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2012年12月10日

授動と触覚刺激で慢性期脳卒中患者の手が動いた


The effects of Mobilization and Tactile Stimulation (MTS) on chronic upper-limb sensorimotor dysfunction following stroke.
2012  11月  イギリス



脳卒中麻痺手への"授動と触覚刺激" の効果を調べてみたそうな。



脳卒中後1年以上経過している患者8人

(左麻痺4人、右麻痺4人)について、

1日1時間の麻痺手への授動と触覚刺激を6週間行い、

その前後での改善程度を評価した。




次のようになった。


・実験前、患者の上肢機能の回復は明らかに止まっていた。

・実験後、4人の患者で特に著しい運動機能の回復が見られた。

・実験開始から改善効果が出るまでに最長で1ヶ月程度を要した。

・実験終了後も改善効果は維持された。







脳卒中で1年以上も弱っていた上肢機能を

授動と触覚刺激によって改善できることがわかった。

効果はすぐに現れることもあるし、若干の時間を要することもある



というおはなし。






感想:

麻痺した手に授動(×受動)して さする。

これって、いわゆる促通手技のことだと思う。


なぜかちょっとガッカリ。

2012年12月9日

牛乳をよく飲む日本人女性は脳卒中にならない


Consumption of Dairy Products and Death From Cardiovascular Disease in the Japanese General Population: The NIPPON DATA80.
2012  12月  日本


牛乳など乳製品の摂取量と脳卒中との関連を調べたそうな。


日本中から募集した30歳以上の男女9243人について、

1980年から24年間追跡調査した結果、


次のようになった。


・この間に417人が脳卒中で死亡した。

・乳製品をほとんど摂らない女性は、たくさん摂る女性に比べ脳卒中リスクが3割増しになった。

・乳製品の摂取量が一日に100g増えるごとに女性の脳卒中リスクが2割減少した。

・男性については乳製品との関連はみられなかった。






牛乳など乳製品の摂取量が増えるほど日本人女性の脳卒中が減ることがわかった



というおはなし。


写真:乳製品日本人

2012年12月8日

筋トレは脳卒中患者の不安を癒す


The influence of resistance exercise training on the levels of anxiety in ischemic stroke.
2012  11月  



筋力トレーニングが脳卒中患者の不安解消になるか、調べてみたそうな。



50歳前後の脳梗塞患者を次の2グループに分けた。


・週3回×12週間の筋トレグループ 11人、


・なにもしない比較グループ 13人



この前後で不安尺度分析を行い、比較した。




次のようになった。

・筋トレグループの特性不安スコア(43→40)、

 状況不安スコア(47→45)共に減少した。


・比較グループの特性不安スコア、状況不安スコアはほとんど変わらなかった。






筋力トレーニングで脳卒中患者の不安が癒えることがわかった



というおはなし。





感想:

いつの間にか、筋トレが日課になっている。


スクワット、腕立て、腹筋、背筋など。

2012年12月7日

右脳梗塞の犬は余命が極端に短いことが判明!(∪^ω^) わんわん


Survival and clinical outcome of dogs with ischaemic stroke.
2012  11月  デンマーク


脳梗塞になった犬の余命と予後について調べてみたそうな。



犬の過去の医療データを解析したところ、

次のようになった。

・MRIで脳梗塞と診断された22匹のデータがみつかった。

・5匹(23%)は発症30日以内に死亡した。

・30日以上生きた犬の余命の中央値は505日だった。

・右脳梗塞の死亡率は極端に高く、余命中央値は24日だった。

・左脳梗塞の余命中央値は602日だった。

・30日以上生存した犬17匹のうち7匹(41%)の予後はすこぶる良かった。

・他の7匹の犬は6-17ヶ月に別の急性神経症状を示し、そのうち2匹は脳梗塞の再発だった。





犬の脳梗塞は急性期に亡くなる場合もあるが、

その予後は概ね良好であった。

ただし、右脳の梗塞の場合あまり長生きしないことがわかった



というおはなし。






感想:

ペット間格差を思い知った。

MRIまで撮ってもらえる犬がいる一方で、

家族旅行の邪魔というだけの理由で保健所に捨てられるネコちゃん。
↓↓↓↓↓


小脳梗塞になった御犬様の症状とは

2012年12月6日

脳卒中、男性と女性の違い in イタリア


Sex differences in clinical presentation, severity and outcome of stroke: Results from a hospital-based registry.
2012  11月  イタリア



