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2011年8月18日

便利なCI療法 : tDCSに組み合わせてみた


Neurophysiological and Behavioral Effects of tDCS Combined With Constraint-Induced Movement Therapy in Poststroke Patients.
2011  7月  イタリア


tDCSの効果を検証するためにCI療法を組み合わせてみたそうな。



14人の慢性期脳卒中患者の上肢機能について、

tDCSは頭部の健常側に乾電池のマイナス極を、

病側にプラス極をくっつけた状態で

CI療法を施行した。



その結果、

CI療法単体でも効果はあるけれど、tDCSを組み合わせると

なお良さそうであることがわかった、


というおはなし。




感想:

効果の定かでない新興のリハビリ治療法に

CI療法を組み合わせるという例をよく目にする。



CI療法は、指をある程度開くことのできる

麻痺の非常に軽い患者のみを対象にした上肢トレーニング法である。


その適応審査段階で、改善の見込みが少しでも怪しい患者は

全て切り捨ててしまうため、

必ずトレーニング成果を観測することができるという高い安定性を誇っている。



それ故

rTMSやtDCSのような、研究途上の治療法に対して、

単純にCI療法と組み合わせるだけで

確実に一定の改善成果を得ることができるので、


論文作成のためのデータ収集手段として

CI療法が一時的に採用されることが多い、



と考える。

2011年8月17日

脳卒中にタフな脳に鍛え上げることは可能


Formal Education, Socioeconomic Status, and the Severity of Aphasia After Stroke.
2011  8月  アメリカ




失語症の重症度と学歴、所得との関連を調べたそうな。



発症後24時間以内の脳卒中患者173人と、

年齢、社会経済的状況の近い別の入院患者62人を比較した。



・言語能力に関する9つのテスト(読み上げ、書き取り、その理解、口頭綴り など)のエラー率、

・学歴が12年を上回るか それ以下か、

・年齢、性別、梗塞の大きさ、

・所得額



について、それらの関連を分析した。




その結果、


言語テストのエラー率は、他の要因の違いを考慮に入れてもなお、

12年間以上教育を受けていた患者で著しく低かった



長年にわたりしっかりと頭を鍛えてきた人は、

脳卒中になっても読み書き機能へのダメージを受けにくいことがわかった、


というおはなし。


2011年8月16日

脳卒中の女性、男性にありがちなこと


Sex differentiation and risk factor evaluation instrokepatients.
2011  7月  バングラデシュ



2009の1年間に脳卒中で入院した患者177人について

男性、女性に特徴的な点について調べたそうな。



次のようなことがわかった。


*男性に特徴的なこと

・人数比率:58%
・平均年令:61
・喫煙習慣あり
・脳卒中歴あり
・運動機能低下大
・退院時の回復程度の良好




*女性に特徴的なこと

・人数比率:42%
・平均年令:64
・70歳以上で多い
・昏睡しやすい
・入院時の重症
・入院中の高死亡率




*男女共通なこと

・高血圧、糖尿、心筋梗塞、心房細動、脂質代謝異常
・脳卒中の種類
・入院に要した期間




というおはなし。



この病院
写真:Mymensingh medical college hospital

2011年8月15日

うつ経験のある女性は脳卒中になりやすい


Depression and IncidentStrokein Women.
2011  8月  アメリカ



うつと脳卒中発症との関連をしらべたそうな。

59-79歳の女性80574人ついて

うつ症状の有無を隔年で確認しながら6年間追跡調査した。


この間に1033件の脳卒中が発生した。
(538人:脳梗塞、124人:脳出血、371人:原因不明)


分析の結果、


うつ症状履歴があるひとは脳卒中のなりやすさが

3割増しになった。


これはうつの診断状況に関わらず、抗うつ薬を飲んでいる

というだけで脳卒中リスクが上昇することがわかった、


というおはなし。






感想:

以前も似たような話があった。(これ←





そんで 脳卒中の後にも うつになって

また抗うつ薬をもらって 再発して…   またうつになって…




うつから抜け出すためには薬を飲まない

ってことも選択肢にあると思った。

2011年8月14日

奇跡の治療法:rTMSの上肢機能改善効果がついに明らかに…


Baseline severity of upper limb hemiparesis influences the outcome of low-frequencyrTMScombined with intensive occupational therapy in patients who have had astroke.
2011   6月  日本




