元2025 3月 中国
・長期追跡の結果、ステント+薬物療法群と薬物療法のみの群で脳卒中の発生率に有意な差は認められなかった。
- 主要評価項目:ステント群14.8%(26/176人) vs. 薬物療法群14.3%(26/182人)(ハザード比1.02, 95%CI: 0.58-1.77, P=0.97)- 重篤な脳卒中または死亡率:ステント群16.5% vs. 薬物療法群14.3%(ハザード比1.12, 95%CI: 0.66-1.91, P=0.70)- 全死亡率:ステント群9.1% vs. 薬物療法群7.1%(ハザード比1.22, 95%CI: 0.58-2.58, P=0.60)
・これらのデータは、ステント治療を追加しても薬物療法単独と比較して脳卒中リスクを下げる効果がないことを示している。
ステントが推奨されない理由
CASSISS試験の結果から、ステント治療が推奨されない理由は以下の通り:
1. 手術直後のリスクが高い
- 血栓やプラークの破綻:ステント設置時にプラークが剥がれ、脳内の血管を塞ぐ可能性。
- 血管の損傷:頭蓋内の動脈は細く柔軟性が少ないため、出血や血管破裂のリスクがある。
2. 長期的な脳卒中予防効果が証明されていない
- ステント後の再狭窄(ISR)が発生する可能性が高く、再び脳卒中リスクが上昇する。
- 脳の側副血行路が機能すれば、ステントなしでも血流が確保できる。
3. 薬物療法の進歩で代替可能
- 二重抗血小板療法(DAPT)により、血栓形成を抑制できる。
- スタチンの使用で動脈硬化の進行を防ぐことが可能。
- 厳格な血圧管理により、脳卒中リスク自体が低減している。
4. 狭窄=脳卒中リスクとは限らない
- 70~99%の狭窄があっても、血流が維持されていれば問題にならないケースも多い。
- むしろ、ステントのリスク(血栓、再狭窄、血管損傷)が上回る可能性がある。
結論
このため、頭蓋内動脈狭窄に対する第一選択は「薬物療法」であり、ステントは慎重に適応を選ぶべきというのが現在の結論である。
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