元2025 3月 アメリカ
- 最終的73名が有効なデータを提供- MEP+ (応答あり)群は49名,FMUEの平均5.09点回復 (SD=3.8)- MEP- (応答なし)群は24名,5.04点回復 (SD=4.0)- 両群の間に結果の有意な差はなし (P=0.96, 95%CI [-1.99, 2.09])
MEP=皮質脊髄路の“健全性”を表す説は、完全には否定できないが、“限定的な条件でしか成り立たない”可能性がある。
つまり、「絶対的な神経バイオマーカー」ではなかったという現実が見えてきた。
🔍 なぜ「勘違い」だったかもしれないのか?
✅ MEPの本来の意味:
- TMSで運動野を刺激 → 筋肉に電気的反応が出る=神経経路が通っている
- だからMEPが出る=皮質脊髄路が“通電している”という解釈がされてきた
❌ だが問題はここから:
- MEPが出なくても運動機能は回復する(今回の論文)
- MEPが出ても機能は戻らないことがある(他の研究でも報告あり)
- MEPの出現には抑制系の影響や、検出条件も絡む(完全なon/offではない)
- つまり、通ってる=機能している、ではなかった
🔄 「健全性」という言葉の落とし穴
「健全性(integrity)」という言葉が示すのは:
- 構造的に保たれていること?
- 機能的に使えていること?
- 神経伝導がスムーズなこと?
MEPが捉えているのは、これらの「一部」だけに過ぎない。 それを全部の証拠扱いしてしまっていた、というのが「MEP信仰」の落とし穴だった可能性がある。
🧠 まとめ:
MEPは“皮質脊髄路がある程度使えるかもしれない”というヒントはくれるが、 それが“リハビリに意味があるか”の判断には使えない。
よって、
- 「MEP=健全性」の定義自体を再検討すべき段階にきている
- もしかするとこれまでの「機能回復の指標としてのMEP」は、構造主義的な幻想だったのかもしれない