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2014年5月12日

脳卒中患者の10年後を調べたら 思いのほかみんな元気だった


Functional Status and Patient-Reported Outcome 10 Years After Stroke: The Lund Stroke Register.
2014  5月  スウェーデン

脳卒中患者の10年後の回復状況について調べてみたそうな。


2001-2002に脳卒中になった416人の患者について10年後の身体機能、生活状況を調査した結果、


次のことがわかった。

・145人で調査が完遂した。

・平均年令は78、59%が男性だった。

・90%は自宅に住んでいた。

・73%は自立していた。

・71%にはほとんど身体障害はなかった。

・他者の支援が必要な者はその内容により14-22%いた。

・中程度の痛みのある者は39%、強い痛みは4%いた。

・中程度のウツ、不安のある者は28%で、重度ウツは1%だった。

・3分の2は健康状態が良好と答えた。

・約半数には発症まえと同頻度の身体活動があった。


スウェーデンの脳卒中患者の10年後を調べたところ 半数が78歳以上にもかかわらず、多くが自立した生活を送り、健康状態も良く、身体活動度も高かった、


というおはなし。

写真:脳卒中

感想:

自分のまわりの脳卒中経験者にも元気なひとが多い。

脳卒中なんて案外たいしたことないのかも知れない。

老人病みたいなものだから、それをきっかけに亡くなる人が多いのはあたりまえ。

なにかとてつもなく恐ろしいことであるかのように喧伝されているのは、脳外科学会のステルスマーケティングじゃないか…? といっつも思う。


ところで小学生に脳卒中教育をする必要がほんとうにあるのだろうか?

2014年5月11日

麻痺した腕に焼きを入れたあと急冷する拷問を30分間続けたら脳の働きが改善した


Effect of Thermal Stimulation on Corticomotor Excitability in Patients with Stroke.
2014  5月  台湾


脳卒中で麻痺した腕への温度刺激で、脳からの神経シグナルが伝わりやすくなるものか調べてみたそうな。


発症後3ヶ月以上の脳卒中患者16人を次の2グループに分けて温度刺激を30分間与えた。

*痛いくらいの高温(46-47℃)低温(7-8℃)刺激グループ

*あったかい(40-41℃)ぬるい(20-21℃)刺激グループ

また、この温度刺激前後での親指筋肉への皮質運動興奮性をTMSで測定した。


次のようになった。

・痛いほどの高温、低温刺激グループで損傷側脳の運動誘発電位と活動領域の拡大を認めた。


麻痺腕への30分間の痛いほどの温度刺激によって損傷側脳の皮質に神経生理学的変化がもたらされた、


というおはなし。


感想:

たぶん同じ研究者なんだろうけど、台湾人は温度刺激が好きなんだね。
麻痺した脚に焼きを入れたあと急冷する拷問を8週間続けたら脳卒中患者が歩き出した

温度刺激治療で麻痺脚が動いた

キンキンに冷やした腕でリハビリがはかどる


2014年5月10日

小学生にマンガで脳卒中教育したらすぐに忘れられてしまった


Effects of Stroke Education Using an Animated Cartoon and a Manga on Elementary School Children.
2014  4月  日本

若者への脳卒中教育は患者発症時に居合わせたときの適切な行動や自らの脳卒中予防に役立つ。

そこでマンガの教育資料を作って小学校の教師に脳卒中教育をやらせてみたそうな。


作成したマンガ資料を用いた30分間の授業を小学校教師が行った。

この前後での脳卒中に関する知識(症状やリスク要因)について対象となった小学生にテストしたところ、


次のようになった。

・10、11歳の219人が授業を受けた。

・授業直後の脳卒中関連知識テストのスコアは著しく向上した。

・しかし3ヶ月後には元のレベルに戻っていた。


小学校教師によるマンガを使った脳卒中教育を行った。しかしほとんど記憶に残らないようだったので、内容の見直しが必要かもしれない、


というおはなし。

写真:脳卒中マンガ
ニュース記事
小学生向け「脳卒中」教室を開催=大阪府


感想:

次は幼稚園児を対象に 着ぐるみゆるキャラで臨んでいただきたい。

2014年5月9日

体性感覚刺激でリハビリがはかどる は本当か?


