元2025 1月 イタリア
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2025年2月1日
脳内出血リハビリの新戦力?非侵襲的脳刺激(NIBS)の真価と落とし穴
2022年10月1日
コクラン:反復末梢磁気刺激にエビデンスなし
元2022 9月 日本
2020年8月18日
TMSで注意機能と日常生活動作は
元2020 8月 中国
2020年8月12日
rTMS治療の半分以上はプラセボ効果だった
元2020 8月 中国
2020年3月14日
rTMS vs. シータバースト 認知障害
元
High-frequency versus theta burst transcranial magnetic stimulation for the treatment of poststroke cognitive impairment in humans
2020 3月 台湾
脳卒中後の認知障害は30-40%の患者にみられるという。
また、背外側前頭前野への磁気刺激はパーキンソン病患者の認知機能の注意、視空間ドメインの改善をもたらすとされている。
これを脳卒中で認知障害をしめす患者について、高周波数(5Hz)のrTMSとiTBS(シータバースト)のことなる磁気刺激条件で効果に差があるものか、実験してみたそうな。
2019年11月28日
反対側へのシータバーストと慢性期脳卒中の機能回復
元
Low-intensity contralesional electrical theta burst stimulation modulates ipsilesional excitability and enhances stroke recovery
2019 10月 ニュージーランド
脳の両半球は互いのはたらきを抑制しあっているという考え方があって、脳卒中によりいっぽうの脳半球がダメージを負うと反対側からの抑制に歯止めが効かなくなりダメージを負った脳のはたらきがさらに悪化するという。
このアンバランスを正すために反対側にrTMSをあてて過剰な抑制が起こらないようにする臨床実験が数おおくおこなわれてきたが、いまだ一致した結果が得られていない。
動物実験では反対側の脳に電極から直接シータバーストパルスをあてることで過剰抑制を低下させ脳卒中の運動機能を回復させることに成功している。
これらの実験は急性期のものしかなかったので、慢性期であらためてその効果を確認してみたそうな。
2019年11月13日
連続シータバースト刺激が脳を護る仕組み
元
Phasic GABA signaling mediates the protective effects of cTBS against cerebral ischemia in mice
2019 11月 中国
脳卒中の慢性期ではシナプス結合の再編が重要で、これには神経伝達物質が関与する。
脳虚血を起こすとグルタミン酸作動性のシグナリングが増加し、興奮毒性から神経細胞が死滅する。
神経伝達物質であるGABA(Gamma-Amino butyric acid)はこの興奮毒性を抑え神経保護をもたらすと考えられている。
いっぽう、経頭蓋磁気刺激(TMS)の一種である cTBS(連続シータバースト刺激)にはシナプスの長期抑制効果が確認され脳卒中の回復に期待されている。
このメカニズムをあきらかにするべくGABA抑制の点からくわしくしらべてみたそうな。
人為的に脳梗塞をおこしたネズミの後頭頂葉へ5HzのcTBSを30日間与えた。
GABAの影響をしらべるために受容体阻害薬のビククリン(Bicuculline)を用いた。
空間認知能力はモリス水迷路テストでしらべた。
次のようになった。
・錐体ニューロン間のGABAはcTBSに反応した。グルタミン酸作動性の興奮は変わらなかった。
・cTBSは持続性(tonic)ではない律動的(phasic)抑制効果をもたらした。
・GABA受容体を介した律動的抑制は脳卒中の慢性期に高まり回復を促した。
・cTBSによりもたらされた律動的抑制効果は空間認知能力も改善した。
cTBSは律動的GABAシグナリング抑制をもたらし脳卒中後の機能回復をうながした、
というおはなし。
感想:
いまいちよくわからないけど
バーストものには縁があるので勉強してみた。
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メモ:
Combining Theta Burst Stimulation With Training After Subcortical Stroke
2019年9月19日
シータバースト刺激が脳卒中に良い理由
元
Beneficial Effects of Theta-Burst Transcranial Magnetic Stimulation on Stroke Injury via Improving Neuronal Microenvironment and Mitochondrial Integrity
