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2013年3月27日

【脳の可塑性の限界】ピアニストにデュアルtDCSやってみた


Early optimization in finger dexterity of skilled pianists: implication of transcranial stimulation.
2013  3月  ドイツ



非侵襲的な脳刺激法であるtDCS(経頭蓋直流電気刺激)は

健常人や脳卒中患者の運動機能を改善することが知られている。

高度に技能訓練された人にこの神経可塑変化が現れるのかどうか調べてみたそうな。


大会受賞歴のある熟練ピアニスト12人について、デュアルtDCSを約20分間行った。

tDCSの最中にメトロノームにあわせて両手の指を使ってピアノの鍵盤を叩く訓練を行った。

tDCSは極性を入れ替えたもの、1/10強度の偽刺激も行い、

その前後に鍵盤キーを叩くスピード、正確さをテストしてデータ解析した。


次のようになった。

・あきらかな指の動きの改善はなかった。

・ただし、歳をとってからピアノを始めた人には若干の改善が見られた。





熟練ピアニストへのtDCSの運動機能改善効果はピアノを始めた年齢に依っていた。

脳の可塑性には上限があり、若くして熟達してしまうと可塑の余地がなくなるのかもしれない



というおはなし。


写真:熟練ピアニスト

2013年3月26日

脳卒中になったら日本酒を2合飲むと梗塞を最小限にできる可能性について

Acute Administration of Ethanol Reduces Apoptosis Following Ischemic Stroke in Rats. 2013  3月  アメリカ


脳梗塞後のエタノール投与に神経保護効果があると言われている。
これを脳細胞のアポトーシス(細胞死)関連タンパク質から検証してみたそうな。


人為的に脳虚血状態にしたネズミに体重1kgあたり0.5-1.5gのエタノールを腹部注射した。
アポトーシス細胞の量、関連タンパク質の増減を調べた。


次のようになった。

・脳虚血後アポトーシスが増えたが、1.5g/kgのエタノール投与でアポトーシスは減った。
・1.5g/kgのエタノールでアポトーシス促進タンパク質の発現が減った。
・この効果は24時間後も続いた。
・0.5g/kgのエタノールではアポトーシス関連タンパク質の発現に影響はなかった。




ネズミへの1.5g/kgのエタノール腹腔内投与は
血中レベルで酒気帯び運転基準ギリギリの濃度に相当する。
これが脳梗塞後のアポトーシスを抑制することがわかった


というおはなし。


感想:
アメリカの酒気帯び運転基準は日本の倍以上余裕があって、0.8mg/ml.
これに相当する飲酒量は日本酒1-2合となる。
このくらいの量なら実践できるね。

2013年3月25日

超早期リハビリは梗塞の拡大を防ぐ


Early Exercise Protects against Cerebral Ischemic Injury through Inhibiting Neuron Apoptosis in Cortex in Rats.
2013  3月  中国



超早期リハビリが脳細胞のアポトーシスに与える影響を調べてみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミを

24時間後にトレッドミルで強制的に運動させ、

14日後にアポトーシス関連のタンパク質、梗塞の体積、運動機能を評価した。

比較のため運動させないグループも作った。


次のようになった。

・運動ありグループではアポトーシスした細胞が運動なしグループに比べ減った。

・アポトーシスを抑制するタンパク質も増えた。

・梗塞の体積も小さかった。

・運動機能も向上した。



脳卒中後の超早期リハビリによって

アポトーシスが抑制され脳が保護されることがわかった



というおはなし。

2013年3月24日

両腕で血圧を測って 差が10以上あったらヤバイ


Interarm blood pressure difference and mortality in patients with acute ischemic stroke.
2013  3月  韓国


急性期脳梗塞患者の上腕血圧の左右差と予後、全身動脈硬化との関連を調べてみたそうな。



832人の急性期脳梗塞患者について、3年間追跡調査した。

動脈硬化はCT、超音波、アンギオ、ABI検査の結果を総合し診断した。



次のようになった。

・この間に92人の患者が死亡した。

・上腕血圧の差10mmHg以上は、収縮期で10%、拡張期で6%の患者にみられた。

・収縮期または拡張期の上腕血圧の差が10mmHgあると、総死亡率の増加と、

・下肢の末梢動脈疾患との関連が強かった。




急性期脳梗塞患者の上腕血圧の差を測定すれば予後の目安になることがわかった



というおはなし。

2013年3月23日

突発性難聴は脳卒中の前兆なのか?


