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2013年11月18日

障害受容できない脳卒中患者の特徴とは


Acceptance of disability and its predictors among stroke patients in Taiwan.
2013  11月  台湾

障害の受容が進めば適切なリハビリを行うことができて健康増進にもつながる。
脳卒中患者の障害受容度と関連要因について調べてみたそうな。


発症3ヶ月以降の脳卒中患者175人にアンケート調査を行い、障害受容スコアを算出し、医療データとの関連を解析した。


次のようになった。

・障害受容スコアの平均は72で(範囲32-128)、かなり低い値だった。

主に、

*信仰する宗教がない

*発症後間もない

*再発した

*身体機能が衰えている

という患者ほど障害受容スコアが低かった。


これらの特徴から 障害受容度の低い患者を早期に見分けることができ、適切なリハビリ計画の助けになるだろう、


というおはなし。


感想:

脳卒中患者は他の病気にくらべ障害受容度が低いらしい。

わかる気がする。

外傷もなく しかも脳のほとんどの領域が まだまともに残っているのだから...




2013年11月17日

脳卒中予防には歩く時間が大切 距離やスピードじゃなくてジ・カ・ン


Protective Effect of Time Spent Walking on Risk of Stroke in Older Men
2013  11月  イギリス

高齢男性の歩行時間と脳卒中との関係を調べてみたそうな。


60-80歳の健康な男性3435人について10年間追跡調査したところ、


次のようになった。

・歩行時間が週に3時間未満の者に比べ、8-14時間の者は脳卒中リスクが3割低下した。

・週に22時間以上歩行する者の脳卒中リスクは6割低下した。

・8時間以上歩く者の割合は42%で、22時間以上の者は9%だった。

・歩行時間が週に3時間未満の者は1年間に1万人中80人が脳卒中になり、

・週に8-14時間の者は1年間に1万人中55人が脳卒中になった。

・この傾向は歩行のペースに依らなかった。

距離やスピードではなく、週に何時間歩くかが脳卒中リスクに大きく影響することがわかった、


というおはなし。

写真:ウォーキングマン


感想:

やばい、ぜんぜん足りてない。


2013年11月16日

脳が再生する運動強度がわかった


Effects of exercise intensity on spatial memory performance and hippocampal synaptic plasticity in transient brain ischemic rats.
2013  10月  台湾

脳卒中のあとの運動が記憶障害を改善することが知られている。
そこで、脳卒中のあとの運動強度と記憶を司る海馬神経の可塑性との関連を調べてみたそうな。


人為的に脳虚血状態にしたネズミを次の3グループに分けた。

*じっとしてるグループ
*低強度運動グループ
*高強度運動グループ

脳虚血の翌日からトレッドミルを使って毎分8mまたは20mペースで1日30分間×14日間運動させた。

記憶力、神経成長関連蛋白質(BDNFなど)、神経の樹状構造を評価した。


次のようになった。

・じっとしてるグループに比べ低強度運動グループの記憶力テストの結果がよかった。

・高強度運動グループではこのようにはならなかった。

・神経の樹状構造の複雑さと関連蛋白質は低強度運動グループでのみ増加した。

・高強度運動グループのコルチコステロンが多く、高ストレス下状況を示していた。


脳虚血のあとの無理のない運動は、神経の可塑性を促し、記憶機能を向上させることがわかった、


というおはなし。



写真:延びた神経

2013年11月15日

脳卒中患者が孤独を感じると どうなってしまうのか?


