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2014年7月16日

プッシャー現象 なぜ脳卒中患者は傾くのか


Effects of galvanic vestibular stimulation combined with physical therapy on pusher behavior in stroke patients: A case series.
2014  7月  日本


脳卒中患者の身体が麻痺側に傾く症状(プッシャー現象)を前庭感覚電気刺激(GVS)で改善できるものか実験してみたそうな。


プッシャー現象を示す脳卒中患者2人について、通常のリハビリに併行して隔週でGVSを計2週間 行った。

1週ごとに患者の傾きを複数の方法で評価した。


次のようになった。
・両患者はGVSを行った週にのみ傾きが改善した。


プッシャー現象に前庭感覚電気刺激が効くかも知れない、


というおはなし。



感想:

自分も傾くので関心を持った。

いまだに 車の運転やレースゲームをやっている最中に いつの間にか身体が左に傾いている。

座っているときに特有のことかな?とも思ったけど、瞑想中には傾かない。

1つの作業に極度に集中しているときに傾きやすい、、という印象がある。


これらの記事を思い出した。
脳卒中経験者は傾く

前庭感覚電気刺激で半側空間無視をやっつけろ!

2014年7月15日

病気の重大さをよく理解して自分で対処できると考えている患者ほど復職はむつかしい


Factors influencing return to work after aneurysmal subarachnoid hemorrhage.
2014  7月  アメリカ

クモ膜下出血は50歳前後の若年者にも影響を与えうる脳卒中の1つである。

復職は主な回復目標の1つではあるが達成率は低い。

そこで クモ膜下出血後の復職に影響する要因を調べてみたそうな。


クモ膜下出血発症後1-2年の患者134人について、病気認知(病気の重大さと自分の対処能力を見積もる認識度)および機能状態のアンケート調査を行い内容を解析した結果、


次のことがわかった。

・病気認知度が高いと復職可能性が低かった。

・高いレベルの病気認知は復職が失敗する要因だった。

・一方、結婚していることは復職が成功する要因でもあった。


クモ膜下出血患者の病気に対する認識の高さが復職の障壁になっている。復職をうながすためにはこの問題に取り組む必要があるだろう、


というおはなし。


病気認知アンケート(clickで拡大)



感想:

「目の前にこんなにも深刻な問題があって、頼りになるのは自分だけ」ってときに、のんきに通勤してる場合じゃねぇ!って考え方かな。

わかる気がする。

2014年7月14日

脳卒中患者に適した靴の形状が判明!


Changes in postural sway according to footwear types of hemiparetic stroke patients.
2014  6月  韓国

脳卒中患者の姿勢動揺と履き物との関係を調べてみたそうな。


脳卒中でリハビリ入院中の32人の患者について、

履き物別に、

A)カカトの深い靴  B)平底靴  C)スリッパ  D)素足

での開眼時、閉眼時の姿勢動揺を測定した。

靴


次のようになった。

・平底靴またはスリッパのときの姿勢動揺は、素足やカカトの深い靴を履いている時に比べ非常に大きかった。

・履き物によらず閉眼時の姿勢動揺は大きかった。


平底靴やスリッパを履いていると 素足やカカトの深い靴に比べ、立位バランスの維持がとても難しくなることがわかった、


というおはなし。



感想:

カカトが深いと足首のサポートついでに位置感覚がつかみやすくなるからではないか、と考察している。

車を運転するからペッタンコの靴ばかり履いていたけど もっと早く知りたかったな。

2014年7月13日

脳卒中になるとなんでトイレが近くなるの?


The experience of urinary incontinence in stroke survivors: a follow-up qualitative study.
2014  4月  オーストラリア

脳卒中で退院したのちに尿失禁で困っている人たちの経験を調査してみたそうな。


面談内容を主題分析したところ、


次の4つのテーマが浮かび上がった。
・トイレに行かなければならない!
→常に逼迫したトイレ需要。

・誰もアドバイスをくれなかった。
→病院ですらなにも教えてくれない。

・なにをするにも まずトイレに行かなければならない。
→仕事にならない。

・単に計画性の問題でもある。
→危機管理戦略。


脳卒中経験者の尿失禁は退院後も起こりうる問題であり、適切な知識の欠如、激しい苦悩、行動の制限といった特徴をもつ、


というおはなし。


感想:

とても強い確信があるんだけど、これはひとえに降圧薬の問題と考える。

カルシウム拮抗薬なのに飲むとほぼ1日中すごい頻尿になる。

チビリそうになることしばしばで、生活の質がはげしく下がる。

検索してもほとんど資料が出てこない。しもの話なので体験談も少ない。

ちょっと頭にきてる。o(`ω´*)o

2014年7月12日

startReact効果 「よーい」「どん」って言ったらスタートね、、


Startling acoustic stimuli can evoke fast hand extension movements in stroke survivors.
2014  6月  アメリカ

あらかじめ思い描いていた動作が、びっくりするような音刺激をきっかけに無意識のうちに(短時間に)発動される反射がある。これをstartReact効果と呼ぶ。

脳卒中経験者の肘の屈曲動作についてのstartReact効果は、その反応速度、筋肉の動き共に健常者のそれと差がないことがわかっている。

手の伸展動作についてもstartReact効果が脳卒中後そのままであるかどうかを実験してみたそうな。


脳卒中経験者8人と同年齢の健常者10人について、次の2つの音刺激のあとに手を伸展させるよう教えた。

"get ready"

"go"

このときランダムに"go" の部分をびっくり音に置き換えた。

それぞれの反応動作および反応速度を測定し、比較した。


次のようになった。

・両グループ間で 動作および反応速度に差はなかった。


脳卒中経験者でも手のstartReact効果は完全にそのままであることがわかった。リハビリに応用できるかも知れない、


というおはなし。


感想:

徒競走の発砲音はこういう効果を狙っているのかね?

startReactか?

2014年7月11日

争おうとする意気込みの強いひとは脳卒中リスク2倍以上


Chronic Stress, Depressive Symptoms, Anger, Hostility, and Risk of Stroke and Transient Ischemic Attack in the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis
2014  7月  アメリカ


ストレスやウツ、怒り、敵愾心などネガティブな感情と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


年齢45-84で病気のない6749人(白人、黒人、ヒスパニック、アジア人)について、慢性的なストレスやウツ、怒り、敵愾心などをアンケート調査し、脳卒中やTIAの有無を8.5年間ほど追跡調査した。


次のことがわかった。

・この間に147件の脳卒中、48件のTIAがあった。

・敵愾心の強い人は脳卒中やTIAのリスクが2倍以上高かった。

・同様に、ウツ症状が強いと1.9倍高く、ストレスが強いと1.6倍高かった。

・怒りの感情と脳卒中リスクとの関連は見られなかった。


高レベルのストレスや敵愾心、ウツ症状は脳卒中のリスクを著しく上昇させることがわかった、


というおはなし。



感想:

怒り(anger)と敵愾心(hostility)の違いがよくわからないので調べてみた。

敵愾心→「争おうとする意気込み」

強い善悪判断を伴わない競争意識...かな。

2014年7月10日

脳卒中患者はいつごろまでに何の機能がどのくらい回復するものなのか?


Temporal recovery of activities of daily living in the first year after ischemic stroke - a prospective study of patients admitted to a rehabilitation unit.
2014  7月  シンガポール

脳卒中患者の日常生活動作が長期的にどう回復してゆくのか調べてみたそうな。


163人の脳梗塞患者について、入院直後から1年間、日常生活動作の各項目について自立度を追跡調査した。


次のようになった。

・被験者は平均年齢64、3分の2が男性だった。

・自立度スコアの総合値は、1年間で41→73→88→91→84と変化した。

・食事、身繕い、排泄、移動、歩行のスコアは、発症後3ヶ月後に上限に達した。

・着替え、階段昇降スコアは6ヶ月時点で伸びが止まった。

・入浴スコアは12ヶ月後には安定した。

・日常生活動作が「自立レベル」と判定された患者の割合は、入院時から1年間で0%→9%→32%→41%→50%と増加した。

・筋力スコアと自立度が強く関連していた。

・1年後の自立可能性に影響する要因が多数ある中で、年齢要因がダントツだった。


日常生活動作上の機能の多くは発症後3ヶ月以内に回復した。ただし着替え、階段昇降、入浴動作はさらに時間を要した。また、年齢が若いほど自立可能性が高かった、


というおはなし。

シンガポールの病院
この病院

2014年7月9日

ゲームリハビリ すぐに効くのは右脳?左脳?


