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2014年3月31日

ボディアウェアネス療法の脳卒中リハビリ効果とは


Body awareness therapy in persons with stroke: a pilot randomized controlled trial.
2014  3月  スウェーデン

ボディアウェアネス療法の脳卒中歩行リハビリへの効果を調べてみたそうな。

発症後6ヶ月以上で100メートル程度は歩くことのできる脳卒中患者46人について、
*週1回×8週間のボディアウェアネス療法のグループと
*なにもしない比較グループに分けた。

その後、バランスや歩行能力等を評価、比較した。


次のようになった。

・両グループ共に歩行能力に改善があった。

・しかしグループ間で明らかな違いは見られなかった。


8週間のボディアウェアネス療法は脳卒中歩行リハビリについて特筆すべき効果は確認できなかった、


というおはなし。

写真:ボディアウェアネス療法


感想:

ボディアウェアネス療法を初めて知った。

日本での事例は?だけど、海外では盛んなようだ。

多分に心理的要素を含んだ 理学療法のひとつの考え方らしい。

ボバースとか促通とか なにかそういう漠としたものと並ぶ印象を持った。

2014年3月30日

ゲームリハビリの現状


Commercial gaming devices for stroke upper limb rehabilitation: A systematic review.
2014  3月  イギリス

任天堂Wiiやソニーのプレイステーションなど商用ゲーム機を、脳卒中リハビリのシーンで積極的に利用しようとするあらたな動きがある。

それら活用報告が数多く上がってきているのでまとめてみたそうな。


医学研究データベースから2人の評価者によって 関連する研究を厳選し、内容を吟味した結果、


次のようになった。

・215人の被験者を含む19件の研究がみつかった。

・いずれの研究も小規模なものが多く、一般化した結論を出せるほどのものではなかった。

・ほとんどの被験者はゲームリハビリを楽しみ、週180分の訓練になんの問題もないと考えられた。

・特に上肢の運動機能の改善に適していた。

・日常生活への影響や被験者の訓練体験理解を対象とした研究はほとんどなかった。


商用ゲーム機を使うと上肢の高強度訓練が可能である。しかしそのリスクや日常生活、上肢運動機能への影響について 信頼性の高い結論はまだ得られていない、


というおはなし。

2014年3月29日

ニュージーランド名物キウイフルーツは血圧にイイのか


Daily kiwifruit consumption did not improve blood pressure and markers of cardiovascular function in men with hypercholesterolemia.
2014  3月  ニュージーランド

果物や野菜の豊富な食生活は高血圧の予防と治療に重要である。キウイフルーツはアンギオテンシン変換酵素の抑制効果を持ち、血圧コントロールに適していると言われている。

そこで1日2個のキウイフルーツが血圧を改善するものかどうか調べてみたそうな。


高コレステロール血症の男性85人について、健康的な食生活を4週間実行させた。
そのうちの2週間を、キウイフルーツを1日2個摂るグループとそうでないグループに分けて血圧や心機能を測定、運動状況も調査した。


次のようになった。

・被験者の44%は正常血圧、51%が前高血圧だった。

・80%以上に1日30分以上の活発な身体活動があった。

・グループ間で血圧、心拍などの点で明らかな差は見られなかった。


1日に2個のキウイフルーツを摂っても血圧への特別な影響は確認できなかった、


というおはなし。

写真:キウイ

2014年3月28日

脳卒中の治療中 治療後の死亡率と地域の貧困との関連


Mortality following stroke during and after acute care according to neighbourhood deprivation: a disease registry study.
2014  3月  フランス

居住地域の貧困がひどいほど脳卒中患者の死亡率が高くなることがわかっている。

急性期の治療中にもこの傾向があるものかどうか、調べてみたそうな。


1998-2010の平均年令75、1760人の脳卒中患者の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・284人(16.1%)が発症90日以内に死亡した。

・急性期治療の運用管理状況は地域の貧困レベルによって違いはなかった。

・急性期治療中の患者の死亡率と貧困との間に関連はなかった。

・この状況は脳卒中の種類、重症度に依らなかった。


地区の貧困がひどくなるにつれて脳卒中後の死亡率が高くなる傾向は、入院中ではなく退院したあとで顕著になるであろうことがわかった、


というおはなし。

写真:貧困地区フランス


感想:

貧乏人への治療がぞんざいになるというわけではなさそう。

2014年3月27日

流行りの動作観察療法を詳しく調べてみた


Motor excitability changes during action observation in stroke patients.
2014  3月  ドイツ

動作観察療法で運動神経の興奮性が変わるかどうか、麻痺手と健側手で違いはあるか、運動麻痺と感覚麻痺とで違いがあるかどうか、実験してみたそうな。


発症6ヶ月未満 18人の脳卒中患者(運動麻痺10人、感覚麻痺8人)について指先で物をつまむ動作のビデオを見せた。

この間TMSを使って脳から指の筋肉までの運動誘発電位を測定した。


次のようになった。

・TMSによる指筋肉の反応は、安静時よりも動作ビデオを見ている時に麻痺手、健側手共に著しく高かった。

・この効果はビデオに映っている手と同じ側の手で顕著だった。

・運動麻痺患者、感覚麻痺患者で差はなかった。

・11人の患者の麻痺手に、動作観察と明らかに関連した運動誘発電位の増加があった。

・15人の患者の健側手に、動作観察と明らかに関連した運動誘発電位の増加があった。


動作観察療法はリハビリに使えるかも知れない、


というおはなし。

写真:動作観察療法


感想:

動作観察療法の報告を最近よく見かける。

エスカレータの乗り降り動作をビデオにしたものを観たかったな、入院中に…

2014年3月26日

ブログを通して見る脳卒中体験の男女差と特徴


Stroke experiences in weblogs: a feasibility study of sex differences.
2014  3月  アメリカ

脳卒中患者の医療記録を分析すると非典型的な症状(心理的変化や痛み)についての報告が女性で多いという。

脳卒中を体験した際の症状の男女差をブログから読み解くことができるものかどうか、試してみたそうな。


インターネットの脳卒中体験者のブログから経験談を自動取得できるソフトウェア(StoryUpgrade)を用いてデータを集め、複数人の研究者により分類、解析した。


次のようになった。

・191件の脳卒中体験ブログが見つかった。

・そのうち174件で症状についての記述があった。(女性52%、男性48%)

・脳卒中症状が典型的(半身麻痺、言語障害、顔の歪みなど)か否かについて男女の差は見られなかった。

・語り手が患者自身である場合、心理的変化について記述は女性の方が多かった。

・ただし第三者が患者を語る場合、性別の差はなかった。

・非典型的な症状を1つ以上挙げる報告は患者自身が語る場合45%で、第三者が語る場合は26%だった。

・正確な診断名を挙げているケースは、脳梗塞67件、脳出血29件だった。

・1つ以上の非典型的な症状についての報告は脳出血患者の79%、脳梗塞患者の54%で見られた。


ネットのブログからの情報はこれまでの研究を裏付ける結果になった。語り手の人称で非典型的症状への言及度が変わる点はユニークだった。
ただ、この方法は体験者の年齢等の詳しい情報を得にくいという問題もあった。
高齢者もネットを使う機会が増えてきているのでこういった調査方法もアリではないか、


というおはなし。

写真:StoryUpgrade

感想:

検索エンジンの人工知能はどんどん賢くなってるから今後が楽しみだわ。

2014年3月25日

動作観察療法と運動イメージ訓練の脳波に与える影響は


Differences in Brain Waves of Normal Persons and Stroke Patients during Action Observation and Motor Imagery.
2014  2月  韓国

動作観察療法や運動イメージ訓練の際の脳波がどんな特徴や違いがあるか調べてみたそうな。


平均年令56の慢性期脳卒中患者12人と平均年令22健常な12人について動作観察時、運動イメージ時の脳波を3分間計測して比較した。

動作観察療法では立ったり座ったり、身体をひねったりといった動作を記録したビデオを観る。

運動イメージ訓練では同様の動作を口頭で指示し、頭のなかに思い描く。


次のようになった。

・脳卒中患者と健常人いずれも動作観察時にアルファ波の強度がおおきく低下した。

・しかし運動イメージ時ではアルファ波強度に大した変化は生じなかった。

・ベータ波の強度は両グループともに同じような分布で増加したが、

・ベータ波は動作観察時のほうが運動イメージ時よりも顕著に強かった。


動作観察と運動イメージは運動学習を促す効果がある。しかし動作観察の方がより強い認知活動をもたらすであろう(α↓β↑)ことから 動作観察療法の方が脳卒中リハビリには向いているのかも知れない、