2019 9月 中国
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、低い頻度では神経活動を抑制し高頻度では活性化すると考えられている。
うつなどの精神疾患にも応用され アルツハイマー病やパーキンソン病ではβアミロイドを減らしBDNFなどの神経促進タンパクを増やす効果が報告されている。
脳梗塞でのrTMSの影響メカニズムをくわしくしらべてみたそうな。
人為的に脳梗塞にしたネズミに3時間後からrTMSの5Hzのバーストパルスを5日間与えた。
この前後での行動、梗塞体積、脳組織の変化を観察した結果、
次のことがわかった。
・行動障害と梗塞体積があきらかに減少した。
・シナプス減少や神経退化も少なくなった。
・グリア細胞の増殖や炎症性サイトカイン、酸化ストレスによる神経ダメージも抑えられた。
・ミクログリア、アストロサイトの型が 傷害性から保護性にシフトした。
・抗炎症性のサイトカインが増加し、ミトコンドリアの細胞膜の健全性が維持されアポトーシス経路が抑制された。
rTMSのシータ刺激による脳虚血へのつよい神経保護作用がしめされた。炎症-酸化-ミトコンドリアの微小環境への改善効果が関係しているようだ、
というおはなし。
感想:
ネズミ頭部に対するヘルムホルツコイルの巨大さ(上図)が気になった。
脳全体を刺激するシータリズムがミクロレベルにいいのか。
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2019年5月6日
シータバーストで上肢リハビリ
元脳卒中を経験した50-60%はリハビリをおこなったとしても運動機能になんらかの麻痺がのこる。
Intermittent theta burst stimulation enhances upper limb motor function in patients with chronic stroke- a pilot randomized controlled trial
2019 4月 台湾
rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)は非侵襲的に運動機能の回復をうながすことができると期待されてきたが、さいきんのメタアナリシスでは上肢機能の改善効果はなにもないことが示された。
いっぽうrTMSの別の一形態である iTBS(間欠的シータバースト磁気刺激)はその効果がより持続するとしてあらたに期待されている。
半球間競合モデルにもとずいて、損傷脳半球の運動野をiTBSで活性化する、または反対側の脳半球の運動野をcTBS(連続シータバースト磁気刺激)で抑制する使い方が考えられているが、いまだ結論に一致をみない。
そこで脳卒中後の上肢機能についてiTBSの効果をランダム化比較試験してみたそうな。
30-70歳で慢性期脳卒中で片麻痺の患者22人について、
損傷脳半球の運動野へのiTBSまたは偽刺激(コイルの向きを変える)を1日1セッションx週5回x2週間の計10セッションおこなった。
刺激強度は運動しきい値を超えないように設定し、被験者がどちらの刺激をうけているのかわからないようにした。
介入前後の
Modified Ashworth Scale (MAS),
Fugl-Meyer Assessment Upper Extremity (FMA-UE),
Action Research Arm Test (ARAT),
Box and Block test (BBT),
Motor Activity Log (MAL) を評価したところ、
次のようになった。
・iTBSグループで痙縮度MASと上肢機能FMA-UE、上肢アクティビティのARAT、手の巧緻性BBTスコア が偽刺激グループよりもおおきくスコアをのばした。
・上肢使用頻度のMALはグループ間の差はみられなかった。
損傷脳半球への間欠的シータバースト磁気刺激は慢性期患者の上肢の痙縮をやわらげ、上肢運動機能の特に巧緻性を改善した。こんごに期待したい、
というおはなし。
Magstim Rapid stimulator
感想:
半球間競合モデルにはちょっと疑いがある↓。
半球間抑制のアンバランスは片麻痺の原因ではなかったiTBSもこれ↓のなかまだから推して知るべしか。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について
2019年3月2日
半球間抑制のアンバランスは片麻痺の原因ではなかった
元
Rethinking interhemispheric imbalance as a target for stroke neurorehabilitation
