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2018年11月16日

上肢感覚リハビリの方法と効果予測


Initial severity of somatosensory impairment influences response to upper limb sensory retraining post-stroke
2018  10月  オーストラリア

脳卒中患者のおよそ半数は触覚や深部感覚の障害を経験する。しかしリハビリテーションはおもに運動機能にフォーカスしているため感覚障害はあつかわれないことがすくなくない。

上肢の運動機能障害に関しては Proportional Recovery Rule(比例回復則)があって、初期の障害程度に比例した自発的回復が予想できる。
しかし重度の障害患者ではこのルールに則らないことがわかっている。

そこで感覚障害患者に積極的な感覚リハビリをおこなったときに、その回復が初期の障害程度に比例するものか実験してみたそうな。


感覚の弁別能と認識能を再訓練するための方法 "SENSe therapy" (→7つの原理の 詳しいYoutubeリンク)を用いた2つの臨床試験のデータを用いた。

脳卒中で上肢感覚麻痺の80人の患者について、感覚訓練の効果を質感弁別、手首の深部感覚、触覚による物体認識について訓練前後で評価したところ、


次のことがわかった。

・訓練後の感覚障害の回復は訓練まえの障害程度に比例していた。

脳卒中で上肢感覚麻痺患者への感覚訓練の効果は、訓練まえの障害程度と比例関係にあり予測が可能だった。この感覚訓練は重度の感覚障害にも期待できる、


というおはなし。

図:脳卒中感覚障害の比例回復

感想:

比例回復則からのおちこぼれ(non-fitter)を救えるんだね この感覚リハビリは。
感覚障害も比例回復則するの?

2024年3月30日

予想を裏切るちから—なぜ麻痺した手が驚くほど強く握るのか?

2024  3月  日本


脳卒中後の上肢、特に手や指の動きに影響を及ぼす運動麻痺と感覚障害は、日常生活活動の大幅な低下と生活の質の低下につながる。

手の器用さは、フォークを使う、ボタンを留める、ドアハンドルを開けるなどの道具を操作するために必要不可欠であるが、多くの患者は軽度の運動麻痺があっても、筋力の低下だけでなく、力の発揮に必要な調整や制御が不十分であるために手の機能が限定される。

正確かつ精密な握り動作は、空間的および時間的な領域で感覚フィードバックを通して運動命令を組織するプロセスである。

しかし、脳卒中による神経学的障害は、物体を握る際の握力制御が過剰になる傾向があり、これは運動麻痺だけでなく、感覚障害にも起因する可能性がある。

そこで、慢性脳卒中患者の握力制御の特性を、静的および動的な側面からくわしくしらべてみたそうな。

2024年5月4日

触れる痛み?脳卒中後の感覚障害が語る痛みの新たな真実

2024  4月  オーストラリア


痛みは脳卒中後の回復において重要な問題の一つであり、多くの患者が継続的な不快感と機能障害を経験する。

特に、感覚障害は脳卒中患者において一般的であり、これが痛みの認識にどのように影響を与えるかは、完全には理解されていない。

そこで、体性感覚障害(触覚検出、触覚識別、固有感覚識別)と、脳卒中患者において報告された身体の痛みの有無および認識との関係をくわしくくらべてみたそうな。

2019年4月7日

Stroke誌:脳梗塞の感覚障害


Somatosensory Deficits After Ischemic Stroke
2019  4月  ドイツ

感覚障害は脳卒中患者の25-85%にみられるという。しかし臨床シーンでは運動機能の回復に重点がおかれるため感覚障害はみすごされることがおおい。

脳卒中後の感覚障害について、その種類、頻度、病変位置との関係、回復過程についての報告はすくないので大規模にくわしくしらべてみたそうな。



急性期の脳梗塞患者101人の両手について、
RASP(Rivermead Assessment of Somatosensory Performance)感覚評価をおこない12ヶ月後までフォローした。

MRIの病変位置との関連を解析した。

RASPでは、
tactile (触覚)と、
proprioceptive(固有感覚)であるpressure(圧力), light touch(軽い接触), sharp-dull discrimination(鋭鈍識別), temperature discrimination(温度識別), sensory extinction(感覚消失), 2-point discrimination(2点弁別), joint position(関節位置) and movement sense(移動感覚)についてテストした。