脳卒中の症状、予後について男性と女性の違いを調べてみたそうな。



イタリアの4つの都市で2011年に入院した脳卒中患者1272人について調査した。



次のようになった。


・脳梗塞1152人、脳出血120人があった。

・内訳は、女性567人、男性705人だった。

・女性の方が平均年齢が高かった。(75歳vs72歳)

・女性の方が入院時の神経症状が重かった。

・女性は予後(自立度、死亡率)があまりよくなかった。

・血栓溶解治療の件数は男女で違いはなかった。

・女性は心房細動由来の脳梗塞が多かった。





脳卒中になった際の重症度と回復の程度は女性の方が悪かった


というおはなし。



感想:

これは世界共通のようだ。

2012年12月5日

歩きながら話すと歩幅が狭くなる脳卒中患者は転びやすい


Gait analysis with cognitive-motor dual-tasks to distinguish fallers from non fallers among rehabilitating stroke patients.
2012  11月  ベルギー



歩行中に別のことをする能力と転倒のしやすさとの関連を調べてみたそうな。



自立歩行のできる脳卒中患者32人について、

次の2つのグループに分けた。


・いつものスピードでただ歩いてもらうグループ。


・2重課題グループ→

 歩きながら動物の名前をできるだけたくさん挙げてもらう。

 または、歩きながら引き算をどんどん続けてもらう。






この際の歩行の様子を記録し、

その後6ヶ月間の転倒状況との関連を解析した。





次のようになった。

・この6ヶ月間に56%が転倒を経験していた。

・31%は転倒1回だけ、25%は複数回転倒していた。

・転倒者は2重課題中の歩幅、健常足の踏み出し幅が狭かった。

・特に、複数回転倒者は麻痺足の踏み出し幅も狭かった。







2重課題中の歩幅には、その人の作業記憶能力が反映されるので、

それを調べることで転倒しやすいかどうかがわかる



というおはなし。





感想:

これはよくわかる気がする。


同時に2つ以上のことをする能力が激しく低下している。


いまだに

ドライブ中の会話はムリ、音楽を楽しむ余裕もない。

2012年12月4日

『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』


High-intensity unilateral dorsiflexor resistance training results in bilateral neuromuscular plasticity after stroke.
2012  11月  カナダ


脳卒中で麻痺した足のつま先を上げる筋肉を鍛えることが出来れば、

歩行能力がより回復することがわかっている。



両側性転移でこれを解決できるか試してみたそうな。

両側性転移は一方の手足でトレーニングした力やスキルが

もう一方の手足に自動的にコピーされる現象を指す。




発症7年前後の慢性期脳梗塞患者19人について、


麻痺していない方の足の背屈筋に負荷をかけて

おもいっきり力を入れるだけのトレーニングを6週間行った。



その後、筋力や歩行能力を詳細に分析した。




次のようになった。


・つま先を上げる力が健常側で31%、麻痺側で34%アップした。

・同様に筋肉の活動量も両側で20%以上アップした。

・特に、4人の患者は足首の背屈ができなかったのにトレーニング後できるようになった。


脳卒中後何年も経って諦めていた麻痺足の筋肉が、

両側性転移を応用した健常足のトレーニングによって

再び元気にできることがわかった



というおはなし。

図:両側性転移で背屈筋

感想:

過去記事↓

麻痺してない方の足を鍛えると麻痺足もついでに強くなる

両側性転移で麻痺手が勝手に良くなるフシギ

両側性転移ですぐにリハビリ成果を出す方法について


[クロスエデュケーション OR 両側性転移]の関連記事


今日からこのブログは4年目に突入。

これからもおもしろいネタが見つかりますように...

2012年12月3日

iPS細胞で脳梗塞治療をしたらメッチャ大きな腫瘍ができちゃったゾ☆(ゝω・)v


iPS cell transplantation for ischemic brain.
2012  12月  日本

iPS細胞をつかった脳梗塞治療の可能性を検証してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミの脳に、

未分化のiPS細胞を移植し、

28日後に行動検査をしたあと

解剖して脳を観察したところ、


次のようになった。


・梗塞のあとに巨大な腫瘍ができていた。

・iPS細胞を移植しなかったネズミに比べ症状の回復が遅かった。

・腫瘍のほかにも梗塞位置に多くの神経芽細胞や神経細胞のあらたな存在が確認できた。





腫瘍形成をコントロールできさえすれば

iPS細胞での脳梗塞治療は有望であることがわかった



というおはなし。

2012年12月2日

脳卒中患者の靴の中敷きを細工して歩きやすくしてみた


Compelled body weight shift approach in rehabilitation of individuals with chronic stroke.
2012  12月  アメリカ



