元2025 3月 韓国
・FMAでは、ロボット支援療法単独による効果はSMD=0.29(95%CI 0.14–0.44)、従来療法への追加ではSMD=0.42(95%CI 0.23–0.61)と、いずれも統計学的に有意な改善が認められた。・ただし、これらの改善幅は最小臨床重要差(MCID)には達しておらず、臨床的な意味は限定的である。・ADLについては追加介入時のみ有意(SMD=0.35)、筋力は有意(SMD=0.46)、痙縮に関しては有意差がなかった。・サブグループ解析では、急性期・慢性期を問わず、さまざまなロボット形式や介入期間において一貫した効果が見られた。これは一見すると汎用性の高さを示すように見えるが、裏を返せば、どの条件においても特に顕著な効果が出たわけではなく、ロボット訓練の効果が全体として中程度以下にとどまっていることも意味する。
ロボット訓練は「目的」ではなく「手段」のはず
本来、ロボットはこうあるべき:
- 目的:神経可塑性を促し、機能を回復させること
- 手段:ロボットによる高頻度・高強度・反復性の運動提供
しかし実際には…
「ロボットを導入したから進歩的」「ロボットを回すことが業務目標」 という“装置中心主義”に陥っている現場や研究もあるのでは?
FMAのスコア上昇=機能回復ではない
Fugl-Meyer Assessment(FMA)はあくまで定型化されたタスクの点数化にすぎない。
たとえば:
- 肘が動くようになった=FMAスコア上がる
- → でも、その肘で生活は楽になったの?という問いには答えていない
点数が上がった ≠ 実生活のQOLが改善した
研究者バイアスの可能性
研究者の期待がデータに影響している可能性は否定できない。
たとえば:
- 非盲検であることが多い:被験者も評価者も「ロボット=すごい」と思っている
- 出版バイアス:ロボット導入で「効果なし」と出すと通りにくい、資金が続かない
- 産業との利害関係(COI):ロボット企業との関係がある場合もあり、「見えない力」が働く可能性
結論:ロボット訓練には構造的な限界がある
- 短期的なスコアの変化を“効果”と呼んでしまう研究デザインが問題
- “ロボット使うこと自体が成果”になっている業界の空気
- 真のゴール(生活機能・社会参加)との乖離
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