Relationship between idiopathic sudden sensorineural hearing loss and subsequent stroke.
2013  3月  台湾



突発性難聴と脳卒中との関連を調べてみたそうな。

突発性難聴と診断された349人の患者を平均7年間追跡調査して、

脳卒中になったグループとならなかったグループの特徴を調べた。


次のようになった。


・脳卒中発症率は年間0.6%だった。

・脳卒中になったグループには高齢、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中の既往が多かった。

・特に、脳卒中の既往歴が脳卒中になる主な危険因子だった。





突発性難聴患者の脳卒中発生率は健常人のそれと同じで、

突発性難聴で脳卒中になるわけではなかった



というおはなし。


追記:
さいきんはそうでもなくて、、、
[突発性難聴]の関連記事

2013年3月22日

リバウンド睡眠を極めれば梗塞を半分にできる可能性について


Sleep deprivation before stroke is neuroprotective: A pre-ischemic conditioning related to sleep rebound.
2013  3月  スイス



脳卒中後の睡眠妨害は、脳のダメージを悪化させることが動物実験でわかっている。

一方、脳卒中前の睡眠妨害には神経保護効果があるという。

そこで、脳卒中急性期にリバウンド睡眠をぶつけて神経保護効果を検証してみたそうな。



ネズミをつかった実験。

・人為的に脳梗塞にする直前に、6時間完全不眠にするグループを作った。

・比較のため、不眠にしない(睡眠)グループ、不眠にしたあと十分に眠らせるグループ 等を作成して、

脳卒中後24時間の脳波、睡眠時間を、7日後に梗塞の体積を測定、比較した。



次のようになった。

・完全不眠グループでは、脳卒中直後に 徐波睡眠、REM睡眠が著しく増加した。

・その結果、脳卒中前よりも睡眠時間が30%、睡眠グループよりも20%長くなった。(→リバウンド睡眠)

・完全不眠グループは、睡眠グループよりも梗塞の体積が50%小さかった。

・完全不眠ネズミを脳卒中にする前に充分に睡眠をとらせたところ、梗塞体積の減少は観察できなかった。




睡眠妨害のあとにはリバウンド睡眠が起きて、脳のダメージが減った。

リバウンド睡眠には神経保護効果が期待できるのかも知れない



というおはなし。

T sleep D

感想:

おもしろい。

徹夜明けで取る睡眠には

脳を修復しようとする活動が満ち溢れている、

ってことなんだと思った。

2013年3月21日

【デュアルtDCS 】脳卒中患者の頭部左右に乾電池の電極を貼ってみた


Single Session of Dual-tDCS Transiently Improves Precision Grip and Dexterity of the Paretic Hand After Stroke.
2013  3月  ベルギー



脳卒中になると脳の半球間相互バランスが崩れて手の麻痺に影響がでる。

この状況をデュアルtDCS(経頭蓋直流電気刺激)で改善できないか試してみたそうな。


慢性期脳卒中で軽中程度の片麻痺患者19人について、

損傷側頭部に乾電池のプラス極、健常側にマイナス極を貼り付けるデュアルtDCSを20分間行った。

偽刺激グループも設けて、麻痺手の動作の正確さ、巧緻さの変化を評価、比較した。


次のようになった。


・1回のデュアルtDCSの直後、握りの正確さが偽刺激グループに比べ著しく改善した。

・手指の巧緻さはデュアルtDCSを開始して徐々に高まり、終了20分後に最高レベルに達した。
(スコア40%増、偽刺激5%増)