次のことがわかった。

・59.4%の麻痺側の手にすくなくとも1種類以上の感覚障害があった。

・軽い接触の障害は38.7%でもっとも頻度が高く、

・温度識別は21.8%でもっとも頻度が低かった。

・3ヶ月後、すべての評価項目であきらかな回復が進み、12ヶ月後ではつづく回復度はわずかだった。

・一次 二次体性感覚野および島皮質へのダメージと感覚障害にあきらかな関連があった。
脳梗塞患者のおよそ60%になんらかの感覚障害があった。この回復のだいぶぶんは3ヶ月間におきた。一次 二次体性感覚野と島皮質が感覚障害と強く関連していた、



というおはなし。
図:脳梗塞患者の感覚機能


感想:

いまなお手の触覚や温度感覚が非常に弱い。混んだバスで知らずのうちにどこかのおっさんの手にしっかりと自分の手を重ねていたことがあった。
とても気まずかったおもいで。

2013年12月14日

脳卒中になると触覚とかがおかしくなるって知ってた?


Stroke survivors' experiences of somatosensory impairment after stroke: An Interpretative Phenomenological Analysis.
2013  10月  イギリス

脳卒中経験者の感覚障害体験について調べてみたそうな。


すでに退院した5人の脳卒中経験者に感覚障害について面談調査を行った。


次のようになった。

・体験談の中に次の3つのテーマが見つかった。
*感覚障害を理解する。
*感覚障害の運動機能への影響。
*感覚障害に負けない。

・彼らは感覚障害は脳卒中が原因と理解していたが、

・その体験や問題点の説明に 難しさを感じていた。

・感覚障害は主に上肢機能の問題として語られることが多かった。


まずは脳卒中経験者の感覚障害に気づくことが必要なのでは、


というおはなし。



感想:

感覚障害については言いたいこといっぱいあるんだけど、
たぶん理解してもらえないだろうから面倒くさくて言わない。


感覚がないのではなくて、感覚が理解できない状態。
感覚という言語の失語症みたいな...

そんな印象を持っている。

2015年1月26日

[感覚障害] 療法士さんはエビデンスに基づいた評価 治療をしているのか?


Somatosensory assessment and treatment after stroke: An evidence-practice gap.
2015  1月  オーストラリア

脳卒中患者の感覚障害は珍しくない。そこで、ひごろ療法士さんがこの問題にどう対応しているものか調べてみたそうな。


作業療法士および理学療法士172人にアンケート調査したところ、


次のことがわかった。

・現在進行形で脳卒中患者を扱っているOTの63%、PTの37%から回答が得られた。

・そのほとんどの療法士(93%)は日常的に脳卒中患者の感覚障害に遭遇していた。

・感覚障害を測定する方法の70%は標準的なやり方ではなかった。

・ほとんど全ての療法士(98%)は感覚障害に対して代替戦略または再学習を薦めていた。

・エビデンスに基づいた治療はまれで、多くは同僚の意見や直近の経験に従ったものだった。

・時間、件数、情報アクセス上の制約から エビデンスに基づいた治療を行う困難さを感じていた。


多くの療法士は感覚障害への対応の重要性を理解していた。しかし現場ではエビデンスを欠いた評価法 治療法が少なからず用いられており、理想と現実のギャップが存在していた、


というおはなし。
図:感覚障害を扱わない理由


感想:

どんなものか知らないけど、そのエビデンスとやらにじゅうぶんな説得力がありさえすれば みな採用すると思うけどな、、

[感覚障害]の関連記事

2015年9月7日

損傷脳半球と同側の感覚障害について


Sensory deficits in ipsilesional upper-extremity in chronic stroke patients.
2015  9月  ブラジル
通常、脳卒中で損傷した脳半球と反対側に麻痺や感覚障害が現れる。

損傷脳の同側について感覚障害を調べてみたそうな。


慢性期脳卒中患者28人と健常者22人について、両方の手首や手の触覚、温度感覚、運動機能を測定した。


次のことがわかった。

・患者の25人は損傷脳の反対側に感覚障害があった。

・また、患者の18人(64%)には同側に感覚障害があった。

・同側の感覚障害は左利きの患者がもっとも酷かった。

・右脳損傷患者の同側の触覚は左脳損傷患者よりも悪くなかった。


脳卒中患者の損傷脳半球と同側に 深部感覚、触覚、温度感覚の低下が見られた。右脳損傷、右利き患者は同側の感覚障害になりにくかった、


というおはなし。



感想:

この種のはなしはときどき出てくる。

多かれ少なかれ両方の手に影響があるようなので、「非麻痺手」とか「健常側」とかいう表現を使うのは適切でないって言ってる。

2014年1月20日

肩の痛みと感覚障害との関連について


Somatosensory impairments are common after stroke but have only a small impact on post-stroke shoulder pain.
2014  1月  スウェーデン