Social isolation after stroke leads to depressive-like behavior and decreased BDNF levels in mice.
2013  11月  アメリカ

社会隔離された環境にいた人や動物は、脳梗塞の予後が良くないことが知られている。おなじことが脳卒中のあとにも当てはまるかどうか実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミを使って、亜急性期および慢性期に社会隔離する状況を作り、機能的、脳組織的影響を調査した。


次のようになった。

・仲間と一緒にしたネズミに比べ、隔離ネズミは脳組織の虚血ダメージがひどかった。

・また、行動もウツ状態に似たパターンを示した。

・脳卒中後すぐに隔離したネズミでは神経成長を促すタンパク質が減少していた。


脳卒中後の社会隔離環境はネガティブな影響しかなく、ウツや不安の原因にもなりうると考えられた。
孤独を感じている脳卒中患者をはやく見つけ出すことで症状の悪化を防ぐことができるかもしれない、


というおはなし。

写真:孤独


感想:

脳卒中患者の個室は禁止だね。






2013年11月14日

看護師さん、どんな体位でエッチしたらいいですか?具体的に教えてください


Health care professionals' views on discussing sexual wellbeing with patients who have had a stroke: a qualitative study.
2013  11月  イギリス

医療関係者に、性生活について脳卒中患者の相談にのった経験を教えてもらったそうな。


30人の医療関係者に面談して調べた結果、


次のようになった。

・性生活についての話題は、医療関係者の方からは切り出しにくいテーマだった。

・そこには次の4つの障壁が考えられた。
・医療組織としてのケアプロセスに患者の性生活が含まれていない。

・医療プロフェッショナル個人として患者の性生活は専門の範囲外である。

・性生活の話題が患者を傷つけることになる危惧。

・患者が高齢もしくは関心の薄い女性である場合、性生活の話題は不適切である。

・また、関連資料があるにも関わらず多くの医療関係者はそれらを利用していなかった。


医療関係者の多くは脳卒中患者の性生活について関心がないか気にする必要がないと考えていて、相談にのる技術や経験も少なかった。
微妙なテーマなので、相談ではなく単に情報提供ができればいいんじゃないのかな...


というおはなし。

写真:sexual wellbeing


2013年11月13日

タングステンを摂ると脳卒中になることが明らかに


New research finds high tungsten levels double stroke risk
2013  11月  アメリカ

金属であるタングステンと脳卒中との関連が判明したそうな。


18-74歳の8614人を対象にした12年間におよぶ健康栄養調査で得られた結果から、尿中のタングステン濃度と脳卒中との関連を解析したところ、


次のようになった。

・尿中タングステン濃度が高かった人はただそれだけで脳卒中リスクが2倍だった。

・この傾向は特に50歳未満で顕著だった。

・タングステンの由来は廃棄された電子機器などから環境中に拡散した と考えられた。


タングステンが脳卒中のリスクになることが明らかになった。これら金属の環境への拡散は続いておりコントロールが難しい。今回の発見は氷山の一角に過ぎないのかも知れない、


というおはなし。



この研究者へのインタビュー

High urinary tungsten concentration is associated with stroke in the national health and nutrition examination survey 1999-2010.

2013年11月12日

筋電誘発型電気刺激リハビリを試してみた


EMG-triggered electrical stimulation is a feasible intervention to apply to multiple arm muscles in people early after stroke, but does not improve strength and activity more than usual therapy: a randomized feasibility trial.
2013  11月  オーストラリア

筋電誘発型電気刺激の上肢麻痺改善効果を調べてみたそうな。


発症4週間以内の脳卒中患者33人について、電気刺激あり、なしのグループに分けて比較した。

電気刺激は、肩、肘、手首、指の筋肉をターゲットにし、週4回×4週間続けた。

両グループ共に通常のリハビリも行った。


次のようになった。

・最後まで電気刺激実験をやり通した者の割合は87%だった。

・筋力や動作で両グループ間の差はまったく見られなかった。


筋電誘発型電気刺激は被験者の苦痛にはならないものの、効果はまったくないことがわかった、


というおはなし。


筋電誘発型電気刺激ってこんな感じ


2013年11月11日

ヘモグロビンA1c はやや高いだけで脳梗塞の危険


Haemoglobin A1c even within non-diabetic level is a predictor of cardiovascular disease in a general Japanese population: the Hisayama Study.
2013  11月  日本

