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2013年11月4日

転んでも安全 水中療法の効果を確かめてみた


Effects of an aquatic therapy approach (Halliwick-Therapy) on functional mobility in subacute stroke patients: a randomized controlled trial.
2013  10月  ドイツ
水中療法のリハビリ効果を検証してみたそうな。


発症後2週目以降の脳卒中患者30人について、水中療法グループと比較グループに分けた。
水中療法は1回45分間×週に3回×2週間 +通常のリハビリを週に2回 行った。

比較グループでは、通常のリハビリを週5回×2週間行った。


次のようになった。

・水中療法グループでバランス能力の著しい改善があった者は83%、比較グループでは47%だった。

・歩行能力の改善程度も水中療法グループで非常に高かった。

・移動動作に関しては両グループで大きな違いはなかった。


水中療法は安全で 移動能力の改善に効果的かも知れない、

というおはなし。


脳卒中患者向け水中療法のシーン



感想:

2週間後じゃ入浴するだけでも多くの人の手を借りるのに、海パン履いてプールに浸かるなんて想像すらできない。

ぜんぜん安全じゃないと思う。

2013年11月3日

寒くなってまいりました 冬の脳梗塞は高齢者に厳しいことが明らかに


Association between winter season and risk of death from cardiovascular diseases: a study in more than half a million inpatients in Beijing, China.
2013  10月  中国

脳卒中を含む心血管系疾患での院内死亡率の季節変動をアジア人について調べてみたそうな。


中国の代表的な病院 32施設のこれまでの入院患者62万人あまりのデータを解析したところ、


次のようになった。

・冬季(11月-2月)に入院した高齢の心血管系疾患患者は5月入院の患者に比べ死亡リスクが30%から50%高かった。

・しかし若年患者についてはこのような季節変動は見られなかった。

・高齢患者の冬季死亡リスクの上昇は脳梗塞についても同様だった。

・このリスク上昇は呼吸器系疾患の有無には依らなかった。


中国では冬に脳梗塞患者の死亡リスクがかなり高くなることがわかった、


というおはなし。


写真:脳卒中死亡率季節変動
若いひとは季節に依らず死亡率ほぼ一定

 

2013年11月2日

手がまったく動かない...一生このまんまなのか...


The impact of time on quality of motor control of the paretic upper limb after stroke.
2013  10月  オランダ

脳卒中のあと6ヶ月間に、何日くらいで上肢動作が復活してくるのか調べてみたそうな。


44人の脳梗塞で やや片麻痺の患者について、1,2,3,4,5,8,12,26週間後の上肢の動作スピード、スムーズさ、正確さ等について3次元的に動作解析した。

この間、特別なことはしなかった。


次のようになった。

・最初の5週間に動作スピード、スムーズさ、正確さの点で大きな改善が見られた。


脳卒中後、おおむね8週間以内には麻痺上肢の動作が改善した。これは脳の自発的な回復によるもの、と考えられた、


というおはなし。




感想:

思い出すと1ヶ月と2週間くらいは手の指の開きが全くできなくて暗澹たる気持ちが続いたものだった。


2013年11月1日

みそ汁が濃いと塩分摂取量も多いのか?


東京近郊のがん検診受診者におけるみそ汁の味付けと塩分摂取量の関係
2013  11月  日本

高血圧を予防するためには過剰な塩分摂取を控えることが必要である。

そこで、みそ汁の味の濃さと一日の塩分摂取量との関連を調べてみたそうな。


40-69歳の健康な143人について食事調査と24時間ぶんの尿を採取して塩分排泄量を測ったところ、

次のようになった。

・濃いみそ汁を飲む人の塩分排泄量は多かった。

・濃いみそ汁を飲む人は加工食品の摂取頻度も高かった。

・しかし、1日の塩分摂取量は主に、食卓上のしょうゆを使う頻度や、麺のつゆを飲む量によって決まっていた。


みそ汁の味の濃さは一日の塩分摂取量と関連があった。
この原因は加工食品の摂取頻度よりむしろ 任意で調節可能な塩分関連行動によって説明できる、


というおはなし。


図:みそ汁の濃さと食塩関連行動



感想:

リハビリ病院を退院するときに栄養師の指導があって、

『ラーメンのスープだけは絶対に飲まないでください。』

と、5回ぐらい繰り返し言われたことを思い出した。



2013年10月31日

医師「頭の血管が狭くなってますねぇ ステントを入れる手術をすると長生きできますよぉ」患者「遠慮します」


Stroke prevention surgery less effective than meds, lifestyle change
2013  10月  アメリカ

脳の血管が狭くなって脳卒中やTIAを何度か起こした患者にはステントを置いて血管を拡げる手術を行うことができる。

このステント治療の効果を検証してみたそうな。


脳内に狭窄度70%以上の血管がありこれまでに脳卒中やTIAを何度も繰り返している患者451人について、ステント留置グループ、ステント無しグループに分けてその後の再発を追跡調査(SAMMPRIS試験)した。

両グループ共に、抗血栓薬の投与と、運動、禁煙、食事といった生活改善指導を行った。


次のようになった。

・2年後、脳卒中の再発はステントなしグループではるかに少なかった。

・計画ではもっと長く追跡調査する予定だったが、あまりに明らかな結果だったのですでに2年前に実験を中止した。


脳内ステントによる脳卒中予防はまったく効果がないばかりか非常に危険であることが明らかになった、


というおはなし。


写真:脳内ステント



2013年10月30日

ビタミンB12が不足すると脳がたいへんなことになるらしい


Vitamin B12 and progression of white matter lesions. A 2-year follow-up study in first-ever lacunar stroke patients.
2013  10月  オランダ

脳室周囲の白質病変は血中ビタミンB12濃度と関連があるとされている。
そこでビタミンB12が不足すると大脳白質病変が進行するのか調べてみたそうな。


ラクナ梗塞の患者107人についてビタミンB12の血中濃度、脳のMRIを2年間追跡調査した結果、


次のようになった。

・脳室周辺の白質病変が進行した患者は進行しなかった患者に比べ、ビタミンB12欠乏症が多かった。

・低ビタミンB12濃度と脳室周辺の白質病変の進行とは関連があった。

・血中ビタミンB12濃度は深部白質病変の進行と関連はなかった。


ラクナ脳梗塞患者の脳室周辺白質病変の進行は、血中ビタミンB12が低い状態と関連があった。ビタミンB12サプリメントでこれが防げるかどうかは不明、


というおはなし。


脳室周辺白質病変ってこんな感じ
写真:白質病変



感想:

実はコレ、 微妙にあるんだ。

全然心配してないけどね。



2013年10月29日

tDCSはリハビリの役に立ちそうなのかい?


Transcranial direct current stimulation (tDCS): Does it have merit in stroke rehabilitation? A systematic review.
2013  10月  オーストラリア

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の効果について過去の研究を見なおしてみたそうな。


厳選した結果、15件、被験者計315人ぶんの研究データが見つかった。

これらのデータを統合し再解析したところ、


次のようになった。

・病側脳にプラス極、健常側にマイナス極または両側脳同時刺激のtDCSすべてについて、直後の運動機能測定では、偽刺激に比べ統計的に有意な改善効果は見られなかった。

・しかし脳卒中の特徴別に限定すると、慢性期患者および軽症、中程度の障害患者では大きな改善効果が確認出来た。


tDCSは患者を選べば一時的な改善効果を得ることが出来そうである。しかし刺激方法が具体的に定まっていないことや脳卒中の状態にもいろいろあることから実用への道のりは遠い、


というおはなし。


写真:tDCS

2013年10月28日

脳卒中でPTSDになりやすい人 なりにくい人


Correlates of Post-traumatic Stress Disorder in Stroke Survivors.
2013  10月  アメリカ

