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2013年10月5日

5年後も生きている人と再入院する人の割合


5-year survival and rehospitalization due to stroke recurrence among patients with hemorrhagic or ischemic strokes in Singapore.
2013  10月  シンガポール

脳卒中5年後の生存または再入院の可能性について調べてみたそうな。


シンガポールの3つの国立病院に入院した脳卒中患者12000人あまりを5年間追跡調査したデータを解析したところ、


次のようになった。

・59%が5年後も生き残っていた。

・18%は5年以内に脳卒中が再発して入院していた。

・性別や人種は脳出血の再発とあまり関連はなかった。

・脳出血は早い時期の死亡率が高く、脳梗塞は遅い時期の死亡率が高かった。

・死亡原因の主なパターンは、脳血管疾患→肺炎→虚血性心疾患 だった。

・再発時は初回と同じタイプの脳卒中だった。


というおはなし。

2013年10月4日

グロ画像を見せると半側空間無視がさらにひどくなるかもしれない根拠について


Immediate Effects of Exposure to Positive and Negative Emotional Stimuli on Visual Search Characteristics in Patients with Unilateral Neglect.
2013  9月  イスラエル


半側空間無視患者の注意力の特徴を調べてみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視の患者8人と、健常な8人について、正面に画像を提示した後の探索課題の反応速度について測定した。

提示する画像は、感情的にネガティブ、ポジティブ、中立的なものを用意して、各々と課題成績との関連を解析した。


次のようになった。

・半側空間無視患者は健常人に比べ、左方への反応速度が遅く、バラつきが大きかった。

・特に、ネガティブな画像を提示されたあとの左方探索速度が非常に遅かった。

・ポジティブ画像よりもネガティブ画像で左右差が大きかった。


心理刺激が半側空間無視患者の反応速度と安定性の空間的アンバランスさに影響を与えることがわかった、

というおはなし。




感想:

ドキッとする画像を見ると、意識する以上に脳が動揺しちゃうってことなのかな。

2013年10月3日

急性期に疲労があるとマズイのか?


Fatigue in the acute phase after first stroke predicts poorer physical health 18 months later.
2013  9月  ノルウェー

脳卒中急性期の疲労が18ヶ月後の身体的、心理的健康に影響するかどうか調べてみたそうな。


平均年齢68、入院から2週間以内の脳卒中患者96人について疲労度を測定し、18ヶ月後の身体的、心理的健全度も追跡調査した。


次のようになった。

・急性期の疲労は18ヶ月後の身体的健康と関連があった。

・一方、心理的健康と関連はなかった。

・逆に急性期の身体的、心理的健康と18ヶ月後の疲労との関連は見られなかった。


脳卒中急性期の疲労は18ヶ月後の身体的健康のリスク要因である、


というおはなし。



感想:

急性期の "疲労" って考え方がピンとこない。

急性期ってのは突然手足が動かなくなった直後の緊急事態真っ最中なわけで、のんきに疲労とか言ってる場合じゃないと思う。


自分のばあい、この疲労はヤバイな...と意識できるようになったのは退院して、心に余裕ができてから後のことだった。


2013年10月2日

早期リハビリができるようになったのは急増したPCとPTのおかげ


Implementation of Acute Stroke Rehabilitation Services in Our Hospital -Comparison Between the Years 2010 and 2000-
2013  9月  日本

過去10年間で急性期脳卒中リハビリがどのように変化したかを調べたそうな。


産業医科大学病院に2000年に入院した脳卒中患者36人と、2010年に入院した134人について患者データを比較したところ、


次のようになった。

・2010年の患者の方がより重症だった。

・発症からリハビリ開始までの期間が11.3日→4.0日に短縮した。

・リハビリ処方日から実施日までの期間が1.1日→0.2日に短縮した。


脳卒中急性期の早期リハビリが充実する傾向にあった。これは理学療法士の増員と電子カルテの普及に依るところが大きいと考えられる、


というおはなし。



2013年10月1日

【ニコチン療法】ニコレットを貼ると半側空間無視が改善することが判明


Effects of pro-cholinergic treatment in patients suffering from spatial neglect.
2013  9月  スイス

半側空間無視は、右脳損傷がアセチルコリンを介した神経系のはたらきを邪魔することにより起きているとも考えられる。

そこで、アセチルコリンの代替物質として、ニコチンが症状を改善するかどうか実験してみたそうな。


10人の脳卒中患者にニコレット10mgを貼り、半側空間無視の判定テストを受けさせた。
ニコチンなしの偽ニコレットも用いて比較した。


次のようになった。

・ニコチングリープは抹消課題と追跡課題で大きな改善をしめした。

・症状が重い患者の方が改善程度が大きかった。

・その他の課題では大した改善は見られなかった。


ニコチン療法が半側空間無視患者の注意力、覚醒度を改善することがわかった、

というおはなし。


ニコチン効果と重症度
症状が重いほどよく効く

2013年9月30日

薬を飲まなくなってしまう脳卒中患者の割合と特徴


The association between patients' beliefs about medicines and adherence to drug treatment after stroke: a cross-sectional questionnaire survey.
2013  9月  スウェーデン

