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2013年7月19日

中国人は白人よりも脳卒中になりやすく脳内出血が多い


Epidemiology of stroke and its subtypes in Chinese vs white populations: A systematic review.
2013  7月  台湾
Chinese People May Be at Higher Risk for Stroke Than Caucasians

脳卒中のなりやすさとその種類を、白人と中国人とで比べてみたそうな。

関連する過去の研究論文を厳選し、データを統合して再解析したところ、

次のようになった。

・3935人の中国人脳卒中患者と、4568人の白人脳卒中患者のデータが集まった。

・脳卒中リスクは白人よりも中国人で高く、

・中国人では10万人あたり、205-584人が、

・白人では、170-335人が脳卒中になった。

・また、脳内出血の割合が、中国人では33%、白人は12%だった。

・脳卒中になる年齢も中国人では若干若かった。


中国人は、白人に比べ脳卒中になりやすく、特に脳内出血が多いことがわかった、


というおはなし。



2013年7月18日

「火事ですか、救急ですか?」「おじいちゃんが おじいちゃんがぁーーーーーーーーーーっ」


"Can you send an ambulance please?": a comparison of callers' requests for emergency medical dispatch in non-stroke and stroke calls.
2013  7月  イギリス

救急車出動を要請する電話の内容から脳卒中を判断することは難しく、脳卒中患者の半分は別の病気を想定される。

そこで、救急車要請電話で語られるキーワードの違いを、脳卒中患者とそうでない場合とで比較してみたそうな。


次のようになった。

・脳卒中患者でなかった277のケースでは、
"脳卒中"に触れたケースが3%、"手足の脱力"は4%、"言葉に問題あり"は4%だった。

・また、複数の脳卒中症状について訴える電話はなかった。


・脳卒中患者だった473のケースでは、
"脳卒中"に触れたケースが40%、"手足の脱力"は15%、"言葉に問題あり"は15%だった。

・また、複数の脳卒中症状を訴える電話は3%だった。



患者が脳卒中でない場合、救急車要請電話の中で脳卒中や手足の脱力、言葉がもつれる、顔がゆがむなどの症状を訴えるケースは稀だった。

しかしたとえ患者が脳卒中であっても、これらの症状が語られることは多くはなかった、


というおはなし。

2013年7月17日

乗馬セラピーでQOLが改善する


Effects of horseback riding therapy on quality of life in patients post stroke.
2013  6月  ブラジル

脳卒中患者には苦悩が多く、生活の質の改善が必要である。

そこで、乗馬セラピーの効果を試してみたそうな。


24人の脳卒中患者について、通常のリハビリを行い、併行して乗馬セラピーあり、なしのグループに分けた。

4ヶ月のセラピーの後、SF-36という生活の質をスコア化するアンケート調査を行い、比較した。


次のようになった。

・乗馬セラピーグループでSF-36のスコアが著しく改善した。

・通常のリハビリ+乗馬セラピーは、脳卒中患者の身体機能、メンタルヘルスの改善と関連があった。



脳卒中リハビリに乗馬セラピーを加えることでQOLの向上につながるかもしれない、


というおはなし。



感想:

片麻痺状態でどうして馬に乗れるのか?と疑問に思ったが、実際はこんな感じらしい。

写真:乗馬セラピー

2013年7月16日

脳出血は脳内出血とクモ膜下出血の総称で3人に1人はひと月以内に死んでしまう


Mortality after hemorrhagic stroke: Data from general practice (The Health Improvement Network).
2013  7月  イギリス

脳出血の致命率、死亡率の特徴を調べたそうな。


脳内出血およびクモ膜下出血患者の30日内致命率と、1年後の死亡率について調査した結果、


次のようになった。

・脳内出血の致命率は42%、クモ膜下出血は29%だった。

・年齢別20-49歳では、脳内出血の致命率は30%、クモ膜下出血は20%、

・80-89歳では、脳内出血の致命率は55%、クモ膜下出血は57%だった。

・2001-2008にかけて、脳内出血の致命率は53%→36%に、クモ膜下出血は33%→25%になった。

・脳内出血経験者の1年間の死亡リスクは健常人の2.6倍、クモ膜下出血は2.8倍だった。


脳出血では3分の1以上の患者が1ヶ月以内に死亡する。50歳未満では脳内出血の方がクモ膜下出血よりも致命率は高かった。

すぐに死ななかったとしても脳出血経験者は、死亡リスクが高い状態がその後も続く、


というおはなし。




感想:

わずか10年足らずの間に脳内出血の致命率が かくも下がるのものなのか???

