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2015年10月7日

ベーコンやソーセージばかり食べてると脳卒中になりやすいの?


Unprocessed red meat and processed meat consumption and risk of stroke in the Spanish cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC).
2015  9月  スペイン

家畜肉をベーコンやソーセージなどに加工して摂る場合と、未加工な肉として摂る場合とで脳卒中リスクが異なるか調べてみたそうな。


26-69歳の男女41020人を約14年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に脳梗塞531件、脳内出血79件、くも膜下出血42件が起きた。

・加工肉、未加工肉ともに、男女いずれも脳卒中発生率との関連は見られなかった。

・肉をよく摂る人の脳卒中リスクは ほとんど摂らない者に比べ、男性で未加工肉で0.81倍、加工肉0.92倍、女性ではそれぞれ1.21倍、0.81倍だった。

・脳梗塞に限定すると、男性で未加工肉0.80倍、加工肉0.86倍、女性ではそれぞれ1.24倍、0.82倍だった。


家畜肉の摂取は加工、未加工によらず男女ともに脳卒中リスクとの関連は確認できなかった、


というおはなし。



感想:

red meat(赤肉)ってよく出てくるんだけど white meat(白肉)と対になってて、

Red meat-牛肉>羊肉>豚肉>鶏肉もも>鶏肉むね>魚肉-White meat

だいたいこんな感じで境界は資料によりまちまち。

この論文では魚肉と区別するくらいの意味で使っていると考えた。

2015年10月6日

脳卒中のtDCS治療は電極が小さいほど効果的


Transcranial Direct Current Stimulation Post-Stroke Upper Extremity Motor Recovery Studies Exhibit a Dose-Response Relationship.
2015  9月  アメリカ

脳卒中患者へのtDCS(経頭蓋直流電気刺激)治療で、効き目と電流量に関連があるものか調べてみたそうな。


関係する過去の研究から信頼性の高いものを厳選し、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者213人を含む8件の上肢 関連研究が見つかった。

・偽刺激に比べ、tDCS治療には明らかな改善効果が認められた。

・特に、左右脳同時刺激で大きな改善が得られた。

・電流の大きさよりも、電極上の電流密度や電荷密度と改善効果に用量関係が見られた。

・電極が小さいほど効果的だった。


tDCSの上肢機能改善効果は明らかであり、小さな電極に電流が多いほど効果が高かった、


というおはなし。
図:tDCS


感想:

tDCSを信じていない理由は 以前ここに↓書いた。
tDCS(経頭蓋直流電気刺激)にもハイビジョンがあった
電極を小さくして電流密度を高くすればより激しくチクチクするわけで、それに連れて効果も上がるというのは まさにプラシーボ効果である証だと思うのだが、、、

2015年10月5日

障害の残らない梗塞の大きさが明らかに


Final infarct volume discriminates outcome in mild strokes.
2015  10月  アメリカ

軽症の脳梗塞から完全回復できる梗塞の限界の大きさを調べてみたそうな。


神経症状の軽い脳梗塞患者65人について最終的な梗塞の体積と回復度との関連を解析した。

日常生活指標である修正ランキンスケール( modified Rankin scale )を使って、

mRS 0-1 障害なし と mRS 2-6 障害あり、の境目になる最大の梗塞体積を求めた。


次のようになった。

・障害が残るか否かを決める梗塞体積は20mLとなった。

・梗塞体積20mL未満では82%の患者が障害なしだった一方、

・20mL以上では障害なし患者は36%にとどまった。

・この関連は年齢、性別、神経症状の重さに依らなかった。


軽症脳梗塞患者の場合、のちに障害が残らない最大梗塞体積として 20mLが最適だった、


というおはなし。

図:修正ランキンスケール


感想:

すこし前のこの記事↓では 39mLだったが mRS 0-2 を回復良好としていたから、つじつまはあう。
のうこうそく この体積なら だいじょうぶ
ちなみに 20mLって直径3cmくらいの球に相当する。

2015年10月4日

運動イメージ中の脳半球間バランスについて


The functional anatomy of motor imagery after sub-acute stroke.
2015  7月  ドイツ

運動イメージ訓練は脳の運動皮質の活動と密接な関連がある。

脳卒中患者での運動イメージ中の脳半球間バランスを調べてみたそうな。


亜急性期脳梗塞患者17人と健常者12人について、握り動作とその運動イメージ時の脳活動をfMRIで観察した。脳活動の優位半球度(Laterality index)を前運動野について評価した。


