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2011年7月10日

貧乏そうな人が脳梗塞の治療を受けられない可能性について


Ethnicity and thrombolysis in ischemicstroke: a hospital based study in Amsterdam.
2011 6月 オランダ



人種間で、脳梗塞治療に違いがでるかどうかを調べたそうな。



2003年から5年間に入院した患者510人を

さかのぼって白人と非白人とに分類した。


・77%(392人)が白人で、23%(118人)が非白人だった。

・非白人患者は若く、血圧が高く、重症度は低かった。

・非白人は白人に比べ血栓溶解療法を受ける機会が著しく低かった。

・病院到着時間の遅れ、年齢等の要因を考慮に入れてもなお、

 非白人患者の血栓溶解治療の機会は白人に比べ少ないことがわかった、





というおはなし。







感想:

いまどきあからさまな人種差別があるとも思えないので、

患者は外見で判断されるってことなんだと思う。



貧乏で保険入ってなさそう、って思われたらアウト。



おそらく日本にも同様の差別はあると思う。


いつも病院に行くたびに保険証の確認をされるし…



救急車で運ばれる前にはスーツに着替えておくとイイかも。

2011年7月9日

アメリカでは肌が黒いと脳梗塞治療が受けられないことがある。いまだに…


Racial Disparities in Tissue Plasminogen Activator Treatment Rate forStroke: A Population-Based Study.
2011 6月 アメリカ




脳梗塞の治療薬tPAの利用頻度が人種の違いに影響されるという噂がある。



黒人の多い地域でこの噂がほんとうかどうかを調べてみたそうな。



tPAは発症後3時間以内でないと効果がない。


コロンビア特別区の7つの救急病院で、およそ1年間にわたり1044人の脳梗塞患者が運び込まれた。


この1044人のうち、


・74%が黒人で、19%が白人だった。

・5%がtPA治療を受けた。

・tPA治療を受けた黒人の割合は白人の3分の1以下だった。

・発症後3時間以内に到着した黒人の割合は白人よりも少なかった。

・3時間以内に到着できた者のうち、tPA治療を受けた黒人の割合は、白人の半分だった。




黒人はなんだかんだと理由を付けられて適切な治療をうけることができていない。


人種への偏見は相変わらず…  というおはなし。

2011年7月8日

脳のむくみを取るには電気鍼がおすすめ


Electro-acupuncture can alleviate the cerebral oedema of rat after ischemia.
2011 6月  中国




電気鍼(はり)が脳卒中後の脳のむくみ(浮腫)を緩和することができるかどうかを調べたそうな。



脳卒中にした20匹のネズミを

電気鍼ありと、なしのグループに分けて、

脳のむくみの度合いをMRIの拡散強調画像で評価した。



その結果

電気鍼グループのネズミの脳の拡散係数が明らかに増加していた。

これは脳の浮腫が緩和されていることを意味する。


電気鍼は脳梗塞後の脳のむくみ治療によさそうである、


というおはなし。







感想:

自分の場合は脳のむくみ対策として、グリセオールという

点滴をひたすら打たれた。

でもこの点滴ってあまり効果がないらしいので、

鍼さんには頑張ってもらいたい。

2011年7月7日

HALで歩行リハビリ体験レポート

私と同じ脳卒中経験者で、

最新リハビリ法を求めていつも各地を飛び回っている

いっぺいさんからHAL体験レポートをもらいました。

転載許可を頂きましたので以下に掲載します。


とても興味深い内容です。

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よーださん


先週と今週の2回、サイバーダイン社製のロボットスーツHALを体験する機会に恵まれました。その報告をします。

今回は下肢のみで、両足タイプのものでした。バランスを保つため、片麻痺でも両足の場合が多いそうです。


HALを使わせてくれたのは、代理店の大和ハウス工業株式会社(ダイワマンの会社です)の方。

装着後、初めて立った時は気分はすっかりロボコップ(サイバーダイン社だけにターミネーターですかね)。 子供(特に男の子)には受けそうな気がしました。


意外だったのは、動かそうとしてから実際にHALが反応するまでのタイムラグがほとんどなかったこと。HANDS療法で使うアイビスの時は、コンマ数秒の反応の遅れを感じました。

