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2014年7月29日

重度に手が麻痺した患者の回復可能性がわかった


Can stroke survivors with severe upper arm disability achieve clinically important change in arm function during inpatient rehabilitation? A multicentre, prospective, observational study.
2014  7月  オーストラリア

脳卒中で重度の上肢麻痺になった患者のうち、まともに回復できる人の割合を調べてみたそうな。


16ヶ所のリハビリ施設に入院した重度上肢麻痺の脳卒中患者618人について、入院時と退院時の上肢機能を評価した。

そのスコアから、

ⅰ)統計学的有意な改善、
ⅱ)臨床的に意義のある最小レベルの改善、
ⅲ)重度→軽度への明らかな改善

おのおのに当てはまる者の割合を調べた。


次のようになった。

・226人が退院時に統計学的有意に改善した。

・そのうち68%(155人)が臨床的に意義のある最小レベルの改善を示した。

・また、45%(102人)は重度から軽度への明らかな改善が見られた。

・大きく改善した者には、発症からリハビリ入院までの期間が非常に短いという特徴があった。


脳卒中で重度上肢麻痺になった患者は、リハビリ病院入院中に臨床的に明らかな回復を示しうる、


というおはなし。



感想:

618人全員に対する割合で計算すると、重度上肢麻痺患者のうち 実感できる程度に回復する者の割合は20%前後になる。

なるほど って感じかな、、

2014年7月28日

早期リハビリに適した運動強度がわかった


Gradually increased training intensity benefits rehabilitation outcome after stroke by BDNF upregulation and stress suppression.
2014  6月  香港

脳卒中早期の身体トレーニングは効果的なリハビリに欠かせない。しかし通常その運動強度は一定である。

リハビリ運動強度とその効果との関係を調べてみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミ60匹を運動強度別に次の4グループに分け、1回30分間のトレッドミル訓練を7日間行った。


*比較(なにもしない)グループ
*低速度グループ(5m/分)
*低速度から高速度に徐々に速くするグループ
*高速度グループ(26m/分)

訓練後の運動機能、血中コルチコステロンでストレス度、脳神経再生を促すタンパク質(BDNF)を測定、比較した。


次のようになった。

・徐々に運動強度を強くするグループで運動機能の著しい改善があり、

・同時に海馬でのBDNF濃度がもっとも高くなった。

・高強度グループではストレスレベルが非常に高かった。


徐々に運動強度を高めてゆくトレーニングは効果的でかつストレスも少ない。この結果は人に応用できるかも知れない、


というおはなし。


BDNF濃度
脳の各所でのBDNF濃度 グループ別


感想:

こういう結果になる理由として、運動のストレスはありすぎても なさすぎても良くないから、と考察している。

ほどほどの見極めが大切らしい。

2014年7月27日

tDCSは歩行リハビリにも効くのか


The effect of single session bi-cephalic transcranial direct current stimulation on gait performance in sub-acute stroke: A pilot study.
2014  6月  イギリス

tDCS(経頭蓋直流電気刺激)の上肢リハビリ効果の報告は多い。

そこで、歩行機能への影響を調べてみたそうな。


亜急性期の脳卒中患者14人について左右脳半球を同時に刺激するtDCS治療を施した。

病側頭皮にプラス極、健常側頭皮にマイナス極を貼った。

このうち7人には偽の刺激を与えた。

歩行機能は複数の方法で評価した。


次のようになった。

・tDCSグループは偽刺激グループにくらべ敏捷性が大きく向上した。

・歩行バランス機能は両グループで差がなかった。


tDCSは歩行リハビリに使えるかもしれない、


というおはなし。


メモ:

tDCSの講義ビデオ 27分以降臨床応用編


このテーマでこんなにしゃべる人がいてオドロイタ

2014年7月26日

自分で脈をみるだけで脳卒中後の心房細動を見つけられることが明らかに


Peripheral pulse measurement after ischemic stroke: A feasibility study.
2014  7月  ドイツ