Comparison of the immediate effect of the training with a virtual reality game in stroke patients according side brain injury.
2014  7月  ブラジル

ビデオゲームリハビリは左脳損傷と右脳損傷のどちらで効きやすいのか 実験してみたそうな。


平均年令50、左脳損傷または右脳損傷の脳卒中患者10人ずつと健康な20人についてビデオゲーム前後での水を飲む際の上肢動作の詳細な解析を行い比較した。

ビデオゲームはXBOX360 Kinectの卓球ゲームを、45秒x10セットを15分開けて2回(計30分間)行った。


次のようになった。

・健常人と患者とではゲームの打数やパフォーマンスにおおきな差があった。

・ビデオゲームの直後、右脳損傷患者のみ左上肢の肩、肘の角度が健常人のそれに近づいた。


右脳損傷患者にはビデオゲームリハビリの即効性が見られた、


というおはなし。


このゲーム

2014年7月8日

体幹コントロールは左よりも右片麻痺患者で・・・


Is the basic trunk control recovery different between stroke patients with right and left hemiparesis?
2014  7月  イタリア

片麻痺の左右の違いと体幹機能(体位の保持能力)の回復度との関連を調べてみたそうな。


94人の脳卒中患者(48人の左片麻痺、46人の右片麻痺)について、入院時と退院時に体幹機能テストと自立度テストを行いスコアを比較した。


次のことがわかった。

・体幹機能スコアは左片麻痺で47→63、右片麻痺で49→79になり、右片麻痺患者の回復が大きかった。

・自立度テストの結果は両グループで差がなかった。


片麻痺の左右の違いによって体幹機能の回復に差があり、右片麻痺患者での回復が大きかった。この差は自立度には反映されなかった、


というおはなし。

2014年7月7日

ヨーガ呼吸法とアーユルヴェーダで失語症がよくなった


Yogic breathing and ayurveda in aphasia: a case study.
2014  7月  アメリカ

アーユルヴェーダ医学は古くから伝わる治療法ではあるが西洋では馴染みが薄い。

ヨガの呼吸法とアーユルヴェーダ療法で失語症が良くなった女性がいるそうな。


彼女は脳卒中後、通常の言語療法を受けていたが発症から5週間目にやめて

アーユルヴェーダ療法を選んだ。

独特の身体操作、呼吸法、食事法などを学んだ。


この治療を受けている3ヶ月間、認知機能と言語機能のテストは継続された。


その結果、言語機能、視覚注意力、気分が改善したことがわかった。


彼女に起きた言語機能の改善効果は、ヨガ呼吸法やアーユルヴェーダ療法に依るものかも知れない、


というおはなし。



感想:

これを思い出した。
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに

よくみたら同じ研究者だった。

2014年7月6日

デュアルtDCSで失語症を治療してみた


Ipsilesional and contralesional regions participate in the improvement of poststroke aphasia: a transcranial direct current stimulation study.
2014  6月  イタリア

デュアルtDCS(経頭蓋直流電気刺激)の失語症への効果を調べてみたそうな。


右脳損傷で交差性失語の脳卒中患者について、

・右脳の下前頭回(ブロードマンエリア 44/45:下前頭回)にマイナス極、左脳の下前頭回(44/45)にプラス極を貼る治療を2週間おこなったところ、命名課題スコアが大きく改善した。

・同じ刺激をブロードマンエリア(39/40)について行ったところ、ほとんど改善効果はなかった。

・ところが電極の極性を入れ替えたところ、下前頭回を刺激したときよりも大きく改善した。


脳卒中の失語症回復には損傷側脳、健常側脳の両方のエリアが関与していそうである。tDCSが治療に役立つかも知れない、


というおはなし。
ブロードマンの脳地図
感想:

脳表面のずいぶんと細かい位置を指定をしているものの、塩水で湿らせたでかい電極スポンジを頭皮に貼っている風景を想像するに この種の実験をする研究者のおおらかさ というか心の広さを感じずにはいられない。
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