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は命に関わるような事故や病気のあとに起きやすい。

そこで脳卒中とPTSDとの関連を調べてみたそうな。


発症5年以内の脳卒中経験者535人についてPTSD判定テストを行った。このスコアが50以上だとPTSDである可能性が高い。また、関連要因も解析した。


次のようになった。

・95人、18%がスコア50以上だった。平均スコアは35。

・低収入、脳卒中の再発、障害の悪化、合併症の増加がPTSDと関連があった。

・高齢、既婚、相談相手がいるとPTSDになりにくかった。

・PTSDの可能性の高い人は身体的、精神的に健康状態が良くなかった。


脳卒中によるPTSDは年齢が若く、再発、重い障害や合併症があるとなりやすい。社会的なサポートには予防効果があるので早めに手を打ちたいものである、


というおはなし。

2013年10月27日

難しい理屈やマッサージはあとにしてくれ 患者さんは歩きたいんだぞo(`ω´*)o


A mapping study on physical activity in stroke rehabilitation: Establishing the baseline.
2013  10月  スウェーデン

脳卒中になって間もない患者の身体活動状況を調べてみたそうな。


発症7日以上経過している平均年齢70の脳卒中入院患者104人について、ある平日の8:00-17:00の身体活動内容を10分刻みで記録した。


次のようになった。

・患者は概ね発症後20日ほど経過していた。

・患者は8:00-17:00の52%の時間を1人で過ごしていた。

・そして7%の時間が立っているまたは歩いている状態だった。

・PTと一緒にいる時間の43%は立位/歩行状態だった。

・立位/歩行状態にいる時間が長いほど、歩行自立度が向上した。

・また、年齢が高くなるほど立位/歩行状態にある時間が減った。


脳卒中患者の身体活動レベルは低い。もっともっと活動させることで自立を促すことのできる余地がたっぷりあることがわかった、


というおはなし。

写真:PTと一緒

感想:

逆の見方をすれば
PTと一緒にいてさえ そのうち6割の時間は座ってるか寝てるってこと。


なるほどそのとおりで、
1コマ40分のなかでマッサージとか姿勢のチェックみたいなことが延々と続いて、

けっきょく歩く時間は15分とか よくあった。



2013年10月26日

TIAで片目が見えなくなることがあるらしい


Features of Patients with Transient Monocular Blindness: A Multicenter Retrospective Study in Japan.
2013  10月  日本

一時的に片目が見えなくなる一過性単眼盲はTIA(一過性脳虚血発作)と関連があると言われている。
日本人について実際のとこどうなのか、調べてみたそうな。


13の施設での発症7日以内のTIA患者のデータ444件を調査した結果、


次のようになった。

・13人、2.9%が一過性単眼盲だった。

・一過性単眼盲の患者は脳卒中センターへの到着が遅れがちだった。

・一過性単眼盲の患者は頸動脈の狭窄がありがちだった。


一過性単眼盲はTIA患者によくある症状ではなかった、


というおはなし。

2013年10月25日

世界的に若者の脳卒中が増えている原因とは


World faces looming stroke epidemic, health experts warn
2013  10月  イギリス

世界的に若年者の脳卒中が増えているそうな。
・世界の脳卒中の3分の1は20-64歳に起きていて、

・この年齢層の脳卒中は、最近の20年間で25%増加した。
さらに、
・世界全体での総死亡率は低下傾向にあるものの、

・高所得国に比べ中低所得国の脳卒中死亡者数は10倍にのぼり、

・2030年までに脳卒中で早死したり障害を負う人は現在の2倍になるだろう。
イギリスでは、
・貧困地域の住人は富裕層地域に比べ脳卒中死亡率が3倍にのぼる。
・貧困格差によるこの傾向は世界的なものでもある。

・肥満、糖尿、高血圧の増加が原因と考えられる。

ついでに、
・世界の脳卒中死亡者の半数以上、脳卒中障害者のほとんどは脳出血の結果であり、主に高血圧が原因である。

先進国での脳卒中予防活動が一定の成果を上げてはいるものの、世界人口が増加しているので、若者を含め脳卒中人口が増えるのは仕方のないところでもある。

低所得国向けの啓蒙活動が期待される、


というおはなし。

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