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2016年1月11日

音楽サポート療法は脳の可塑性を促すのか?


Music supported therapy promotes motor plasticity in individuals with chronic stroke.
2015  12月  スペイン

音楽サポート療法は 視覚、運動、聴覚、感情、認知など多くのモードを通して脳の可塑性を促すリハビリ法である。

脳機能を測定するMRIを使ってその効果を確かめてみたそうな。


慢性期脳卒中患者20人について音楽サポート療法での 運動、認知、情動の変化を調べた。

また、脳活動と聴覚-運動野の結合性をfMRIで測定し 健常者と比較したところ、


次のことがわかった。

・損傷側の脳半球に聴覚-運動野の活動および結合性の明らかな変化が確認できた。

・これは健常者には見られない変化だった。

・脳活動と聴覚-運動野の結合性の上昇は 麻痺手の運動機能の改善と連動していた。

音楽サポート療法は慢性期脳卒中患者のリハビリに適しているのかも知れない、


というおはなし。


感想:

結合性(connectivity)のはなしはどの程度信用できるものなのか いまいち実感がないな、、

10年前に10分で撮った私の脳の機能画像↓↓↓(ビデオ)

2016年1月10日

リーマン・ショックで脳卒中になり亡くなった人の特徴


Stroke-attributable death among older persons during the great recession.
2015  12月  アメリカ

人は失業などの強いストレス下にあると脳卒中リスクが高まるといわれている。

そこでリーマン・ショックの影響を脳卒中死亡率で調べてみたそうな。


カルフォルニア州 2000-2010年の132ヶ月間にわたる人口動態統計データを解析したところ、


次のことがわかった。

・リーマン・ショック後に脳卒中が原因の死亡が増えていた。

・特に非ヒスパニック系の白人で 脳卒中死亡率が5%上昇していた。

・しかし総死亡率に変化はなかった。

・リーマン・ショック後の36ヶ月間に、通常は他の原因で死亡するはずの白人高齢者879人が脳卒中で亡くなっていた。

リーマン・ショックは白人高齢者の死亡原因に影響を与えたのかもしれない、


というおはなし。

写真:リーマン・ショック


感想:

リーマン・ショック真っ最中の時期に入院してたので 当時どれだけ話題になったのかぜんぜん知らないんだ。

2016年1月9日

病院で脳梗塞→すぐに治療できるから安心... ところが


Comparison of outcomes of patients with inpatient or outpatient onset ischemic stroke.
2016  1月  アメリカ

脳梗塞の再還流治療には適した時間が限られているため患者が病院に早く到着できるよう改善が進められている。

既に入院している患者ではそのあたりはどうなのか、調べてみたそうな。


2009-2013に新たに脳梗塞になった患者176571人のうち、脳卒中とは別の病気ですでに入院していて脳梗塞になった者 および外来の患者に分けてフォローしたところ、


次のことがわかった。

・全体の90.7%が外来の患者で、9.3%がすでに入院していて脳梗塞になった患者だった。

・すでに入院していた患者の死亡率は高く、入院日数は長かった。

・さらに血栓溶解治療や機械的血栓除去術などが行われる率も低かった。

すでに入院中の患者が脳梗塞になった場合、血栓溶解治療などが行われることは少なく、外来の脳梗塞患者よりも死亡率は高く入院も長かった、


というおはなし。

図:入院患者

感想:

医療のプロ集団のまっただ中に居て、脳卒中のサインがうっかり見逃される可能性はとても低い。なのに治療が行われないのはなぜか?