脳卒中後の感覚障害と肩の痛みとの関連を調べて見たそうな。


平均年齢68、脳卒中経験者で
*肩の痛みのある24人 と
*肩の痛みのない25人 および
*健常な11人 について
温度の熱閾値、ピン刺激の収縮閾値、肩の可動域、運動機能等を測定した。


次のようになった。

・肩の痛みのあるグループとないグループとで感覚障害の程度に違いはなかった。

・しかし肩の痛みのあるグループで冷感覚異常のある者が多かった。

・両グループ共に熱閾値は健常人にくらべ概ね高く、収縮閾値は非常に高いか低いかのいずれかだった。


脳卒中経験者の感覚障害は珍しくなかった。肩の痛みの有無と感覚障害の程度に差がなかったことから、感覚障害が肩の痛みの主な原因であるとは考えにくい、


というおはなし。


感想:

てっきり感覚障害と強い関係があると思っていただけに意外。

2018年10月24日

感覚障害の機能的ネットワーク結合


Functional network connectivity is altered in patients with upper limb somatosensory impairments in the acute phase post stroke: A cross-sectional study.
2018  10月  ベルギー

脳は安静時であっても非常に低周期の活動をしている。これをMRIの信号強度の変化として観測することができ、部位ごとの周期活動への同期性からデフォルトモードネットワークや背側注意ネットワークなどが分類されている。

脳卒中患者の機能障害とこれらネットワーク的なつながりとの関連が報告されているが、体性感覚障害のそれについては報告がきわめて少ないのでくわしくしらべてみたそうな。


脳卒中の急性期で上肢に体性感覚障害のある患者19人について、
感覚障害を複数の指標、light touch, pressure, pinprick, sharp-dull discrimination, stereognosis, two point discrimination, perceptual thresh-hold of touch,
で測定した。

また、MRIで安静時のBOLDシグナル観測を行い、
脳半球間、脳半球内での機能的結合性との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・重度の体性感覚障害の患者は軽度患者にくらべ、脳半球間および損傷脳半球内での機能的結合性があきらかに低かった。

・特に触覚しきい値と軽い接触、立体認知との関連がつよかった。

感覚麻痺のつよい脳卒中患者ほど、脳半球間および損傷脳半球内での体性感覚関連の機能的結合性が低かった、


というおはなし。

図:脳の機能的結合性と感覚障害


感想:

fMRIのFunctional network connectivity は
データ取得がひじょうに簡単で、
職人的読影能力が必要とされないいっぽう、
AIと相性がよさそうな点でこんごに期待している。

2018年5月10日

慢性期の下肢感覚麻痺の割合と転倒


The prevalence, distribution, and functional importance of lower limb somatosensory impairments in chronic stroke survivors: a cross sectional observational study
2018  5月  イギリス

脳卒中後の下肢の感覚麻痺の影響については急性期患者の調査がおおく、慢性期患者のそれはよくわかっていない。

そこで慢性期患者について下肢感覚麻痺の種類と割合、歩行能力や転倒との関連について詳しくしらべてみたそうな。


平均年齢67、自立歩行のできる慢性期脳卒中患者163人について下肢の複数の感覚テストおよび歩行能力テスト、転倒体験との関連を解析したところ、


次のようになった。

・56%が下肢になんらかの感覚障害があった。

・内訳は、全体の18%が触覚や圧覚 痛覚、55%がシャープさ(sharp-blunt)の識別能力、19%が身体の位置や動きを知る深部感覚、に障害があった。

・スネやももよりも遠位の足やつま先の感覚障害がおおかった。

・足や足首の深部感覚の障害があきらかに転倒事例と関連していた。

慢性期脳卒中患者の下肢感覚障害は半数以上にみられ、いろいろなパターンがあった。とくに足や足首の深部感覚の低下が転倒と相関していた、


というおはなし。
図:脳卒中後の下肢感覚障害の種類

感想:

まさにコレ。
足の裏と足首の感覚麻痺が歩行問題の最大の理由。

だからスネに電気流したりももをパワーアシストするはちょと違うと思う。

2016年10月5日

重度感覚麻痺がイメージ能力に及ぼす影響とは


Mental chronometry and mental rotation abilities in stroke patients with different degrees of sensory deficit.
2016  9月  ドイツ

脳卒中のリハビリでもっとも有効とされる方法の1つにイメージ訓練がある。

イメージ訓練には動作を3次元的にシミュレートする能力と、各動作の時間を正確に構築する能力(メンタルクロノメトリー)が要求される。

これら能力は深部感覚麻痺の患者で低下しているとの報告がある。

そこで、脳卒中で体性感覚(触覚、温度感覚、深部感覚など)障害の患者でのイメージ能力を調べてみたそうな。


発症6ヶ月未満の脳卒中患者70人について、体性感覚の障害度別に3グループに分けた。(グループ1は障害ゼロ、グループ3は重度)

