元
rtPA(アルテプラーゼ)は、急性脳梗塞の治療薬として広く使われてきた。しかし、それを支える証拠はごく限られた試験に偏っており、特にNINDS試験とECASS-3試験に頼りきっている。
この2つの試験では、本来なら治療グループと比較グループの条件が平等になるように、きちんと混ざって分けられるべきところが、そうなっていなかったのではないかという疑いがある。
そこで、これらの試験が全体の解析にどんな影響を与えているかをくわしくしらべてみたそうな。
急性脳梗塞に対してrtPAを使った試験の中から、質の高いものを選び直して検討した。特にNINDS試験とECASS-3試験では、治療前の患者の状態に差がないかを詳しく見た。効果の指標には、「脳卒中後に自立した生活ができる割合(mRS 0–2)」を使った。
次のことがわかった。
・NINDS試験とECASS-3試験では、rtPAを受けた人たちのほうが、年齢が若かったり、症状が軽かったり、治療開始が早かったりと、有利な条件がそろっていた。
・これは「選択バイアス」と呼ばれ、本来ランダムに分けるべき治療グループに、結果がよくなりそうな人たちが多く入ってしまった状態を指す。
・この2つの試験を含めた解析では、rtPAで自立できる人が3%増えるという結果だったが、これら2つの試験を除いて解析すると、1%に減った。
・この2%の差は、選択バイアスによって作られた「見かけの効果」かもしれない。
NINDS試験とECASS-3試験には、治療前から条件のよい人が多く含まれていた可能性があり、これがrtPAの効果を実際よりもよく見せていたかもしれない。ガイドラインで強く推奨されているrtPAの位置づけは、こうした偏りをふまえて見直すべきである、
というおはなし。
この論文が本当に伝えたいのは──「rtPA、思ってたより効いてないかも?」という疑いである。
3%効果があると思われていたが、そのうち2%ぶんは、もともと治療に向いている都合のよい患者が多く選ばれていたことによる「見せかけ」かもしれない。つまり、本当は1%しか効いていない可能性がある。言いかえると、100人にrtPAを使っても、そのうち1人だけがよくなり、6人ほどは出血などの副作用を受けるかもしれない。そう考えると、その治療は本当に価値があるのか? という問いが自然にわいてくる。
著者たちは「効かない」とは言っていないが、「効いてる根拠が非常にあやしい」とは言っている。これはrtPAという薬だけの話ではなく、医療全体に対して「ちゃんと検証し直そう」と呼びかけている内容である。
感想:
せいぜい1%の患者にしか効かない治療を、臨床試験をインチキすることで効果量を3倍に盛ってドヤ顔していたってこと。
思っていたとおりだわ。↓