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2016年1月13日

脳梗塞の再発率 10年間の傾向


Trends in Incident and Recurrent Rates of First-Ever Ischemic Stroke in Taiwan between 2000 and 2011.
2015  12月  台湾

脳梗塞の発生と再発について過去10年間の傾向をアジア人で調べてみたそうな。


2001-2011 台湾の18歳以上の初回脳梗塞患者すべてのデータを解析したところ、


次のことがわかった。

・平均年齢70、291381人の患者が対象になった。

・この間に糖尿病や高脂血症が増加し、スタチン、抗血小板薬、抗凝血薬の使用も著しく増えたにも関わらず、

・脳梗塞の発生は10万人あたり142.3→129.5人に減少し、

・1年再発率も9.6%→7.8%に低下した。

過去10年間に台湾の脳梗塞の発生率は9%低下し 1年再発率も18%下がった、


というおはなし。

図:1年再発率

感想:

お薬のおかげなのか、、、

2016年1月12日

若年者の73%が脳卒中をナメていることが明らかに


Survey finds 73 percent unaware of stroke symptoms
2016  1月  アメリカ

脳梗塞の有効な治療には発症から3時間までというリミットがある。

45歳未満の若年者の脳卒中に対する意識調査をしたそうな。


18-45歳の健常な1000人あまりにアンケートしたところ、


次のことがわかった。

・73%が脳卒中の症状がでてもすぐには病院にゆかず 良くなるかどうか様子をみたい、と考えていた。

90年台から若年脳卒中患者は53%も増えている。彼らへ脳卒中の症状と事態の緊急性を教育する必要があるだろう、


というおはなし。

図:若年者の脳卒中

感想:

発症当日、からだの異常にはっきりと気付いたのは14時ころだった。のちに振り返るとすでに7時には手足の痺れを感じていた。発症時刻認識の誤差は軽く数時間に及ぶ。

それに対してタイムウィンドウ3時間は狭すぎる。

だからFAST(face,arm,speech,time)の考え方は机上の空論にしか思えないんだ。

2016年1月11日

音楽サポート療法は脳の可塑性を促すのか?


Music supported therapy promotes motor plasticity in individuals with chronic stroke.
2015  12月  スペイン

音楽サポート療法は 視覚、運動、聴覚、感情、認知など多くのモードを通して脳の可塑性を促すリハビリ法である。

脳機能を測定するMRIを使ってその効果を確かめてみたそうな。


慢性期脳卒中患者20人について音楽サポート療法での 運動、認知、情動の変化を調べた。

また、脳活動と聴覚-運動野の結合性をfMRIで測定し 健常者と比較したところ、


次のことがわかった。

・損傷側の脳半球に聴覚-運動野の活動および結合性の明らかな変化が確認できた。

・これは健常者には見られない変化だった。

・脳活動と聴覚-運動野の結合性の上昇は 麻痺手の運動機能の改善と連動していた。

音楽サポート療法は慢性期脳卒中患者のリハビリに適しているのかも知れない、


というおはなし。


感想:

結合性(connectivity)のはなしはどの程度信用できるものなのか いまいち実感がないな、、

10年前に10分で撮った私の脳の機能画像↓↓↓(ビデオ)

2016年1月10日

リーマン・ショックで脳卒中になり亡くなった人の特徴


Stroke-attributable death among older persons during the great recession.
2015  12月  アメリカ

人は失業などの強いストレス下にあると脳卒中リスクが高まるといわれている。

そこでリーマン・ショックの影響を脳卒中死亡率で調べてみたそうな。


カルフォルニア州 2000-2010年の132ヶ月間にわたる人口動態統計データを解析したところ、


次のことがわかった。

・リーマン・ショック後に脳卒中が原因の死亡が増えていた。

・特に非ヒスパニック系の白人で 脳卒中死亡率が5%上昇していた。

・しかし総死亡率に変化はなかった。

・リーマン・ショック後の36ヶ月間に、通常は他の原因で死亡するはずの白人高齢者879人が脳卒中で亡くなっていた。

リーマン・ショックは白人高齢者の死亡原因に影響を与えたのかもしれない、


というおはなし。

写真:リーマン・ショック


感想:

リーマン・ショック真っ最中の時期に入院してたので 当時どれだけ話題になったのかぜんぜん知らないんだ。

2016年1月9日

病院で脳梗塞→すぐに治療できるから安心... ところが


Comparison of outcomes of patients with inpatient or outpatient onset ischemic stroke.
2016  1月  アメリカ

脳梗塞の再還流治療には適した時間が限られているため患者が病院に早く到着できるよう改善が進められている。

既に入院している患者ではそのあたりはどうなのか、調べてみたそうな。


2009-2013に新たに脳梗塞になった患者176571人のうち、脳卒中とは別の病気ですでに入院していて脳梗塞になった者 および外来の患者に分けてフォローしたところ、


次のことがわかった。

・全体の90.7%が外来の患者で、9.3%がすでに入院していて脳梗塞になった患者だった。

・すでに入院していた患者の死亡率は高く、入院日数は長かった。

・さらに血栓溶解治療や機械的血栓除去術などが行われる率も低かった。

すでに入院中の患者が脳梗塞になった場合、血栓溶解治療などが行われることは少なく、外来の脳梗塞患者よりも死亡率は高く入院も長かった、


というおはなし。

図:入院患者

感想:

医療のプロ集団のまっただ中に居て、脳卒中のサインがうっかり見逃される可能性はとても低い。なのに治療が行われないのはなぜか?

血栓溶解治療のすばらしさをマスコミに謳っているのは脳外のお医者さんだけであって、他科ではその有効性の高さをほとんど認めていない、ってことなんだと思う。

2016年1月8日

日本人脳卒中患者の復職率と退職者の特徴


Sickness absence and return to work among Japanese stroke survivors: a 365-day cohort study.
2016  1月  日本

脳卒中で復職できた人 または退職を決断した人の特徴を調べてみたそうな。


脳卒中を経験した日本人労働者382人の医療記録から、発症後フルタイム勤務に戻れるまでの期間および患者の割合を求めたところ、


次のようになった。

・発症からの期間毎の復職率はそれぞれ、60日後→15.1%、120日後→33.6%、180日後→43.5%、365日後→62.4% だった。

・脳内出血は脳梗塞よりも復職までに時間がかかった。

・50歳以上だと若い患者よりも退職決断までの期間が短かった。

・肉体労働者よりもデスクワーカーのほうが退職の決断が早かった。

日本人脳卒中患者の復職率は、脳卒中の種類、年齢によって異なっていた、


というおはなし。

図:職場復帰


感想:

調査対象が大企業社員のみなんだって。世間は中小企業がほとんんどだから実際のところはどうなのかな。
デスクワーカーがサッサと辞める理由がわからないって書いてあった。オレにはわかる気がする、、

2016年1月7日

朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!


Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease
The Japan Public Health Center–Based Study
2016年  1月  日本

朝食と脳卒中との関連を日本人で調べてみたそうな。


45-74歳、日本の82772人について 10数年間フォローして、朝食の摂取頻度(回/週)と脳卒中など心血管疾患との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に 脳内出血1051件、クモ膜下出血417件、脳梗塞2286件、冠動脈疾患870件が起きた。

・毎日朝食を摂る者に比べ まったく摂らない者のリスクは脳卒中全体で1.18倍、

・脳内出血に限定すると1.36倍だった。

・冠動脈疾患との関連は見られなかった。

日本人では 朝食を摂る頻度が低くなるほど脳卒中になりやすかった。特に、脳内出血のリスクが高かった、


というおはなし。

写真:日本の朝食

感想:

そういえば当時、朝ごはんたべてなかったなぁ、、入院直後の血液検査でコレステロール異常に低くて『ご飯食べてなかったんでしょ!』って看護師さんに叱られた思い出。

2016年1月6日

入院中→退院後の身体活動量は


Changes in the physical activity of acute stroke survivors between inpatient and community living with early supported discharge: an observational cohort study.
2015  12月  イギリス

