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肥満パラドックスは本当か?
元2021 2月 アメリカ
2019年3月28日
Stroke誌:脳内出血の肥満パラドックス
元
Obesity Paradox in Intracerebral Hemorrhage
2019 3月 アメリカ
脳内出血は脳卒中の10-15%をしめる。いっぽう肥満は 糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中のあきらかなリスク要因である。
肺高血圧や肝臓病、冠動脈疾患では肥満の患者ほど生存可能性が高いという「肥満パラドックス」が数多く報告されている。
脳内出血の肥満パラドックスについては報告がすくないので、きっちりとしらべてみたそうな。
データベース Nationwide Inpatient Sampleから 2007-2014の脳内出血患者99212人の記録について、
院内死亡率、退院先、入院期間、気管切開、胃ろう、脳室シャントとの関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・肥満と病的な肥満では、肥満でない(BMI<30)患者にくらべ院内死亡率があきらかに低かった。
・ただし病的な肥満患者では気管切開や胃ろうになる率がたかく、
・ふつうに自宅へ退院できる可能性も低かった。
脳内出血患者のうち、肥満や病的肥満には院内死亡への保護効果がみられた。しかし病的肥満は気管切開や胃ろうになりがちで自宅に退院できないことがおおかった、
というおはなし。
感想:
これまで↓よりもサンプル数が桁違いだ。
脳内出血の肥満パラドックス
脳内出血の肥満パラドックスがあきらかに
2019年3月6日
脳卒中経験者の肥満の自覚と減量成果
元
Self-Reported Body Weight Changes, Perceptions, and Weight Loss Techniques among Stroke Survivors
2019 2月 アメリカ
脳卒中で障害をもつと不活発な生活になり体重が増えることが考えられる。実際、脳卒中経験者の過体重 肥満率は一般人の1.2倍という。
体重がおおいとリハビリの効果があがらない、死亡率が高いなどとされるいっぽう、かえって再発や心血管死亡リスクが下がり保護効果があるとする「肥満パラドックス」も報告されている。
これらはある時点での体重のみに着目しているので、脳卒中経験者の体重がどのように移り変わってきているのか大規模にしらべてみたそうな。
米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)の2011-2014のデータから50歳以上の脳卒中経験者387人、非経験者5085人を抽出した。
25歳時点での体重、現在もしくは脳卒中発症時点から10年前、1年前の体重をアンケート調査したところ、
次のことがわかった。
・脳卒中経験者の54%は脳卒中のあとにもっとも体重がおおくなった。
・脳卒中経験者 非経験者ともに70%が過体重か肥満だった。
・脳卒中経験者の24%のみが体重を減らそうとしていた。非経験者では35%が減量を試みた。
・そして過去1年間にいずれのグループも10-15%のみが5%以上の減量を達成できていた。
・おもな減量方法は、食事を減らす、運動、フルーツや野菜をおおく摂る、だった。
脳卒中経験者のおおくは脳卒中のあと体重がさらに増え、その後減量を試みた者のほとんどが失敗していた、
というおはなし。
感想:
ちまたの健康情報にまどわされずゴーイングマイウェイな姿勢に好感。
Stroke誌:脳卒中でなお太ろうとする肥満の率
2019年1月10日
Stroke誌:内臓脂肪からみた肥満パラドックス
元
Impact of Visceral Adipose Tissue on Clinical Outcomes After Acute Ischemic Stroke
2019 1月 韓国
肥満や過体重の脳卒中患者は死亡率が低く回復が良いとするいわゆる「肥満パラドックス」が数多く報告されている。いっぽう「そんなものは存在しない太り過ぎは減量するべき」とする研究結果もある。
このようなちがいが起きる原因として、これまでの調査では肥満指標としてBMI(ボディマス指数)をもっぱら採用してきたことが考えられる。
BMIは筋肉や脂肪といった体組成の差を反映していない。そこで BMIにくわえて内臓脂肪を考慮にいれて肥満と脳卒中回復との関連をしらべてみたそうな。
急性脳梗塞で血栓溶解治療に間に合った患者127人について、
入院時にへその位置で撮影したCT画像から内臓脂肪比率をもとめ、
3ヶ月後の生活自立度mRSスコアとの関連を解析したところ、
次のようになった。
・内臓脂肪比率がたかくなるほどmRS2または1以下の回復良好者数が減少した。
・これは他の関連要因で調整してもおなじだった。
・BMI25以上の肥満患者は肥満でない患者よりも回復が良かった。
・肥満患者のうち、mRS1以下のとくに回復のよかった患者では内臓脂肪比率があきらかに低かった。
内臓脂肪比率のひくい脳梗塞患者はその後の回復が良かった。肥満でかつとくに回復の良かった患者には内臓脂肪があきらかにすくなかった、
というおはなし。
感想:
わかりやすく言うと、
筋肉のすくない脂肪でぶよぶよの肥満は好ましくはないけれど、痩せているよりはマシってことのようだ。
だから被験者に内臓脂肪型の肥満がおおいと肥満パラドックスは観測されにくくなる。
2018年8月16日
体重が少ないひとの心原性脳塞栓
元
Low Body Mass Index is a Poor Prognosis Factor in Cardioembolic Stroke Patients with NonValvular Atrial Fibrillation
2018 8月 日本
ボディマス指数BMIと脳卒中との関連については数多くの研究があって、BMIが高いほど脳梗塞になりやすく、日本人ではBMIが低いとその予後はよくないとされている。
さらに日本では高齢化がすすみ心房細動由来の心原性脳塞栓がふえている。また欧米にくらべ肥満はすくなく低体重がおおい。
そこで心房細動で心原性脳塞栓の患者の予後とBMIとの関連をしらべてみたそうな。
心臓弁に異常のない心房細動で心原性脳塞栓の患者419人について、BMIで 低(<18.5)、標準(18.5-25.0)、肥満(>25.0)の3グループにわけて、
