元2025 3月 ペルー
・歯周病がある人は、ない人に比べて「脳の血管が詰まる病気」になるリスクが約2.6倍高いことがわかった。・また、「ラクナ梗塞」と呼ばれるタイプの脳梗塞については、歯周病があるとリスクが5倍にまで上がることが示された。ただし、研究の間で結果にばらつきが大きく、確かな結論とは言いにくい点もある。・研究の信頼度を評価する仕組み(GRADE)では、脳卒中との関連は「信頼度が非常に低い」、ラクナ梗塞との関連は「中くらいの信頼度」と評価された。
🧠 「歯周病と脳梗塞」──なぜ“定説っぽい”のか?
要素 | 内容 |
---|---|
🔁 繰り返される語り | テレビ、新聞、病院のポスターなどで「歯周病は脳梗塞の原因に!」と頻繁に紹介されている。印象が刷り込まれる。 |
💬 健康啓発の都合 | 行動変容を促すために、科学的確実性より「わかりやすさ」を優先する傾向がある。因果でなくても「関係ある」で押し切る。 |
📉 疫学の限界が伝わらない | 「リスクが高い」=「原因である」と混同されがち。しかし実際は、リスク因子≠原因。 |
🧪 研究の質の問題 | 多くの研究が相関しか示しておらず、交絡因子(生活習慣・社会経済状況など)を完全に除外できていない。 |
🧬 じゃあ今回の論文ではどうだった?
- 歯周病がある人は虚血性脳卒中のリスクが約2.6倍、特にラクナ梗塞は5倍に上がるという結果。
- しかしその裏で:
- 🟡 エビデンスの確実性は「非常に低い」
- 🟠 研究間のばらつき(I²=96%)が極めて大きい
- 🔴 出版バイアスの可能性あり
つまり──
💡 「強い相関はあるが、因果関係とまでは言えない」
🔚 まとめ的にいうと:
✅ よく聞く話ほど、鵜呑みにせず“どのくらい確かか?”を問い直す視点が大事。
歯周病と脳梗塞の話は、まさに“信じたくなる説”と“科学的証明のあいだ”にぶらさがっているテーマである。