動く理屈はHAL もアイビスも同じだと思うので、ちょっと不思議。


いよいよ歩行ですが、私の場合、支持力は十分あるのですが痙縮が大きな問題で、歩行時に尖足、内反やクロートゥが強く出てしまいスピードがあがらない状態でした。


結果から言えば、凄く良かった。骨盤の角度が改善され、痙縮が軽減されました。歩行スピードが増したのが嬉しかった。HALを外してからも良いイメージが残っていてスピードは維持されていました。


健側の左足もアシストしてもらい、左足の力が抜けたのも大きかったかも。左足が頑張りすぎていたのかもしれません。


私の場合は歩容の改善を目指して使いましたが、麻痺の程度に応じて多様な使い道があると感じました。

バランスの問題は目の前にモニターを設置して、重心位置を確認しながら歩く設定にすることも可能でした。足底板にもセンサーが設置されており、重心がリアルタイムで表示されます。(Wiiのバランスボードをグレードアップしたような感じです)


いつも担当してくれている療法士の方も見守ってくれていたのですが、「歩きが変わった、HALを使う時期が丁度良かったのではないか。」と言ってくれました。


HALが半強制的に正しい歩行パターンを体に覚えさせてくれる。これが私には良かった。

私には効果がありましたが、効果を出すためには、患者側にもテクニックが求められます。

HALとケンカしないで、体を協調させる必要があります。身をゆだねるというか一体化させるというか、HALを自分の体の一部として受け入れる独特のセンスも必要だと思います。

HALを楽しめるかどうかもポイントになりそうです。


HALを効果的にリハビリに取り入れるには、療法士の方がHALの特性を正しく理解しているかどうかも重要になると思います。工学系の知識も必要になってくるし、患者側も知識を持っておいて損はなさそうです。

リハビリ向けのロボットの開発は、他のメーカーでも始まっているし、指用のHALも開発が進んでいるらしいので期待したいですね。

今後の課題は、とにかく小型化。サーボモーターが鍵になりそうです。(重さについては、HAL自体に支持力があるため負担は感じませんでした。) 

それから、反射を取り入れられないか。反射を使えれば、もっとスムースな歩行が実現できるはず。

二足歩行ロボットでの応用は既に始まっているので期待したいです(反射の導入については賛否両論で、あまり進んでいないとのことでしたが)。

HALが是非広く普及して欲しい。麻痺の重さに合わせてかなり細かいアシスト強度、アシスト部位の調整が可能な様でしたし、皆に一様な効果は望めませんが、HALで救われる患者さんも多いと思います。

私自身は2回体験しただけですが、機会があればまた試してみたいです。定期的に使えればなお良いですね。rTMSと併用したら、かなりの効果が見込めそうです。

普及の壁は最後はお金でしょうね。

今回、貴重な機会が与えられたことに感謝しています。
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追記:(2016/04/01)

いっぺいさんのオススメ↓↓↓
hikari整体サロン

追記の追記:
HALリハビリ 期待外れだった

2011年7月6日

tDCSは代謝機能をもコントロールする万能の脳刺激法


Brain Energy Consumption Induced by Electrical Stimulation Promotes Systemic Glucose Uptake.
2011 6月  ドイツ



経頭蓋直流電気刺激tDCS

うつ病などの神経心理的な病気の治療に用いられることがある。


tDCSが神経組織のエネルギー代謝に影響を及ぼすかどうかを調べたそうな。



15人の健常な男性について、

tDCSと比較の偽刺激とを混じえて

磁気共鳴を用いたATP代謝分析、および糖代謝検査を行った。


その結果、

tDCSが脳神経活動の活性化のみならず、

その下流にあるいくつかの代謝システムにも影響を与えることがわかった。


tDCSの応用可能性が広がった、


というおはなし。







感想:

なんでこういう結果がでるのか不思議。

この研究者達の脳を調べてみたくなった。

2011年7月5日

低学歴→ 低収入→ 下町暮らし→ 脳卒中

Education Level Explains Differences inStrokeIncidence among City Districts in Joinville, Brazil: A Three-Year Population-Based Study. 2011 6月  ブラジル



ジョインヴィレ市内の各所の住人の社会経済的状況と
脳卒中発生率との関連を調べたそうな。


2005年から2年間、市内を38の地域に分けて脳卒中の
発生件数をカウントした。
1734件の脳卒中があった。
同時に、彼らのの学歴と月収を調査した。



・市全体での脳卒中発生率は10万人中69.5人だった。
・学歴と月収との間には強い相関があり、
・学歴が高いほど脳卒中発生率が低く、
・地域ごとの脳卒中発生率(10万人中)には、37.5人から151.0人のバラつきがあった。




というおはなし。

2011年7月4日

ひとは人生に希望を見出せないと死んでしまう生き物


The 12-month effects of early motivational interviewing after acute stroke : a randomized controlled trial.
2011  7月 イギリス



動機づけ面接というカウンセリング手法が

脳卒中患者の精神状態と死亡率にどう影響するのかを調べたそうな。



動機づけ面接は患者が自律的に問題に対処できるよう

心理的に支援する患者中心のカウンセリングテクニックである。



18歳以上の脳卒中患者411人について、

通常の脳卒中ケアを行いながら、

動機づけ面接あり、なし のグループに分けて

12ヶ月後まで追跡調査した。



動機づけ面接は1回30-60分、数回実施した。

特別なカウンセリング訓練を受けたセラピストが

被験者に面談し、問題点、悩みを聞き、

それにどう対応するかを自ら考えさせ、目標設定する。





12ヵ月後、

精神状態が正常範囲にある人の割合は、

面接なしグループ→37.7%

面接ありグループ→48.0%




死亡率は、

面接なしグループ→12.8%(195人中25人死亡)

面接ありグループ→6.5%(199人中13人死亡)


であった。


動機づけ面接を行うことで死亡率が半分になるという

驚くべき事実が判明した、 というおはなし。









感想:

これ、ものすごくよくわかる気がするんだ。


カウンセリングが脳の治療に役立つということではなくて、


ひとは人生に希望を見いだせなくなったときに死んでしまう…  


そういうことだと思う。


脳卒中はひとの希望を大きく奪ってしまうイベントでありきっかけである。


そして絶望して、よくわからない原因でしんでしまう。


最近、つくづくそう思う。



かといって、無理やり希望や目的を持たせることなんでできやしない。



絶望と希望の境界領域でフラフラしている人を

どちらかに軽く倒してやることはそれほど難しいことではない、  とは思う。




動機づけ面接(wiki)

2011年7月3日

HALが歩行リハビリに向いていないと思うわけ

HAL(ハル)は筑波大学発のベンチャー企業が開発したロボットスーツ。

身障者の自立動作支援に役立つとされ、しばしば衆目を集める。


最近アップされた以下のビデオ(NHK world news)を観て思った。


(1:07~)福島一二三さん74歳は過去に2度脳卒中を患い、

下半身が麻痺し、以来5年間歩くことが出来ない。

ところがHALを着けたとたん、階段を登りだしてビックリ、

という内容。


直リンク





これを観てHALは歩行リハビリの役には立たないことを確信した。




理由:

よく見ると、この爺さんは右側だけの麻痺であり、

左側の上下肢には力が入るであろうことがわかる。


通常、脳卒中片麻痺の高齢者が車椅子の理由は、

転倒予防のために大事をとっているからである。


普通の装具をつけて、転倒を防ぐサポートをしてくれる人がいれば

この程度の歩行はできるはずである。


だから映っている内容それ自体はまったく驚くに値しない。



また、HALを装着後 平地歩行ではなく いきなり階段のシーンになり、

手すりにしがみついていることから、

自立してバランスをとれないことがわかる。



自分の経験から、

脳卒中片麻痺による歩行困難の主な理由は、

脚に力が入らないからではない。


足の裏を含めた下肢の感覚麻痺によって

自らの重心や傾きなどを認識することができず、

状況に応じた動作を素早くとることがかなわないが故に

転倒が恐ろしくて歩けないのである。



HALはパワー支援は得意だがバランス支援機能はない、と考える。



もしもHALのような装置が麻痺患者の歩行支援の

役に立つようになる とするなら、


それは 絶対に倒れない自立歩行ロボットの技術が確立されたのちのはず、 

と考える。



ところが現状はこれ↓である。


直リンク



だからHALは当面、普通の装具以上の役には立たないと思うのである。

追記:
こんな記事を見つけた。
2012年ロボットスーツ(HAL)使用実施/3分の1が途中断念/岡山県のリハビリ検証/装着に手間取り/装置が重い


HALリハビリ 期待外れだった

2011年7月2日

脳梗塞のアト 相貌失認になったひとの例


A patient with prosopagnosia which developed after an infarction in the left occipital lobe in addition to an old infarction in the right occipital lobe.
2011 6月 日本



相貌失認(人の顔がわからなくなる) の事例報告だそうな。



66歳の男性が入院した。

顔や色の識別に問題を抱えている、とのことだった。



その患者は3年前に右後頭葉の脳卒中を患っており、

当時、同名半盲の症状があったが相貌失認はなかった。



今回の検査の結果、相貌失認が確認できた。


医師や看護師はもちろん、自分の家族や友人の

顔も区別することができなかった。



MRI検査をすると、先の右後頭葉の梗塞跡と、

新たに左後頭葉に出血性の脳梗塞がみつかった。



これらのことから、後頭葉の損傷、特にそれが両側で起きると


相貌失認になるのかもしれない、 というおはなし。


2011年7月1日

脳卒中の家族に面会して、あんた誰? と言われる可能性について

When family looks strange and strangers look normal: A case of impaired face perception and recognition after stroke. 2011 6月 オランダ


脳卒中で顔の認識力が低下した人の例だそうな。

JSさんは脳梗塞になったあと、
他人の顔はわかるのに家族の顔がよくわからなくなった。

いろいろ検査してわかったことは、

1.JSさんは他人の基本的な感情表現を理解する能力が低下していた。

2.有名人の顔は理解できるのに自分に近しい人ほどわからなくなっていた。

3.家族の顔をまったく違う特徴で理解していた。




なんでそうなるの?

というおはなし。

2011年6月30日

半側空間無視の画期的治療法 → プリズム順応療法


Prism Adaptation Therapy Enhances Rehabilitation of Stroke Patients With Unilateral Spatial Neglect: A Randomized, Controlled Trial.
2011  6月 日本




半側空間無視があるとリハビリが思うようにはかどらない。



そこで、プリズム順応療法を併用することで

どの程度 自立が促されるのか調べてみたそうな。



38人の半側空間無視患者をプリズム順応療法グループと

比較グループとに分けた。



プリズム順応療法はプリズム眼鏡をかけて正しい方向を指し示すだけの

単純なトレーニングで、1日2回、週5日の頻度で2週間おこなった。


比較グループも普通の眼鏡をかけて同様のトレーニングをおこなった。


その結果、


プリズム順応療法グループで自立スコアの著しい改善があった、

というおはなし。





感想:

眼鏡はかけっぱなしではないようだし、

これでなぜ効果があがるのかよくわからない。


すでに98年にはこの療法が提唱さてれいる。
Prism adaptation to a rightward optical deviation rehabilitates left hemispatial neglect.

これほどシンプルなのに未だ実用化に至っていないことから、

おそらく実験室限定の、ほんのわずかな効果 なんだと思う。
プリズム順応療法で半側空間無視のADLは改善しない

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