2013年7月15日

アスピリンやワルファリンの使用は脳出血のもとなのか?


Antithrombotic drugs and risk of hemorrhagic stroke in the general population.
2013  7月  イギリス

アスピリン、ワルファリンと脳出血との関連を調べたそうな。


1797件の脳内出血、1340件のクモ膜下出血の患者データおよび10000人の健常人データから、アスピリン、ワルファリン使用との関連を解析した。


次のようになった。

・アスピリンの使用と脳内出血との関連はなかった。一方、 クモ膜下出血のリスクは若干下がった。

・アスピリンを3年以上使っていると、クモ膜下出血のリスクが37%下がった。

・ワルファリン使用者の脳内出血リスクは、非使用者の2.8倍だった。クモ膜下出血は1.7倍。

・特にINRが3以上の場合、脳内出血リスクは7倍に達した。


アスピリンの使用は脳内出血リスクに影響なかった。むしろ長期使用によってクモ膜下出血予防になるかも知れない。
一方、ワルファリンの使用は脳内出血リスクを非常に高くすることが明らかになった、


というおはなし。



感想:

もし 自分がワルファリンを勧められたら...どうするかな?

調べてみると、ワルファリンは殺鼠剤でもある。

食べたネズミが内出血で死ぬ。

また、テロリストは爆弾に殺鼠剤(ワルファリン)を混ぜることがある。

傷を負った人の出血が止まらなくなり、現場の凄惨さを演出する効果があるらしい。

写真:ワルファリン

2013年7月14日

キネシオテーピングで手のむくみが治るのか


Effects of kinesio tape to reduce hand edema in acute stroke.
2013  6月  アメリカ

脳卒中のあとの手のむくみにキネシオテーピングが効くかどうか試してみたそうな。


急性期の脳卒中片麻痺で 手にむくみのある17人の患者について、キネシオテーピングあり、なしのグループに分けた。
並行して通常のリハビリを行いながら6日後に手の周囲径を測り、むくみの程度を比較した。


次のようになった。

・キネシオテーピングで手首と中手指節関節で若干のむくみ改善が見られたものの、統計的に有意な違いは見られなかった。


キネシオテーピングのむくみ改善効果はさらなる検証が必要だろう、


というおはなし。

写真:キネシオテーピング



感想:

最初の1年ほど、動くのに なぜか手が赤くむくんでいたので関心をもった。



2013年7月13日

rTMSで失語症を治す方法が判明


Effects of Noninvasive Brain Stimulation on Language Networks and Recovery in Early Poststroke Aphasia.
2013  6月  アメリカ

rTMS(経頭蓋反復磁気刺激)の失語症治療効果を検証してみたそうな。


24人の脳卒中患者について、右脳の下前頭回の働きを抑制する1Hzの磁気刺激を 20分間×10日間 施した。
比較のための偽磁気刺激グループもつくった。

両グループには並行して1回45分間の言語療法も施した。

治療前後での脳の言語ネットワークの活動を調べるPET検査も行い、言語能力の改善程度との関連を解析した。


次のようになった。

・rTMSグループの言語命名スコア、理解度スコアの向上が著しかった。

・rTMSグループの左脳の活動領域の拡大が偽刺激グループに比べ著しかった。

・この活動領域が大きくなった人は、言語テストスコアの改善度も高かった。


脳梗塞で失語症患者の右脳の下前頭回を抑制するrTMS治療は、結果的に左脳の言語ネットワークを刺激して、言語療法の効果を強める、


というおはなし。

写真:下前頭回
下前頭回

2013年7月12日

アパシーは4ヶ月後に始まり、半年間つづく だいたい...