これに健常者23人を加え、ボックス&ブロックテストでの実際の動作およびイメージ上の動作に要した時間を 麻痺手 非麻痺手で計測した。

メンタルクロノメトリー能力=(実動作時間-イメージ動作時間)/(実動作時間)
と定義した。

またメンタルローテーション課題も行い正確さを評価した。


次のことがわかった。

・麻痺手のメンタルクロノメトリー能力は、グループ3で明らかに低下していた。

・非麻痺手ではすべてのグループでメンタルクロノメトリー能力は同等だった。

・メンタルローテーション能力はすべてのグループで同等だった。

重度の体性感覚障害の脳卒中患者ではメンタルクロノメトリー能力が明らかに低下したが、メンタルローテーション能力には影響はなかった、


というおはなし。
図:体性感覚障害とメンタルクロノメトリー

感想:

ようするに重度に感覚麻痺してるとイメージに要する時間がゼロに近づき瞬間的に動作が成立してしまうってこと。

思い出す... さいしょの数週間は左腕の感覚が「完全にゼロ」だった。そのころは幻肢がよくでた。
見舞客を見送る際にいつの間にかひだり腕を振っている。反動で胴が揺れる感覚まで再現されていた。
手を開こうとするとイメージの指だけが開いた。

2018年10月23日

深部感覚の障害と関係する脳の位置がわかった


Lesion locations associated with persistent proprioceptive impairment in the upper limbs after stroke
2018  10月  カナダ

脳卒中患者の64%が手足の位置や運動を知るための筋肉からのシグナル「深部感覚」に障害をもつという。

深部感覚の障害に影響する脳のエリアが体性感覚野以外にどこまで関係しているのかはほとんどわかっていないので大規模にしらべてみたそうな。


脳卒中患者136人について、
ロボット制御による上肢の位置感覚と運動感覚測定を6ヶ月後までフォローし、
断層画像上の脳損傷位置との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・縁上回、弓状束、横側頭回へのダメージが位置感覚と運動感覚の障害と関連していた。

上肢の位置感覚や運動感覚に影響する体性感覚野以外のエリア候補をみつけることができた、


というおはなし。

図:深部感覚障害の脳位置

感想:

上の図みると、どれも側頭部なんだよな。

たしかにじぶんもそれらしい位置をやられてたは。

2022年5月1日

Stroke誌:脳卒中後の知覚障害の研究

2022  3月  イギリス


知覚とは、聴覚、嗅覚、体性感覚、味覚、触覚、視覚などの感覚系からの情報を理解し整理する能力をさす。

脳卒中患者の74%は知覚障害を経験すると報告されているが、おおくの研究は特定の感覚領域のみを扱い断片的である。

そこで、脳卒中後の知覚障害に関するエビデンスをまとめ、問題点をあきらかにするべくレビューをこころみたそうな。

2023年8月18日

麻痺しなかった手の隠れた危険、最新研究が明かす

2023  8月  カナダ


これまでの研究で、脳卒中生存者の最大37%が損傷脳半球と同側の肢に運動障害を経験していることが示されている。

しかしこれらの障害と、対側肢の障害度や損傷脳半球の左右との関連はよくわかっていないので、

臨床評価よりも感度の高いロボット運動機能評価をもちいて、くわしくしらべてみたそうな。

2020年6月11日

肩の痛みと固有感覚

2020  5月  トルコ

片麻痺の肩の痛み(HSP:Hemiplegic shoulder pain)は脳卒中患者の65-70%にみられ麻痺腕の動きを制限する。

さらにHSPは感覚障害を伴うことがおおい。しかし関節の曲がり具合などを知る 固有感覚(proprioception)についての研究は少ないのでくわしくしらべてみたそうな。

2020年3月20日

慢性期での触覚訓練の効果


Sensory retraining improves light touch threshold of the paretic hand in chronic stroke survivors- a single-subject A-B design
2020  3月  イラン

触覚(light touch)の障害は脳卒中経験者の32-89%にみられるという。

触覚の再訓練による触覚しきい値や上肢運動機能の改善についての研究はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。

2018年7月16日

感覚障害も比例回復則するの?


