HAL(ハル)は筑波大学発のベンチャー企業が開発したロボットスーツ。
身障者の自立動作支援に役立つとされ、しばしば衆目を集める。
最近アップされた以下のビデオ(NHK world news)を観て思った。
(1:07~)福島一二三さん74歳は過去に2度脳卒中を患い、
下半身が麻痺し、以来5年間歩くことが出来ない。
ところがHALを着けたとたん、階段を登りだしてビックリ、
という内容。
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これを観てHALは歩行リハビリの役には立たないことを確信した。
理由:
よく見ると、この爺さんは右側だけの麻痺であり、
左側の上下肢には力が入るであろうことがわかる。
通常、脳卒中片麻痺の高齢者が車椅子の理由は、
転倒予防のために大事をとっているからである。
普通の装具をつけて、転倒を防ぐサポートをしてくれる人がいれば
この程度の歩行はできるはずである。
だから映っている内容それ自体はまったく驚くに値しない。
また、HALを装着後 平地歩行ではなく いきなり階段のシーンになり、
手すりにしがみついていることから、
自立してバランスをとれないことがわかる。
自分の経験から、
脳卒中片麻痺による歩行困難の主な理由は、
脚に力が入らないからではない。
足の裏を含めた下肢の感覚麻痺によって
自らの重心や傾きなどを認識することができず、
状況に応じた動作を素早くとることがかなわないが故に
転倒が恐ろしくて歩けないのである。
HALはパワー支援は得意だがバランス支援機能はない、と考える。
もしもHALのような装置が麻痺患者の歩行支援の
役に立つようになる とするなら、
それは 絶対に倒れない自立歩行ロボットの技術が確立されたのちのはず、
と考える。
ところが現状はこれ↓である。
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だからHALは当面、普通の装具以上の役には立たないと思うのである。
追記:
こんな記事を見つけた。
2012年ロボットスーツ(HAL)使用実施/3分の1が途中断念/岡山県のリハビリ検証/装着に手間取り/装置が重い
HALリハビリ 期待外れだった