脳卒中上肢麻痺患者の経頭蓋磁気刺激治療法rTMS)で

日本で一番名の通っている施設での

これまでの治療成績をまとめてみたそうな。



・患者は52名、平均年令57、脳卒中後4~5年経過

・ブルンストロームステージは3-5

・治療のための入院期間は15日

・脳の健常側へ向けての低周波数rTMS刺激を

・1回20分間、加えて120分間の集中的作業療法を、

・合計22セッション施行した。





その結果、

・フーゲルマイヤーアセスメント(Fugl-Meyer Assessment)
のスコアが平均で40.2→43.4著しく向上した。


・ウルフ運動機能検査(Wolf Motor Function Test)の遂行時間が
平均で3.27→2.96(単位不明) 著しく短縮された。


・特にブルンストロームステージ4の患者で改善の伸びが顕著であった。





この15日間の治療コースに参加すれば上肢麻痺を改善できるかもしれない、

というおはなし。





感想:

この効果の素晴らしさについては次のように例えてみるとよく分かると思う。


・100点満点のテストで普段は平均40点しかとれなかった学生が、

ちょっと高額だけど15日間の予備校合宿に参加したところ、

平均43点をとることができるようになった。



・実力の伸び悩む陸上短距離選手が、

ちょっと高額だけど15日間の特別訓練合宿に参加したところ、

自身の持つタイムを0.1秒更新することができた。






これらの成果に価値を見出すことができるかどうかは  

ホント 人それぞれ…  と思う。





なんとなくわかるウルフ運動機能検査 (Wolf Motor Function Test)

直リンク

2011年8月13日

(低収入 OR 失業)+脳卒中 → (死亡 OR 再発)


Socioeconomic Differences in Quality of Care and Clinical Outcome After Stroke: A Nationwide Population-Based Study.
2011 8月  デンマーク




脳卒中患者の社会経済的な違いが、

急性期の治療内容、死亡率などに影響するのかどうかを調べたそうな。



2003-2007の65歳以下の脳卒中患者14545人について、

収入、学歴、雇用状況と治療内容、

30日後、1年後の死亡率、再入院の可能性について解析した。




その結果、


・低所得者と年金生活者は職のある高所得者に比べ、
 必ずしも必要な治療を受けることができていなかった。


・失業状態にある患者の30日後、1年後の死亡率は共に、
 職のある人にくらべて6割増しだった。


・同様に、失業している患者の再入院リスクも高かった。


・これらのリスクの高さは急性期の治療内容を同じにしても変わらなかった。







社会経済的地位の低い患者はなぜか死亡しやすい。

その理由は必要な治療を受けられないから、というわけでもないらしい、


というおはなし。



写真:失業中

2011年8月12日

尖足対策には短下肢装具:水に濡れてもOK


User experiences, preferences and choices relating to functional electrical stimulation and ankle foot orthoses for foot-drop after stroke.
2011 9月  イギリス



脳卒中後の尖足対策としての

機能的電気刺激(FES)と短下肢装具のユーザー体験を比較したそうな。




FES機器と短下肢装具の両方の使用経験のある

9人の患者について面談した結果、


・8人までがFESの方が好ましいと感じていた。

・理由は、足首が自由になり、歩行がより自然で、
安全に感じられる、というものだった。

・それでも短下肢装具には、電源が必要ないので
旅先や水に濡れても大丈夫というメリットがある。

・1人はFES使用時にアレルギー反応が出るために使用を控えている。



ということがわかった。



FESも万能ではなく、両者相補う関係にある、


というおはなし。

図:FES vs AFO

2011年8月11日

tDCSには上肢麻痺改善効果はないことが判明


Combined Transcranial Direct Current Stimulation and Robot-Assisted Arm Training in Subacute Stroke Patients: An Exploratory, Randomized Multicenter Trial.
2011   8月  ドイツ



経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の上肢麻痺改善効果を検証したそうな。

96人の脳梗塞患者を次の3グループに分けた。

・グループA:病側に陽極を貼る。

・グループB:健常側に陰極を貼る。

・グループC:偽の電極を貼る。



各電極には2ミリアンペアの電流を流し、20分間持続させる。

これを6週間繰り返した。


各グループにはロボット支援の2種類の両腕トレーニングを400回繰り返してもらった。


上肢機能はFugl-Meyerスコアで評価した。



その結果、tDCS前後のスコアは

・グループA:7.8→19.1

・グループB:7.9→18.8

・グループC:8.2→19.2



となり、全てのグループで向上していたが、

各グループ間で、意味のある差はまったく見られなかった。



プラスの電極を付けようがマイナスの電極を付けようが

tDCSには上肢麻痺の機能改善効果はありそうにないことがわかった


というおはなし。







感想:

最近、tDCS関連の論文がとても多く感じる。


その理屈は rTMSとほとんど同じで、


乾電池のプラス極を頭皮の梗塞側に貼ると脳機能が亢進して、

マイナス極を健常側に貼ると脳機能を抑制する というものである。



電子が発見される前の時代であればこれでも多少の説得力もあったとは思う。


(プラス極だから脳機能もプラスになる…  わかり易い。)






だれがどんなことを言っても基本的には自由なのだけれど、


どうしても違和感を持ってしまう原因は、

医師免許を持った人たちがこういう説を唱えている点にある、 と考える。

2011年8月10日

尖足にはFES、人生を変える その効果とは


"Functional electrical stimulation (FES) impacted on important aspects of my life"-A qualitative exploration of chronicstrokepatients' and carers' perceptions of FES in the management of dropped foot.
2011   7月  イギリス


機能的電気刺激(FES)の尖足対策効果を検証してみたそうな。

慢性期脳卒中患者13人についてFESを適用し、

その効果について話しを聞いて分析した。


・皆共通して、『FESが人生を変えた』 と言う。

・具体的には、FESで歩行が楽になった。

・FESで生活動作がしやすくなった。

・FESで気分が楽になった。

・FESは完璧ではないが試す価値がある。



と感じていることがわかった、


というおはなし。







感想:

左の靴先の減りが激しいので尖足には関心がある。



この論文はFES機器メーカーの御用学者さんによるものとは思うけれど、

日本ではこの種の機器をあまり耳にしない。


装具屋さんの力が強いのかもしれない。


わかりやすいFESの尖足対策ビデオ(1分)

直リンク

2011年8月9日

脳卒中で かかりつけ医に電話すると手遅れになる


Family Physician Decisions following Stroke Symptom Onset and Delay Times to Ambulance Call.
2011 8月   オーストラリア




脳卒中患者が病院に遅れる原因は家庭医(かかりつけ医)にあるのではないか、

という仮説を検証してみたそうな。




2004年の6ヶ月間に発生した脳卒中患者198人について

その救急車を呼んだ人に面接を行い当時の状況を記録、分析した。




わかったこと、


・発症後まず救急車を呼んだケースは32%、家庭医に電話が22%、知人に相談が37%だった。

・過去に脳卒中やTIAの経験のある患者は家庭医には電話しない傾向があった。

・症状の重い場合に真っ先に家庭医に電話する者はいなかった。

・家庭医に電話したケースでは救急車に乗るまでの時間が著しく長かった。

・電話を受けた家庭医の36%は患者の診察、検査を始めた。

・電話を受けた家庭医が電話口で症状を聞いてすぐに救急車を呼ぶようにアドバイスする例もあった。





脳卒中の症状が出たときにかかりつけ医に連絡すると

『診察するから来てくれ』 とか 『これから往診にいくから』、

『まずは検査してみましょうね』 などと言いだし、

往々にして治療までの時間が著しく遅れることがある。



さっさと救急車を呼ぶように 家庭医を啓発する必要がある、


というおはなし。


写真:かかりつけ医

2011年8月8日

片麻痺はスクワットでバレる


Control of fast squatting movements after stroke.
2011 8月  カナダ



脳卒中後の運動機能低下が

姿勢や四肢動作に与える影響を調べてみたそうな。


片麻痺の残る17人の脳卒中経験者と

同年齢の健常人(17人)について

スクワットの動作を膝や足首、各種筋肉、姿勢などについて

詳細に記録、比較した。




その結果、

・片麻痺があるとスクワット動作が非対称になり、その速さ、機敏さが低下した。

・両膝の動作タイミングが合わず姿勢が乱れ、重心位置のゆらぎが起きていた。

・回復程度の低い人は麻痺していない方の足に代償的に頼り、

・回復の良い人は麻痺足もそれなりに使って動作の対称性を保とうとしていた。





スクワット動作を調べることで筋肉と姿勢コントロールの

評価が出来ることがわかった、


というおはなし。






感想:

自分もよくスクワットをするのでよくわかる。


左右の足がシンクロしないので

走ったりジャンプしたりはもっと苦手。



和式はかなりハード
写真:スクワット

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