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美容院でのシャンプー中に発症する「美容院脳卒中症候群(BPSS)」は、首の過伸展が原因で発生する脳血管障害の一種である。この症候群はまれであるが、めまいや頭痛、平衡障害など脳卒中と類似した症状を示すため、誤診されることが多い。
そこで、BPSSの実態を明らかにし、診断と治療の課題をくわしくしらべてみたそうな。
BPSSと首の過伸展に関連する論文を検索した。175件の論文を抽出し、さらに精査した結果、22件の研究(16件の症例報告と6件のケースシリーズ)を対象とした。これらの研究に含まれる54例のBPSS症例について、発症状況、診断方法、治療内容、転帰などを分析した。
次のことがわかった。
・54例のうち79.63%が女性であり、年齢は13歳から85歳まで幅広かった。主な発症場所は美容院(42例)であったが、歯科診療(8例)やその他の環境(4例)でも発生していた。
・主要な症状はめまい、平衡障害、頭痛などであり、MRIや血管造影により診断が確定された。
・BPSSの原因として最も多かったのは、機械的な血管圧迫や動脈解離であり、特に動脈硬化や椎骨動脈低形成を有する人がリスクが高いとされた。
・治療には、抗血小板療法、抗凝固療法、ステント再血管化、外科手術が含まれた。回復状況は個人差があり、完全回復した例もあれば、後遺症が残る例や死亡例も報告された。
BPSSはまれではあるが、日常的な動作で脳卒中類似の症状を引き起こす可能性がある。特に首の過伸展を伴う活動(美容院でのシャンプー、歯科治療など)を行った後に神経症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、MRIや血管造影などの適切な検査を受けることが重要である。BPSSの認識が広まることで、救急医療現場での迅速な診断と適切な治療が可能となり、予後改善につながる可能性がある、
というおはなし。
感想:
床屋派だからあんしん。