入院中と退院後の身体活動を調べて脳卒中患者の早期退院支援の目安を考えてみたそうな。


平均年齢69、41人の脳卒中患者について、
座位、立位、歩行の各時間および歩数を
入院中と自宅への退院後で計測 比較したところ、


次のようになった。

・すべての項目で有意な差があった。

・退院後、歩数は 474→1193で2倍以上になり、

・立位の時間は 51分→100分に増えた。

退院後、身体活動量はおよそ2倍になった。早期退院支援はこのあたりの活動量を目安にするといいだろう、


というおはなし。

図:病院と早期退院支援の歩数


感想:

「早期退院支援(early supported discharge)」は外国の考え方とはいうけれど、オレは入院したその日のうちに 一刻も早く退院するよう勧められた。

すこしでも元気そうな患者には病棟の床やトイレの掃除をやらせればいいんじゃないかな。早く退院したくなる。

2016年1月5日

転倒を経験すると入院延びるの?


Do falls experienced during in-patient stroke rehabilitation affect length of stay, functional status, and discharge destination?
2015  12月  カナダ

入院中に転倒を経験した脳卒中患者に回復度の違いがあるものか、調べてみたそうな。


リハビリ入院中に転倒経験のある脳卒中患者106人と、転倒経験のない106人の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・転倒経験者は非経験者よりも入院日数が平均で11日間長かった。

・退院時の機能的自立度に両グループで差はなく、

・退院先が自宅の割合は、非転倒者で77% 転倒者で74%だった。

リハビリ入院中に転倒を経験した脳卒中患者の入院日数は長かった。しかし、退院時の機能的自立度や退院先への影響はなかった、


というおはなし。

図:脳卒中患者の転倒経験

感想:

入院中ベッドに腰掛けていて突然滑り落ちたことがある。どこで見ていたのか そのあと看護師さんにキツく叱られた。なにもわるいことしてないのに、、

2016年1月4日

2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について


Paradoxical Motor Recovery From a First Stroke After Induction of a Second Stroke: Reopening a Postischemic Sensitive Period.
2015  12月  アメリカ

脳卒中のあとには 訓練に応じて回復がとてもはかどる期間がある。このときの脳の可塑性の高さは虚血によってもたらされたと考えられる。

そこで、脳卒中の慢性期にもう一度脳卒中になったら再び可塑性が高まるのではないか、、という仮説を動物で検証してみたそうな。


えさを掴む訓練を充分に施したネズミの運動野に脳卒中を起こして、
7日後から前肢のリハビリを19日間施した。

途中、別のグループには2度めの脳卒中を起こし その翌日から前肢リハビリを継続した。


次のようになった。

・2度めの脳卒中がないグループでは前肢の機能回復が不十分だった。

・2度めの脳卒中を起こしたグループは元のレベルにまで劇的に回復した。

あらたな虚血状態が脳の可塑性を再度促し、続くリハビリにより元の運動機能を取り戻すことができた、


というおはなし。
図:2度めの脳卒中


感想:

すごいはなしだ。となると脳卒中の再発はさらなる回復へのチャンスなのか!?

2016年1月3日

中枢性疼痛の割合と効いた薬


Central Post Stroke Pain Can Occur with Normal Sensation.
2015  12月  インド

脳卒中後の中枢性疼痛の特徴を調べてみたそうな。


319人の脳卒中患者について調査したところ、


次のことがわかった。

・20.7%が中枢性疼痛だった。

・彼らの年齢中央値は55歳、31.8%が女性だった。

・中枢性疼痛の発症時期、期間、部位は共通していなかった。

・中枢性疼痛の重症度と脳の損傷位置との関連はなかった。

・42.3%の患者は温度感覚や痛覚が正常だった。

・プレガバリン(商品名リリカ)が半数の患者の疼痛レベルを50%以上緩和した。

中枢性疼痛は脳卒中患者の20.7%に見られた。温痛覚が正常な患者も多くいたことから 脊髄視床路の損傷が条件ではないかもしれない。脳の損傷位置と疼痛の重症度との関連はなかった、


というおはなし。

図:中枢性疼痛


感想:

感覚が少し戻りかけたころだろうか、車いすの金属フレームに触れるたびに痛くて、静電気のせいだと思っていた。水に触れても痛いことがわかって、おやおや?と思った。
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