ヘモグロビン(Hb)A1cと脳卒中を含む心血管系疾患のなりやすさを日本人で調べてみたそうな。


40-70歳の2851人について7年間追跡調査したところ、


次のようになった。

・この間に119人が心血管系疾患になった。

・HbA1cが5%未満の者と比較した場合、

・5.5-6.4%では心血管系疾患の危険率は2.26倍、

・6.5%以上だと4.43倍、

・糖尿病治療薬を処方されていると5.15倍だった。

・この傾向は特に、冠動脈疾患と脳梗塞で顕著で、脳出血との関連はなかった。


HbA1cは正常値範囲内にあっても、高めの値だと脳梗塞になりやすいことがわかった、


というおはなし。

図:HbA1cと脳梗塞

感想:

身近な人のHbA1cがやや高いらしいので関心を持った。

2013年11月10日

難しい理屈はいいからスクワットをやれ


Deep flexion activity training in a patient with stroke using task-oriented exercise: a case report.
2013  11月  インド

膝の深屈曲が必要な脳卒中患者がいたので特別なリハビリを考えてあげたそうな。


55歳で靴の営業職の男性が脳梗塞になった。
片麻痺のためしゃがむことができず、アジア式トイレやお客に靴を履かせる際の動作をいったいどうしたものか...と悩んでいた。

この状況を改善するために課題志向型のリハビリを行った。

具体的には、

*低い腰掛けを使って立ったり座ったりの動作を繰り返す。
*次の段階ではスクワットトレーニングを導入する。


6週間後、次のようになった。
・期待していた以上に回復して社会復帰もできた。


膝の深屈曲ができるようにリハビリをしたら自立も進み、社会参加が促された、


というおはなし。



感想:

たった一例の報告だけど、シンプルさに好感を持った。

自分もこの数年間、スクワットは ほぼ毎日やっている。

2013年11月9日

自宅でCI療法ができるビデオゲームをオハイオ大学が開発


Researchers develop at-home 3D video game for stroke patients
2013  11月  アメリカ

脳卒中で麻痺した上肢の回復訓練であるCI療法を自宅でもできるようにテレビゲーム化してみたそうな。

麻痺手にモーションセンサーグローブを、健常手には動きを制限するためのミットを着ける。

川下りのパドル動作を繰り返すことがリハビリになる。

これを2週間、計30時間行うことで上肢機能が改善する、

というおはなし。


これがそのCI療法ゲームだ。




感想:

突っ込みどころの多いビデオ。

ミットを着けてる意味がないし、太り過ぎ。

そもそもCI療法ってこんなんでいいのか?

2013年11月8日

動物さんが教えてくれた効果的なリハビリ方法とは


Meta-analysis of the Efficacy of Different Training Strategies in Animal Models of Ischemic Stroke.
2013  10月  ドイツ

脳梗塞のあとのリハビリ戦略とその適切な時期を、動物実験での結果をたよりに調べてみたそうな。

関連する過去の研究を検索して、それぞれを次のように分類し、解析しなおした。

・強制運動
・自発的運動
・CI療法
・課題学習型運動(熟練手伸ばし訓練)


次のようになった。

・対象動物計880匹、35件の研究を厳選し、データを統合した。

・運動によって梗塞体積は14%減少した。

・認知機能は33%改善した。

・神経症状は13%改善した。

・走行機能は7%改善した。

・強制運動でもっとも効率よく梗塞体積が減少し、走行機能も改善した。

・上肢機能の改善は課題学習型運動がもっとも効果的だった。

・発症後1-5日以内に運動を始めるのがもっとも効果的だった。


脳卒中にした動物を使った実験によると、運動によって梗塞の体積が減り各種機能回復が促された。特に、強制運動と課題学習型運動が効果的で、開始時期によって効果が変わった、


というおはなし。




感想:

動物さんは正直で空気を読んだりしないから、とても参考になる。


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