血栓溶解治療のすばらしさをマスコミに謳っているのは脳外のお医者さんだけであって、他科ではその有効性の高さをほとんど認めていない、ってことなんだと思う。

2016年1月8日

日本人脳卒中患者の復職率と退職者の特徴


Sickness absence and return to work among Japanese stroke survivors: a 365-day cohort study.
2016  1月  日本

脳卒中で復職できた人 または退職を決断した人の特徴を調べてみたそうな。


脳卒中を経験した日本人労働者382人の医療記録から、発症後フルタイム勤務に戻れるまでの期間および患者の割合を求めたところ、


次のようになった。

・発症からの期間毎の復職率はそれぞれ、60日後→15.1%、120日後→33.6%、180日後→43.5%、365日後→62.4% だった。

・脳内出血は脳梗塞よりも復職までに時間がかかった。

・50歳以上だと若い患者よりも退職決断までの期間が短かった。

・肉体労働者よりもデスクワーカーのほうが退職の決断が早かった。

日本人脳卒中患者の復職率は、脳卒中の種類、年齢によって異なっていた、


というおはなし。

図:職場復帰


感想:

調査対象が大企業社員のみなんだって。世間は中小企業がほとんんどだから実際のところはどうなのかな。
デスクワーカーがサッサと辞める理由がわからないって書いてあった。オレにはわかる気がする、、

2016年1月7日

朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!


Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease
The Japan Public Health Center–Based Study
2016年  1月  日本

朝食と脳卒中との関連を日本人で調べてみたそうな。


45-74歳、日本の82772人について 10数年間フォローして、朝食の摂取頻度(回/週)と脳卒中など心血管疾患との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に 脳内出血1051件、クモ膜下出血417件、脳梗塞2286件、冠動脈疾患870件が起きた。

・毎日朝食を摂る者に比べ まったく摂らない者のリスクは脳卒中全体で1.18倍、

・脳内出血に限定すると1.36倍だった。

・冠動脈疾患との関連は見られなかった。

日本人では 朝食を摂る頻度が低くなるほど脳卒中になりやすかった。特に、脳内出血のリスクが高かった、


というおはなし。

写真:日本の朝食

感想:

そういえば当時、朝ごはんたべてなかったなぁ、、入院直後の血液検査でコレステロール異常に低くて『ご飯食べてなかったんでしょ!』って看護師さんに叱られた思い出。

2016年1月6日

入院中→退院後の身体活動量は


Changes in the physical activity of acute stroke survivors between inpatient and community living with early supported discharge: an observational cohort study.
2015  12月  イギリス

入院中と退院後の身体活動を調べて脳卒中患者の早期退院支援の目安を考えてみたそうな。


平均年齢69、41人の脳卒中患者について、
座位、立位、歩行の各時間および歩数を
入院中と自宅への退院後で計測 比較したところ、


次のようになった。

・すべての項目で有意な差があった。

・退院後、歩数は 474→1193で2倍以上になり、

・立位の時間は 51分→100分に増えた。

退院後、身体活動量はおよそ2倍になった。早期退院支援はこのあたりの活動量を目安にするといいだろう、


というおはなし。

図:病院と早期退院支援の歩数


感想:

「早期退院支援(early supported discharge)」は外国の考え方とはいうけれど、オレは入院したその日のうちに 一刻も早く退院するよう勧められた。

すこしでも元気そうな患者には病棟の床やトイレの掃除をやらせればいいんじゃないかな。早く退院したくなる。

2016年1月5日

転倒を経験すると入院延びるの?


Do falls experienced during in-patient stroke rehabilitation affect length of stay, functional status, and discharge destination?
2015  12月  カナダ

入院中に転倒を経験した脳卒中患者に回復度の違いがあるものか、調べてみたそうな。


リハビリ入院中に転倒経験のある脳卒中患者106人と、転倒経験のない106人の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・転倒経験者は非経験者よりも入院日数が平均で11日間長かった。

・退院時の機能的自立度に両グループで差はなく、

・退院先が自宅の割合は、非転倒者で77% 転倒者で74%だった。

リハビリ入院中に転倒を経験した脳卒中患者の入院日数は長かった。しかし、退院時の機能的自立度や退院先への影響はなかった、


というおはなし。

図:脳卒中患者の転倒経験

感想:

入院中ベッドに腰掛けていて突然滑り落ちたことがある。どこで見ていたのか そのあと看護師さんにキツく叱られた。なにもわるいことしてないのに、、

2016年1月4日

2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について


Paradoxical Motor Recovery From a First Stroke After Induction of a Second Stroke: Reopening a Postischemic Sensitive Period.
2015  12月  アメリカ