The Effect of Combined Somatosensory Stimulation and Task-Specific Training on Upper Limb Function in Chronic Stroke: A Double-Blind Randomized Controlled Trial.
2014  5月  イギリス

体性感覚(皮膚および深部感覚)刺激を加えると脳卒中リハビリがはかどると言われている。

そこで課題志向型訓練に組み合わせたときの効果を調べてみたそうな。


33人の慢性期脳卒中患者を体性感覚刺激グループと偽刺激グループに分けて2時間の課題志向型訓練を12セッション行った。

体性感覚刺激は訓練の30分前に上肢肘周辺の3つの神経を対象に電気パルスを与えた。

メカニズムを調べるためにTMS検査も行った。

訓練のあと2日目、3ヶ月、6ヶ月後に効果をフォローした。


次のようになった。

・訓練後、リアル刺激グループで上肢機能の大きな改善があった。

・しかしその効果は3ヶ月以降は見られなかった。

・皮質脊髄路の興奮性に変化はなかった。


体性感覚刺激を課題志向型訓練に加えたときの効果を確認できた。しかしそれは長く続かなかった


というおはなし。

図:体性感覚

2014年5月8日

松果体の石灰化と脳内出血との関係


Pineal calcification is a novel risk factor for symptomatic intracerebral hemorrhage.
2014  5月  タイ

松果体の石灰化と脳内出血との関連について調べてみたそうな。


CT検査をした患者記録のうち脳内出血の症状のある者で、かつCT画像から松果体の石灰化の有無を判定できるケースを抽出し、関連を解析した。


次のようになった。

・2140件のCT検査のうち1071件が解析対象になった。

・このうち77件(7.2%)で脳内出血があり、689件(64.3%)に松果体の石灰化が見られた。

・松果体の石灰化で脳内出血リスクが2倍以上になった。

・特に50歳以上で高血圧、糖尿病があるとこの傾向が強まった。


松果体の石灰化は脳内出血のなりやすさと関連がある、


というおはなし。



感想:

初めて撮ったCTで自分の松果体の石灰化に気がついた。
写真:松果体の石灰化
脳内出血だからこのケースにあてはまる。


世の中には逆にこれをありがたがる人々もいる。

彼らによると、ちょっと異なる世界とのインターフェースの役割を担うらしいのだが...

2014年5月7日

指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした


Carryover effects of cyclical stretching of the digits on hand function in stroke survivors.
2014  5月  アメリカ

脳卒中患者の手の指を曲げ伸ばししてあげたあとの効果がどれくらい続くものか実験してみたそうな。


*発症2-6ヶ月の亜急性期脳卒中患者12人と、
*7ヶ月以上経つ慢性期の患者15人について、

アクチュエーター付きの手袋をはめさせて指の曲げ伸ばし(ストレッチ)の繰り返しを強制的に30分間☓3日間おこなった。

この前後での手の機能を評価、比較した。


次のようになった。

・指ストレッチの直後は両グループともに手の機能が大きく改善した。

・特に亜急性期グループではその効果が1時間後もそのまま維持され、さらに翌日にも効果が持ち越された。

・一方、慢性期グループの改善効果はその場限りで 翌日には観測できなかった。



手の指の繰り返しストレッチ運動は亜急性期脳卒中患者でその効果の持続性が確認できた。リハビリの前にこの運動をするといいかも知れない、


というおはなし。



感想:

慢性期患者でも直後には改善効果があるのだから、もっと高頻度でやればいいってことなんだろ。

偶然みつけたこのビデオ 何度も観てしまった… (3分間)

2014年5月6日

粗大ゴミ? 全身振動刺激はリハビリにならないと判明


Effects of Whole Body Vibration Therapy on Body Functions and Structures, Activity, and Participation Poststroke: A Systematic Review.
2014  5月  香港

全身振動刺激が脳卒中リハビリに役立つのか結論を求めてみたそうな。


医学研究データベースから関連のある研究を複数の審査者が厳選してデータを統合、再解析したところ、


次のようになった。

・被験者計333人を含む10件の研究が見つかった。

・全身振動刺激のセッションが1回のみの研究と3-12週間続ける研究が混在していた。

・骨代謝、脚の運動機能、バランス、機動性、感覚、転倒率、日常生活動作、社会参加のいずれの項目についても納得のゆく効果はなかった。

・有害事象は珍しくないものの いずれも軽度だった。

・患者の特徴で範囲限定しても なんの効果も確認できなかった。



全身振動刺激は脳卒中リハビリにまったく役立たない、


というおはなし。



全身振動刺激が如何にどうでもいいかがよくわかるビデオ



感想:

最初に上のビデオをみたとき、てっきり真剣にトレーニングしているのだと思った。

奥で装置の上に座っている親子をみて気がついた。揶揄する意図をもって作ってあることに。


大学の偉い先生に指摘されるまでもなく、全身振動刺激の本質をだれもが見抜いているということなんだろう。

気付かずにこのテーマで研究を始めたり 「エビデンスはまだ確立していない(キリッ」なんて評論すると後で恥ずかしい気持ちになる、ってことと理解した。

2014年5月5日

1年後、歩けるようになっている患者の割合と特徴


Walking function at 1-year after stroke rehabilitation: a multicenter study.
2014  1月  タイ