・握りの正確さも刺激終了後20分で最高になった。





1回のデュアルtDCSで手の運動機能が大きく改善し、その効果が継続した。

詳細な刺激条件を検証する実験をやってみたくなった



というおはなし。




感想:

tDCSとTMSって考え方がとても似ている。

でも、デュアルTMSは耳にしたことがない。

tDCSとTMSの装置の価格差は1000倍以上の開きがあるはずだから、当然かな…と思った。

2013年3月20日

50歳未満で脳卒中を経験 → 長生きはしない


Stroke Before Age 50 Linked to Raised Risk of Early Death
2013  3月  アメリカ



若くして脳卒中になった人のその後の死亡率を調べてみたそうな。


1600人あまりの50歳未満の脳卒中経験者について、

1980-2010まで追跡調査を行った結果、


次のようになった。


・20年間の死亡率は全体で20%。

・特に、一時的な脳卒中発作では死亡率25%、

・脳梗塞では27%、

・脳出血では14% 



となり、一般人の死亡率よりもずっと高かった。



若くして血管病変に見舞われる人はそのリスクが一生つづくのだろう


というおはなし。



感想:

言われるまでもなく覚悟はできている。

そのおかげで、ガンや地震などの心配をしなくなった。

特約をいっぱいつけていた医療保険もすべて解約した。

Long-term mortality after stroke among adults aged 18 to 50 years.

2013年3月19日

脳卒中発症確率の計算式が判明 国立がん研究センター


10年間で脳卒中を発症する確率について
-リスク因子による個人の脳卒中発症の予測システム-
独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部

2013  3月  日本



日本人6万人を対象とした14年間の追跡調査の成果により、

脳卒中発症確率を簡単に算出する方法が明らかになったそうな。

脳卒中発症確率計算式


各項目の点数を合計して、右の対応表から10年間の発症確率がわかる


というおはなし。



感想:

さっそく計算してみた

発症当時、17点だった。 →確率1~2%

これはすごい!

2013年3月18日

全身振動トレーニングで脳卒中患者の骨代謝が改善するのか?


The effects of whole-body vibration therapy on bone turnover, muscle strength, motor function, and spasticity in chronic stroke: a randomized controlled trial.
2013  3月  香港



脳卒中片麻痺患者への全身振動トレーニングの骨代謝への影響を調べたそうな。


82人の慢性期脳卒中患者を2グループにわけ、

一方には通常の運動に加えて15分間の全身振動トレーニングを週に3回×8週間施行した。

血液中の骨代謝マーカー、脚の筋力、運動機能等をトレーニング前後で比較した。


次のようになった。

・全身振動トレーニングの有無、介入前後で骨代謝に違いはなかった。

・グループ間で運動機能も変わらなかった。

・全身振動グループで膝の痙縮程度が大きく改善した。

・有害事象はなかった。




全身振動トレーニングは慢性期脳卒中患者の

骨代謝や筋力、運動機能の改善にはつながらなかった。

しかし膝の痙縮緩和には良さそうなことがわかった



というおはなし。


全身振動トレーニングがなぜ良いのかの解説ビデオ


高加速度刺激を安全に体験できるので、筋力、骨代謝、循環器系を楽に鍛えることができる、って内容。

2013年3月17日

リハビリのついでのミラーセラピーが思いのほかよかった


The value of adding mirror therapy for upper limb motor recovery of subacute stroke patients: a randomized controlled trial.
2013  3月  イタリア



通常の上肢リハビリにミラーセラピーを足してみたそうな。


発症4週間以内の脳卒中患者26人を、ミラーセラピーあり、なしのグループに分けた。

ミラーセラピーは30分間、通常の上肢リハビリも行った。

1ヶ月後、改善程度を3種類のテストで評価した。



次のようになった。

・いずれのグループも大きく改善した。

・特に、ミラーセラピーありグループはすべてのテストで優れていた。

・副作用に類することは起きなかった。





ミラーセラピーはシンプル、低コストで有効な上肢リハビリ法であることがわかった


というおはなし。


写真:ミラーセラピー

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