脳卒中のあとには 訓練に応じて回復がとてもはかどる期間がある。このときの脳の可塑性の高さは虚血によってもたらされたと考えられる。

そこで、脳卒中の慢性期にもう一度脳卒中になったら再び可塑性が高まるのではないか、、という仮説を動物で検証してみたそうな。


えさを掴む訓練を充分に施したネズミの運動野に脳卒中を起こして、
7日後から前肢のリハビリを19日間施した。

途中、別のグループには2度めの脳卒中を起こし その翌日から前肢リハビリを継続した。


次のようになった。

・2度めの脳卒中がないグループでは前肢の機能回復が不十分だった。

・2度めの脳卒中を起こしたグループは元のレベルにまで劇的に回復した。

あらたな虚血状態が脳の可塑性を再度促し、続くリハビリにより元の運動機能を取り戻すことができた、


というおはなし。
図:2度めの脳卒中


感想:

すごいはなしだ。となると脳卒中の再発はさらなる回復へのチャンスなのか!?

2016年1月3日

中枢性疼痛の割合と効いた薬


Central Post Stroke Pain Can Occur with Normal Sensation.
2015  12月  インド

脳卒中後の中枢性疼痛の特徴を調べてみたそうな。


319人の脳卒中患者について調査したところ、


次のことがわかった。

・20.7%が中枢性疼痛だった。

・彼らの年齢中央値は55歳、31.8%が女性だった。

・中枢性疼痛の発症時期、期間、部位は共通していなかった。

・中枢性疼痛の重症度と脳の損傷位置との関連はなかった。

・42.3%の患者は温度感覚や痛覚が正常だった。

・プレガバリン(商品名リリカ)が半数の患者の疼痛レベルを50%以上緩和した。

中枢性疼痛は脳卒中患者の20.7%に見られた。温痛覚が正常な患者も多くいたことから 脊髄視床路の損傷が条件ではないかもしれない。脳の損傷位置と疼痛の重症度との関連はなかった、


というおはなし。

図:中枢性疼痛


感想:

感覚が少し戻りかけたころだろうか、車いすの金属フレームに触れるたびに痛くて、静電気のせいだと思っていた。水に触れても痛いことがわかって、おやおや?と思った。

2016年1月2日

脳卒中で泣き笑いが止まらない患者の特徴


Clinical Features and Related Factors of Poststroke Pathological Laughing and Crying: A Case-Control Study.
2015  12月  中国

脳卒中のあとに病的な泣き笑い症状を示す患者の特徴を調べてみたそうな。


病的な泣き笑い症状のある脳卒中患者56人とない脳卒中患者56人の記録から脳の損傷位置、認知機能、怒りっぽさテストの結果を解析したところ、


次のことがわかった。

・病的な泣き笑い症状の患者は軽度認知障害、怒り傾向が明らかに強かった。

・病的泣き笑い患者のほとんどに脳幹部の橋 両側に複数の病変を確認できた。

脳卒中後に病的な泣き笑い症状のある患者の多くは橋に病変があり、軽度認知障害、怒り傾向を示していた、


というおはなし。

図:泣き笑い

感想:

笑いが止まらなくなったことが何度かあったので関心をもった。

これ思い出した。↓
感情失禁になる患者の割合について

2016年1月1日

減塩指導したら死者続出


Reducing Salt Intake Might Harm Heart Failure Patients, Study Claims
2015  12月  アメリカ

心不全患者のさらなる高血圧予防のために減塩指導をしたところ 大変な結果になってしまったそうな。


心不全患者833人の3年間のフォロー記録から ナトリウム制限食の130人およびナトリウム制限なしの130人を抽出し、比較 解析したところ、


次のことがわかった。

・この間にナトリウム制限食の42%、制限なしの26%が死にかけて入院した。

・ナトリウム制限食の患者は死亡または入院するリスクが85%高かった。

心不全患者に減塩食を勧めると死んでしまいやすくなるのかも知れない、


というおはなし。

写真:食塩


感想:

こういう常識を覆す系のはなしはおもしろい。じつはこの数ヶ月間、糖質制限食に夢中なんだ、、
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