次のことがわかった。

・握り動作時の優位半球度は、健常者0.48、患者0.12で両者の差は大きかったが、

・運動イメージ時は健常者-0.03、患者-0.12で、両グループともに半球間バランスが保たれていた。

・患者では運動イメージ時に損傷脳と反対側に活動がシフトする傾向があった。


脳卒中患者の運動イメージ時に、脳の運動皮質の活動バランスが半球間で保たれていた。運動イメージ訓練をリハビリに追加する根拠になるかもしれない、


というおはなし。

図:半球間バランス


感想:

最初の数週間 左腕の感覚が完全にゼロだった頃、動作をイメージすると身体から見えない腕が分離して出てきたものだった。こういうときの脳活動をみてもらいたいものだねぇ、、

2015年10月3日

「日中の過度な眠気」脳卒中患者の場合


Causes of Excessive Daytime Sleepiness in Patients with Acute Stroke-A Polysomnographic Study.
2015  9月  スロバキア

一般に、日中の過度な眠気は睡眠呼吸障害に原因があると言われている。

日中の過度な眠気を示す脳卒中患者についてその原因を調べてみたそうな。


102人の急性期脳卒中患者について、入院から4日以内に終夜睡眠ポリグラフィ検査を行い睡眠呼吸障害を調べた。

日中の眠気の程度も調べ関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・日中の過度な眠気は患者の21人(20.6%)に見られた。

・それら患者21人の多くに睡眠時の無呼吸があり、非レム睡眠時の呼吸障害指数も高く、レム睡眠時間が有意に短かった。

・レム睡眠時間の長さは日中の過度な眠気と明らかな関連があった。


日中の過度な眠気を訴える脳卒中患者の多くは睡眠呼吸障害だった。これを積極的に治療するとして どういう効果があるのかはよくわからない、


というおはなし。

図:レム睡眠

感想:

日中の過度な眠気は脳卒中になるはるか以前から悩まされてきた。夢を憶えていないほど疲れきって眠る状態が呼吸障害を呼ぶのかな?

2015年10月2日

若くして脳梗塞になるのは遺伝のせいなのか?


Heritability of young- and old-onset ischaemic stroke.
2015  9月  アメリカ

脳卒中に遺伝要因があることはわかっているが、若年者と高齢者のどちらにより影響するものなのかは明らかではない。

そこで、ゲノム解析から脳梗塞リスクの遺伝率の違いを調べてみたそうな。


ヨーロッパ人の脳梗塞患者4050人および健常者5765人について、ゲノムアレイ検査を行い 脳梗塞リスクの遺伝率を若年者と高齢者について解析したところ、


次のようになった。

・サンプルの47%が55歳未満の若年者だった。

・若年脳梗塞リスクの遺伝率は42%、高齢者のそれは34% となった。


脳梗塞リスクの遺伝的寄与率は若年脳梗塞で高齢者よりも大きかったが、統計学的有意な差ではなかった、


というおはなし。


感想:

15年くらいまえに、ある珍しい病気の遺伝子の個人差をみるために組織サンプルからDNAを一文字ずつ読み取りメチル化の有無も調べる実験を1年間ほどやってた。

だからこの種の話はわかるつもりでいたんだけど 浦島太郎気分だな、、

2015年10月1日

のうこうそく この体積なら だいじょうぶ


Maximal Admission Core Lesion Compatible With Favorable Outcome in Acute Stroke Patients Undergoing Endovascular Procedures
2015  8月  スペイン

脳梗塞がどのくらいの大きさまでだったら良好に回復できるものなのか調べてみたそうな。


脳梗塞患者の入院時にすでに壊死してしまっている組織の体積をCTまたはMRIで計測し、3ヶ月後の生活自立度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・CT29人、MRI28人、計57人の患者記録を対象にした。

・入院時の梗塞体積の平均は28mLで、3ヶ月後回復良好な患者割合は45%だった。

・梗塞体積が39mLを下回る場合、適切な治療により64%の患者が良好に回復できた。

・梗塞体積が39mLを超える場合、治療によらず回復良好患者は12%にとどまった。

・良好回復可能な梗塞の最大体積の判定はCTよりもMRIで厳しく算出された。

・この体積は年齢で異なり、80代では15mL、若年者では40mLだった。

入院時の梗塞体積はのちの回復度と強い関連があり、39mLを超えなければ概ね良好な回復が期待できる、


というおはなし。

図:梗塞体積と回復程度



感想:

ひさしぶりに昔の画像を見なおして 発症2週間後の頭の中動画を作ってみた。

2015年9月30日

毎日の玉子と脳梗塞 脳出血の関連は


Egg consumption and risk of heart failure, myocardial infarction, and stroke: results from 2 prospective cohorts.
2015  9月  スウェーデン

玉子の摂取量と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


健康な男性37766人、女性32805人に食事アンケートをとり 13年間フォローして脳卒中発症の有無を確認した。


次のことがわかった。

・男性では脳梗塞2039件 脳出血405件、

・女性では脳梗塞1561件 脳出血294件だった。

男女共に、玉子の摂取量と脳梗塞、脳出血との統計学的有意な関連はなかった。


というおはなし。

写真:玉子


感想:

過去記事を思い出した。
玉子をたくさん食べると脳卒中になるのか?