慢性期脳卒中患者への強制体重移動の効果を調べてみたそうな。


強制体重移動は、

麻痺していない足の靴の中敷きをちょっと厚くして

麻痺足側へ重心を戻す操作を言う。



18人の慢性期脳卒中片麻痺患者について、

強制体重移動の有無で2グループにわけて

リハビリを6週間行いその後の歩行、バランス能力

について3ヶ月後まで追跡調査した。



次のようになった。

・強制体重移動グループでは麻痺足の体重支持能力が大きく改善していた。

・同様に、歩行速度も10%ほど優れていた。

・これらの効果は3ヶ月後にも持続していた。





強制体重移動リハビリを6週間続けたところ、

慢性期脳卒中患者の歩行速度、体重支持能力

の対称性が著しく改善し、その効果も持続することがわかった



というおはなし。






感想:

リハビリ病院にいたころ、私を担当してくれた療法士さんが

靴の中敷きをいじるのが好きだったので、なんとなく共感できた。


そのときにはすごくイイと思った。

2012年12月1日

自宅でCI療法ができるハイテクゲームをオハイオ大学が開発


XBOX Kinect Helps with Stroke Rehabilitation
2012  11月  アメリカ


アメリカでは年間70万人の脳卒中患者が生まれ、

その多くがリハビリテーションを必要としている。

しかし、自宅で必要なリハビリができている患者はその3分の1程度にとどまる。



自宅での上肢リハビリを楽しいものにするために

オハイオ大学では5000万円あまりの費用を投入して

マイクロソフトのキネクトセンサーを応用したリハビリゲームを開発した。



このゲームを使うと軽症上肢麻痺患者向けのCI療法を自宅に居ながら実践できる。



病院に通ってリハビリを受ける場合、その時間は非常に限られるため、

麻痺した手は次第に使用されなくなる。


このゲームを使えば、自宅に居ながら

コンピュータが患者の身体の動きを解析し、

適切な運動方法をゲームプレイを通して促してくれるので、


従来の病院で受けるリハビリよりも大きな効果が期待できる。


しかも人件費が節約できるので

患者にとっても 病院経営にとってもハッピーである、



というおはなし。




感想:

考え方が合理的過ぎて身も蓋もないと思う。


わざわざ病院に通うのは、

寂しいから療法士さんにかまってもらいたい、

っていう理由もけっこうあると思う。



それで、

かまってもらったお礼に

しばし回復したかのように振る舞ってあげる。



こういう相互依存の関係があるから

CI療法でも成果がでるし、論文も書ける。



なのに

『CI療法の指導はコンピュータにやらせておけ』

『患者は家でゲームでもやっていろ』

と言うのは 

どこか ちょっと違う と思うんだよね。






補足:CI療法は指をある程度開くことのできる麻痺の非常に軽い患者のみを対象にした上肢トレーニング法である。

1日に数時間、麻痺していない手の動きを制限して2週間生活するだけで麻痺手の使用率を高めることができると信じられている。


2012年11月30日

麻痺した脚に焼きを入れたあと急冷する拷問を8週間続けたら脳卒中患者が歩き出した


Effects of Noxious versus Innocuous Thermal Stimulation on Lower Extremity Motor Recovery 3 Months after Stroke.
2012  11月  台湾
脳卒中下肢麻痺患者への温度刺激効果を調べてみたそうな。


発症3ヶ月程度の脳卒中患者34人について、

下肢に与える温度別に

次の2つのグループに分けた。


47℃/2℃:痛みを感じるほどの高温、低温刺激グループ 

・40℃/24℃:比較グループ


各グループとも、

各回30分間×週3回×8週間 の温度刺激と

通常のリハビリを行い、12週間後まで追跡調査した。




次のようになった。

・痛いほどの温度刺激を受けたグループでは下肢運動機能が凄まじく改善した。

・比較グループではほとんど改善はなかった。

・この改善効果のグループ間の差は12週間後に最大になった。


8週間に及ぶ高温、低温刺激と

通常のリハビリとの組み合わせにより

下肢の運動機能が大きく改善し、

その効果が3ヶ月以上持続することがわかった




というおはなし。

図:温冷刺激と脳卒中麻痺

感想:

動物実験かと思ったら人間だったのでオドロイタ。

この記事↓を思い出した。
温度刺激治療で麻痺脚が動いた
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