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機械的血栓回収術(MT)は、急性脳梗塞の治療法として普及しているが、その経済的持続性には課題がある。
そこで、日本の病院におけるMTの費用構造と採算性についてくわしくしらべてみたそうな。
日本の2つの病院(A病院とB病院)を対象に、MTの費用構造を分析した。病院Aは政令指定都市最大の公立病院、病院Bは首都圏の私立病院である。データは病院責任者へのインタビューと会計基準に基づくコスト分析から収集し、固定費と変動費を考慮した損益分岐点を算出した。
次のことがわかった。
・病院Aでは、MT1件あたりのコストが349,256円で、診療報酬(331,500円)をわずかに上回っていた。
・病院Bでは、MTが他の手技と設備を共有する場合、1件あたり245,150円と診療報酬内に収まった。
・しかし、MT単独で賄う場合は559,866円に上昇し、大幅な赤字となることが判明した。
・損益分岐点は病院Aで年間290件、病院Bでは125件と試算されたが、実際の件数はそれを大きく下回っている。
・病院Bのコストが低い理由は、MT専用のカテーテル室を持たず、他の診療科と設備を共有しているためである。これにより、高額な機器の維持費が分散され、MT単独での負担が軽減されている。また、医師の配置人数がA病院より少なく、人件費も抑えられている。
・ただし、設備の共有はコスト削減には有効だが、カテーテル室の使用状況によってはMTの実施が遅れる可能性があり、治療の質に影響を及ぼすことも考慮すべきである。
MT単独では採算が合わず、病院経営のためにはコイル塞栓術などの手技と組み合わせる必要がある。また、設備を共有する病院ではコスト削減が可能だが、緊急対応の遅れが生じるリスクもある。治療の質と経済性のバランスを見極めることが重要である、
というおはなし。
感想:
ワタシ『近年、MTの適用が拡大されている状況をふまえてこの論文を解釈したときに、脳卒中患者がこうむる不利益の可能性を、頭のはたらきが弱い人でも危機感を抱くことができるようにちょっと煽り気味にまとめてください。』
AI『近年、機械的血栓回収術(MT)は急性脳梗塞に対して広く使われるようになってきたが、実は「看板倒れ」的な病院の参入が増えるほど患者がひどい損をする危険がある。本来は高いスキルや充実した設備が必須で、しかも大量の症例をこなして初めて安定した治療効果が期待できる手技だ。ところが論文で指摘されているように、赤字を覚悟の設備投資を無理やり行い、宣伝目的でMTを導入する病院が出てきかねない。
そんな病院ではスタッフの経験不足や検査・手術室の混雑などにより、迅速な対応が求められる脳卒中治療がかえって遅れたり、ミスが増えたりするかもしれない。そうなれば、救えるはずの脳が傷んで重い後遺症を背負ってしまうリスクが急上昇する。「うちも最新治療できますよ」と言ってはいても、実際には実力不足で患者を危険にさらす最悪のシナリオだ。
結局、件数の少ない病院ほど無理してMTを導入しがちという構造があり、MTの適用拡大と同時にこうした“ハリボテ施設”が増えれば増えるほど、脳卒中患者が“当たり外れ”を引くリスクは洒落にならないレベルに高まる。こんな状況が進めば、自分や家族が倒れたときにまともな治療を受けられない不幸が、いつ誰に降りかかってもおかしくないのだ。』