2019 2月 アメリカ
半球間競合モデル(interhemispheric-competition model)によると、左右の脳半球は平常時には脳梁を介して互いの働きを抑制しあいバランスを保っている。
ところが脳卒中で健常な側への抑制がはずれると、損傷脳半球への抑制が過剰にはたらき さらにひどい片麻痺におちいってしまう と考えられている。
このアンバランスな状態を正すことが脳卒中の運動機能回復につながると信じられていて、さまざまな脳刺激法(rTMSやtDCSなど)が試されている。
しかしこれまでのアンバランスな半球間抑制の報告は慢性期の患者ばかりである。
さらに2017年の112の研究のメタアナリシスでは 健常脳半球の過剰興奮を裏付けるエビデンスは1つもみつかっていない。
そこで、ほんとうにアンバランスな半球間抑制が急性期にも存在していて運動機能の回復と関連するものなのか、たしかめてみたそうな。
脳梗塞患者22人と健常者11人について、
半球間抑制の程度を ダブルパルスTMSパラダイムで評価し、運動機能との関連を調べた。
これを1年間、計5回(1,4,12,24,54週目)フォローしたところ、
次のことがわかった。
・指の運動に際する半球間抑制は急性期や亜急性期には正常レベルにあり、その異常は慢性期にのみ確認することができた。
・半球間抑制の影響は運動能力が回復するにしたがいひどくなった。
・さらにこの半球間抑制の程度は運動機能の種類(FMA、力、器用さ)のいずれとも関連を示さず、
・慢性期に向かって半球間抑制のアンバランスさが目立つにつれ、指の器用さの回復幅もわるくなっていった。
これらの結果から、半球間抑制のアンバランスさは片麻痺の回復がよくない原因というよりはむしろ回復結果の反映と考えられる。半球間抑制のバランスを正すことがはたして運動機能の回復につながるのかは おおいに疑問である、
というおはなし。
感想:
原因と結果を都合よく勘違いしていたってことなんやね。
「健常脳を抑制したら〇〇が良くなった」という報告がやたら目について、単純化しすぎているな、、とはおもっていたよ。
2019年1月26日
磁気刺激治療 30年間の論文傾向
元
Publication trends in transcranial magnetic stimulation- a 30-year panorama
2019 1月 ドイツ
TMS(経頭蓋磁気刺激)は非侵襲的に脳を刺激できる方法として1985年に考案された。当初は脳の運動野から末梢神経への皮質脊髄路の健全性を調べるための診断機器として使用された。
のちに疼痛や痙縮、脳卒中、パーキンソン病の治療に用いられるようになり、さらに最近ではうつやPTSDといった精神疾患にも応用されている。
TMSが世にでてからおよそ30年間の論文を書誌計量学的に解析してみたそうな。
引用文献データベースをつかって1988-2017までのTMS関連論文を抽出し、
もっとも論文数のおおい研究者、研究所、国、掲載誌、そして対象になる病気名、について調べたところ、
次のことがわかった。
・17492件の研究論文がみつかった。
・年間出版数の傾向は、他のテーマが横ばいなのに対し、TMSは劇的に増加していた。
・研究がもっともかっぱつな国はイギリス、アメリカ、カナダで、
・脳卒中、うつ、パーキンソン病についての研究がおおかった。
TMSの研究論文はこの30年間で激増しており、脳卒中、うつ、パーキンソン病への応用がおおい、
というおはなし。
感想:
論文の数ばかりおおくてあまり成果がでない分野でもある印象。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について
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2019年1月8日
嚥下障害への低周波数rTMSの効果
元
Effects of Low-Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation on Swallowing Function and Quality of Life of Post-stroke Patients
2019 1月 トルコ
脳卒中後の嚥下障害にたいして非侵襲的に脳皮質を刺激できるrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)を応用した研究がいくつもあるが一致した結果が得られていない。
両脳半球が脳梁を介して互いを抑制しあっているという考え方があって、脳卒中でいっぽうの損傷により健常側への抑制がはずれると損傷脳側への抑制がさらにすすんでしまう。
このとき健常側の亢進した働きを低周波数のrTMS抑えるか、損傷側を高周波数のrTMSで活性化することで崩れた抑制バランスを立て直すことができるという。
