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2025年3月1日

アスピリンは救世主か、それとも危険な賭けか――43万人調査が暴く“脳卒中一次予防”の光と影

2025  2月  イギリス


低用量アスピリンは、脳卒中の一次予防としての使用が議論されているが、その効果とリスクのバランスには慎重な評価が必要である。

そこで、動脈硬化性疾患のない人々を対象に、アスピリンが血管イベントを予防する効果と主要出血のリスクを比較し、どのような人が恩恵を受けるのかをくわしくしらべてみたそうな。



UK Biobank のデータを用いて、43万人以上の成人を対象とした。対象者は、ベースライン時点で動脈硬化性疾患がない人々であり、12年間にわたり主要血管イベント(MVE:心筋梗塞、脳梗塞、一過性脳虚血発作など)と主要出血(MB:消化管出血、脳内出血など)の発生を追跡した。

MVEおよびMBのリスクを予測するスコアを作成し、リスクごとにグループ分けを行い、MVE発生率とMB発生率の比率を算出した。この比率が高いほど、アスピリンの利益が大きく、低いほど出血リスクが上回ると考えられる。



次のようになった。

・ 12年間の追跡期間中、18,310人がMVEを発症し、5,352人がMBを経験した。

・ MVEリスクが高い人では、アスピリンの効果が期待できるが、MBリスクも同時に増加する。

・ 出血リスクが高い群(過去の出血歴、がん、肝疾患、腎機能障害を持つ人)では、MVE対MBの比率が2.6以下となり、アスピリンの利益より出血リスクの方が上回る可能性が高い。

・ 一方で、出血リスクが低くMVEリスクが中等度の群では、MVE対MBの比率が4以上となり、アスピリンの純利益が得られる可能性がある。


脳卒中の一次予防におけるアスピリンの使用を検討する際には、個々のMVEリスクとMBリスクを慎重に評価する必要があることがわかった。MVEリスクが高く出血リスクが低い人には、アスピリンが有益な可能性があるが、出血リスクが高い人ではその利益が限られる、


というおはなし。

アスピリンの脳卒中予防効果



感想:



ワタシ『アスピリンが脳卒中の二次予防には有効であると考えられている主な理由は、「再発予防のためなら脳出血もいとわないし責任も問わない」と患者が同意しているからですね。』


AI『患者が「脳出血が起こっても構わない」と同意していることは、もちろん重要な要素だ。しかし、医学的にみれば、アスピリンが脳卒中の二次予防に有効と考えられる主な理由は「再発リスクが高い状況下で、出血リスクを上回るだけの絶対リスク減少が期待できる」からである。

1. 再発リスクが高いからこそ大きな恩恵が得られる
脳卒中を一度起こした患者の再発リスクは、発症したことがない人に比べてはるかに高い。たとえば年間再発率が5〜10%程度とされており、これに対してアスピリンが一定の相対リスク低減効果(20〜25%ほど)をもたらすことで、絶対リスク減少(ARR)は相応に大きくなる。つまり、出血リスクは増えるが、それを上回る再発予防の効果が期待できるという医学的根拠がある。

2. 「患者の同意だけ」が根拠ではない
確かにインフォームドコンセントとして、患者が「再発を防ぐためなら出血リスクを受け入れる」と承諾することは大切である。しかし、医学的には「アスピリンを使うことで、出血よりも再発予防のメリットが大きい」と示すデータやエビデンスが明確に存在するからこそ推奨されている。
つまり、患者の承諾があるだけで有効とされるわけではなく、「再発リスクの高さ」と「アスピリンの予防効果がもたらす恩恵」の両面でエビデンスに裏付けられている。

3. 本質は「リスク対ベネフィット」の評価
二次予防においてアスピリンの使用が有効であるとされる主な理由は、高い再発リスクをアスピリンで抑えられることによる絶対リスク減少が、出血リスク上昇による絶対リスク増加を上回るという結論に基づく。もちろん、その選択を患者が受け入れるというプロセスは欠かせないが、同意だけを根拠として有効だと考えられているわけではない。

したがって、脳卒中二次予防でアスピリンが有効とされる主たる理由は、「臨床的に見て再発防止のメリットが大きいから」であり、その上で患者の同意を得てリスクを受け入れる形をとっているというのが実際のところである。』


ワタシ『ベネフィットが出血リスクを上回るといいますが、ほんとうでしょうか?脳内出血患者のおよそ半数は抗血栓薬使用者が占めていますよ。』


AI『脳内出血患者のおよそ半数が抗血栓薬使用者であることは事実だが、それだけで「出血リスクが利益を常に上回っている」とは断定しづらい。以下にその理由を示す。

1. もともと出血リスクの高い層が抗血栓薬を使っている可能性
脳卒中などの既往がある人ほど、再発予防のために抗血栓薬を使うことが多い。つまり、もともと脳内出血リスクの高い層に対し、再発防止策としてやむを得ず抗血栓薬が処方されている可能性がある。その結果、脳内出血患者のうち抗血栓薬使用者が多くなる、いわゆる選択バイアスが生じていると考えられる。

2. 「半数が使っている」ことと「総合的な利益が上回る」ことは別の次元
半数が抗血栓薬を使用していたからといって、即「出血リスクの方が大きい」とは言えない。重要なのは、「抗血栓薬を使わなければ脳梗塞などの再発リスクがさらに高まり、死亡率や後遺症も大きくなる」という点である。再発リスクの絶対値が大きいほど、抗血栓薬による出血リスク上昇分を差し引いても、なお利益が上回る可能性がある。二次予防ではまさに、そうした状況がしばしば当てはまる。

3. 統計的に見ると「純利益」がプラスになる患者が多い
臨床試験やメタアナリシスを総合したガイドラインでは、脳卒中や心筋梗塞の既往患者にとって、抗血栓薬(特にアスピリン)を使った方がトータルでみて有益であるという結論が繰り返し示されている。ただし、出血リスクが特に高い患者(脳出血既往や重度高血圧、がんなど)には慎重投与が望ましいという点も併記される。

4. 個別リスク評価の重要性
確かに脳内出血は致死率や後遺症が高く深刻である。しかし、脳梗塞や心筋梗塞の再発を防ぐことも同様に重要であり、「どちらのリスクが大きいか」は患者ごとに異なる。最適解は、患者の再発リスクと出血リスクを天秤にかけ、個別化されたリスク評価に基づいて導き出すべきだといえる。

結論として、「脳内出血患者の半数が抗血栓薬を使用している」事実は、出血リスクが無視できないほど高いことを示唆するが、それが直ちに「常に出血リスクが利益を上回る」ことを意味するわけではない。重要なのは、再発リスクと出血リスクのバランスを総合的に評価し、個々の患者にとって最適な治療を選択することである。』


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