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2014年8月4日

肩にテーピングは効果あるの?


Shoulder strapping for stroke-related upper limb dysfunction and shoulder impairments: systematic review.
2014  7月  イギリス

脳卒中のあとの肩のテーピング効果について調べてみたそうな。


データベースから関連する過去の研究を厳選し、データをまとめて見なおしてみたところ、


次のことがわかった。

・計340人の脳卒中患者を対象にした8つの研究が見つかった。

・テーピングは、上肢機能の改善と肩の脱臼や痛み軽減を目的に、

・主に発症1ヶ月以内の片麻痺患者に適用された。

・その詳しい方法や成果は研究ごとにおおきく異なった。

・肩の痛みの始まりを遅らせそうではあるが効果の結論は出ていない。


片麻痺患者への肩テーピングの効果はよくわかっていない。しかし害はほとんどなさそうなので慎重に試してみてはどうかな、


というおはなし。




感想:

まえの記事を思い出した。
肩の痛み対策にテーピングを試してみた


2014年8月3日

運動不足は脳卒中の原因 わかってない人が多すぎる


Physical activity habits and preferences in the month prior to a first-ever stroke.
2014  7月  オーストラリア

運動不足、身体不活動は脳卒中の大きな要因である。

脳卒中患者の発症まえの運動状況とその認識について調べてみたそうな。


81人の脳卒中患者について、発症1ヶ月前の身体活動状況、運動習慣についてアンケートをとり解析したところ、


次のことがわかった。

・全体の31%の患者のみが運動と脳卒中との関連を認識していた。

・多くの患者が日頃の運動を家事やショッピングなどの手段的日常生活動作(IADL)やウォーキングのことと捉えていた。

・また、定期的な運動の内訳のほとんどはIADLだった。

・運動不足の原因として、意欲の欠如、無関心、気力低下などを挙げていた。


定期的な運動が脳卒中予防に重要であることを認識している人は非常に少なく、その実行意欲も高くなかった


というおはなし。
運動と脳卒中


感想:

仕事や生活に余裕がないと健康を考えて運動する気になれない。

でもそういうこと言ってるから代償が高くつくんだよな、、、


Instrumental ADL :手段的日常生活動作 より複雑で高次な動作を指す

初めて聞いた。

2014年8月2日

メールサポートする病院って聞いたことないよね


Capacity and willingness of patients with chronic noncommunicable diseases to use information technology to help manage their condition: a cross-sectional study.
2014  4月  カナダ

脳卒中、高血圧、糖尿病などの慢性病患者がネットを使った医療サポートにどのくらい関心があるものか調べてみたそうな。


2012年3月に少なくとも1種類の慢性病を抱える成人に電話アンケートを実施した。

質問として、

*ネットにつながる手段を持っているか?
*メール、テキストメッセージ、ビデオカンファレンスをやってみたいか?

などを聞き取り、内容を解析した。


次のことがわかった。

・2316人のうち79.8%から回答を得た。

・そのうち、81.9%が高血圧症、26.2%が糖尿病、21.4%が心臓病、7.9%が脳卒中だった。

・76.4%がネット接続可能なパソコンを、73.9%が携帯電話を所有していた。

・3分の2の人が、メールを使った専門家とのやりとりに関心を持っていた。

・テキストメッセージの利用に乗り気な人は少なかった。

・病院から離れた場所に住む人ほどビデオカンファレンスに関心を示した。

・病院まで1時間以上かかる人のおよそ半分がビデオカンファレンスを利用すると予想された。


慢性病をかかえる多くの人がネットを介したメールやビデオカンファレンスに関心を持っていた


というおはなし。


感想:

やがて聞いたこともない病院からスパムメールが届くようになる。

『期間限定!磁気刺激治療の個室入院費用がいまなら45%OFF。夜食(カップヌードル)付き。』

2014年8月1日

再発予防のための高血圧治療の効果について


Lowering blood pressure to prevent stroke recurrence: a systematic review of long-term randomized trials.
2014  7月  アルゼンチン

高血圧は脳卒中の原因の1つではあるものの、降圧治療の脳卒中再発予防効果には いまだ議論の余地がある。

そこで脳卒中の再発予防のための降圧治療について、過去の研究成果をまとめてみたそうな。


次のようになった。

・1990-2014に、5万人近くの患者データを含む信頼度の高い7件の臨床試験結果が見つかった。

・各研究は方法に大きな差があり、比較が容易ではなかった。

・特に 被験者への追跡開始時期や脳卒中の種類の違いが比較を困難にしていた。

・アメリカ心臓協会は、「目標にすべき血圧値があるわけではないが再発予防には10/5mmHgくらい下げるといい」と提言している。

・一方、血圧を120/80mmHgよりも下げるのは薦められない。


脳卒中再発予防の降圧治療は、各患者の事情を鑑みて個別に納得のゆくようにやるといい、


というおはなし。


感想:

ずいぶんまえの記事を思い出した。
降圧剤の脳卒中再発予防効果はない って

2014年7月31日

[もぐさパワー] 肩の痛みと手のむくみに効くツボにお灸をすえてみた


Effect of warm acupuncture stimulation of Waiguan (TE 5) on post-stroke shoulder-hand syndrome.
2014  7月  中国

脳卒中患者の肩手症候群(肩の痛みと手の浮腫み)に効くツボの効果を検証してみたそうな。


肩手症候群の脳卒中患者60人を2グループに分けて、一方にはツボ Waiguan (TE5)への灸(温熱刺激)治療を行った。

両グループには併行して、別のツボへの定型の鍼刺激と通常のリハビリ訓練を行った。

週5日x2週間の治療の前後で、肩の痛み、手の浮腫み、運動機能を測定し、比較した。


次のようになった。

・両グループで肩の痛みと手の浮腫みが著しく軽減した。

・肩の運動機能も改善した。

・肩手症候群の改善した者の割合は
「比較グループ vs. 灸グループ」の順で、
完全に治癒: 0% vs. 6.7%
著しい改善:23.3% vs. 83.3%
まあ効果的: 56.7% vs. 6.7%
全然 ダ メ: 20.0% vs. 3.3%
となり、灸グループの効果が上回っていた。


脳卒中で肩手症候群の患者には従来型のリハビリや鍼治療に加えて灸も行うと効果的である、


というおはなし。

外関:Waiguan (TE5) の位置

外関


感想:

なぜ灸なのか?

2014年7月30日

歩ける脳卒中患者は厳しく訓練すると 伸びる


Does the speed of the treadmill influence the training effect in people learning to walk after stroke? A double-blind randomized controlled trial.
2014  7月  韓国

高速トレッドミルとだんだん速くなるトレッドミルのリハビリ効果を比較してみたそうな。


歩行可能な脳卒中患者61人について、通常のリハビリに加えて1回30分間のトレッドミル訓練を5週間、計20回行った。

トレッドミルスピード別に次の2グループに分けた。

*だんだんと速くしてゆくグループ
*通常の歩行速度よりも速いスピード(秒速1.2m)で終始歩行するグループ

その後、敏捷性、持久力、歩調を測定し比較した。


次のようになった。

・敏捷性を示すタイムアップアンドゴーテストは 「だんだん速く vs. 高速」 の順で -1.96 vs. -5.02/s、

・持久力を示す6分間歩行テストは 38.35 vs. 64.40 m となった。

・ステップ長は若干伸び、ステップ幅に差はなかった。


高速トレッドミル訓練は脳卒中患者の歩行リハビリに効果的である、


というおはなし。



感想:

なにかおかしい。
秒速1.2m って時速4キロを超える。健常者以上の能力だ。

もはやリハビリする必要がないと思うのだが、、

2014年7月29日

重度に手が麻痺した患者の回復可能性がわかった


Can stroke survivors with severe upper arm disability achieve clinically important change in arm function during inpatient rehabilitation? A multicentre, prospective, observational study.
2014  7月  オーストラリア

脳卒中で重度の上肢麻痺になった患者のうち、まともに回復できる人の割合を調べてみたそうな。


16ヶ所のリハビリ施設に入院した重度上肢麻痺の脳卒中患者618人について、入院時と退院時の上肢機能を評価した。

そのスコアから、

ⅰ)統計学的有意な改善、
ⅱ)臨床的に意義のある最小レベルの改善、
ⅲ)重度→軽度への明らかな改善

おのおのに当てはまる者の割合を調べた。


次のようになった。

・226人が退院時に統計学的有意に改善した。

・そのうち68%(155人)が臨床的に意義のある最小レベルの改善を示した。

・また、45%(102人)は重度から軽度への明らかな改善が見られた。

・大きく改善した者には、発症からリハビリ入院までの期間が非常に短いという特徴があった。


脳卒中で重度上肢麻痺になった患者は、リハビリ病院入院中に臨床的に明らかな回復を示しうる、


というおはなし。



感想:

618人全員に対する割合で計算すると、重度上肢麻痺患者のうち 実感できる程度に回復する者の割合は20%前後になる。

なるほど って感じかな、、

2014年7月28日

早期リハビリに適した運動強度がわかった


Gradually increased training intensity benefits rehabilitation outcome after stroke by BDNF upregulation and stress suppression.
2014  6月  香港

