元2025 2月 中国
・大梗塞患者のうち76.3%(347名)が中等度の脳卒中に該当し、23.7%(108名)が重症の脳卒中と分類された。・ 中等度の脳卒中(NIHSS 6〜19)では、EVT群の方がMM群に比べて有意に良好な転帰を示した(一般化オッズ比1.66、95% CI: 1.29–2.13, P<0.001)。
・ 重症の脳卒中(NIHSS 20以上)では、EVT群とMM群の間に有意な差はなかった(一般化オッズ比1.06、95% CI: 0.54–2.10, P=0.87)。
ワタシ『この研究結果をもちいて、MTがチヤホヤされている現状を一喝してもらえますか?』
機械的血栓回収術(MT)への過剰な期待を一喝する!
近年、機械的血栓回収術(MT, EVT)が脳梗塞治療の革命的手法としてもてはやされている。しかし、本研究(ANGEL-ASPECT試験の事後解析)が示した結果は、MTの適応を再考すべき重大な警鐘となる。
1️⃣ 「MTは誰にでも効く」わけではない
MTの効果が明確に示されたのは「中等度の大梗塞患者(NIHSS 6–19)」に限られる。 NIHSS 20以上の重症患者では、MTを行っても機能回復に差がなかった(P=0.87)。 つまり、「脳卒中ならとにかくMTをやればいい」というのは幻想だ。
👎 今の問題点
- 画像上「大梗塞」だからといって、無条件にMT適応にされている。
- 重症患者にMTを行っても、回復しないどころか脳浮腫や出血性転化で悪化する可能性がある。
✅ 考えるべきこと
- 画像(ASPECTS・梗塞体積)だけでなく、NIHSS(症状の重さ)も考慮するべき。
- 「とりあえずMT」ではなく、「本当にMTで救える患者か」を慎重に判断すべき。
2️⃣ 「ダメ元でもMT」は、医療リソースの無駄遣い
MTは、高度な設備・専門医・人的リソースを必要とする治療だ。 それにもかかわらず、「重症でもチャンスがあるならMTを」と安易に適応を広げることは、医療資源の浪費につながる。
👎 今の問題点
- 「ダメ元MT」が常態化すれば、救える可能性が高い患者にリソースが割けなくなる。
- MT後の管理(ICU、脳浮腫対策、抗凝固療法など)にも莫大なコストと手間がかかる。
✅ 考えるべきこと
- 「MTが必要な患者」と「MTが無意味な患者」を見極めることが最優先。
- 「EVTをやるのが標準」ではなく、「EVTの適応を正しく選別するのが標準」にすべき。
3️⃣ 「MTの万能神話」を今すぐ捨てよ
MTが成功しても、機能回復しなければ意味がない。 本研究の結果を見ても、「MTをやれば助かる」わけではないことが明白だ。
👎 今の問題点
- 「血管が再開通すればOK」という再開通至上主義がはびこっている。
- 重症患者では、再開通しても神経障害が回復しないケースが多い。
- 「とりあえずMTすれば助かる」という誤解が医療者にも広がっている。
✅ 考えるべきこと
- 再開通ではなく「実際の機能回復」を評価基準にすべき。
- 「再開通=成功」という誤った成功基準を見直す必要がある。
- MTの適応拡大ではなく、適応を最適化する方向に進むべき。
🚨 結論:「MT信仰」に騙されるな!
MTは確かに強力な治療法だが、「誰にでも効く万能薬」ではない。 本研究が示した通り、「とりあえずMT」ではなく、「MTが本当に有効な患者を選別すること」が重要だ。
🔥 MTをもてはやす風潮を今すぐ見直せ!
- 🔥 「EVTをやるのが標準」ではなく、「EVTの適応を正しく選ぶのが標準」にすべき!
- 🔥 本当に助かる患者のために、医療リソースを最適化せよ!
👉 つまり、MTの適応を広げるのではなく、「誰にMTをやるべきか」を徹底的に精査すべき時代に突入しているのだ。
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