリンを飲むように人々に周知するべきではないか、、


というおはなし。

図:アスピリンの短期再発予防効果

感想:

これ↓思い出した。
アスピリンに脳卒中予防効果はあるのかないのか


追記:

NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

2016年5月18日

歩ける脳卒中経験者に杖を持たせた結果、、


The provision of a cane provides greater benefit to community-dwelling people after stroke with a baseline walking speed between 0.4 and 0.8 metres/second: an experimental study.
2015  10月  オーストラリア

慢性期脳卒中経験者に杖を与えてその影響を調べてみたそうな。


発症後6年前後で自立歩行が可能な脳卒中経験者24人について、歩行スピード別に
低速度グループ(0.4m/s未満)、
中速度グループ(0.4-0.8ms/s)、
高速度グループ(0.8m/sより大)に分けた。

さらに 杖を持たせた時の歩行スピード、歩幅、歩調(ステップ数/分)も測定したところ、


次のことがわかった。

・全体として、杖を使わせても歩幅がやや広くなるほかは、歩行スピード、歩調に大きな違いはでなかった。

・中速度グループでは杖使用によってスピードが0.18m/s速くなり、歩幅が0.07m広くなった。歩調は変わらなかった。

・杖使用前後で 中速度グループは、スピード変化量が高速度グループよりもさらに0.27m/s速く、低速度グループよりもさらに0.12m/s速くなった。

慢性期脳卒中経験者への杖の提供は、中速度の歩行能力者にとってはメリットが大きかった。しかし高速度の歩行ができる者にとってはむしろ害になった、


というおはなし。

図:杖を持たせた脳卒中経験者

感想:

杖を使っても遅いひとは遅いまま、速いひとは遅くなる。
「転ばぬ先の杖」は はやく歩くためのものではないってこと。

2016年5月17日

嚥下障害に咽頭電気刺激はほんとうに効くのか


Pharyngeal Electrical Stimulation for Treatment of Dysphagia in Subacute Stroke
2016  5月  イギリス

脳卒中後の嚥下障害は予後の悪化につながる いっぽうで治療法は限られる。

咽頭電気刺激はこれまで3つのランダム化比較試験で有効であるとされている。
ほんとうのところはどうか、確かめてみたそうな。


脳卒中で嚥下障害の患者162人(平均年齢74、脳梗塞89%)について1回10分間の咽頭電気刺激治療を3日間行い、2、6、12週間後に改善度を評価した。
偽刺激グループも設けて比較した。


次のことがわかった。

・2週間後、誤嚥スケールは両グループで差がなかった。

・6、12週間後の嚥下能力、症状ともにグループ間の差はなかった。

・有害事象はなかった。

脳卒中で嚥下障害の患者への咽頭電気刺激は安全ではあるものの、改善効果はまったく認められなかった、


というおはなし。



感想:

これ↓思い出した。
嚥下リハビリにバイタルスティムセラピーはいかが

2016年5月16日

医師の脳内出血予後予測はあてにならないことが判明


Variability in physician prognosis and recommendations after intracerebral hemorrhage
2016  4月  アメリカ

医師による脳内出血患者の予後予測のバラつきを調べてみたそうな。


神経科の医師742人に脳内出血患者の症状、意識レベル、血液検査、CT画像、血腫体積などの情報例をいくつか与え、30日死亡率の予測と治療方針を決定させた。

別に予後予測スコアを加えたときの治療方針も確認した。


次のようになった。

・30日死亡率予測は医師ごとに0-100%まで大きく異なった。

・保存療法から積極治療まで方針も様々だった。

・これらの違いに医師の宗教信条などは関連しなかった。

・予後予測スコアは極端に低いか高い場合に治療方針に影響した。

脳内出血患者の予後予測は医師ごとにまったくバラバラだった、


というおはなし。

図:脳内出血30日死亡予測

感想:

だからこういうこと↓が起きるんだね。
すぐに亡くなるだろうと思って家族に臓器提供をお願いしたら患者にバッチリ聞かれていたという恐怖体験

2016年5月15日

バランス力を改善する効果的な首刺激法とは


Short-term effect of neck muscle vibration on postural disturbances in stroke patients.
2016  5月  フランス