入院時の重症度、退院時の回復度をくらべたところ、
次のようになった。
・入院時の重症度NIHSSは、低>標準>肥満の順に高く、低体重グループがもっとも重かった。
・退院時の回復度mRSも、低>標準>肥満の順に高く、低体重グループがもっとも悪かった。
・低体重は重症かつ予後不良のあきらかな要因だった。
・肥満は重症度や回復度に影響しなかった。
低体重で心房細動の心原性脳塞栓になった患者は 重症でかつ回復が良くなかった、
というおはなし。
感想:
スリムで健康そうに見えるひとがじつはいちばん酷かった、という意味での肥満パラドックスか。
2018年4月29日
脳内出血の肥満パラドックス
元
Racial differences in intracerebral haemorrhage outcomes in patients with obesity
2018 4月 アメリカ
肥満が脳卒中リスクであることは はっきりしている。いっぽう 肥満の脳卒中患者は予後が良いとする「肥満パラドックス」もいくつも報告されている。
肥満パラドックスについては 脳内出血や人種の違いでの研究が少ないので やってみたそうな。
脳内出血患者428人の記録を解析したところ、
次のようになった。
・BMIの肥満カテゴリに相当する患者は自宅へ退院できない率が高かったが、肥満は血腫増大には影響しなかった。
・人種別にみて、肥満は血腫増大に影響しなかったが非白人では自宅へ退院できない率が高かった。
今回の調査では脳内出血患者に肥満パラドックスはみられなかった。むしろ肥満で非白人だと予後不良になりやすかったが血腫増大はなかった、
というおはなし。
感想:
肥満は善みたいなはなしばかりだったから安心したよ。
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2018年4月22日
くも膜下出血のあと太らせるべき根拠
元
Increased Body Mass Index Associated With Reduced Risk of Delayed Cerebral Ischemia and Subsequent Infarction After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2018 4月 アメリカ
脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血では遅発性脳虚血がおきやすい。遅発性脳虚血は可逆的ではあるもののさらに進んで梗塞になる患者もいる。
高BMI(ボディマス指数)で脳卒中の予後が良いとする肥満パラドックスはくも膜下出血でも報告されているが、BMIと遅発性脳虚血からの梗塞 との関連についての研究はないのでしらべてみたそうな。
くも膜下出血患者161人の記録を解析したところ、
次のことがわかった。
・平均BMIは28.9、遅発性脳虚血は31.1%で起き、つづいて梗塞が9.3%で起きた。
・BMIが29.4以上だとあきらかに遅発性脳虚血と梗塞が少なかった。
・BMIが29.4以上でも生活自立度が不良(mRS>2)というわけではなかった。
・超音波装置で測定した最大脳血流速が高いほど遅発性脳虚血と梗塞が起きやすかったがBMIとの関連は確認できなかった。
BMIが高いくも膜下出血患者には遅発性脳虚血や梗塞がおきにくかった。積極的に患者を太らせたほうがいいのかも、
というおはなし。
感想:
BMIが29.4っていったら じぶんはあと30キロ以上体重ふやさないといかん。
2017年12月10日
脳内出血の肥満パラドックスがあきらかに
元
Does the obesity paradox predict functional outcome in intracerebral hemorrhage?
2017 12月 アメリカ
脳卒中など心血管疾患で太っている患者の死亡率が低いとする報告があり「肥満パラドックス」と呼ばれている。さいきんでは肺炎でも報告されている。
脳内出血の肥満パラドックスについては短期的には関連がないとする韓国の調査があるのみなので、確認してみたそうな。
救急搬送されてきた平均年齢61の脳内出血患者202人について、
BMIが25以上と25未満のグループにわけ、
3ヶ月時点での生存率および回復状況との関連を解析したところ、
次のようになった。
・90日時点での死亡率は41%で、
・回復良好(mRS:1-3)患者は、BMI25未満では24%、BMI25以上だと39%だった。
・重症度、性別、高血圧等を考慮にいれると、BMI25以上の回復良好のオッズ比は2倍だった。
脳内出血で入院した患者のうちBMIが25以上の太った患者はあきらかに回復がよかった、
というおはなし。
感想:
上の図わかりやすい。mRS 6は死亡。
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2017年10月15日
高血圧の認知能力の低下は肥満で防げる?
元
Higher Adiposity Is Associated With Slower Cognitive Decline in Hypertensive Patients: Secondary Analysis of the China Stroke Primary Prevention Trial.
2017 10月 中国
肥満は脳卒中など心血管疾患のリスク要因の1つである。
いっぽう肥満の心血管疾患患者は生存率が高く回復も良いとする いわゆる「肥満パラドックス」は数多く報告されているものの、認知能力との関連はよくわかっていない。
そこで高血圧患者について肥満と認知能力との関連を大規模にしらべてみたそうな。
45-75歳、およそ4年半の間に認知機能検査を2回以上うけた高血圧の男女16791人について、そのスコア変化と肥満度との関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・この間に男性の15.3%と女性の33.1%に認知障害が確認された。
・標準体重にくらべ肥満の男性は 11.3% vs. 18.0%で、女性では 30.1% vs. 36.5%で認知障害が少なかった。
高血圧を対象とした調査では 肥満度が高いほど認知能力の低下がゆっくりだった、
というおはなし。
感想:
肥満を見る目がかわったよ。
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