これら刺激プロトコールが研究ごとにバラバラであることも結果が一致しない原因と考えられる。
そこで、低周波数のrTMSに限って嚥下障害への効果を検証してみたそうな。
脳卒中の発症から2-6ヶ月の嚥下障害患者28人を2グループに分けた。
両グループには通常の嚥下リハビリを週3回x4週間おこなった。
rTMSグループには最終週に、1HzのrTMSを健常側脳の顎や舌の動きに関連する部位へ1回20分間x5日間 与えた。
比較グループには通常リハビリをおこなった。
次のようになった。
・両グループともに嚥下機能が実験後3ヶ月にわたり改善した。
・改善した嚥下機能にグループ間でのあきらかな差はみられなかった。
・rTMSグループにのみメンタルQoLの改善がみられた。
脳卒中で嚥下障害の患者への低周波数rTMSは期待しないほうがいいかも、
というおはなし。
感想:
メンタルQoLの改善はかんぜんに「スパシーバ効果」。コントロールにsham刺激をもうけるわけでもなく、しかもたったの1日20分x5日間でどうにかなると考える能天気さは ちょっと雑な感がある。
2018年12月3日
JAMA Neurol.:小脳への磁気刺激で歩行リハビリ
元
Effect of Cerebellar Stimulation on Gait and Balance Recovery in Patients With Hemiparetic Stroke- A Randomized Clinical Trial
2018 11月 イタリア
脳卒中患者の歩行リハビリを促すあきらかに有効な方法はいまだ存在していない。
近年、動物実験で小脳への刺激が歩行能力の改善につながることが示されている。
また人のfMRIで麻痺側の小脳の活動と歩行の改善度が正の相関をもつことがわかってきた。
そこで脳卒中患者の小脳に、rTMSの一種でシナプスの長期増強をもたらすとされる間欠的シータバースト磁気刺激(iTBS)を与えたときの歩行能力の変化をくわしくしらべてみたそうな。
中大脳動脈域の脳卒中で慢性期の片麻痺患者34人について、
損傷脳半球と対側の小脳へiTBSを3週間継続した。
偽刺激グループにはコイルを90度傾けて対応した。
さらに3週間後までバランスや歩行能力、皮質活動をフォローしたところ、
次のようになった。
・リアル刺激グループで、バランス能力を示すBBSスコアが 34.5→43.4→47.5とおおきく改善した。
・運動機能(FMA)や生活自立度(BI)には変化はなかった。
・麻痺していない足の横方向への歩幅があきらかに減少した。
・後頭葉の活動が高くなった。
小脳への間欠的シータバースト磁気刺激で脳卒中片麻痺患者のバランス能力と歩行パラメータが改善した、
というおはなし。
感想:
15年ほど前に じぶんの右手の指をうごかしたときのfMRI(←動画)。右の小脳がおおきく反応していて「こういうものなのか、、」とおもった。
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2018年11月3日
シータバーストで半側空間無視がよくなる
元
The effect of theta-burst stimulation on unilateral spatial neglect following stroke- a systematic review
2018 10月 カナダ
半側空間無視の治療には視覚走査訓練、プリズムメガネ、アイパッチ、投薬などの方法があるがいずれも効果が短く、状況限定的である。
いっぽう非侵襲的な脳刺激法として経頭蓋磁気刺激(TMS)が治療に用いられることがある。これは脳半球間の拮抗モデルにもとずいて、片方の脳半球を活性化または抑制することで脳卒中によるバランスの崩れをただすという考え方で 半側空間無視にも期待されている。
さらに初期のTMSでは刺激パルスが単発的だったのにたいし、機器の進歩により高速にパルスを繰り出せるようになった。とくに可塑性が促されるとされる脳波のシータ波(4-7Hz)相当のリズムをもったTMSパルスの群れをシータバースト刺激(TBS)と呼ぶ。
シータバーストを間欠的(iTBS)または連続的(cTBS)にあたえる方法があり、それぞれシナプスの長期増強(LTP), 長期抑制(LTD)効果が得られるとされている。
そこで半側空間無視治療へのTBSの効果をこれまでの研究からまとめてみたそうな。
おもに脳卒中で半側空間無視になった患者へのTBS治療に関する論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、
次のことがわかった。
・被験者148人を含む9の論文がみつかった。
・8件がcTBSで1件がiTBSによるものだった。
・いずれの刺激法でも半側空間無視がおおきく改善していた。
・TBSに視覚走査訓練を加えてもさらなる改善は見られなかった。