脳梗塞の再発を防ぐためには通常、病院で長い時間をかけて心電図を測り心房細動の有無を調べなくてはならない。

代わりに患者が自分で手首の脈を測って心房細動がわかるものなのかどうか実験してみたそうな。


256人の脳梗塞患者について、

*医療のプロ
*患者家族
*患者本人

それぞれに手首の脈から心房細動を見分けるコツを教育した。

そののち、本番一回勝負で患者の脈を測り心房細動の有無を判定させ、実際の診断結果と比較した。


次のようになった。

・感度(病気の人を病気と判定する割合)は、医療プロ:96.5%、患者家族:76.5%、本人:54.1%だった。

・特異度(病気でない人を病気でないとする割合)は、それぞれ94.0%、92.9%、96.2%だった。

・特に、本人測定での擬陽性率(病気としたが間違っている割合)は、2.7%だった。


擬陽性率が非常に低いので、手首の脈から調べるこの方法は簡易的な一次検査として大いに使えるかも知れない、


というおはなし。

橈骨動脈


感想:

自分で脈とってみて そのリズムがほんの一瞬でもおかしいな…と思ったら病院に行ってみな、ってことなんだと思う。

2014年7月25日

ネットの向こう側から上肢機能を自動で評価できるシステムを作ってみた


Remote intelligent Brunnstrom assessment system for upper limb rehabilitation for post-stroke based on extreme learning machine.
2014  4月  中国

未来の遠隔リハビリテーションのための人工知能リハビリ評価システムを試作してみたそうな。


脳卒中患者の上肢リハビリ動作を自動サンプリングして データをサーバに転送する仕組みを構築した。

次に動作データからブルンストロームステージ解析を行う学習アルゴリズムを開発した。

信頼性確認のため、実際にこれらのシステムを用いて脳卒中患者23人および4人の健常者について上肢動作を評価して 専門家による結果と比較した。


次のようになった。

・自動評価システムによる結果は、専門家のそれと高い精度(92.1%)で一致していた。


このシステムはやがて、脳卒中患者の上肢機能を遠隔かつ自動で評価できるようになるだろう。そして患者は自宅や病院以外の施設でリハビリを受けられるようになる、


というおはなし。


感想:

患者がペッパー君に付き添われてリハビリしている様子が目に浮かぶ、、

2014年7月24日

床屋で顔にカミソリあてられてもあまり感じないんだよね


Orofacial functional impairments among patients following stroke: a systematic review.
2014  7月  香港

脳卒中患者の口腔顔面機能の低下についてしらべてみたそうな。


医学論文データベースから関連する研究を厳選して内容を再吟味したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者は健常人に比べ概ね 唇の力や唾液量、咀嚼機能が低下していた。

・麻痺側の咀嚼力や生活の質の変化の詳細についてははっきりしたことはわかっていない。


過去の調査を見直すことで 脳卒中患者の多くが口腔顔面機能の低下を経験していることがわかった。これらの機能低下が自発的に治ることは少ない。リハビリ的になにかできることはないだろうか…


というおはなし。

口腔顔面


感想:

いまだ顔左半分の触覚が鈍く、ご飯粒が付いても気づかない。ふと気を抜いたとき ヨダレが垂れることがある。ガムを噛んでいると 左頬の内側を噛んで血豆を作ることがよくある。

発症当初は顔が歪み、左目がとんでもない方向を向いていたことを考えると 現状は十分に満足すべき と考えている。


2014年7月23日

ピラティスは脳卒中リハビリに使えるのか?


Feasibility and outcomes of a classical Pilates program on lower extremity strength, posture, balance, gait, and quality of life in someone with impairments due to a stroke.
2014  7月  アメリカ

ピラティス・メソッドには脳卒中患者の歩行、バランス、姿勢を改善できる可能性がある。

9ヶ月間におよぶピラティス訓練を ひとりの患者に試してみたそうな。


通常のリハビリに併行して、ピラティス訓練を週2回のペースで9ヶ月間行った。

その結果、

・バランス、下肢筋力、QoLの改善がみられた。

・姿勢や歩行スピードに変化はなかった。


今回の結果がピラティスによるものとは断言できないが、脳卒中リハビリの役に立ちそうなことはわかった、


というおはなし。



感想:

いままで一度も耳にしたことがなかったが、「ピラティス」で検索すると意外にもたくさんのページがヒットする。

ひとことで言うと 「道具を使うヨーガ」 かな。

2014年7月22日

イラク人も脳卒中パターンが同じなんだなぁ


Risk factors and 30-day case fatality of first-ever stroke in Basrah, Iraq.
2014  5月  イラク

脳卒中の主な要因と致命率を調べてみたそうな。


2008年、バスラの病院での脳卒中患者225人について、入院後30日間フォローし 脳卒中のもとになった要因と死亡率を調査した。


次のようになった。

・平均年令は64、56%が男性だった。

・脳梗塞が84%、脳内出血が16%、クモ膜下出血が0.4%だった。

・主なリスク要因は、高血圧症66%、家族歴32%、虚血性心疾患29%、喫煙28%、糖尿病28%、TIA、心房細動、心不全の順だった。

・30日間の致命率は23%だった。


脳卒中には脳梗塞が多く、高血圧、家族歴、喫煙、糖尿病などが主なリスク要因だった。致命率も西洋諸国と大差はなかった、


というおはなし。




感想:

数字だけ見ると 近所のことと区別がつかない。

2014年7月21日

子供は脳梗塞よりも脳出血が多い


Risk Factors and Imaging Characteristics of Childhood Stroke in China.
2014  7月  中国

子供の脳卒中の特徴について調べてみたそうな。

患者データベースから2002-2011の子供の脳卒中事例を抽出した。


次のことがわかった。

・478人の子供が脳卒中で入院した。そのうち229人が脳梗塞、249人が脳出血だった。

・脳梗塞、脳出血いずれも男児が60%以上を占めていた。

・脳卒中の主な原因は、もやもや病が脳梗塞で 動静脈奇形が脳内出血だった。

・片麻痺と頭痛がおもな症状だった。

・脳梗塞では内頚動脈と中大脳動脈が関連するケースが多かった。

・脳内出血で計8人が亡くなった。


子供の脳卒中では脳梗塞よりも脳出血が多かった。それらの多くは動脈の病気に由来するものだった、


というおはなし。


 Beijing Tiantan Hospital
この病院

2014年7月20日

ヨーガでリハビリはどんな効果があるのか


Randomized controlled trial of yoga for chronic poststroke hemiparesis: motor function, mental health, and quality of life outcomes.
2014  6月  オーストラリア

慢性期脳卒中で片麻痺の患者への ヨーガの効果を調べてみたそうな。


22人の患者をヨーガグループとヨーガなしグループに分けて10週間のヨーガ訓練前後での身体機能および心理面での評価を行い比較した。


次のことがわかった。

・ヨーガは客観的には運動機能改善効果はほとんど確認できなかった。

・しかし、主観的な運動機能上のQoL改善と、主観的な回復程度の改善が著しかった。

・ヨーガグループでは記憶関連QoLスコアが非常に高かった。

・またヨーガ参加者の不安レベルが臨床的有意に低下した。


慢性期脳卒中患者のヨーガはメンタルヘルスと生活の質の改善に良さそうである、


というおはなし。


この研究者のニュース映像



感想:

筋肉や神経の話が一切でてきそうもない こういうアプローチは嫌いじゃない。

2014年7月19日

高学歴な女性ほど脳卒中になりやすい理由とは


Socioeconomic Status Inconsistency and Risk of Stroke Among Japanese Middle-Aged Women.
2014  7月  日本

日本人女性について社会経済階層と脳卒中リスクの一見矛盾した関係について調べてみたそうな。


中年女性14742人を20年間追跡し、教育歴と職の適格性および脳卒中リスクとの関連を解析した。


次のことがわかった。

・学歴にふさわしい職に就いている女性に比べ、職に対し過剰学歴の女性の脳卒中リスクは約2倍だった。

・特に 高い学歴で専門職または管理職にある女性に比べ、高学歴なのに手作業労働やサービス産業で働く女性の脳卒中リスクは3倍以上だった。


日本人女性にとって、高学歴でありながら相応しい職がない状況は脳卒中リスクになり得る、


というおはなし。




感想:

これって「努力や成果に見合った報酬が得られない状況」って言い換えることができると思う。

男性も含めどこにでも起きうる 特殊な状況とは思えないけど、なぜ女性なのか?
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