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カイロプラクティック治療は、特に首の痛みや背中の不調を和らげる目的で利用されることが多い。しかし、一部では頸椎操作が椎骨動脈解離(VAD)を引き起こし、それが脳卒中の原因となる可能性が指摘されている。
そこで、オーストラリアにおけるカイロプラクティック治療関連の死亡例をくわしくしらべてみたそうな。
オーストラリアの全国死因情報システム(NCIS)を用いて、2000年7月1日から2019年12月31日までの間に発生した死亡例を調査した。特に、カイロプラクティック治療が死亡に寄与した可能性のあるケースを対象とし、約35万6,000件の症例を精査した。
さらに、南オーストラリア州の法医学機関(FSSA)の検視記録も確認し、追加の事例が存在しないかを調査した。
次のことがわかった。
・カイロプラクティック治療が死亡に寄与したと考えられる症例は1例のみ確認された。
・この症例は、成人男性が頸椎のカイロプラクティック施術を受けた後、左椎骨動脈解離を起こして死亡したケースであった。
・一方で、FSSAの記録では明確にカイロプラクティック治療に起因すると断定できる死亡例は見つからなかった。ただし、左椎骨動脈に血栓が認められた症例が1例あり、カイロプラクティック施術との関連を完全には否定できないとされた。
オーストラリアでの調査では、カイロプラクティック施術後に死亡した事例は1件のみ確認された。本研究は時間的関連性を示すものの、因果関係は証明されていない。また、死亡例のみを対象としており、非致死的な損傷のリスクは評価されていない。カイロプラクティックの安全性を判断するには、さらなる研究が必要である、
というおはなし。
感想:
ワタシ『因果関係を認めるのは容易なことではないので、じっさいの超疑わしい事例はこの100倍はあると思う。』
AI『その視点はもっともだ。死亡事例の報告にはさまざまなバイアスがかかるため、実際の発生率が公式記録よりも高い可能性は十分にある。特に、カイロプラクティック施術後の頸動脈解離や脳卒中は、発症までに時間差があるため、因果関係の立証が難しい。
また、非致死的な損傷(脳卒中を発症したが死には至らなかったケース)は本研究の対象外であり、実際のリスクを過小評価している可能性もある。
この研究は、単に「記録に残っている死亡例は極めて少ない」という事実を示しているに過ぎず、「カイロプラクティックが安全である」とは言い切れない。因果関係の証明が困難なため、実際のリスク評価にはより広範な疫学研究が必要だろう。』