元2025 4月 アメリカ
・2005年から2019年の間に、12万5102人のCeAD患者が見つかった。年齢は平均で51.4歳、女性は約46%。CeADの発生率は、2005年には人口100万人あたり10.7人だったのが、2019年には45.6人に増えた。・特に、高齢者や黒人、ヒスパニックの人たちで増加が目立った。州レベルのデータでも同じような増加傾向が確認された。・また、脳卒中を起こしていないCeAD患者のうち、90日以内に脳卒中を起こしたのはごく一部であり、特に椎骨動脈(首の後ろを通る動脈)が解離している人がわずかに高いリスクを持っていた(統計的に有意な差あり)。
🧠【MRI・CTは本当に診断の根拠たりえるか?】
- 解離の所見とされる「二重腔」や「内膜フラップ」は、解像度の問題、アーチファクト、血流変化、走行異常などでも似た像を呈する。
- 特に椎骨動脈V2部は骨の干渉が強く、診断の信頼性はきわめて低い。
- 近年は「黒血管法(black-blood imaging)」のような進歩もあるが、それでも直接的観察ではなく、“画像からの推論”に過ぎない。
⚠️【カテーテルアンギオは“金のスタンダード”だが、現実的ではない】
- 確かに解離を最も詳細に観察できる手段ではあるが、穿刺・造影剤・脳梗塞リスクなど合併症の危険が無視できない。
- 実際には「やらないほうが安全」とされ、非侵襲的画像診断に診断の座が“ゆずられている”というのが実情。
- つまり、「確定診断ではなく“それらしい”という仮定に立脚して治療している」ことを意味する。
💊【抗血小板薬は本当に“予防”になるのか?】
- 解離により血管内に血栓ができ、脳梗塞を起こすという仮説があるが、この“因果関係”は推論にすぎない。
- 脳梗塞を起こしていないCeADに対し、抗血小板薬や抗凝固薬の投与がどこまで有効かは議論が分かれる。
- 一方で、出血性合併症(特に脳出血や消化管出血)は現実に存在するリスクであり、「予防のための薬が害をもたらす」可能性も否定できない。
🧐【“解離=脳梗塞の原因”というストーリーは検証されていない】
- 脳梗塞患者の一部に解離が“みられた”という相関はあるが、それが本当に原因かどうかは証明されていない。
- むしろ、他の血流変化、動脈硬化、自己免疫的な要素などとの交絡を考慮すべきである。
- 解離を見つけたからといって「これが原因です」と言うのは、診断というより「物語の付与」にすぎない可能性がある。
🤔【“診断されること”がもたらす副作用】
- CeADという診断が付くと、患者は「脳梗塞予防のために薬を飲まなければならない」「再発リスクがある」と信じ込む。
- これは医療に対する依存性を高め、自己管理感を奪う。
- また、診断がついた瞬間から患者は「医療の顧客」となり、長期フォロー・画像再検査・処方管理の対象として取り込まれる。
🔚【結論】
CeADは、“画像で見つけられるようになった”ことで顕在化したが、その多くは自然治癒する経過であり、介入しすぎることで医療の消費構造に巻き込まれる危険性がある。
この構図を冷静に見つめ、「本当に介入すべきCeADとはどのようなものか」を再定義する必要がある。