リハビリ病院を退院して1年以内に歩けるようになっている脳卒中患者の割合とその条件を調べてみたそうな。


327人の脳卒中患者についてリハビリ病院を退院したのち1年間追跡調査した結果、


次のようになった。

・そのうち59%(192人)について調査を完了することができた。

・1年後、歩行が改善した者45%、変わらぬ者45%、悪くなった者10%だった。

・44%が歩けない状態から再び歩けるようになった。

・退院直後、歩行可能者は68%だったが1年後には78%になった。

・逆に 7%の者は歩けなくなっていた。

・1年後の歩行と関連のあった項目は、
*退院時の麻痺足を動かす力、
*糖尿病でないこと、
*結婚していること、
*入院時、仰向けに寝た状態から座位に移れること
だった。


リハビリ病院を退院したのちも歩行能力は改善し続けた。1年後、計78%の脳卒中患者が歩けるようになっていた。退院時の麻痺足の力、糖尿病、配偶者の有無、入院時の仰臥位から座位への移動可否がその要因だった、


というおはなし。

2014年5月4日

発症6ヶ月以降の慢性期脳卒中患者を家族の協力で自宅リハビリさせてみた


Caregiver-Mediated Intervention Can Improve Physical Functional Recovery of Patients With Chronic Stroke: A Randomized Controlled Trial.
2014  4月  台湾

自宅での介護者主導のリハビリに効果があるものかどうか実験してみたそうな。


51組の慢性期脳卒中患者とその介護者を次の2グループに分けて成果を比較した。

*療法士が毎週個別に考えたリハビリプログラムを介護者が自宅で実施する。
または
*療法士が自宅を訪問するだけで特別なリハビリは行わない。



次のようになった。

・リハビリグループで筋力、移動能力など全体的にとても大きな改善が見られた。

・リハビリグループで通常歩行速度、歩行可能距離、バランス能力が大きく改善した。

・この自宅リハビリでは介護者の負担は大して増えなかった。


慢性期脳卒中患者への介護者主導の自宅リハビリは非常に効果的で無理なくできる、


というおはなし。



感想:

だれが行っても同様の効果がでる。

リハビリっていうのは本来こういうものであってほしい。

「神の手を持つ〇〇法の〇〇先生」というのは どうかな?と思う。

2014年5月3日

アマデイオ:上肢リハビリ支援ロボットの実力を確かめることにした


Recovery of hand function with robot-assisted therapy in acute stroke patients: a randomized-controlled trial.
2014  4月  イタリア

上肢リハビリ支援ロボットシステムの効果を検証してみることにしたそうな。


20人の急性期脳卒中患者をロボット支援リハビリグループと通常のリハビリグループに分けて、4週間の訓練の後、その評価を3ヶ月間フォローし比較する。

ロボット支援装置は アマデイオ:Amadeo Robotic Systemを使用する、

というおはなし。


これがアマデイオだ。



感想:

上のビデオを観て 妙な違和感を持った。

このビデオでは 年金生活で暇を持て余した爺さんが 若い女性OTに構ってもらってもらいながらニヤニヤと機械のレバーを握って満足そうにしている様子が見てとれる。

しかし若い脳卒中患者にとっては事態はとても深刻で、手が自由にならないことは 職を追われ生活の危機に直面することを意味する。


もうちょっとこの男性俳優に、必死さを演出して欲しかった...と考える。

2014年5月2日

リハビリ病院ってほとんど動く時間がなくて笑った


Sedentary behaviour and physical activity of people with stroke in rehabilitation hospitals.
2014  3月  スウェーデン

リハビリ病院の脳卒中患者がじっとしている時間を調べてみたそうな。

スウェーデンの4つのリハビリ病院に入院中の脳卒中患者104人について、午前8:00から午後5:00までの活動状況を1週間つきっきりで観察して記録したところ、


次のようになった。

・日中の74%の時間は 横になっているか座っている(じっとしている)状態だった。

・1時間以上じっとしている状態の合計が日中の44%に及んだ。

・午前9:00-午後12:30がもっとも活動的な時間帯だった。

・リハビリ室よりもホールにいるときの方が活動的であることが多かった。


リハビリ病院内での患者の時間の使い方が非効率的である。じっとしている時間を減らす工夫が必要だろう、


というおはなし。
図:脳卒中患者が日中過ごす場所


感想:

「リハビリ病院に転院したらどんなに長くつらい訓練でもきっと耐えてみせる!」と意気込んでいたら、現実にはPT,OT合わせても1日に2時間未満。

あまりにもすることがなかったので、病室にいる時間はできるだけ立っていた。ベッドの枠につかまってラジオを聞きながら。

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