毎日1個の玉子が脳出血予防になる

2015年9月29日

ミラーセラピーが効く患者の特徴がわかった


Potential determinants of efficacy of mirror therapy in stroke patients - A pilot study.
2015  8月  ドイツ

ミラーセラピーは脳卒中患者の運動機能のリハビリによいとされる。一方その効きは患者ごとに大きく異なる。

ミラーセラピーが効く患者とそうでない患者の違いを調べてみたそうな。


亜急性期脳卒中で重度の上肢麻痺の患者11人についてミラーセラピーを4週間行った。

この前後での脳皮質の活動度を近赤外線分光で測定した。

測定箇所は左右の一次運動野と楔前(けつぜん)部で、

鏡像への反応度を左右信号強度変化の和と定義して運動機能の回復度との関連を解析した。


次のことがわかった。

・5人の患者は指の動きにまったく改善がなかった。6人には指の動きに改善効果が認められた。

・楔前部での脳活動変化が大きい患者ほど改善効果も大きかった。


鏡像に対する楔前部の反応の大きさがミラーセラピーの効きを決めているのかもしれない、


というおはなし。

図:楔前部
センサー位置 緑が楔前部


感想:

だまされやすい人とそうでない人の違いは メンタル面ではなく脳のハードウェアに理由があるってことなのかな。

2015年9月28日

スポーツやってた脳卒中患者は再発しないのか?


Risk of Recurrent Stroke and Death After First Stroke in Long-Distance Ski Race Participants.
2015  9月  スウェーデン

運動は心血管疾患の予防効果がある一方、不整脈のリスクにもなる。

過去に激しい運動をしていた脳卒中患者の再発、死亡リスク、心房細動について調べてみたそうな。


世界最大のスキークロスカントリー大会「ヴァーサロペット」に参加経験のある脳卒中患者と、スキー経験のない患者、計5964人について10年間ほどフォローした結果、


次のことがわかった。

・再発または死亡の100人あたりの年間発生率はスキーヤー8.3件、非スキーヤー11.1件だった。

・非スキーヤーに対するスキーヤーの死亡リスクは0.70倍だったが、再発リスクに有意な差はなかった。

・心房細動の割合は 20% vs. 15% でスキーヤーが多かった。

・心房細動のある場合もスキーヤーのほうがリスクは低めだった。


過去に激しい運動をしていた脳卒中患者の死亡リスクは低かった。しかし再発リスクは運動していなかった患者と変わらなかった。スキーヤーの心房細動割合は高かったが再発リスクまで高くなかった、


というおはなし。


写真:ヴァーサロペット


感想:

一流の大会に出られるほどの人物なんだから生まれつき丈夫なのは当然で、脳卒中くらいで死ぬわきゃないだろ、という解釈がある。それでも再発は防げないんだよね、、

2015年9月27日

肥満 脳卒中患者のリハビリ効果は 日本人の場合


Obese Japanese Patients with Stroke Have Higher Functional Recovery in Convalescent Rehabilitation Wards: A Retrospective Cohort Study.
2015  9月  日本

脳卒中の肥満パラドックスはアジア人ではよくわかっていない。

そこで、日本人脳卒中患者について肥満が機能回復に有利であるか調べてみたそうな。


リハビリ病院の平均年齢72の脳卒中患者897人の記録から、機能的自立度、栄養状態、ボディマス指数(BMI)との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・BMIごとの人数内訳は、低体重134人、標準432人、過体重277人、肥満54人だった。

・退院時の機能的自立度スコアの中央値は114、向上度は30だった。

・肥満グループの機能的自立度の向上度は他のグループよりも明らかに高かった。

・年齢、性別を考慮に入れても、肥満というだけで機能的自立度は大きく向上した。


日本人脳卒中患者のうち 肥満であることは機能回復に有利なのかもしれない、


というおはなし。



感想:

脳への衝撃を脂肪が吸収してしまうかのようなイメージを感じる。

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