・症状のとらえかたや治療手順に研究ごとのばらつきがおおきかった。
脳卒中の半側空間無視の治療にはシータバースト刺激が有効そうにみえた。しかしエビデンスの質は高いとはいえなかった、
というおはなし。

感想:
効果あるのかもしれんけど、1日ほんの数10分間の刺激を2週間やってもらうために なん10万円も支払うことが見合うのかどうか、、、が問題。
新しい磁気刺激治療法 シータバーストとはなんなのか
2018年6月11日
rTMS治療中に居眠りしていた脳卒中患者の末路
元
Sleep during low-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation is associated with functional improvement in upper limb hemiparesis after stroke
2018 6月 日本
経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)が脳卒中患者の運動機能の改善に期待できる、とする報告がおおくある。
経験的に rTMS治療中にウトウトと眠ってしまう患者ほど回復が良さそうだったので、眠気レベルの指標としての bispectral index (BIS)を測定して回復度との関連をくわしくしらべてみたそうな。
15日間のrTMS治療入院中、1日2回のrTMSセッションの直前と刺激中でのBISの低下度ΔBISを測定した。
この平均値が10以上を睡眠グループ、10未満を覚醒グループとして
Fugl-Meyer assessment (FMA)
Action Research Arm Test (ARAT)
との関連を解析した。
rTMSは対側の運動野に1ヘルツの刺激を20分間与えた。
BISは脳波の解析にもとずく簡便な睡眠深度測定法である。
次のようになった。
・睡眠グループ7人と覚醒グループ6人を対象とした。
・FMAスコアの改善度にグループ間のちがいはなかった。
・しかしARATスコアは睡眠グループがすぐれていて、
・ΔBISとARATスコアの改善度にあきらかな相関がみられ、ΔBISが15をこえるあたりからARATスコアが急激に向上した。
rTMS中の睡眠が上肢機能の改善を促すのかも、、、
というおはなし。
感想:
眠りは脳の可塑性をうながす。だから目をひんむいてリハビリがんばる人よりも眠ってばかりの怠け者のほうがじつは回復がいい。
ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは
眠っている間にリハビリがすすむオフライン運動学習とは
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ
2017年8月21日
健常側の運動野のはたらきと時期
元
Time-dependent functional role of the contralesional motor cortex after stroke.
2017 8月 ドイツ
脳卒中でいっぽうの脳半球が損傷して手が麻痺したときに、健常側の脳がどのように関わってくるかについてはいまだよくわかっていない。
健常側の脳が、損なった機能を補うように働くのかそれとも逆に邪魔をするのかは報告によってまちまちである。
健常側の脳のはたらきが発症からの時期や運動課題によってかわってくるものか実験してみたそうな。
軽中等度麻痺の脳卒中患者12人について 損傷脳とは反対側の脳の1次運動野をオンラインTMSで干渉しながら麻痺手での3つの課題(指のタップ頻度、握力、反応速度)を測定した。
これを脳卒中から1-2週および3ヶ月以降に行った。
健常者14人についてもどうようの実験をした。
オンラインTMSは磁気刺激パルスを浴びながら課題をこなす実験方法をさす。
次のようになった。
・1-2週後では反対側の運動野への干渉によって指のタッピング頻度が明らかに向上した。いっぽう握力と反応速度には変化はなかった。
・3ヶ月後、磁気刺激による干渉は3つの課題いずれにも影響はなく、健常者を対象にした場合とおなじ結果になった。
脳卒中患者の健常側の脳の1次運動野が特定の時期と課題に対して抑制的にはたらいていることがわかった、
というおはなし。
感想:
これはTMSのただしい使い方だとおもう。みなオフラインにこだわって失敗してる。
2016年9月25日
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について
元
Transcranial magnetic stimulation combined with upper-limb training for improving function after stroke: A systematic review and meta-analysis.