脳卒中のあと バランス感覚の乱れはリハビリの妨げになる。

首筋肉の深部感覚は前庭神経、視覚神経系にリンクがあり 姿勢制御に影響することがわかっている。

そこで首の筋肉に振動刺激を与えたときのバランス能力への影響を確かめてみたそうな。


平均年齢62、発症3ヶ月以内の脳卒中患者31人(右脳損傷15人、左脳損傷16人)について、首筋肉への振動刺激10分間ののち足圧中心を測定してバランス能力を評価した。

首筋肉刺激は、損傷脳と反対側の首の後ろに振動子を着け、暗い部屋で患者正面に点状の明かりを投影して行った。

このとき光点が損傷脳側へ向かって移動する錯覚が起きる患者がいるので、彼らを区別した。


次のようになった。

・首筋肉振動刺激で脳卒中後のバランスの側方へのゆらぎが減少した。

・64.5%が光点の移動錯覚を経験した。

・この錯覚のある患者はない患者にくらべ首筋振動によるバランス改善効果が大きかった。

脳卒中患者への首筋肉振動刺激により姿勢の非対称性が改善した。この短時間の振動刺激は光点移動錯覚の起きる患者ほど効果的だった、


というおはなし。

図:首振動刺激よイリュージョン


感想:

電動マッサージ器で簡単に実験できるね。

2016年5月14日

脳卒中後の疼痛とリハビリへの影響


Pain syndromes in hemiplegic patients and their effects on rehabilitation results.
2016  3月  トルコ

脳卒中で片麻痺患者の疼痛の種類と部位、リハビリへの影響を調べてみたそうな。


平均年齢64、156人の患者記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・疼痛のある患者の割合は29.5%で、

・86.7%が炎症や刺激による侵害受容性疼痛だった。

・13.3%は神経系の機能異常による神経障害性疼痛だった。

・ほとんどの疼痛は肩に集中していた。

・投薬による疼痛治療には有意な効果が認められた。

・疼痛あり、なしの両グループでリハビリ前後で運動機能、機能的自立度は改善し、グループ間の差は確認できなかった。

脳卒中後の疼痛は 侵害受容性疼痛のほうが神経障害性疼痛よりもずっと多く、ほとんどが肩関節に集中しており リハビリ成果には影響しなかった、


というおはなし。



感想:

なんで肩 痛くなるんだろう?なっとくのいく説明みたことないんだよな。

2016年5月13日

アスピリンに脳卒中予防効果はあるのかないのか


Aspirin for Stroke Prevention in Elderly Patients With Vascular Risk Factors
2016  5月  日本

脳卒中再発予防の抗血小板薬として アスピリンは世界でひろく使用されている。しかしアスピリンの脳卒中一次予防効果については議論が多く しかもアジア人でのエビデンスはほとんどない。

そこで アスピリンの脳卒中予防効果を日本人で大規模に調べてみたそうな。


60-85歳で高血圧、脂質異常、糖尿病などをもつ14464人についてアスピリン処方グループとアスピリンなしグループに分けて5年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間の脳卒中発生率は両グループでほぼ同じだった。

・アスピリングループでは脳梗塞とTIAが少なかったが有意なほどではなかった。

・アスピリングループで脳内出血が多かったが有意な差ではなかった。

・しかし70歳以上で喫煙習慣や糖尿病がある場合、アスピリンの脳卒中予防効果は明らかに 無かった。

アスピリンの脳卒中予防効果は、少なくとも脳卒中のリスク要因を持つ70歳以上の日本人では まったくその効果が認められなかった、


というおはなし。

図:アスピリン脳卒中予防効果

感想:

効果がひじょうに微妙だということはよーくわかった。



追記:

NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

2016年5月12日

上肢リハビリが楽しくなるスマホアプリは これ


Towson professors develop rehabilitation app
2016  5月  アメリカ

アメリカの大学が脳卒中患者向けに上肢リハビリ用モバイルアプリを製作したというニュース。



概要:

・タウソン大学の3人の教授が協力して脳卒中患者の上肢訓練iPhoneアプリを製作した。→ARMSrokes

・このアプリは患者ごとに訓練内容を最適化でき、データを蓄積してPTやOTが評価できるようにもなっている。

・患者のひとりはリハビリやる気がないときでもこのアプリなら童心に帰って楽しむことができると感想を述べている。

・現在はさらなる改良のためアプリを調整中である。被検者を募集しているのでウェブサイトから応募してほしい、


というおはなし。


感想:

失語むけの学習系モバイルアプリはいままでにもあった。運動系で腕を大きく動かすタイプは初めて見る。

で、私のイチオシはこれ↓
Force Saber of Light

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