というおはなし。


写真:脳波


2014年3月24日

リタリン飲んで頭に乾電池の電極を貼ると上肢機能が大きく改善するそうです


Combination of transcranial direct current stimulation and methylphenidate in subacute stroke.
2014  3月  アメリカ

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)や精神病治療薬メチルフェニデートは脳卒中患者の運動機能の改善効果があると言われている。

両者を組み合わせたときの相互作用を調べてみたそうな。


脳卒中患者を
*tDCSのみ
*メチルフェニデートのみ
*tDCS+メチルフェニデート
の3グループに分けて上肢機能を評価、比較した。

次のようになった。

・上肢機能テストのスコアはtDCS、メチルフェニデート単体の場合よりも組合せたときのほうが大きく向上した。

というおはなし。


写真:メチルフェニデート
リタリンの主成分がメチルフェニデート


感想:

ハーバード大の研究。STAP細胞で有名なだけにtDCSに手を出してもなんら不思議はない。

2014年3月23日

触覚刺激で脳がすぐに回復し その効果が10年以上続く可能性について


Sensory Stimulation-Based Complete Protection from Ischemic Stroke Remains Stable at 4 Months Post-Occlusion of MCA.
2013  11月  アメリカ

ネズミを使った実験で、脳梗塞の直後にヒゲの触覚刺激を行ったら24時間後には脳のダメージがほぼ完全復活した。

この効果が長く続くものかどうかさらに実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミに同様の実験(直後にヒゲ刺激)を行い、4ヶ月後(人間の10-15年に相当)の脳と行動を評価し、健康ネズミと比較した。

ヒゲ刺激は脳梗塞にした直後に、秒間5回ほどの刺激を数十秒間隔で2時間行った。


次のようになった。
・4ヶ月ののちも神経、血管、行動、組織学的に健康ネズミと同様だった。



脳梗塞直後の感覚刺激による皮質活動が、神経の完全保護に働きその効果が持続した、


というおはなし。
写真:ヒゲ刺激



感想:

脳卒中になったら身体の敏感なところをしばらく擦ってあげる 「くすぐり療法」みたいなものがあってもいいかもな・・・

と思って検索したら「くすぐり療法」がいくつもみつかった。

ただ、熱心にやりすぎて逮捕されてしまった理学療法士の例もあった。

2014年3月22日

患者「車乗ってもいいですか?」OT「とりあえずそのへん運転してみて」


Evaluating medically at-risk drivers: a survey of assessment practices in Canada.
2013 12月  カナダ

患者の自動車運転適性を調べる方法は定まっていない。

カナダの運転検査機関がどうやっているのか調べたそうな。


90の運転検査施設にeメールを送ってアンケートをとった。


次のようになった。

・47の施設から回答があった。

・返信者の88%は作業療法士だった。

・1ヶ月あたり平均8人(最大40人)の評価を行っていた。

・被験者の62%は脳卒中、痴呆、外傷性脳損傷、軽度認知症、多発性硬化症患者だった。

・1検査あたり約3時間を要していた。

・64%が病状にかかわらず常に路上でのテストを行っていた。

患者の運転適性検査内容にばらつきが大きかった。ガイドラインの作成が必要だろう、


というおはなし。


感想:

病院で運転免許更新用の診断書をお願いしたら作業療法士が握力と眼球運動の確認をして数分でOKがでた。

その診断書を持って免許センターに行き、おもちゃの運転席に座ってペダルを踏めることを確認してすぐに免許が更新出来た。

もっと厳しくした方がいいと強く思った。


2014年3月21日

リハビリはいつ始めれば良いのか


When should physical rehabilitation commence after stroke: a systematic review.
2014  3月  オーストラリア

早期リハビリの効果を評価してみたそうな。


関連する過去の研究論文を厳選しデータを統合、再解析したところ、


次のことがわかった。
・5つの治療試験と38の臨床研究がみつかった。

・発症後24時間以内の身体リハビリは死亡率が増加傾向にあった。

・その一方、48時間後のリハビリと回復成果は変わらなかった。

・88%の研究が7日以内のリハビリ病院への転院を勧めていた。


発症24時間以内の身体リハビリの効果は未だ明らかではない。7日以内のリハビリ開始もしくはリハビリ施設への転院が望ましいのかも知れない、


というおはなし。



感想:

せっかく入院したんだから まる1日くらいはベッドで寝ていたいと思う。
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