2016 9月 ブラジル
rTMS(経頭蓋反復磁気刺激)は非侵襲的な脳治療法である。脳の活動を促す高周波刺激と これを抑制する低周波刺激の選択により脳半球間の活動バランスをコントロールでき、脳卒中片麻痺リハビリに効果的であるとする報告もある。
ほんとうのところはどうなのか、これまでの研究を総括してみたそうな。
rTMSの上肢リハビリ効果に関する信頼性の高い研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、
次のようになった。
・3234の研究から被験者199人を含む11の臨床研究を選んだ。
・"rTMS+通常の上肢リハビリ" と "通常の上肢リハビリのみ" の各場合で運動機能、痙縮度に有意な差は見られなかった。
通常の上肢リハビリにrTMSを加えるべき十分な根拠は存在しない、
というおはなし。

感想:
rTMSは雑すぎる印象。例えるとスマートフォンの調子が悪いから電子レンジに入れて軽くチンしてみた、って発想にみえる。
2016年3月9日
脳を癒やし可塑性を促すシータ電磁場治療法とは
元
The Effect of Electromagnetic Field Treatment on Recovery from Ischemic Stroke in a Rat Stroke Model: Clinical, Imaging, and Pathological Findings.
2016 2月 イスラエル
脳卒中のあとの非侵襲的な脳刺激法としてrTMSやtDCSがあるがいまいちパッとしない。
そこで、低強度 低周波数の電磁場に身体をまるごと置く治療法を考案し実験してみたそうな。
ネズミ18匹を人為的に脳梗塞にして次の3つのグループに分けた。
1) 電磁場なし
2) 4Hzシータ変動の電磁場刺激
3) 16Hzベータ変動の電磁場刺激
電磁場刺激は地磁気(0.5ガウス)相当強度の場にネズミを置き、これを1日2分間x4週間行った。
さらに1ヶ月間フォローして前肢運動機能、MRIおよび脳組織標本を調べたところ、
次のことがわかった。
・電磁場グループで前肢運動機能および神経症状が大きく改善した。
・電磁場グループで脳浮腫と脳室拡大が治まった。
・白質繊維は電磁場なしグループよりも良くまとまっていた。
・さらに 組織検査では神経新生を示すいくつかの物質を確認できた。
低強度低周波数の電磁場に曝すことで脳卒中後の神経ネットワークの可塑性が促されるのかもしれない、
というおはなし。


感想:
よく読むと 地球規模の電離層固有振動数であるシューマン周波数7.83Hzの1/2と2倍ということで周波数を選んでいた。発想が飛んでいるわりには資料がしっかりしている印象があった。
2015年7月21日
上肢機能の回復を促す準備刺激とは
元
Primed Physical Therapy Enhances Recovery of Upper Limb Function in Chronic Stroke Patients.
2015 7月 ニュージーランド
上肢リハビリ直前の磁気パルス準備刺激の効果について調べてみたそうな。
慢性期脳卒中で片麻痺の患者18人について45分間の上肢理学療法の直前にシータバースト磁気刺激を与えた。
偽刺激グループも設けて、これを2週間行い 1ヶ月後、3ヶ月後の機能改善度、皮質運動興奮性、脳機能MRIの結果を比較した。
次のようになった。
・上肢機能を示すアクション・リサーチアームテストのスコアは1か月後も改善値を保っていた。
・治療2週間の中盤から成果が現れ始め 用量効果を示していた。
・1か月後、上肢機能の改善度と 皮質運動興奮性バランスおよび損傷脳側の前運動皮質の活動増加との関連が認められた。
リハビリ直前にシータバースト準備刺激を与えることで慢性期脳卒中患者の上肢機能が改善し、1ヶ月間以上効果が持続した。通常のリハビリ単体では十分な効果が得られなかった、
というおはなし。

感想:
この研究者グループは準備刺激が好きで、かつて両手パタパタ法を提唱していた。
両手準備運動をすると脳が刺激されて上肢リハビリが加速することが判明!
