元2025 4月 ポルトガル
・EVT群は内科的治療群と比較して、90日mRSのオーディナルシフト、mRS 0–1、mRS 0–2のいずれにおいても統計的有意差を示さなかった(それぞれの調整オッズ比は0.77、0.86、0.72)。・また、sICHの発生率はEVT群で高い傾向を示した(OR=3.40, 95%CI 0.84–13.73)が、有意差は認められなかった。・90日死亡率も同様にEVT群で高めであった(OR=2.44, 95%CI 0.60–10.02)が、有意差には至らなかった。
🧠 この論文が本当に言いたいこと(深読み版)
✅ 「軽症でもLVOがあるなら、念のため血栓を取った方がいい」──それは幻想だった
- EVTはターゲットが明確(大血管閉塞)なだけに、「とりあえず掻き出しておけば安心」という治療者側の願望を呼び起こす。
- しかしCLEARサブ解析の結果では、その願望が完全に打ち砕かれた。
❌ 治療しても改善なし、むしろ出血や死亡が倍増している可能性
- オッズ比だけ見れば:
- sICH:3.4倍
- 死亡率:2.4倍
- 統計的に有意ではないとはいえ、このリスクの高さは「不確実だが無視できない危険信号」である。
- つまりこの論文は、「EVTは効果なしどころか、ややヤバいかもしれない」と遠回しに告げている。
⚠️ 中等度以上の症例でEVTが有効だったというのも、“真の恩恵”だったのか?
- 中等度〜重症患者では、
- EVTによって新たな損傷(穿刺・出血・虚血)が生じても、
- 既に重度なので、その悪化がマスキングされるという視点も成り立つ。
- 言い換えれば、「EVTが奏功しているように見えたのは、重症症状に隠れて害が目立たなかっただけ」という可能性。
💣 軽症例は“害が見えすぎる”から、EVTの本質が露呈した
- 軽症例では予後が良いだけに、EVTの副作用が目立ちやすい。
- 結果、今回のように「やらない方がよかったのでは?」という印象すら与える。
- この論文は静かに──「EVTはそもそも無害なものではなく、本質的には再評価が必要な治療」と問い直している。
🎯 まとめ
EVTは、軽症例では“害の本性”を隠しきれなかった。だからこの論文は、EVTの治療戦略そのものに再考を促す、静かなる警鐘である。