Is There Full or Proportional Somatosensory Recovery in the Upper Limb After Stroke? Investigating Behavioral Outcome and Neural Correlates
2018  7月  ベルギー

近年、脳卒中で麻痺した上肢の運動機能は リハビリの有無にかかわらずその機能低下ぶんの70%が数ヶ月内に自発的に回復することが確認され、比例回復則(proportional recovery rule)と呼ばれている。

しかし皮質脊髄路の健全性に問題がある患者では このルールに則らない(nonFitter)ことがあると考えられている。

今回、上肢の体性感覚機能についても比例回復則があてはまるものかくわしくしらべてみたそうな。


32人の脳卒中患者について発症から4日、7日、6ヶ月後の感覚機能をEm-NSA(Erasmus MC modification of the revised Nottingham Sensory Assessment)で評価した。

Em-NSAでは、体性感覚機能を
1)感覚の有無
2)シャープさや鈍さを受動的に識別する能力(パッシブ処理)
3)感覚を統合して立体物を能動的に識別する能力(アクティブ処理)
にわけて評価した。

また、MRIを使って視床-皮質、島-弁蓋路の病変量を測定し関連を解析したところ、


次のようになった。

・上肢運動機能には比例回復則がみられ、nonFitterグループも確認できた。

・上肢の体性感覚は6ヶ月後にはほぼ全員が回復していた。

・パッシブおよびアクティブ感覚処理には比例回復則が確認でき、それぞれ86%、69%が自発的に回復した。

・4,7日時点で感覚障害のあった患者には視床-皮質、島-弁蓋路の病変量がおおきかった。

今回のサンプルでは全員がはやくに体性感覚を取り戻したが、パッシブおよびアクティブ感覚処理の回復は比例回復則にしたがっていた、


というおはなし。
図:比例回復則 上肢の運動機能と体性感覚

感想:

たしかに今も左腕の感覚は弱いものの、まったくの「ゼロ」だった期間は短く数週間だったよ。

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2021年5月1日

片側感覚症候群がじつは脳梗塞の割合

2021  4月  シンガポール


片側感覚症候群(Hemisensory syndrome)は身体のいっぽうの側の感覚変容と定義されていて、手口感覚症候群(cheiro-oral-crural syndrome)なども含む。

片側感覚症候群の原因の1つには脳梗塞が考えられるが、画像診断におよぶケースはすくない。

そこで、片側感覚症候群で入院した患者について、脳梗塞が病因である場合とその特徴についてくわしくしらべてみたそうな。

2012年5月15日

脳卒中後の疼痛はさらなる障害の前兆か?


Pain following stroke, initially and at 3 and 18 months after stroke, and its association with other disabilities.
2012  5月  スウェーデン




脳卒中後の疼痛と他の障害との関連を調べたそうな。



109人の脳卒中患者について、

発症時、3ヶ月後、18ヶ月後の各時点での

疼痛、歩行、自立、深部感覚、痙縮等の程度について調査をした。




その結果、

・すべての時点で脳卒中後の疼痛と上肢の運動障害が関連していた。

・脳卒中後の疼痛があるからと言って他の障害が現れるわけでもなかった。

・発症時の歩行障害や感覚障害がその後の疼痛と関連していた。







脳卒中後の疼痛により、別の障害が起きるわけではなかった、


というおはなし。





感想:

たしかに、 手が動くようになった頃と

金属や水に触れたときの痛みが消えた時期が

一致しては いる。

2016年12月15日

感じるのに感じない 脳卒中の感覚消失とは


An exploratory cohort study of sensory extinction in acute stroke: prevalence, risk factors, and time course.
2016  12月  スイス

感覚消失(sensory extinction)は 身体の右または左への単独の刺激は感知できるのに 同時に刺激を与えられたときにだけ一方がわからなくなる現象を指す。脳卒中などの脳損傷で起き、損傷脳と反対側の感覚(触覚、視覚、聴覚)が消失する。

脳卒中での感覚消失の頻度、回復過程、発症条件を調べてみたそうな。


脳卒中の急性期で神経症状が軽い(NIHSS平均1.6)患者73人を90日間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・13.7%になんらかの感覚消失があった。

・触覚消失が8.2%でもっとも多かった。

・15日後にはすべての患者で感覚消失が治っていた。

・脳の病変体積2mL以上と半側空間無視が感覚消失の予測因子だった。

・島皮質、被殻、淡蒼球の損傷が感覚消失に関連していた。

感覚消失は軽症脳卒中患者にはまれな一時的なものだった。病変の大きさが2mL以上と半側空間無視があると感覚消失が起きやすかった


というおはなし。
図:感覚消失の起きやすい脳の部位

感想:

これがひどくなると感覚障害で、単独の刺激にも反応しなくなる、、、と考える。
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