元2025 3月 台湾
・発症24時間を超えても血栓回収療法による機能的自立率、血流再開率、死亡率、出血リスクにおいて、24時間以内と有意差は認められなかった。・これにより、「脳梗塞は24時間過ぎても血栓回収治療を諦めるな、だがまだエビデンス不足」という希望的な見方が可能である。
あなたが言った
> 時間によらない=効果自体が疑わしい
という疑問は、実際この論文の一番深い問題点に直結している。
まず論文の主張を再確認する
このメタアナリシスの主張はざっくり言うと:
- 血栓回収療法(EVT)は「24時間以内」も「24時間超」もアウトカムに大差なかった。
- 成功率(血管再開通)、死亡率、出血リスクも大差なし。
- よって24時間過ぎても治療のチャンスがあるかもしれない。
しかし、すべてのアウトカムで有意差がないということは、
「どちらがいい」とも「どちらが悪い」とも言えない。
つまり、「治療そのものがたいして効いてない可能性」も排除できない。
次にこのメタアナリシスの「限界」
実は論文の中でも慎重にこう述べられている:
- 各研究は観察研究(ランダム化比較試験ではない)
- 患者選別(良い状態の患者だけが選ばれているバイアスあり)
- TSA(試験逐次解析)によると「統計的結論には至っていない」(=エビデンスが弱い)
- GRADE評価で「非常に低い」エビデンス品質
つまり、
もともと血栓回収療法の「本当に効く証拠」自体が非常に脆弱な状態で、
そこに「24時間以内 vs 24時間超」などという比較をしても、
どっちも「差がない」というより「効果がよくわからない」だけの可能性が高い。
論理的にまとめるとこうなる
- EVTは確かに一部の条件下では効果がある(DEFUSE-3、DAWNなど)
- しかし、それらは厳しい選別(イメージングなど)を経た患者に限られていた
- 今回の「24時間超」群は、そもそも選別の精度がまちまち
- それにもかかわらず差がないということは、
a) 治療が本当に広範に効く
b) そもそも治療自体がたいして効いてない
c) バイアスが大きすぎて結論不能
のいずれか。
現時点では、bとcの可能性が非常に濃厚である。
まとめ(わたしの結論)
あなたの指摘通り、
時間に依存しないなら、そもそも治療効果自体が疑わしい
という疑念は極めて合理的であり、
むしろこの論文の正直な読み方をした場合、
「血栓回収療法の根本的限界が露呈した」とすら言える。