こんかい、通常ならTMS治療の話になるところを「準備刺激」にキーワードをすり替えている。タイトルにTMSと載せると時代遅れに見えてだれも読んでくれなくなるからではないだろうか。
おまけ:シータバーストとはなんなのか
2014年11月12日
失語症治療に効果的な磁気刺激方法が判明
元
Efficacy of Synchronous Verbal Training During Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation in Patients With Chronic Aphasia.
2014 11月 台湾
言語療法に効果的な磁気刺激(rTMS)のやりかたを調べてみたそうな。
非流暢性失語の脳卒中患者45人を次の3グループに分けた。
*rTMSの最中に言語訓練を行う。
*rTMSの直後に言語訓練を行う。
*偽のrTMSと一緒に言語訓練を行う。
言語訓練は線画命名課題を、rTMSは脳の健常側への1Hz刺激で1日1セッションx10日間行った。
効果を3ヶ月後までフォローした。
次のようになった。
・rTMSを言語訓練の最中に行ったグループで 表現力、叙述力など複数の側面で失語テストスコアが他の2グループに比べ著しく向上した。
・この効果は3ヶ月後も持続し、言語訓練とrTMSを同期したグループで優れていた。
磁気刺激と言語訓練は別々に行うよりも一緒に行ったほうが効果的かつ持続的だった、
というおはなし。
感想:
磁気刺激で手が動くって話をすっかり聞かなくなったけど、同じように刺激しながらつまむ訓練をするといいんじゃないのかな。
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1日に6000歩以上で脳卒中の再発予防になることを日本の研究者が解明
脳出血で損傷した脳が勝手に再生する可能性について
脳卒中患者がネットを使いこなす理由
若年脳卒中患者は脳の老化が10-20年進んでいた
マルチビタミンの脳卒中予防効果は〇〇年後に現れる
最新の音楽療法 バイノウラルビート (Binaural Beat)
脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌
脳卒中が軽症だからって運転させていいの?
健康のために毎日いっしょけんめい運動するとかえって脳卒中になりやすいことが100万人の調査で明らかに
足をクロスしていたら半側空間無視 確定か?
療法士さんよりもビデオゲームの方が優れていると判明!
両手準備運動をすると脳が刺激されて上肢リハビリが加速することが判明!
心を改め運動を始めるだけで脳の可塑性は復活する
知らない音楽を聴くと脳が広く活動して新しい回路が、
なんとか復職しても仕事は続けられるのだろうか?
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね
脳卒中の言語障害はウェルニッケやブローカのせいではなかった!
手の指を繰り返し動かしてあげても脳への影響はゼロ
片足立ち20秒未満 →小さな脳梗塞や脳出血の可能性高!
[住みやすい国] 日本の脳卒中と自殺との関連について
再発予防のために血圧を120以下にすると長生きできない
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに
悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに
鼻炎のメリット→脳梗塞予防効果
脳卒中 幹細胞治療のダークサイドについて
ランセット誌:握力よわくなったら脳卒中が近いと知りなさい
だいたい5年後に脳卒中経験者が悩んでいること
ハゲを治そうとして脳卒中になってしまった日本人2例
退院したての元患者が感じていること
麻痺側の触覚を刺激し続けると梗塞を最小限にできる可能性について
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実
納豆を食べると脳卒中で死なない 2万9千人調査
NEJM誌:幹細胞ツアーに参加したら癌ができた
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに
脳出血で死なないための睡眠時間が判明!
音楽サポート療法の「音楽」はほんとうに必要なのか?
患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様
感情失禁になる患者の割合について
脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明
【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない
生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ
刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明
高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』