脳卒中早期の身体トレーニングは効果的なリハビリに欠かせない。しかし通常その運動強度は一定である。

リハビリ運動強度とその効果との関係を調べてみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミ60匹を運動強度別に次の4グループに分け、1回30分間のトレッドミル訓練を7日間行った。


*比較(なにもしない)グループ
*低速度グループ(5m/分)
*低速度から高速度に徐々に速くするグループ
*高速度グループ(26m/分)

訓練後の運動機能、血中コルチコステロンでストレス度、脳神経再生を促すタンパク質(BDNF)を測定、比較した。


次のようになった。

・徐々に運動強度を強くするグループで運動機能の著しい改善があり、

・同時に海馬でのBDNF濃度がもっとも高くなった。

・高強度グループではストレスレベルが非常に高かった。


徐々に運動強度を高めてゆくトレーニングは効果的でかつストレスも少ない。この結果は人に応用できるかも知れない、


というおはなし。


BDNF濃度
脳の各所でのBDNF濃度 グループ別


感想:

こういう結果になる理由として、運動のストレスはありすぎても なさすぎても良くないから、と考察している。

ほどほどの見極めが大切らしい。

2014年7月27日

tDCSは歩行リハビリにも効くのか


The effect of single session bi-cephalic transcranial direct current stimulation on gait performance in sub-acute stroke: A pilot study.
2014  6月  イギリス

tDCS(経頭蓋直流電気刺激)の上肢リハビリ効果の報告は多い。

そこで、歩行機能への影響を調べてみたそうな。


亜急性期の脳卒中患者14人について左右脳半球を同時に刺激するtDCS治療を施した。

病側頭皮にプラス極、健常側頭皮にマイナス極を貼った。

このうち7人には偽の刺激を与えた。

歩行機能は複数の方法で評価した。


次のようになった。

・tDCSグループは偽刺激グループにくらべ敏捷性が大きく向上した。

・歩行バランス機能は両グループで差がなかった。


tDCSは歩行リハビリに使えるかもしれない、


というおはなし。


メモ:

tDCSの講義ビデオ 27分以降臨床応用編


このテーマでこんなにしゃべる人がいてオドロイタ

2014年7月26日

自分で脈をみるだけで脳卒中後の心房細動を見つけられることが明らかに


Peripheral pulse measurement after ischemic stroke: A feasibility study.
2014  7月  ドイツ

脳梗塞の再発を防ぐためには通常、病院で長い時間をかけて心電図を測り心房細動の有無を調べなくてはならない。

代わりに患者が自分で手首の脈を測って心房細動がわかるものなのかどうか実験してみたそうな。


256人の脳梗塞患者について、

*医療のプロ
*患者家族
*患者本人

それぞれに手首の脈から心房細動を見分けるコツを教育した。

そののち、本番一回勝負で患者の脈を測り心房細動の有無を判定させ、実際の診断結果と比較した。


次のようになった。

・感度(病気の人を病気と判定する割合)は、医療プロ:96.5%、患者家族:76.5%、本人:54.1%だった。

・特異度(病気でない人を病気でないとする割合)は、それぞれ94.0%、92.9%、96.2%だった。

・特に、本人測定での擬陽性率(病気としたが間違っている割合)は、2.7%だった。


擬陽性率が非常に低いので、手首の脈から調べるこの方法は簡易的な一次検査として大いに使えるかも知れない、


というおはなし。

橈骨動脈


感想:

自分で脈とってみて そのリズムがほんの一瞬でもおかしいな…と思ったら病院に行ってみな、ってことなんだと思う。

2014年7月25日

ネットの向こう側から上肢機能を自動で評価できるシステムを作ってみた


Remote intelligent Brunnstrom assessment system for upper limb rehabilitation for post-stroke based on extreme learning machine.
2014  4月  中国

未来の遠隔リハビリテーションのための人工知能リハビリ評価システムを試作してみたそうな。


脳卒中患者の上肢リハビリ動作を自動サンプリングして データをサーバに転送する仕組みを構築した。

次に動作データからブルンストロームステージ解析を行う学習アルゴリズムを開発した。

信頼性確認のため、実際にこれらのシステムを用いて脳卒中患者23人および4人の健常者について上肢動作を評価して 専門家による結果と比較した。


次のようになった。

・自動評価システムによる結果は、専門家のそれと高い精度(92.1%)で一致していた。


このシステムはやがて、脳卒中患者の上肢機能を遠隔かつ自動で評価できるようになるだろう。そして患者は自宅や病院以外の施設でリハビリを受けられるようになる、


というおはなし。


感想:

患者がペッパー君に付き添われてリハビリしている様子が目に浮かぶ、、

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