Incident Apathy During the First Year After Stroke and Its Effect on Physical and Cognitive Recovery.
2013  7月  日本

脳卒中後1年間、アパシー(無気力)と回復程度との関連を調べてみたそうな。


56人の脳卒中患者についてアパシーの有無、認知、身体障害、自立度を3ヶ月毎に1年間評価した。

次のようになった。

・この間に41%がアパシーになった。

・アパシーは平均3.8ヶ月後に現れ、5.6ヶ月間続いた。

・アパシーがあると認知機能、日常生活動作の回復が著しく遅れた。


脳卒中後1年内のアパシーは珍しいことではなく、自立が遅れる原因にもなる、


というおはなし。
アパシー
感想:

自慢じゃないけど未だ続いている感がある。

2013年7月11日

高齢になると一人暮らしよりも夫婦世帯のほうが病院に行くのが遅れる


Impact of Life and Family Background on Delayed Presentation to Hospital in Acute Stroke.
2013  7月  日本

日本では人口の20%が65歳以上であり、高齢者のみの世帯が増えている。

脳卒中の発症から入院までの時間と世帯構成との関係を調べてみたそうな。


平均年齢71、計253人の脳卒中患者について調査した結果、

次のようになった。

・1世帯に1人 または65歳以上の2人世帯の場合、発症から病院到着まで3時間以上かかるリスクが非常に高かった。

・夜間に発症した場合の病院到着遅延時間は家族構成により大きく異なった。

・特に高齢者2人暮らしの場合、3人以上の世帯に比べ遅延時間が非常に大きかった。


高齢夫婦世帯で夜間に脳卒中が発症した場合、病院への到着が非常に遅れることがわかった、


というおはなし。




感想:

その後の死亡率や回復程度も調べないと、ことの良し悪しを判断できないな。


うっかり早く病院に到着したおかげで積極的に治療されて脳出血ドバッ

みたいなメールをたま~にいただくことがあるので...


2013年7月10日

高齢者の脳卒中のうち13%は脳卒中ではなかった


Conditions that Mimic Stroke in Elderly Patients Admitted to the Emergency Department.
2013  7月  トルコ

脳卒中の疑いで救急搬送されてきた患者のうち脳卒中でなかった者の特徴を調べてみたそうな。


救急部で脳卒中とされた65歳以上の患者について記録を再調査したところ、


次のようになった。

・671人の患者のうち、87.3%(586人)は脳卒中で、12.7%(85人)は脳卒中類似症状と診断された。

・類似症状とされた85人は、実は救急部で脳梗塞またはTIAと診断されていた。

・種々の検査の結果、この85人のうち16人は正確には 椎骨脳底動脈循環不全 とされ、

・65人はすぐに帰宅し、18人のみが入院した。


脳卒中で救急搬送された高齢患者のうち、12.7%が脳卒中類似症状に当てはまることがわかった、


というおはなし。

図:脳卒中類似症状の正体

感想:

脳卒中類似症状関連の記事を思い出した。
『妻が脳卒中に... orz』、医師『ただの偏頭痛でした』

脳梗塞でもないのにrt-PA治療されてしまうことがたまにある



2013年7月9日

中国漢方ニューロエイドで脳梗塞が治る!は本当か?


Chinese Medicine Neuroaid Efficacy on Stroke Recovery: A Double-Blind, Placebo-Controlled, Randomized Study.
2013  6月  シンガポール

Herbal stroke remedy no better than dummy pill
ロイター

脳梗塞治療に絶大な効果があるとする中国漢方薬 ニューロエイド(NeuroAiD) の効き目を検証してみたそうな。

1100人の急性期脳梗塞患者をNeuroAiDグループと偽薬グループに分けて、3ヶ月後の機能回復程度を比較した。

次のようになった。

・両グループ間で患者の回復程度に違いはなかった。

今回の研究ではNeuroAiDの効果を証明することはできなかったが、どこかに効く人もいるに違いないと期待している、


というおはなし。


感想:

NeuroAiDのホームページ

3ヶ月間ぶんでおよそ15万円。

どうやらこの企業が自ら音頭をとって検証実験したところ否定的な結果が出てしまったようだ。


その正直さとあきらめない姿勢には好感が持てる。




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