再発予防のための服薬を遵守しない脳卒中患者がどんな考えを抱いているのかを調べてみたそうな。


退院して自宅に居る脳卒中患者に、発症3ヶ月時点での服薬遵守状況と、服薬についての考えをアンケート調査した。


次のようになった。

・989人の患者中、578人から完全回答が得られた。

・服薬をやめてしまった患者数は72人(12.5%)だった。

・彼らは服薬に対し、ポジティブなイメージが少なく、ネガティブに捉えがちで、

・薬を飲んでもあんまり役に立たないと考えていた。


ちゃんと服薬してもらうためには患者の理解を促さないとね、


というおはなし。



感想:

わたしも同じ考えだが薬をやめる勇気がない。

2013年9月29日

tDCSは何度も繰り返すと効果的


Transcranial direct current stimulation over multiple days improves learning and maintenance of a novel vocabulary.
2013  8月  オーストラリア

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)のこれまでの報告は刺激が1回だけのものが多い。
そこで複数回刺激した時の言語機能への効果を調べてみたそうな。


40人の健常人について、tDCSのプラス極刺激または、偽刺激のグループに分けて、計20回の刺激を行いながら、5日間にわたり新たな語彙の学習課題成績を比較した。
また、1週間後もフォローした。


次のようになった。

・言語学習スコアはtDCSグループで優れていた。

・認知課題ではtDCSグループが早い段階で最高スコアに達していた。

・これら両課題についてtDCSの効果は1週間後も持続していた。



tDCSは複数回行うとより効果的で、失語症の脳卒中患者の治療に使えるかも知れない、


というおはなし。



2013年9月28日

脳卒中患者は眠れない


Predictive factors of subjective sleep quality and insomnia complaint in patients with stroke: implications for clinical practice.
2013  8月  ブラジル

脳卒中患者の睡眠の質と不眠状況について調べてみたそうな。


平均年齢57の40人の脳卒中患者と30人の健常人について、睡眠アンケートをとり、データ解析した結果、


次のようになった。

・睡眠の質スコアは脳卒中患者で高く(患者6.3、健常人3.9)、質の悪さを示していた。

・不眠経験者の割合は、脳卒中患者で37.5%、健常人で6.7%だった。

・女性であること、睡眠の断片化が不眠のリスク要因だった。


脳卒中患者は睡眠障害になりやすいので、注意しましょう、


というおはなし。




感想:

入院中の睡眠の思い出は尿瓶体験だね。

当時、左手足はほぼ完璧に麻痺して

寝ぼけていてかつ真っ暗ななかで狙いを外し、自分の顔にかかったことがある。




2013年9月27日

リハビリは早く始めれば良いってものでもないらしい


Effect of task-specific training on functional recovery and corticospinal tract plasticity after stroke.
2013  9月  韓国

リハビリを開始する最適なタイミングを、皮質脊髄路もみながら調べてみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミについて、梗塞サイズの大小でグループ分けした。

さらに課題志向型リハビリを開始する時期ごとに1,5,14日後のグループに分け、行動試験で回復程度を追跡した。

そののち解剖して脳内の神経構造を確認した。


次のようになった。

・小さい梗塞グループでは、リハビリを1または5日後に開始したネズミの回復が非常に良かった。

・大きい梗塞グループでは5日後開始が最も回復良く、いっぽう1日後開始ネズミは症状が悪化した。

・対側の軸索新芽形成は両グループの5日後ネズミで増加していた。

・しかし大きい梗塞グループの1日後リハビリ開始ネズミの軸索形成は逆に減少していた。

・運動野と脳梁を結ぶ軸索形成にも同様の傾向が見られた。


脳卒中からの機能回復程度は、梗塞のサイズとリハビリ開始時期によって変わる。これは皮質脊髄路の可塑的構造変化と関係があるかも知れない、


というおはなし。

2013年9月25日

脳梗塞になったら首の後ろを揉むと脳が復活するかも知れないという根拠について


Effect of nape cluster-acupuncture treatment on brain microcirculation in ischemic stroke rats
2013  6月  中国

首の後ろに並んだツボへの鍼刺激が脳虚血に及ぼす影響を実験してみたそうな。


80匹のオスのネズミを、脳虚血グループと偽手術グループとに分けて、
さらに各々 鍼刺激グループと投薬グループとに分けた。

鍼刺激グループは首の後ろのツボ4箇所に鍼を打ち、16分間刺しっぱなしにした。これを1日1回×14日間続けた。

投薬グループには脳の血流を改善する薬を1日1回胃内投与×14日間続けた。


次のようになった。

・虚血手術グループでは、明らかに脳血流量が減少し、血液粘度が上昇した。

・鍼刺激および投薬グループで明らかに脳血流量が増加し、血液粘度は下がった。

・これらの効果は鍼刺激のほうが投薬よりも顕著にあらわれた。



ネズミを使った実験では、首の後ろのツボ群を鍼刺激することで脳の微小循環動態がかなり改善することがわかった、


というおはなし。

写真:首の後ろのツボ


感想:

入院中、首の後ろをやたらキツく揉むOTさんがいて、揉み方がキツすぎて失神者がでるほどだった。

そういう行動に駆り立てた背景にはこんな理由があったのかも知れない。


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